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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 117 |
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管理番号 | 1221445 |
審判番号 | 取消2009-300497 |
総通号数 | 129 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2010-09-24 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2009-04-24 |
確定日 | 2010-07-29 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1434359号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第1434359号商標(以下「本件商標」という。)は、「POLO」の欧文字を横書してなり、昭和47年6月13日に登録出願、第17類「ネクタイ、その他本類に属する商品、但し、ポロシヤツ及びその類似品ならびにコ-トを除く」を指定商品として、同55年9月29日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回にわたりなされ、現に有効に存続しているものである。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標は、その登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第12号証(枝番を含む。)を提出した。 1 請求の理由 請求人が調査した結果、本件商標は、商標権者によって、少なくとも過去3年以内日本国内でその指定商品には使用されていない。 したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。 2 答弁に対する弁駁 (1)被請求人提出の「使用証明」を見る限り、あくまでも「POLOブランド」として世界的に有名な米国「ラルフ・ローレン」商品の「著名性」に便乗して、利用する目的で使用された「不正商品」である。 これ等の商品は明らかに「不正競争防止法違反」に該当するものである。 (2)被請求人の商品販売は、「ラルフ・ローレン」の商品であるように消費者を誤認させる目的で製造されている。 そして、同一のデザインでありながら、値段はその半値とし、誤認した消費者に商品を買わせ「不正な使用方法」である(甲第2号証)。 (3)被請求人の「宣伝方法」 被請求人の行為は、「不正競争防止法」に該当するものである。 ア ラルフ・ローレンの「POLO」(甲第3号証の1) イ 被請求人の「POLO」(甲第3号証の2) (4)提出された証拠は、違法なもので、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第15号、同第16号及び同第19号に該当し、無効であるから、証拠としては採用すべきではない。 (5)被請求人の会社は「グンゼ」のダミー会社である。「グンゼ」は日本を代表する繊維会社であり、明治以来日本人に知られた大手企業である。被請求人の会社案内を見ると「本件商標」を9社に貸与し、不正行為を常習的に行っている。昭和に入って「ラルフ・ローレン」ブームに便乗して「まがいもの商品」を自ら作ったり、他社に使用許諾して膨大な利益をあげている(甲第4号証、甲第5号証の1)。 (6)本件商標の不正な宣伝広告 被請求人は、本件商標をあたかも米国「ラルフ・ローレン」の「POLO」を誤認させるような新聞広告を業界紙に連続して行い、小売店やメーカー等に消費者を「POLO」と誤認させるように指導していた。 その方法は、本件商標のうち「POLO」のみを強調して宣伝広告していた。これは本件商標を正確に使用するのではなく「不正な使用」であり「不正なビジネス」を行ったことを示すものであり、被請求人が答弁書で使用例を提出してもその使用実績とはいえない(甲第5号証の2)。 (7)上記「グンゼ」は下着販売等の一般消費者を対象にしている会社に関わらず海外の「知的財産権」について尊重しないことで有名である(甲第6号証)。 (8)本件商標は、他人(ラルフ・ローレン)の業務に係る商品又は役務と混同を生じるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する商標である(甲第8号証)。 (9)本件商標の実際の使用方法は、不正であり、証拠にならない。 提出された証拠をみると、本件商標「POLO」の下に「BRITISH COUNTRY SPIRIT」の文字を小さく組み合わせ使用しているが、これは商標の正確な使用方法ではない。 このような使用方法は、「ラルフ・ローレン」の商品に関しての不正競争防止法違反を逃れる為、本件商標の下に「BRITISH COUNTRY SPIRIT」を小さく表示したにすぎず、何の意味もなく、必然性もない。甲第2号証の商品を見ると、「ラルフ・ローレン」が「POLO」の下に「RALPHLAUREN」と書かれており、被請求人の商品が「POLO」の下に「BRITISH COUNTRY SPIRIT」と書かれている。これを見る限り被請求人は、「ラルフ・ローレン」に故意に似せて消費者を誤認させる目的で販売している。 (10)これらの証拠を「使用実績」として「特段の事情のない限りは、当該登録商標と社会通念上同一の商標が使用されたものと評価されるべきである」等と採用するのではなく、上記の被請求人の「不正な使用目的」を考え、厳密な「使用判断」をすべきである。