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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X09253841
審判 全部申立て  登録を維持 X09253841
審判 全部申立て  登録を維持 X09253841
審判 全部申立て  登録を維持 X09253841
審判 全部申立て  登録を維持 X09253841
管理番号 1220035 
異議申立番号 異議2009-685009 
総通号数 128 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2010-08-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2009-07-21 
確定日 2010-06-02 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第0925383号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際標登録第925383号商標の商標登録を維持する。
理由 理 由
1 本件商標
本件国際登録第925383号商標(以下「本件商標」という。)は、「F1H2O」の欧文字を横書きしてなり、2007年1月11日にSwitzerlandにおいてした商標登録に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して同年(平成19年)3月28日に国際商標登録出願、第9類「Sunglasses and spectacles;spectacle frames,lenses and cases for sunglasses and optical apparatus;apparatus for recording,transmitting and reproducing sound or images;magnetic recording media,recording discs;data processing and computer apparatus and equipment,computers;video games,games for computers and microcomputers;game apparatus for computers and software,in particular computer games.」、第25類「Clothing,footwear,headgear.」、第38類「Broadcasting by radio and television,also on digital networks in particular services directly or indirectly linked to the Internet;telecommunications;electronic transmission of data,images and sound using computer terminals and computer networks,also via the Internet and websites.」及び第41類「Education,training;entertainment;sporting activities;direction,management,organization and execution of sporting competitions,shows,films,games provided online on a computer network.」を指定商品として、平成21年4月24日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由の要点
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第34号証を提出した。
(1)引用商標
申立人の引用する登録商標は、次の4件である。
ア 登録第4346060号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成6年4月4日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成11年12月17日に設定登録され、その後、平成21年8月4日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。
イ 登録第4361224号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成8年5月27日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成12年2月10日に設定登録され、その後、平成21年10月27日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。
ウ 登録第4119226号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成8年5月27日に登録出願、第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成10年2月27日に設定登録され、その後、平成19年10月2日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。
エ 国際登録第823226号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、2003年7月11日にBeneluxにおいてした商標登録に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して同年(平成15年)9月5日に国際商標登録出願、第4類、第9類、第12類、第14類、第16類、第18類、第21類、第25類、第28類、第29類、第30類、第32類、第33類、第34類、第35類、第36類、第38類、第39類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成19年11月22日に設定登録されたものである。
なお、これらをまとめていうときは、以下「引用商標」という。
(2)理由の要点
