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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X4145
審判 全部申立て  登録を維持 X4145
審判 全部申立て  登録を維持 X4145
審判 全部申立て  登録を維持 X4145
管理番号 1220025 
異議申立番号 異議2010-900011 
総通号数 128 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2010-08-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-01-08 
確定日 2010-06-30 
異議申立件数
事件の表示 登録第5271720号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5271720号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5271720号商標(以下「本件商標」という。)は、「RAID END ROLL」の欧文字と「レイドエンドロール」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、平成20年12月22日に登録出願、第41類「書籍・写真アルバムの制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオ・CD-ROM・DVDの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),写真又はビデオの撮影」及び第45類「婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,婚礼(結婚披露を含む。)の企画・運営又は開催」を指定役務として、同21年9月18日に登録査定、同年10月9日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録第5096133号商標(以下「引用商標」という。)は、「エンドロール」の片仮名文字を横書きしてなり、平成16年11月2日に登録出願、第45類「結婚披露宴の企画・運営又は開催」を指定役務として、同19年12月7日設定登録がなされたものである。

3 登録異議申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
ア 本件商標と引用商標との類否について
本件商標は、「RAID END ROLL」の欧文字を書してなり、下段にその読みを示す「レイドエンドロール」との2段構成からなるものであるから、これより「レイドエンドロール」の称呼を生ずることは明らかである。
次に、特許庁の商標審査基準によれば、結合商標においては、「指定商品又は指定役務について需要者の間に広く認識された他人の登録商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものを含め、原則として、その他人の登録商標と類似するものとする。」こととなっている。
本件商標において、「RAID/レイド」の部分は、本件商標の商標権者「株式会社RAID」の会社名の一部であり、指定役務との関係において単に役務の出所を表示するに過ぎない。
一方、「END ROLL/エンドロール」は、申立人が生み出した結婚披露宴に関する全く新しい役務に係る造語の商標「エンドロール」と同一であり、後に述べる周知・著名性により、本件商標中、顕著な識別力を有するものである。
したがって、本件商標は、「RAID/レイド」と「ENDROLL/エンドロール」に分離して看取され、それぞれ独立して称呼が生ずるとするのが相当である。
ここで、「エンドロール」が申立人の商標として周知著名化していることを証明する。
引用商標は、拒絶査定不服審判(不服2006-11838)において自他役務等識別機能が認められて、設定登録されたものである(甲第3号証ないし甲第11号証)。これによれば、引用商標の登録を容認する審決が平成19年10月30日にされているので、同時点において、引用商標が自他役務等識別機能を備えていると判断された、という点については争いのないところと考える。
次に、平成19年10月30日以降、特許庁において登録された引用商標の自他役務等識別機能が失われ、普通名称化・一般名称化した、という点について検討するに、引用商標「エンドロール」は申立人の商標として、周知・著名化している事実がある。
この事実を証明するため、引用商標が申立人の商標として紹介されている記事を証拠資料(甲第12号証ないし甲第346号証)は、著名ブライダル情報誌「ゼクシィ」をはじめ、本件商標の指定役務に係る需要者及び取引者において広く流通するものであり、このような膨大な宣伝広告の努力の結果、「エンドロール」が申立人の商標として周知・著名化していることが客観的に認識出来るところである。
