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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない Y35
管理番号 1221478 
審判番号 不服2008-5889 
総通号数 129 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-03-09 
確定日 2010-07-20 
事件の表示 商願2006- 70353拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「フードビジネスで働こう」の欧文字を標準文字で表してなり、第35類「広告,職業のあっせん,求人情報の提供,人材の紹介及びあっせんに関する情報提供及びコンサルティング,インターネットにおけるホームページによる広告,インターネット上での広告スペースの提供,インターネット上での広告スペースの提供に関する情報の提供,インターネットを介しての商品の売買契約の媒介」を指定役務として、平成18年7月13日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『飲食関係の仕事で働こう』ほどの意味合いを認識させるものであり、顧客の誘引、役務の提供促進のために商取引者が用いるキャッチフレーズと認められる『フードビジネスで働こう』の文字を表してなるものであるから、これをその指定役務に使用しても、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における審尋
当審において、以下の要旨の審尋を改めて通知し、相当の期間を指定して請求人に意見を求めたものである。

本願商標は、「フードビジネスで働こう」の文字を標準文字で表してなるところ、原審において、「フードビジネス」の語は「飲食関係の仕事」を表すものとして一般に使用されていることから、「フードビジネスで働こう」の語句が本願の指定役務に使用されたときは、この語句に接した取引者・需要者は、それを妨げる何か特別な事情がない限り、ごく自然に「飲食関係の仕事で働こう」という顧客の誘引、役務の提供促進のためのキャッチフレーズとして認識するというのが相当であり、商標法第3条第1項第6号に該当するとして、本願を拒絶したものである。
そして、請求人(出願人)(以下「請求人」という。)は、平成20年3月9日付け審判請求書において、「『フードビジネス』は広く『食に関するビジネス』を意味していることから、『フードビジネスで働こう』という語に接した者は、『飲食関係の仕事で働こう』以外の意味合いで理解する場合もあり得る。してみれば、『フードビジネスで働こう』という語から直ちに『飲食関係の仕事で働こう』ほどの意味合いを想起するものとはいえない。」旨主張する。
そこで、当審において、職権により調査したところ、請求人が主張するとおり、「フードビジネス」の語は、「飲食関係の仕事」のみではなく、「食に関するビジネス」を表す語として使用されていることは、下述ア及びイの新聞記事情報等からも認められるものである。

ア 「日本食糧新聞」(2009年5月13日付け)
「企業・地域でフードスペシャリスト活用へ 日本フードスペシャリスト協会理事・伊藤淳子氏」の見出しの下、「生産分野、調理や加工分野、食品の開発・流通、販売、品質管理、マーケティング、食育など、多岐にわたるフードビジネスの中で数々の資格や職種が求められているが、それらの専門知識を横断的に学び、コーディネートできる人材としてのフードスペシャリストが担う役割は大きい。」の記載。
イ 「朝日新聞」(2008年6月3日付け 西部朝刊 11頁)
「(情報フラッシュ)九州経済同友会が2代表委員 【西部】」の見出しの下、「代表幹事会では、10月23?24日に宮崎市で大会を開き、九州の食にかかわる産業(フードビジネス)の戦略を話し合うことを決めた。」の記載。

しかしながら、たとえ、「フードビジネス」の語が、「飲食関係の仕事」のみではなく、「食に関するビジネス」すなわち「食に関する業界」を意味する語として使用されているとしても、「フードビジネスで働こう」の文字は、構成全体として、「食に関する業界で働こう」程の意味合いを理解させるにすぎないものである。
そして、「求人情報」を提供する業界等において、求人先・求人業種・求人地域等を冠した「○○で働こう」の文字が、提供する役務についての、簡潔な宣伝文句として一般に使用されている事実が、下記1ないし15の使用例から見受けられるものである。
してみれば、本願商標を、その指定役務中「広告,職業のあっせん,求人情報の提供,人材の紹介及びあっせんに関する情報提供及びコンサルティング,インターネットにおけるホームページによる広告,インターネット上での広告スペースの提供,インターネット上での広告スペースの提供に関する情報の提供」に使用しても、本願商標に接した取引者・需要者は、ごく自然に「食に関する業界で働こう」という顧客の誘引、役務の提供促進のためのキャッチフレーズとして認識するというのが相当であるから、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものである。