本件商標は、下記アないしウにより、その登録を取り消されるべきものである。
ア 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「F1H2O」の文字からなり、「H2O」の言葉は、「水」を意味する化学記号として、わが国で極めてよく知られ、使用され、親しまれている。他方、語頭の「F1」は、フォーミュラーワン(エフワン)カーレースを意味する言葉として、これもまた極めてよく知られている。
「F1」の文字と「H2O」の文字とは格別の意味のつながりはなく、また、語頭の文字は「F1」の文字は取引者・需要者に強い印象を与える。よって、その要部は、「F1」(エフワン)にあるといえ、「エフワンエイチツーオー」の全体的称呼とともに、「エフワン」の略称も容易に生じるものである。
他方、引用商標もまた、「エフワン」の称呼・観念を生じるものであるが、これは、上記のとおり、F1レーシングカーによる国際的に著名な自動車レースを指称するものとして世界的に広く知られているものである。よって、本件商標と引用商標とは称呼・観念において同一であり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
イ 商標法第4条第1項第7号及び同第19号について
本件商標の含む「F1」の文字は、四輪による自動車レースとして世界最高峰の世界的著名な自動車レースを指称するものである。申立人が提出した先の多数の異議申立においても、「F1」の文字は、「F1(エフワン)レース」を意味する周知・著名商標と認定されている。
加えて、本件商標は、この「F1」の文字に、「H2O」の「水」を意味する化学記号として、わが国で極めてよく知られ、使用され、親しまれている記号を結合させただけの構成からなる。「F1」と「H2O」の間には、特に、意味のつがなりはなく、容易に語頭の「F1」の文字が分離認識できる。
さらに、本件商標権者は、本件商標を使用したホームページを立ち上げて、そのホームページ上で、スポーツに関する情報・写真等を提供している。
本件商標の商標権者は、当該F1レースの主催者である「FIA(国際自動車連盟)」、及び、同主催者から、当該レースに関するシンボルマーク並びに商標等を管理する権限を付与されている申立人らの、何らの承諾もなく、この「F1」の文字を含むこのようなF1レースを容易に想起させる本件商標を出願・登録しようとするものであり、このような行為は、当該国際的に著名な「F1(エフワン)」レースの信用を不当に利用しようとするものであり、国際信義に反するものである。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に該当する。
ウ 商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
本件商標の含む「F1」(エフワン)は、世界的に著名な自動車レースの名称及び役務商標(自動車レースの開催)として知られている。また、本件商標の指定商品である帽子、コンピュータゲーム等々種々の商品について、該名称・商標の使用許諾がなされており、商品商標としても著名なものとなっている。このような状況において、「F1」の文字をその語頭に含む本件商標が、本件商標権者により、その指定商品・役務「家庭用テレビゲームおもちゃ、コンピュータゲーム、被服」等々に使用されれば、その商品は、本件異議申立人及び当該自動車レースを主催する国際自動車連盟(FIA)によるもの、又は、それらの許諾を受けたものによるもののごとく、商品・役務の出所について誤認・混同が生ずるおそれのあることは必定である。
加えて、本件商標権者は、本件商標をその指定役務である「コンピュータネットワーク上でオンラインにより提供されるスポーツ競技会・ショー・映画・ゲームの演出・管理・運営及び実施」の役務に使用している。すなわち、本件商標を使用したホームページを立ち上げて、そのホームページ上で、スポーツに関する情報・写真等々を提供している。
このような、本件商標のその指定役務への使用は、取引者・需要者に、その役務が、申立人及び当該自動車レースを主催する国際自動車連盟(FIA)によるもの、又は、それらの許諾を受けたものの提供によるもののごとくの誤認・混同を与えているものであることは明らかである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号ないし同第15号にも該当する。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当について
本件商標は、「F1H2O」の文字からなるものであるところ、その構成中の文字は、同じ書体、同じ大きさ、等間隔をもって、欧文字と数字が交互に並んでおり、視覚上まとまりよく一体的に表されているものである。そして、これより生ずると認められる「エフワンエイチツーオー」の称呼は、さほど冗長でなく一気一連に称呼し得るものである。また、本件商標は、その欧文字と数字の組合せが特定の意味合いを有しないものであって、造語と認められるものであるから観念は生じないものである。
一方、引用商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、その構成中「Formula 1」の文字部分から「フォーミュラワン」の称呼を生ずること明らかである。また、モノグラム化された図形部分は、該「Formula 1」の文字部分と相俟ってみれば「F1」の文字をデザイン化したものと看取し得るものであるから、これより「エフワン」の称呼を生じるものである。そして、モノグラム化された「F1」の図形及び「Formula 1」の文字は、「エフ・ワン(F1)、(Formula 1)国際自動車連盟が構造・重量・車輪・安定性などの細目を規定する競走用自動車の最上位級」(広辞苑第六版:株式会社岩波書店)を意味するものとして広く知られているものであるから、「F1レーシングカーによる自動車レース」というほどの観念を生じるものである。
しかして、本件商標の称呼「エフワンエイチツーオー」と、引用商標の称呼「フォーミュラワン」又は「エフワン」とを対比しても、構成音数が明らかに相違するうえ、構成音及び音の配列において著しく異なるものであるから、相紛れることなく判然と区別し得るものである。
そして、本件商標と引用商標とは、外観構成において明らかに相違し、また、観念においては比較することができないものであるから、外観上及び観念上で相紛れるおそれはないというべきである。