また、申立人は「エンドロール」を自己の登録商標であることを、広告等を通して明記してきたことは、甲第3号証ないし甲第346号証により明らかである。
このように多くの紙面・部数で宣伝広告された結果、「エンドロール」は申立人の商標として、顕著な自他役務等識別機能を備え、周知・著名化したことがより具体的に認識出来るものと考える。
以上のとおり、本件商標中「END ROLL/エンドロール」の部分は、顕著な識別力を有する部分であり、該部分からは独立して称呼が生ずる、とするのが相当である。
本件商標と引用商標の称呼を対比するに、両商標からは共に「エンドロール」という称呼が生ずることは明らかであり、両商標は、同一又は類似である。
次に、外観においては、本件商標中「RAID/レイド」の部分は、前記のとおり本件商標の商標権者「株式会社RAID」の会社名の一部であり、視覚上、「RAID/レイド」と「END ROLL/エンドロール」は分離して看取されるものである。そして、本件商標中、およそ7割程度を占める部分「END ROLL/エンドロール」が、引用商標と同一又は類似であることは明らかである。よって、このような本件商標の構成をかんがみれば、両商標の外観は紛らわしく、類似のものと考える。
最後に、観念においては、非類似とする明確な違いは見られず、比較すべくもなく両商標の観念は同一又は類似のものと考える。
以上のとおり、両商標の類否の検討を行った結果、両商標は、称呼、外観、観念のいずれの点においても同一又は類似のものと考える。
イ 指定役務の類否について
本件商標に係る指定役務第45類「婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,婚礼(結婚披露を含む。)の企画・運営又は開催」と、引用商標に係る指定役務第45類「結婚披露宴の企画・運営又は開催」は、提供される役務の性質上、同一又は類似の役務であることは明らかである。
ウ まとめ
本件商標と引用商標は、互いに類似し、その指定役務も同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号の該当性について
引用商標は、前記のとおり日本全国において広く知られている。そして、前記の拒絶査定不服審判の審決がされた平成19年10月30日の時点において、引用商標は、既に周知性を兼ね備えており、少なくとも本件商標の登録出願の時点である平成20年12月22日から現在に至るまで、いわゆる著名性を兼ね備えていたものと考える。
このように引用商標の周知・著名性をかんがみれば、商標の類似の範囲は、形式的な判断では特定出来ず、具体的な出所混同のおそれの有無を元に、判断すべきである。
本件商標に係る指定役務において、第45類の指定役務はもちろんのこと、第41類の指定役務「書籍・写真アルバムの制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオ・CD-ROM・DVDの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),写真又はビデオの撮影」も、本件商標に係る登録出願がなされる前、すなわち平成20年12月22日より前から、申立人が行っていた役務と同一又は類似の役務である。
申立人が生み出した役務「エンドロール」とは、結婚披露宴の企画・運営又は開催のためのひとつのサービスとして生み出されたが、その役務の性質上、結婚式当日の現場を結婚式当日に撮影し、ビデオやDVD等を使用して、結婚式の最後に上映するという工程が必要なものである。
すなわち、「エンドロール」という役務を遂行するために、ビデオの制作・撮影等の役務についても、申立人は「エンドロール」という商標を使用して広く行っていたのである。この事実は、甲第3号証ないし甲第346号証を見れば、役務の性質を客観的に認識し、理解されるものと考える。
したがって、申立人と何ら関係を有さない者が、「エンドロール」はもちろんのこと、その語を含む本件商標「レイドエンドロール」を、本件商標の全ての指定役務において使用した場合には、あたかも申立人が提供する役務であると誤解を与え、又は申立人から何らかのライセンスを受けた関連会社が行っている役務であると誤解を与え、以って需要者及び取引者においては、具体的な出所の混同を生じるおそれがある、とするのが相当である。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものである。
(3)商標法第4条第1項第7号の該当性について
引用商標は、前記のとおり日本全国において広く知られており、ブライダル業界の同業他社においては、引用商標が申立人の登録商標であることは容易に認識し得たものである。
よって、本件商標は、引用商標が申立人の登録商標として使用されていることを知りながら、その著名性を利用して自己の役務を行うべく、登録出願され、商標登録に至ったものであると推認出来る。
