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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z09 |
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管理番号 | 1219865 |
審判番号 | 取消2009-300854 |
総通号数 | 128 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2010-08-27 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2009-07-28 |
確定日 | 2010-06-21 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4734228号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4734228号商標の指定商品中、第9類「測定機械器具」については、その登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4734228号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成12年8月24日に登録出願、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,加工ガラス(建築用のものを除く),レコード,スロットマシン,事故防護用手袋,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,家庭用テレビゲームおもちゃ,メトロノーム」並びに第5類、第10類、第16類、第21類、第24類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成15年12月19日に設定登録されたものであるが、指定商品中の「第5類『防虫紙』及び第16類『紙類』」についての登録は、平成20年5月21日付けの審決により取り消され(平成20年7月25日確定の登録)、また、「第9類『映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ』及び第16類『荷札,書画,写真,写真立て,封ろう』加えてこれらに類似する商品」についての登録は、平成20年12月2日付けの審決により取り消され(平成21年2月5日確定の登録)、さらに、「第16類『紙製のぼり,紙製旗』及び第24類『のぼり及び旗(紙製のものを除く)』」についての登録は、平成21年3月10日付けの審決により取り消された(平成21年5月15日確定の登録)ものであり、その余の指定商品についての商標権は、現に有効に存続しているものである。 2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 (1)請求の理由 本件商標は、継続して3年以上日本国内において、その指定商品中の「測定機械器具」について、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がない。 したがって、本件商標の登録は、その指定商品中の「測定機械器具」について、商標法第50条により取り消されるべきである。 (2)答弁に対する弁駁 被請求人は、商標権者は本件商標を表示した「巻尺」(以下「本件巻尺」という。)を、平成20年1月28日?30日、平成20年2月7日、同8日に新商品発表展示会において配布したと主張する。 しかしながら、商標権者は、本件巻尺を商品として配布したのではなく、無償で、いわば販促品としたものである。実際、商標権者がその顧客との間で本件巻尺を取引したことを示す取引書類は提出されていない。 つまり、本件巻尺は、商標法上の「商品」とは認められず、本件商標が審判請求の登録前3年以内にその指定商品に使用されたということはできない。 よって、本件商標は、商品「測定機械器具」について取り消されるべきである。 3 被請求人の主張 被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第15号証を提出した。 (1)使用の事実 ア 乙第1号証及び乙第2号証に示す商品「巻尺」(本件巻尺)には、その巻尺巻取用の白色又は黒色のケースの外面に、2重山型図形とその下方に1字目の「M」の文字を傾斜させた「MONTBLANC」の文字が表示され、本件商標が表示されていることは明らかである。 イ 商品の企画、製作及び譲渡について (ア)本件巻尺は、商標権者により、大阪において2008年(平成20年)1月28日?同年同月30日の間並びに東京において2008年(平成20年)2月7日及び同年同月8日の間に、それぞれ開催した新商品発表展示会「2008 MONBLANC EXHIBITION」(乙3、乙4)の来場者に無償で譲渡することを目的として企画・製作されたものである。 当該展示会の来場者は、主として商標権者の取引先である作業用衣服を購入する顧客である。商標権者は、顧客がコンパクトな巻尺を保有すれば、作業用衣服を注文するに当たり、顧客自らが着用者の体型を測定することができ、適確な作業用衣服を注文することができると考え、本件巻尺を商標権者の業務に係る作業用衣服の販売に付随して販売する各種商品の1つとして、その商品化を企画したものである。 なお、当該展示会における来場者への本件巻尺の譲渡は、正式販売をするためのリサーチとして本件巻尺に対する利用者の必要性を確認すると共に、商品の品質・性能・価格を検討することにあるため、無償で行った。その結果、顧客より購入希望の反応があり、商標権者は、目下、商品企画の見直し、カタログヘの掲載、生産体制及び販売体制の整備中である。 (イ)本件巻尺は、次の経緯により製作したものである。すなわち、 商標権者は、平成19年10月に商品を選定及び内定し、平成19年12月10日起案の2008モンブラン・キャリアメイト新商品展示会の開催費用の「稟議書」(乙5)により同年同月12日に稟議社内決定した。この「稟議書」の来場者記念品の項目に、「当社ロゴ入りメジャー」と明記されている。なお、「稟議書」における来場者記念品の予定金額192,000円は、見積りの数量500個に対するものである。実際に発注したのは、後述のように、1,200個である。 そして、商標権者は、平成19年12月18日に、株式会社タナベ経営(以下「タナベ経営」という。)に商品を発注すると共に、同日付電子メールで商品に表示するロゴマークのデータ送付し(乙6)、同日付FAXで商品に表示するロゴマークの指図書を送付した(乙7)。「SP加工受注メモ」(乙8)は、商品の注文を受けたタナベ経営の社内受注メモである。当該「SP加工受注メモ」に記載の「牛革メジャー(PP袋詰め)」が商標権者の注文した本件巻尺である。以上により、商標権者が、平成19年12月18日に、本件巻尺1,200個(黒600個、白600個)をタナベ経営に発注したことが明らかである。 タナベ経営は、平成19年12月19日に、商標権者より注文を受けた本件巻尺を、「タナベ経営SP発注書兼出荷連絡票」(乙9)及び「牛革メジャー用名入データ出力紙」(乙10)により、「牛革メジャー」1,230個(うち30個はタナベ分予備)として、株式会社トレードワークス(以下「トレードワークス」という。)