1 「動坂指圧『和み』」のウェブサイトにおいて、「『和み』グループ採用専門サイト」のタイトルの下に「指圧院で働こう!」の記載。
(http://www.nagomi-shiatsu.com/kyujin/)
2 「医療事務で働こう?医療事務の資格・求人情報サイト?」のウェブサイトに「インターネットで 医療事務 の求人情報を入手しよう!!」の記載。 (http://www.iryo-jimu.com/)
3 「西予市地域雇用創造促進協議会」のウェブサイトにおいて、「西予でがんばる皆さんを応援! 西予で働こう!」の記載及び「求人情報を見る」の記載。 (http://www.seiyo.bz/)
4 「世界銀行プロフェッショナル」のウェブサイトにおいて、「世銀で働こう!キャリア・ガイド」の記載及び「◎世界銀行で働くには?」の項目に「世界銀行スタッフの採用タイプは大きく分けて、空席ポストに応じて各部門・部署から直接採用されるものと、人事部によって採用されるプログラムの二つがあります。」の記載。
(http://www.wbpro.jp/career/index.html)
5 「マイナビバイト」のウェブサイトにおける「募集情報」のタイトルの「ロイヤルホスト 吉塚店」の項目に「【キッチンスタッフ】駅近☆ロイホで働こう☆未経験歓迎◎」及び「**ロイヤルホスト吉塚店で働こう**」の記載。 (http://baito.mynavi.jp/job/257135)
6 「株式会社パソナテック」のウェブサイトにおける「派遣」の項目に「マイクロソフトで働こう!」及び「Microsoftで働こう!」の記載。 (http://www.pasonatech.co.jp/ms/index.jsp)
7 「ナムコ・ナンジャタウン in SunshineCity」のウェブサイトにおける「ナンジャタウンで働こう」のタイトルの下、「アルバイト・準社員募集中」及び「ナムコ・ナンジャタウンでは、この街で一緒に働く仲間を募集しています。」の記載。(http://www.namja.jp/work/)
8 「社団法人静岡県薬剤師会」のウェブサイトにおける「薬局で働こう」の項目に、「静岡県薬剤師会の会員のお店から寄せられた求人情報です。」の記載。 (http://www.shizuyaku.or.jp/work/index.html)
9 「本厚木ミロード」のウェブサイトにおける「ミロードで働こう」のタイトルの下、「笑顔で働く私は、輝いている。さあ、ミロードで働こう」の記載。 (http://www.honatsugi-mylord.com/recruit/)
10 「京都北山街協同組合」のウェブサイトにおける「北山で働こう!求人ガイド」のタイトルの下、「らーめん 千の風 京都北山店」の項目に「平成20年12月にOPENしたばかりのきれいなお店で働きませんか!?ただ今ホール・レジ・調理補助を募集しております。」の記載。
(http://www.kitayama.or.jp/job)
11 「株式会社 キャリアブレイン」のウェブサイトにおける「求人情報」の項目に「病院で働こう! 介護職求人特集」の記載及び「コンサルタントが特別に入手した非公開求人を期間限定でご紹介します。」の記載。
(http://www.cabrain.net/spcIntro009.html)
12 「新潟市役所」のウェブサイトの「経済・国際部 商業振興・雇用対策課 雇用対策室」の欄に、「新潟で働こう!」及び「-Uターン・Iターン・地元就職- 新潟市への地元就職を応援します!」の記載。
(http://www.city.niigata.jp/info/shoko/koyo/ui-turn/)
13 「マックスバリュ東海株式会社」のウェブサイトにおける「新卒・中途・パート社員 求人情報」のタイトルの下、「マックスバリュ東海について スーパーで働こう!」の記載。
(http://www.maxvalutokai.jp/about/abo003.html)
14 「中国新聞」(2009年7月1日 朝刊)
「海事都市尾道で働こう ガイド本発行」の見出しの下、「海事都市尾道で働こう ガイド本発行 尾道市や中国運輸局など13団体でつくる海事都市尾道推進協議会は、就職活動中の高校生や大学生向けの『尾道地区海事関係企業ガイドブック』(A4判、56ページ)を発行した。」の記載。
15 「読売新聞」(2003年9月20日付け 中部朝刊 27頁)
「[けいざい横丁]9月20日=愛知」の見出しの下、「《就職》◇あこがれのアパレル業界で働こう! 24日午後5時半、名古屋市中区新栄町の日石栄ビル7階、ピープルスタッフで説明会。アパレル業界への就職を希望している学生を対象に10月10日から「就職対策講座?ファッション販売・営業職編?」を開講する。接客、コーディネート、ディスプレーなどについて講習する。今回はその講座の無料説明会。」の記載。