したがって、このような商標登録が是認され、引用商標の指定役務において広く使用されることは、公の秩序を害し、公正な取引を妨げるものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反してなされたものである。
(4)商標法第4条第1項第19号の該当性について
引用商標は、前記のとおり日本全国において広く知られている。そして、前記の拒絶査定不服審判の審決がされた平成19年10月30日の時点において、既に引用商用は周知性を兼ね備えており、少なくとも本件商標の登録出願の時点である平成20年12月22日から現在に至るまで、引用商標はいわゆる著名性を兼ね備えていたものと考える。
また、申立人は、「エンドロール」を自己の登録商標であることを、広告等を通して広く明記してきたことは、甲第3号証ないし甲第346号証を見れば明らかである。
以上の事実をかんがみれば、ブライダル業界の同業他社においては、引用商標が申立人の周知・著名な登録商標であることは容易に認識し得たものであるから、「エンドロール」が申立人の周知・著名な登録商標であることを容易に知りえた商標権者が、本件商標「RAID END ROLL/レイドエンドロール」のように、単に引用商標「エンドロール」の前に会社名の一部を付して商標登録を得たという行為そのものが、引用商標の著名性を利用して、不正の目的で登録出願がされたことを容易に認識させるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反してなされたものである。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、第11号、第15号及び第19号に違反してされたものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。

4 当審の判断
(1)引用商標の著名性について
ア 申立人業務に係る役務について
甲各号証によれば、申立人は、結婚披露宴に係わる招待状、席次表、プロフィール等のペーパーアイテムの制作、結婚披露宴に係わるプロフィールビデオ等の制作を業務として行っていたことがその宣伝広告等から認められる。
そうとすれば、申立人は、引用商標の指定役務「結婚披露宴の企画・運営又は開催」に含まれる役務を業としていたことが認められる。
イ 上記宣伝広告において、おおよそ以下の例と同様に結婚情報誌等においても申立人の役務の提供に引用商標を使用して、宣伝広告をしていた事実が認められる。
甲第12号証(株式会社リクルート発行の雑誌「ゼクシィ首都圏版2007年9月号」)には、「ふたりの紹介ビデオ ネスパディディ/ゲストにもふたりにも一生の思い出になるアトラクションムービーTM」(なお、「TM」はいわゆる「トレードマーク」の表示であり、他の文字より小さく表示されている。以下同じ。)(2枚目)の見出しのもと「始まりからフィナーレまで退屈知らずの披露宴に」の項には「披露宴のスタートを盛り上げる『オープニングTM』、ふたりの生い立ちを振り返る『ヒストリーTM』、感動のフィナーレを演出してくれる『エンディングロールTM/エンドロールTM』など、多彩なプラン」と記載され、アトラクションムービーの料金として、料金欄(3枚目)には「オープニングTM¥40,000?、ヒストリーTM¥110,000?、ヒストリーライトTM¥90,000?、エンドロールTM/エンディングロールTM¥38,000?」と記載され、その他の項には「オープニングTM・ヒストリーTM・エンドロールTM/エンディングロールTMの各ムービーは、特許出願済。また、不正競争防止法・著作権法により保護されている。」と記載されている。
甲第21号証は、株式会社リクルート発行の雑誌「関西ゼクシィ2007年9月号」であるが、「感動的なウエディングを実現するネスパディディ/NespaDD」(4枚目)の見出しのもと、「『オープニングTM』は二人の入場前に上映。幼少から学生時代の写真や両親の結婚式の写真を使用したオリジナルなムービーです。」、「『ヒストリーTM』はお色直しの中座中に上映。映像を見た両親は涙し、妹はとても懐かしんでくれていました。」、「エンドロールTM/エンディングロールTMは退場後に上映。・・・」等と紹介され、縦に配された3枚の各写真下には「ヒストリーTM」、「オープニングTM」、「エンドロールTM/エンディングロールTM」と記載され、また「1996年、ネスパDDはこれまでの結婚披露宴との差別化を図る目的で、エンターテイメント性とイベント性を高め、披露宴のスタートから終演までの演出を映像によってコントロールする、既成結婚式の概念にはない新しい披露宴用の演出商品としてアトラクションムービーTMを新開発し商品化しました。中でも披露宴の終演で上映する、観客列席ゲスト名、主催者からゲストへの謝辞やスペシャルサンクスなどを表示して、ゲストのさらなる感動を誘う新しい形態の映像サービスを独自に新開発『エンドロールTM/エンディングロールTM』と命名し商品化。・・・弊社のエンドロールTM/エンディングロールTM(エンディングTM)は極めて著名な商品として、特にエンドロールTM/エンディングロールTM(エンディングTM)は全国の披露宴会場で上映、・・・弊社が開発商品化したエンドロールTM/エンディングロールTM(エンディングTM)を始めオープニングTM、ヒストリーTMの3作品を上映する(3本立て)アトラクションムービーTMを使用した結婚披露宴は、・・・全国の多くのお客様から熱烈に支持をいただいています。」と記載されている。
