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審判番号(事件番号) データベース 権利
取消200130333 審決 商標
取消200630868 審決 商標
取消2009301023 審決 商標
取消200330505 審決 商標
取消200531457 審決 商標

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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z42
管理番号 1219868 
審判番号 取消2009-301094 
総通号数 128 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-08-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-09-29 
確定日 2010-06-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第4628464号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4628464号商標の指定役務中「建築物の設計,地質の調査」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4628464号商標(以下「本件商標」という。)は、「PGS」の欧文字を書してなり、平成12年10月20日に登録出願され、「建築物の設計,地質の調査」を含む第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として、平成14年12月6日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張
請求人は、「結論同旨の審決を求める」と申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号及び第2号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定役務中「建築物の設計,地質の調査」について、継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 乙第1号ないし第3号証について
請求人は、乙第1号ないし第3号証に関し、要すれば、これを争わない。
イ 乙第4号及び第5号証について
被請求人は、乙第4号及び第5号証を根拠として、次のように主張している。
主張(1) これが例えば新規開店の店舗にあっては、内装設計に事実上関与しているといえる。
主張(2) 店舗の内装設計が「建築物の設計」に該当することは明らかである。
主張(3) このように、少なくとも指定役務「建築物の設計」について、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標ないしこれと社会通念上同一の商標の使用を行っていたことが明らかである。
ウ 請求人は、被請求人の上記主張中、主張(2) 店舗の内装設計が「建築物の設計」に該当する、には同意する。
しかし、主張(1)及び(3)の主張は、事実関係を歪曲するものであり、到底、認めることはできない。
被請求人も述べているように、「トータルセキュリティの提案書」(乙第4号証)と「警備端末機器設置図」(乙第5号証)は、具体的な提案の段階で潜在的顧客に対して提示されるが、それはあくまでも、被請求人が提供しようとする「機械警備業務」の内容を提案することを目的としている。つまり、これらの証拠方法は、決して「店舗の内装設計」のために作成・提示される書面ではなく、被請求人が警備業法に基づき東京都公安委員会の認定を受けて「機械警備業務」(同法第2条1項1号)を行っているという事実を示しているにすぎない。
確かに、「警備端末機器設置図」(乙第5号証)は、店舗(薬局)において警備端末機器をどのように配置すべきかを示した図面である。しかし、この図面は、あくまでも、被請求人が提供しようとする「機械警備業務」に付随して設置しようとする警備端末機器の設置場所を提案しようとするものであり、決して店舗(薬局)の「内装設計」をしようとするものではない。
それにも係わらず、内装設計に「事実上関与している」という失当な主張を行っているのである。
エ ところで、商標法は「商品・役務」についての定義を設けていない。しかし、商標法上の「商品・役務」は、取引社会で商標が使用されるものでなければならないから、単独で商取引の対象となるものであって独立した交換価値を有するものに限られ、他の商品又は役務に付随するものは除かれると解釈されている。
このような解釈は、東京高裁昭和59年(行ケ)第256号、大阪地裁昭和61年(ワ)第7518号、東京高裁平成12年(行ケ)第335号、東京高裁成12年(行ケ)第109号のような判例により確立されている。
このように確立された判例理論から、乙第4号及び第5号証を検討すると、あきらかに「機械警備業務」の営業活動の過程で付随的に提示・配布されており、独立して「内装設計」のために提示・配布されたものではない。
つまり、被請求人がこれらの資料を作成して提示・配布する行為は、単独で商取引の対象となる役務でもなく、独立した交換価値を有する役務でもないから、「機械警備業務」に付随したものにすぎない。
被請求人の主張(1) は、この事実を無視して、「事実上関与している」という一言で、単なる付随的行為を独立した取引対象である役務「内装設計」であると、事実を歪曲して主張している。
オ このように、被請求人の主張(1) が、事実を歪曲した主張であるから、少なくとも指定役務「建築物の設計」について、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標ないしこれと社会通念上同一の商標の使用を行っていたことが明らかである、という主張(3) も誤りである。
すなわち、本件商標は、指定役務「建築物の設計」について使用された事実は存在しないのである。
また、同じく使用したと主張している本件商標と「社会通念上同一の商標」が何を指すのか、被請求人は述べていない。