但し、上記「特段の事情」があるとすれば、「不正競争の目的」で本件商標が使用されている事である(甲第11号証)。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証証ないし乙第7号証を提出した。 1 理由 本件審判の請求の登録日である平成21年5月20日前3年以内に、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、指定商品のいずれかについて、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを立証する。 (1)商品写真及び納品書(控)の写しによる使用証明 品番573404672の商品「ネクタイ」の商品写真及び納品書(控)の写しである乙第1号証により、本件商標の平成18年9月3日に使用権者である株式会社ホソケンによる使用を立証する。 品番873404672の商品「マフラー」の商品写真及び納品書(控)の写しである乙第2号証により、本件商標の平成18年11月1日に使用権者である株式会社ホソケンによる使用を立証する。 品番573405772の商品「ネクタイ」の商品写真及び納品書(控)の写しである乙第3号証により、本件商標の平成19年3月24日に使用権者である株式会社ホソケンによる使用を立証する。 品番573407872の商品「ネクタイ」の商品写真及び納品書(控)の写しである乙第4号証により、本件商標の平成20年2月25日に使用権者である株式会社ホソケンによる使用を立証する。 本件商標の専用使用権者の許諾に係る未登録の通常使用権者である株式会社ホソケンの使用による商品写真に撮影された品番と納品書(控)の写しに記された品番とが一致するとともに、本件商標の指定商品旧商品区分第17類に属する商品「ネクタイ」及び「マフラー」の商品写真の商品タグには本件商標が明瞭に撮影されている。 (2)商品広告による使用証明 2006年(平成18年)8月16日、日本経済新聞社発行の「日経産業新聞」に掲載された商品広告の写しである乙第5号証により、本件商標の平成18年8月16日に商標権者による使用を立証する。 2008年10月20日、朝日新聞出版発行の「AERA‘08.10.20」に掲載された商品広告の写しである乙第6号証により、本件商標の平成20年10月20日に商標権者による使用を立証する。 2008年11月10日、朝日新聞出版発行の「AERA‘08.11.10」に掲載された商品広告の写しである乙第7号証により、本件商標の平成20年11月10日に商標権者による使用を立証する。 乙第5号証ないし乙第7号証には、発行日はもちろんのこと、本件商標及び本件商標権者である広告主名とともに旧商品区分第17類の指定商品に含まれる「Leg Wear」「Handkerchief & Towel」の記載がある。 2 まとめ 以上のとおり、本件商標は、日本国内において継続して3年以内に商標権者及び通常使用権者が指定商品に使用しており、商標法第50条第1項の規定に該当しない。 第4 当審の判断 1 被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第7号証によれば、以下の事実が認められる。 (1)乙第1号証は、「ネクタイ」の写真2枚と、株式会社ホソケンから堀越ネクタイ株式会社宛の納品書(控)の写しであって、上段左側の写真はネクタイの裾の裏側部分であり、当該部分には、「57340」「4672」の数字が二段に表示されているシールが貼付されている。 上段右側の写真には、「POLO」と表示されたタグが架けられたネクタイが写されている。 そして、下段の納品書(控)の写しには、「18年9月3日」の日付があり、品番の欄に「573404672」、品名の欄に「POLO」、数量の欄に「576」、単価の欄に「1150」、仕入原価の欄に「662400」の記載がある。 (2)乙第2号証は、「マフラー」の写真2枚と、株式会社ホソケンから堀越ネクタイ株式会社宛の納品書(控)の写しであって、上段左側はマフラーの裏側部分の拡大写真であり、当該部分には、「87340」「4672」の数字が二段に表示されているシールが貼付されている。 上段右側の写真には、「POLO」と表示された布製のタグが縫い付けられ、さらに、該タグに「POLO」と表示されたタグが架けられたマフラーが写されている。 そして、下段の納品書(控)の写しには、「18年11月1日」の日付があり、品番の欄に「873404672」、品名の欄に「POLO、マフラー」、数量の欄に「240」、単価の欄の一段目に「820」、仕入原価の欄に「196800」の記載がある。 (3)乙第3号証は、「ネクタイ」の写真2枚と、株式会社ホソケンから堀越ネクタイ株式会社宛の納品書(控)の写しであって、上段左側の写真はネクタイの裾の裏側部分であり、当該部分には、「57340」「5772」の数字が二段に表示されているシールが貼付されている。 上段右側の写真には、「POLO」と表示されたタグが架けらけたネクタイが写されている。 そして、下段の納品書(控)の写しには、「19年3月24日」の日付があり、品番の欄に「573405772」、品名の欄に「POLO」、数量の欄に「356」、単価の欄に「1150」、仕入原価の欄に「419750」の記載がある。 (4)乙第4号証は、「ネクタイ」の写真2枚と、株式会社ホソケンから堀越ネクタイ株式会社宛の納品書(控)の写しであって、上段左側の写真はネクタイの裾の裏側部分であり、当該部分には、「57340」「7872」の数字が二段に表示されているシールが貼付されている。 上段右側の写真には、「POLO」と表示されたタグが架けられたネクタイが写されている。 そして、下段の納品書(控)の写しには、「20年2月25日」の日付があり、品番の欄に「573407872」、品名の欄に「POLO」、数量の欄に「400」、単価の欄に「1150」、仕入原価の欄に「460000」の記載がある。 (5)乙第5号証は、2006年(平成18年)8月16日付けの「日経産業新聞」4面の写しで、その2枚目の下段には、右に「Mens Wear」「Ladies Wear」「Kids Wear」「Swim Wear」「Home Wear」「Inner Wear」「Leg Wear」等の表示があり、その下に黒地四角形内に白抜きで大きく「POLO」、ごく小さく「BRITISH COUNTRY SPIRIT」と二段に表示され、さらに、その下に「POLO BCS CO.,LTD.」の表示がある広告が掲載されている。 (6)乙第6号証は、2008年(平成20年)10月20日、朝日新聞出版発行の雑誌「AERA」に掲載された広告の写しで、その2枚目の下中央には青地四角形内に白抜きで大きく「POLO」、ごく小さく「BRITISH COUNTRY SPIRIT」と二段に表示され、その下に「POLO BCS CO.,LTD」表示、下段には「Mens Wear Ladies Wear Kids Wear Swim Wear Home Wear Inner Wear Leg Wear」等の表示がある。 (7)乙第7号証は、2008年(平成20年)11月10日、朝日新聞出版発行の雑誌「AERA」に掲載された広告の写しで、その2枚目の下中央には青地四角形内に白抜きで大きく「POLO」、ごく小さく「BRITISH COUNTRY SPIRIT」と二段に表示され、その下に「POLO BCS CO.,LTD」の表示、下段には「Mens Wear Ladies Wear Kids Wear Swim Wear Home Wear Inner Wear Leg Wear」等の表示がある。 2 上記において認定した事実によれば、本件商標に係る商標権(以下、「本件商標権」という。)の通常使用権者と認められる株式会社ホソケンは、堀越ネクタイ株式会社に平成18年9月3日にネクタイ576枚を、同年11月1日にマフラー240枚を、同19年3月24日にネクタイ365枚及び同20年2月25日にネクタイ400枚を納品したと認められる。 そして、それらのネクタイ、マフラーには、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示されたタグが付されている(乙第1号証ないし乙第4号証)。 また、被請求人は、2006年(平成18年)8月16日付け日経産業新聞に、2008年(平成20年)10月20日及び同年11月10日朝日新聞出版発行の雑誌「AERA」に、紳士用被服、婦人用被服、子供服等について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付してそれぞれ広告したことが認められる(乙第5号証ないし乙第7号証)。 3 以上を総合すると、本件商標権の通常使用権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件審判請求に係る指定商品第25類「被服」に含まれる「ネクタイ、マフラー」について、使用していたと認められ、また、被請求人は、同じく「被服」に含まれる紳士用被服、婦人用被服、子供服等について本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して広告したと認められる。 4 請求人の主張について 請求人は、「被請求人の商品の販売、宣伝方法は、不正行為であり、不正競争防止法違反に該当するものである。また、提出された証拠は、違法なもので無効であり、本件商標が商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第15号、同第16号及び同第19号に該当するものであるから、証拠として採用すべきではない。」旨主張している。 しかしながら、請求人が提出した甲各号証によっては、被請求人の商品の販売、宣伝方法が不正行為に当たるとは認められないし、被請求人が提出した乙各号証は、その内容、体裁からして不正行為によるものとは認められず、また、本件商標が商標法第4条第1項各号に該当するとの主張は、商標法第50条第1項の商標登録の取消しの審判とは関係のないことであるから、請求人の主張は採用できない。 5 むすび 以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件審判請求に係る指定商品第25類「被服」に含まれる「ネクタイ、マフラー」について通常使用権者が使用していたことを証明し、また、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、同じく「被服」に含まれる紳士用被服、婦人用被服、子供服等について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものといわざるを得ない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべき限りでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-12-09 |
結審通知日 | 2009-12-14 |
審決日 | 2009-12-25 |
出願番号 | 商願昭47-82449 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(117)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
森吉 正美 |
特許庁審判官 |
瀧本 佐代子 小畑 恵一 |
登録日 | 1980-09-29 |
登録番号 | 商標登録第1434359号(T1434359) |
商標の称呼 | ポロ |
代理人 | 熊野 剛 |
代理人 | 田中 秀佳 |
代理人 | 城村 邦彦 |