ウ 申立人の引用商標の宣伝広告の事実によれば、申立人は、1996年ころに、結婚披露宴において、オープニング用の音楽や映像のビデオの上映、新郎新婦を紹介するための脚本に基づいて制作したビデオの上映、エンディングに出席者の氏名入りの映像のビデオ上映等の結婚式の企画、演出を考案し、これらの企画・演出を「アトラクションムービー」と称し、上記それぞれのビデオ及びその制作を「オープニング」、「ヒストリー」、「エンドロール」等と命名し、「アトラクションムービー」の個別メニューとして、個別の料金を設定し、宣伝広告していたことが認められる。
なお、「エンドロール」は、単独ではなく「エンドロール/エンディングロール」の表示をもって、宣伝広告されていることも多い。
エ 「エンドロール」の語は、一般的には「映画やテレビ番組の終わりに現れる、出演者やスタッフ等を紹介する字幕」(三省堂コンサイスカタカナ語辞典)を意味する語であるが、テレビドラマや映画のエンドロールには、それらの人名の表示のほか、ドラマ等の名場面あるいは制作風景等の場面を組み込んで放送することも行われている。
また、申立人が披露宴のオープニング用ビデオに使用している「オープニング」の語は、「開くこと。開始」(広辞苑第六版)を意味する語として使用されているものであり、「ヒストリー」の語は、「歴史。沿革。由緒」を意味する語であって(広辞苑第六版)、一般に歌手等がその個人の活動、軌跡を内容とするビデオを「ヒストリービデオ」と称するなどして使用されているものである。また、結婚披露宴等において、新郎新婦の生い立ちや経歴、出会いから結婚に至るまでの経過を紹介することが広く行われているところである。
オ 以上を総合すると、申立人は、1996年ころから、結婚披露宴において、オープニングやプロフィールの紹介、エンディング時に事前に制作したビデオを上映する企画、演出を考案し、これらをアトラクションムービーと称し、このビデオの制作及び結婚披露宴の企画、演出について、オープニング時に使用するものを「オープニング」と称し、新郎新婦の生い立ちなどを紹介するものを「ヒストリ-」と称し、エンディング時に使用するものを「エンドロール」又は「エンディングロール」と称していること、上記ビデオの制作、結婚披露宴の企画、演出について、結婚披露宴に関する雑誌等において広告宣伝されてきたことが認められる。
しかしながら、「エンドロール」は、本来は映画等のエンディングに放映されるものであり、申立人も結婚披露宴の終演時の企画、演出、ビデオの制作に使用していること、引用商標は「アトラクションムービー」中の一企画として、「オープニング」、「ヒストリー」とともに使用されていることから、引用商標の使用方法は、結婚披露宴のエンディング用であることを暗示し、理解される場合もあるといえること及び申立人の引用商標は、「結婚披露宴の企画・運営又は開催」の指定役務を取り扱う業界(例えば、甲第10号証に添付の「インターネット事業会社リスト」39社中)の相当数の者が「エンドロール」の語を当該役務の提供の用に供する物又は役務の質を表示するものとして、本件商標の登録出願前より継続して使用されている事実が認められることから、引用商標は、登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る「結婚披露宴の企画・運営又は開催」等の役務の出所を表示するものとして周知・著名性を獲得していたとは認められない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、前記1のとおり、「RAID END ROLL」の欧文字と「レイドエンドロール」の片仮名を上下二段に横書きした構成からなり、その構成中「RAID END ROLL」の欧文字と「レイドエンドロール」の片仮名は、まとまり良く一体的に構成され、いずれも我が国において意味を有する語として知られていないから、構成文字に相応して構成全体から「レイドエンドロール」の称呼を生ずるが、観念を生じないものと認められる。
一方、引用商標は、「エンドロール」の片仮名を横書きした構成からなるところ、該語は「映画やテレビ番組などの最終部で流す出演者や制作担当者の紹介字幕」を意味するものとして知られた語であるから、該構成文字に相応して「エンドロール」の称呼を生じ、「映画やテレビ番組などの最終部で流す出演者や制作担当者の紹介字幕」の観念を生ずるものである。
申立人は、本件商標はその構成中の「RAID」「レイド」の文字部分が商標権者の商号の略称表記であり、「END ROLL」「エンドロール」の文字部分が引用商標と同一であるから、「RAID」「レイド」と「ENDROLL」「エンドロール」に分離して看取され、それぞれ独立して称呼が生ずるとするのが相当であるとし、「レイドエンドロール」のほか、「レイド」と「エンドロール」の称呼を生ずる旨主張している。