3 被請求人の答弁
(1)答弁の趣旨
被請求人は、「審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、証拠方法として、乙第1号ないし第5号証を提出した。
(2)答弁の理由
ア 請求人の主張は、事実誤認に基づくものであり失当である。以下、使用の事実とともに述べる。
(ア)「営業案内」(乙第1号証)
本件商標「PGS」は、“Perfect Guard System”に由来する造語であり、商標権者が提供するオンライン警備システムの名称である。人と機械のコンビネーションにより、事務所・倉庫・工場・店舗等の火災や盗難といった各種異常をリアルタイムに通報、待機パトロールカーが出動して状況を把握・処理するシステムである。
なお、この乙第1号証は、2005年6月15日改定のものであり、これ自体が商標権者による登録商標の使用を立証するものではない。
(イ)「P.G.S.BS」サービスカタログ(乙第2号証)
乙第2号証は、本件商標「PGS」を使用する商品についての個別サービスカタログである。該カタログ内においても述べているように、本サービス「P.G.S.BS」は比較的小規模な店舗及び事務所を対象としたものである。
このサービスカタログも、営業・販促活動の中で見込み顧客に対して提示されるものであり、現在も使用されている。
(ウ)「豊田自動織機が新しい物流事業をはじめました」(乙第3号証)
乙第3号証は、豊田自動織機のAL事業部のサービスパンフレットである。被請求人は、当該サービスの一端としての金融流通サービスを提供している。このパンフレットにおいても、被請求人が提供するサービスの名称として「PGS」を使用していることが明示されている。
(エ)「トータルセキュリティの提案書」(乙第4号証)
(オ)「警備端末機器設置図」(乙第5号証)
イ 上記乙第1号ないし第3号証等により、被請求人は、営業・販促活動を行い、潜在的なニーズをもつ候補先を抽出している。
そしてより具体的な提案の段階で提示するのが乙第4号証の提案書及び第5号証の設置図である。
なお、発行年月日からも明らかなとおり、設置図は、提案書と同時に顧客に提示される。
ウ 上記のとおり、「PGS」は、商標権者が提供する総合セキュリティサービスの名称であるが、この提案書及び設置図からも明らかなように、個々の店舗・事務所ごとにレイアウトが異なることから、防犯上・また設置容易性などの種々の理由から、適切な機器の選択から始まり、適切な機器設置場所に至るまで総合的な提案を行なっている。
これが例えば、新規開店の店舗にあっては、内装設計に事実上関与しているといえる。店舗の内装設計が「建築物の設計」に該当することは明らかである。
エ このように、商標権者は、少なくとも指定役務「建築物の設計」について、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標ないしこれと社会通念上同一の商標の使用を行っていたことが明らかである。

4 当審の判断
(1)商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、「その審判の請求の登録前三年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその取消に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない」ところである。
(2)被請求人は、取消請求に係る指定役務中「建築物の設計」について、本件商標を使用していた旨主張し、乙各号証を提出しているので、以下検討する。
ア 乙第1号ないし第3号証について
(ア)乙第1号証の「営業案内」には、「機械警備 (PGS)」の記載及び「パーフェクトガードシステム(PGS)とは、・・・オンライン警備システムです。」との説明書きがある。
しかしながら、その請求に係る指定役務中「建築物の設計」との関係で、本件商標が使用されていたと認めるべき事実は見いだすことが出来ない。
さらに、被請求人も述べているとおり、乙第1号証は、2005年6月15日改定のものであり、これ自体が商標権者による登録商標の使用を立証するものでもない。
(イ)乙第2号証の「サービスカタログ」には、「P.G.S.BS」の文字は認められるものの、その他、「PGS」が使用されている事実はない。 また、この「サービスカタログ」には、その作成日や頒布日等、使用の事実を確認できる日付はない。
(ウ)乙第3号証の「パンフレット」は、豊田自動織機のAL事業部のサービスパンフレットであるが、このパンフレット中には「PGS(機械警備)ガードセンター」及び「機械警備サービス(PGS)→PGS(Perfect Guard System)」の各文字の記載は認められるものの、その請求に係る指定役務中「建築物の設計」との関係で、本件商標が使用されていたと認めるべき事実は見いだすことが出来ない。
(エ)なお、請求人は、弁駁書において、上記の乙第1号ないし第3号証については、争わないことを明らかにしている。
イ 乙第4号及び第5号証について
(ア)乙第4号証の「トータルセキュリティの提案書」中には、「PGSシステム」(1頁)、「機械警備の基本システム」(2頁)、「PGS 静止画監視システムのご提案」(4頁)、「PGS 静止画監視システムの設置例」(5頁)、「防犯システム 使用機器の仕様I PGS/パーフェクト・ガード・システム」(6頁)の各文字が記載されていることは認められるものの、その請求に係る指定役務中「建築物の設計」との関係で、本件商標が使用されていたと認めるべき事実は見いだすことが出来ない。
(イ)乙第5号証の「警備端末機器設置図」には、設置図の左側3分の2程に、部屋の間取り図と思しき図形中に、「セキュリティ機器」の設置場所が、右側の凡例で示された記号によって示されているものの、どこにも本件商標が使用されていることを窺わせる表示はないから、乙第5号証によっても、本件商標がその請求に係る役務に使用されていたことを証明し得たとは認めることができない。
ウ 本件商標の使用について
以上のとおり、被請求人提出の乙各号証及び被請求人の答弁の理由を総合しても、被請求人が業として、本件商標の指定役務である第42類中「建築物の設計,地質の調査」の役務について、本件商標の使用を行っていたことを証明する事実は、見当たらないといわざるを得ない。
そうすると、被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定役務中「建築物の設計,地質の調査」について、本件商標を使用していたことを証明し得なかったのみならず、使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
(3)まとめ
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定役務中「建築物の設計,地質の調査」について、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-04-22 
結審通知日 2010-04-27 
審決日 2010-05-10 
出願番号 商願2001-112710(T2001-112710) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Z42)
最終処分 成立  
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 小川 きみえ
野口 美代子
登録日 2002-12-06 
登録番号 商標登録第4628464号(T4628464) 
商標の称呼 ピイジイエス 
代理人 望月 良次 
代理人 特許業務法人浅村特許事務所 
代理人 浅村 肇 
代理人 下坂 スミ子 
代理人 土屋 良弘 
代理人 浅村 皓 

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