なお、申立人は、「その構成中、『H2O』の言葉は『水』を意味する化学記号として、わが国で極めてよく知られ、『F1』はフォーミュラーワン(エフワン)カーレースを意味する言葉として、これもまた極めてよく知られており、両文字部分は格別の意味のつながりはない。また、語頭の『F1』の文字は取引者、需要者に強い印象を与え、本件商標の要部は、『F1』(エフワン)にあるといえるから、『エフワンエイチツーオー』の全体的称呼とともに、『エフワン』の称呼も生じる。」旨述べている。
しかしながら、本件商標は、前記のとおり視覚上まとまりよく一体的に表されているものであって、たとえ「F1」の文字が「(Formula 1)フォーミュラーワンカーレース」を意味するものであるとしても、かかる構成態様の本件商標にあっては、「H2O」の部分を省略し、「F1」の部分に限定して取引上の称呼、観念が生ずるとすべき理由はみいだせないから、「F1H2O」は不可分一体のものとして把握されるとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、その構成文字から「エフワンエイチツーオウ」の称呼を生ずるものであり、単に「エフワン」の称呼は生じないというべきである。
してみれば、本件商標は、外観、称呼及び観念のいずれからみても、引用商標に類似する商標であると判断することはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第10号、同第15号該当について
ア 申立人の提出した証拠(甲第2号証ないし甲第7号証、甲第9号証ないし甲第12号証、甲第24号証ないし甲第33号証)によれば、「F1(エフワン)」は、「Formula 1(フォーミュラワン)」と同義語であって、国際自動車連盟「Federation International de Automobile(FIA)」(以下「FIA」という。)が1950年から現在まで世界各国で継続的に開催してきた自動車レースを指称するものである。
そして、当該レースは我が国においても開催され、テレビ、新聞、雑誌等を通じて報道等がされた結果、本件商標の出願時には日本を含め世界各国で広く一般に認識されるに至っていたと認め得るものである。
また、申立人は、FIAから国際的に著名な自動車レース「F1」(エフワン)に関する標章についての商品化事業を行う権限などを付与され、世界各国で種々の商品について使用許諾契約を締結し、我が国においても株式会社フジテレビジョンを通じて使用許諾をしていることが認められる(甲第9号証ないし甲第11号証)。
以上によれば、「F1」(エフワン)は、FIAの主催する世界的に著名な自動車レースの名称として知られており、また、本件商標の指定商品である帽子、コンピュータゲーム等々種々の商品について、該名称、商標の使用許諾がなされており、それらの役務商標及び商品商標として著名なものとなっている。
しかしながら、本件商標は、その構成における外観、それより生ずる称呼及び観念のいずれからみても、「F1」とは相紛れることのない非類似の商標と認められるものであるから、前記事情を考慮してもなお本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものではない。
イ 前記(1)のとおり、本件商標は「F1」の文字部分のみに注目して取引に資されるものとは言い難く、また、前記アのとおり、「F1」が需要者間に広く認識されるに至った商標であるとしても、本件商標は、その構成文字全体が記号、符号的な一体のものとして看取されるものであって、FIAの主催する世界的に著名な自動車レースの名称「F1」と関連付けられることなく別異の出所を表示する標章として認識されるものというべきである。
してみれば、本件商標の出願時に、本件商標を指定役務に使用しても、需要者が引用商標を連想し想起して、当該役務を申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く誤信するとはいえず、商品及び役務の出所について混同するおそれがあるものとすることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当ない。
(3)商標法第4条第1項第19号該当について
本件商標は、前記のとおり、引用商標及び「F1」と類似する商標とは認められず、また、引用商標が需要者に広く認識されるに至っていた商標であるとしても、申立人の主張及び立証によって、不正の目的をもって本件商標を使用するとみるべき事情が、明らかにされているとはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号の要件を充足するものとは認められない。
(4)商標法第4条第1項第7号該当について
本件商標は、その構成自体において、公序良俗を害するおそれがないことは明らかである。また、その出願の経緯において著しく社会的妥当性を欠くものがあったというような事情や、本件商標を指定商品及び指定役務に使用することが公の秩序を乱すこととなる等の事情も認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録は維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別記】

異議決定日 2010-05-19 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (X09253841)
T 1 651・ 222- Y (X09253841)
T 1 651・ 26- Y (X09253841)
T 1 651・ 25- Y (X09253841)
T 1 651・ 271- Y (X09253841)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松本 はるみ 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 岩崎 良子
井出 英一郎
登録日 2007-03-28 
権利者 Idea marketing S.A.
商標の称呼 エフイチエッチニオオ、エフイチエイチニオオ、エフワンエッチツーオオ、エフワンエイチツーオオ 
代理人 東谷 幸浩 
代理人 松尾 和子 
代理人 中村 稔 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 藤倉 大作 

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