しかしながら、本件商標の構成は、上段の「RAID END ROLL」の欧文字及び下段の「レイドエンドロール」の片仮名を同書、同大、各単語ごとに同間隔に、全体としてまとまりよく書してなり、構成全体から生ずる「レイドエンドロール」の称呼はよどみなく一連に容易に称呼し得るものであり、引用商標は上述したとおり本件商標の登録査定当時に周知、著名性を有していたとは認められないものであるから、一体不可分のものとして認識され、上述したとおり「レイドエンドロール」の称呼のみを生ずるというのが相当であり、この点に関する申立人の主張は採用することができない。
そこで、本件商標より生ずる称呼「レイドエンドロール」と引用商標から生ずる称呼「エンドロール」を対比すると、両者は、語頭の構成音において「レイド」の有無の顕著な差異を有するので、互いに聴き誤るおそれのない称呼上非類似の商標である。
次に、本件商標と引用商標との外観を対比すると、両者は、構成文字が明らかに相違するので十分区別することができ、互いに相紛れるおそれのない外観上非類似の商標である。
さらに、本件商標は、引用商標とは、観念において比較することができない。
そうすると、本件商標は、引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からしても、相紛れるおそれのない非類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標は、前記のとおり、引用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時において周知、著名性を有しなかったものであり、引用商標とは、誤認混同のおそれのない別異の商標と認められる。
そうとすると、本件商標をその指定役務に使用しても、これより直ちに、申立人の引用商標を連想、想起させるものとはいえないから、需要者をして、申立人又は申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように役務の出所について誤認を生じさせるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第7号該当性について
引用商標は、前記のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時、周知・著名性を有しなかったものである。また、本件商標と引用商標とは類似するところのない別異の商標であるから、本件商標権者が、引用商標に化体した名声・信用・評価等にただ乗りし、不正の利益を得るために使用する目的で本件商標を出願し、登録を受けたものということはできず、本件商標権者の行為が、直ちに信義則に反するものともいえない。
さらに、本件商標は、前記構成よりなるものであって、それ自体何ら矯激、卑猥もしくは差別的な印象を与えるものでなく、また、本件商標をその指定商品について使用することが社会公共の利益、一般道徳観念に反するものとすべき事由はなく、かつ、他の法律によってその使用が禁止されているものとも認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(5)商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標は、前記のとおり、引用商標とは非類似の商標であり、引用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時において周知、著名性を有していなかったものである。また、本件商標は、不正の目的を持って使用するものであることも認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(6)結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2010-06-15 
出願番号 商願2008-102964(T2008-102964) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (X4145)
T 1 651・ 271- Y (X4145)
T 1 651・ 222- Y (X4145)
T 1 651・ 262- Y (X4145)
最終処分 維持  
前審関与審査官 泉田 智宏 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 内山 進
井出 英一郎
登録日 2009-10-09 
登録番号 商標登録第5271720号(T5271720) 
権利者 株式会社RAID
商標の称呼 レイドエンドロール、レードエンドロール、レードエンド、エンドロール 
代理人 佐藤 勝 
代理人 石黒 智晴 

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