に発注した。なお、上記「タナベ経営SP発注書兼出荷連絡票」(乙9)に記載の「牛革メジャー黒、牛革メジャー白」は、トレードワークスのカタログ「THE MARKET Spring Summr 2009」(乙11)の097頁に掲載されている「牛革メジャー」のことであり、本件巻尺と同一の形態のものである(乙1、乙2)。以上により、タナベ経営が、平成19年12月19日に、商標権者より注文を受けた本件巻尺1,230個(うち30個はタナベ分予備)をトレードワークスに発注したことが明らかである。 トレードワークスは、「牛革メジャーロゴ印字内容確認書」(乙12)をタナベ経営を介して商標権者へ送付し、商標権者は、「牛革メジャーロゴ印字内容確認書」の内容を確認し、コメントを付記してタナベ経営にFAXにより送信した。同「牛革メジャーロゴ印字内容確認書」は、商標権者が平成19年12月25日FAX送信した「牛革メジャーロゴ印字内容確認書」をタナベ経営が受信したものである。そして、トレードワークスは、平成20年1月18日に、商標権者へ本件巻尺1,230個を出荷した(うちタナベ経営予備分30個はタナベ経営へ出荷)。「タナベ経営SP発注書兼出荷連絡票」(乙13)は、トレードワークスがFAXにより送信した「牛革メジャーロゴ印字内容確認書」をタナベ経営が受信したものである。 タナベ経営は、平成20年1月21日に、本件巻尺1,200個の「請求書」(乙14)を商標権者へ送付し、商標権者は、平成20年2月15日に、タナベ経営に請求額を振り込んだ。「当座勘定振込明細」(乙15)は、タナベ経営のものであって、商標権者からの平成20年2月15日振込が記帳されたものである。 以上のことから、本件巻尺1,200個は、前記新商品発表展示会が大阪で開催される10日前の平成20年1月18日に、トレードワークスから商標権者へ出荷されたことが明らかであり、また、商標権者の「稟議書」(乙5)において、「来場者記念品、当社ロゴ入りメジャー」として計上していることから、本件巻尺が、大阪において2008年1月28日?同年同月30日並びに東京において2008年2月7日及び同年同月8日に開催された新商品発表展示会で来場者に譲渡されたことが明らかである。 (2)むすび 以上のように、本件商標は、商標権者により、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定商品について使用されていることは明らかである。 4 当審の判断 (1)商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品について当該登録商標を使用していることを証明し、又は使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その指定商品に係る商標登録の取消しを免れないところである。 (2)被請求人は、商標権者が、本件商標を表示した本件巻尺について、2008年(平成20年)1月28日?同年同月30日の3日間大阪において、並びに、2008年(平成20年)2月7日及び同年同月8日の2日間東京において、それぞれ開催した商標権者の業務に係る作業用衣服の新商品発表展示会である「2008 MONBLANC EXHIBITION」で、同展示会の来場者に無償で譲渡することを目的として企画・製作し、かつ、同展示会の来場者に譲渡したものであるから、本件商標は、商標権者により、本件審判の請求の登録(平成21年8月10日)前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品に使用されたものである旨主張し、乙第1号証ないし乙第15号証を提出する。 確かに、乙第1号証ないし乙第15号証及び答弁の理由を総合すると、商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内である2008年(平成20年)1月28日?同年同月30日並びに2008年(平成20年)2月7日及び同年同月8日に開催した、商標権者の業務に係る作業用衣服の新商品発表展示会において、その来場者に記念品として無償で譲渡することを目的として、本件商標等が表示された本件巻尺1,200個を2007年(平成19年)12月18日ころに注文したこと、本件巻尺は、2008年(平成20年)1月21日に商標権者に納品されたこと、及び、商標権者は、上記新商品発表展示会において、本件巻尺をその来場者に記念品として無償で譲渡したことをそれぞれ認めることができる。 しかしながら、乙第1号証ないし乙第15号証は、いずれも商標権者の業務に係る作業用衣服の新商品発表展示会において、その来場者に記念品として無償で譲渡される、いうなれば、商標権者の業務に係る作業用衣服の販売促進のための商品というべき本件巻尺についての企画及び製作に関する証拠というべきものであって、本件巻尺が一般市場で流通に供されたことを立証する趣旨の取引書類等ではない。してみると、被請求人が本件商標を使用していると主張する本件巻尺に関し、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者により独立して商取引の対象物として流通に供されたことを認めるに足る的確な証拠の提出がない以上、本件巻尺は、商標法上の商品と認めることはできない。 したがって、本件商標は、請求に係る指定商品について使用されたものということはできない。 この点に関し、被請求人は、上記新商品発表展示会で本件巻尺を顧客に記念品として無償で配布した結果、顧客より購入希望の反応があり、商標権者は、目下、商品企画の見直し、カタログヘの掲載、生産体制及び販売体制の整備中である旨主張するが、その事実を明らかにする証拠の提出はないから、被請求人の上記主張を認めることはできない。 (3)むすび 以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録(平成21年8月10日)前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標を請求に係る指定商品について使用した事実を証明し得なかったものといわなければならない。また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品について使用していなかったことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、その指定商品中「測定機械器具」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 |
審理終結日 | 2010-04-27 |
結審通知日 | 2010-04-30 |
審決日 | 2010-05-11 |
出願番号 | 商願2000-93190(T2000-93190) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(Z09)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 門倉 武則 |
特許庁審判長 |
芦葉 松美 |
特許庁審判官 |
岩崎 良子 内山 進 |
登録日 | 2003-12-19 |
登録番号 | 商標登録第4734228号(T4734228) |
商標の称呼 | モンブラン、モントブランク |
代理人 | 蔦田 正人 |
代理人 | 蔦田 璋子 |