第4 当審における審尋に対する請求人の意見(要旨)
前記第3の「審尋」に対して、請求人は、平成21年9月28日付け回答書を提出し、要旨以下のように述べている。

1.出願に係る商標がいわゆるキャッチフレーズに該当するかどうかは、当該商標が使用される役務との関係において、単なる宣伝文句として理解されるかどうか、言い換えると、当該商標が指定役務との関係において、その質等を直接的かつ具体的に表現したにすぎないものかどうかを十分に考慮した上で判断するのが相当であり、さらにその指定役務を取り扱う業界において当該商標に係る語が取引上普通に使用されている事実があるかどうかも重要な判断要素である。
2.「食に関する業界で働こう」は、「フードビジネスで働こう」から間接的に想起される意味合いの一つにすぎないものであって、本願商標「フードビジネスで働こう」は、「食に関する業界で働こう」程の意味合いを表現していると看取される場合もあり得ると言えるものの、決して役務の質等を直接的かつ具体的に表現したものとまで言い切ることは出来ない。
3.そして、「フードビジネスで働こう」なる表示が、実際に本願商標の指定役務を取り扱う業界において、その役務の質等を表示するものとして、特定の意味合いをもって、取引上普通に使用されている事実があるか否かを調査したが、そのような事実は発見できなかった。
4.以上の通り、本願商標「フードビジネスで働こう」は、「食に関する業界で働こう」ほどの意味合いを直接的かつ具体的に表現したものではなく、また当該商標に係る語が取引上普通に使用されている事実もないことから、顧客の誘引、役務の提供促進のために商取引者が用いるキャッチフレーズとして認識されるものではなく、一種の造語として認識されるとみるのが相当である。よって、本願商標は十分に自他役務の識別力を有するものであり、商標法第3条第1項第6号の規定に該当するものではない。

第5 当審の判断
本願商標は、「フードビジネスで働こう」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「フードビジネス」の語は、前記第3において述べたとおり、「食に関するビジネス」を表す語として使用されているものである。
また、「求人情報」を提供する業界等において、求人先・求人業種等を冠した「○○で働こう」の文字が、提供する役務についての、簡潔な宣伝文句として一般に使用されている事実が、前記第3の1ないし15に掲げる使用例から見受けられるものである。
してみれば、本願商標を、その指定役務中「広告,職業のあっせん,求人情報の提供,人材の紹介及びあっせんに関する情報提供及びコンサルティング,インターネットにおけるホームページによる広告,インターネット上での広告スペースの提供,インターネット上での広告スペースの提供に関する情報の提供」に使用しても、本願商標に接した取引者・需要者は、ごく自然に「食に関する業界で働こう」という顧客の誘引、役務の提供促進のためのキャッチフレーズとして認識するというのが相当である。
そうすると、本願商標は、その指定役務中の前記役務に使用するときは、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものとみるのが相当であり、自他役務の識別標識としての機能を発揮し得ないものというべきであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことができない。
なお、請求人は、「本願商標は、『食に関する業界で働こう』ほどの意味合いを直接的かつ具体的に表現したものではなく、また当該商標に係る語が取引上普通に使用されている事実もないことから、顧客の誘引、役務の提供促進のために商取引者が用いるキャッチフレーズとして認識されるものではなく、一種の造語として認識されるとみるのが相当である。よって、本願商標は十分に自他役務の識別力を有するものであり、商標法第3条第1項第6号の規定に該当するものではない。」旨主張する。
しかしながら、本願商標「フードビジネスで働こう」の文字が、構成全体として、「食に関する業界で働こう」の如き意味合いを容易に看取させるものであり、かつ、本願の指定役務に関する業界において、「○○で働こう」の文字が、提供する役務についての、簡潔な宣伝文句として一般に使用されている事実があることからすれば、請求人が主張する「本願商標が取引上普通に使用されている事実がない」としても、本願商標に接する需要者・取引者は、本願商標を、ごく自然に「食に関する業界で働こう」という顧客の誘引、役務の提供促進のためのキャッチフレーズとして認識するものと判断するのが相当であるから、請求人のかかる主張は採用できない。
また、請求人のいずれの主張も採用することはできない。
よって結論のとおり審決する。
別掲

審理終結日 2010-05-19 
結審通知日 2010-05-21 
審決日 2010-06-02 
出願番号 商願2006-70353(T2006-70353) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (Y35)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 尾茂 康雄堀内 真一和田 恵美 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 豊田 純一
小川 きみえ
商標の称呼 フードビジネスデハタラコウ、フードビジネスデハタラコー、フードビジネス 
代理人 渡辺 弘司 

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