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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) X28
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) X28
管理番号 1218504 
異議申立番号 異議2009-900286 
総通号数 127 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2010-07-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2009-07-31 
確定日 2010-05-14 
異議申立件数
事件の表示 登録第5226478号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5226478号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第5226478号商標(以下「本件商標」という。)は、「Shore」の欧文字を標準文字で表してなり、平成20年9月26日に登録出願、第28類「釣り具」を指定商品として、同21年4月3日に登録査定、同年4月24日に設定登録されたものである。

2 本件登録異議の申立て
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2の規定に基づき取り消されるべきである旨主張し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第24号証を提出した。
本件商標は、指定商品「釣り具」との関係では、「海岸等の岸から魚を釣るための専用の釣り具」の意味合いを容易に認識させ、単に商品の用途、品質を表示するにすぎないものであり、また、当該商品以外の指定商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがある。

3 本件商標に対する取消理由
平成22年1月12日付けで通知した取消理由は、要旨次のとおりである。
(1)申立人の提出に係る甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
ア 本件商標「Shore」の文字は、「(海・湖・河の)岸、海岸、湖畔、河岸、(海に対して)陸」を意味する英語であって、中学学習語として、特に使用頻度の高いもの(甲第3号証)としてランクされるもので、「ショア」の称呼を生ずるものである。
イ 主婦と生活社発行の雑誌「ルアーフィッシング情報」1999(平成11)年9月号(甲第6号証)の、「Salt Water Lure Fishing用語ミニ辞典」には、「オフショア ショア(海岸線)からはなれた沖のこと。」、「オフショアフィッシング 沖釣り。ボートからの釣り。」、「ショアフィッシング 陸からの釣り。オン・ショア・フィッシングの略。」と記載され、また、1986年南雲堂発行の「釣りの英語活用辞典」の「shore」、「shore-fish、shore fish」及び「off・shore」の各項(甲第4号証 )、平成8(1996)年日本文芸社発行の「にちぶんMOOK 釣りシリーズ1『海のルアー基本マニュアル』」のビギナーにもよく分かる用語解説「ショア」の項(甲第5号証 )、2008(平成20)年8月海悠出版・主婦と生活社発行の「見てわかる! 海のライトタックルルアー」のルアーフィッシングミニ用語辞典「ショア」の項(甲第8号証 )及び2008年10月交通タイムス社発行の「はじめてのルアーフィッシング 海のライトルアー入門」の「ショア」及び「オフショア」の項(甲第9号証 )などにも同様の内容が記載されている。
ウ さらに、釣り具の取引業界においては、以下のとおり「Shore」又は「ショア」が、「岸、海岸、陸」等の意味合いで、また、その対義語として「オフショア(「沖」の意)」が使用されていることが認められる。
(ア)リョービ株式会社が2002年に発行した商品力タログには、釣り竿の説明として、94ページに「オフショアでのライトタックル ショートゲームシーバス専用ロッド」、95ページに「ショアからのソルトウォーターゲームを極めたモデル。」及び「ショアからのソルトウォーターゲームロッドに必要なのは『遠投性能』と一日中キャスティングを続けられる『軽量化』です。・・・まさに、ショアゲームロッドの新時代到来です。」の記載(甲第14号証)。
(イ)前記イの雑誌「見てわかる! 海のライトタックルルアー」には、その裏表紙に掲載された株式会社天龍の釣り竿の広告に「Off Shore light Progressive」及び「オフショアでも、さらなるゲーム性を追求して・・・」の記載(甲第8号証)。
(ウ)株式会社テンリュウが2006年に発行した商品力タログには、釣り竿の広告として、5ページに「・・・オフショアならではの多彩な魚種との出会い。」、15ページに「もっと遠くへ、より繊細に。広がるショアキャスティングの世界。・・・さらに、ショアのジギングロッドでは、テーパーの軽量化と糸絡みの少ないガイド設定を開発するなど魚種ごとに的確なパッフォーマンスを実現する多彩なロッドを用意しています。」の記載(甲第15号証)。
(エ)谷山商事株式会社が2007年に発行した商品力タログには、釣り竿の説明として、12ページに「SEABASS GAME FROME SHORE 陸から獲るための高機能シーバスロッド」及び25ページに「KAIEN SHORE MAGIC/ ショアからの『本気』を応援するシリーズ/ そのネーミングは阪本竜馬の『海援隊』に由来する。マルスズキやヒラスズキ、アカメなどをターゲットに設定したショァからのライトロッドである。」の記載(甲第16号証)。
(オ)株式会社がまかつが2008年に発行した商品力タログには、釣り竿の説明として、104ページに「ルアーの操作性の高さと、青物を仕留めるのにも充分なパワー、オフショアゲームを欲張りに楽しむならこの6.8ftです。」及び「このポテンシャルはオフショアを征する/・・・激しいジャークはもちろん、小刻みなトゥイッチまでこなす繊細さも併せ持ち、大型サワラやマグロに至るまで、オフショアゲームを多彩に楽しめる仕様となっています。」、105ページに「また、取り回しが良く、ショア全般で使えるユーティリティー性もある重宝なロッドです。」及び106ページに「ショアゲームの感動が加速する。/・・・鋭い感度とともに強力なポテンシャルでショアゲームを有利に展開することができます。」の記載(甲第17号証)。
(カ)商標権者株式会社シマノが2008年に発行した商品力タログの155ページの釣り竿の説明中に「ショアからの青物に、硬すぎるロッドは禁物。」の記載(甲第18号証)。
(キ)ダイワ精工株式会社が1998年に発行した商品力タログの84ページ及び93ページの釣り竿及びリールの広告に「SALT WATER Shore,Seabass」、87ページの釣り竿のカテゴリーを表す用語として「ソルトウォーターショアロッドラインナップ」、90ページの釣り竿及びルアーの説明として「SALT WATER Shore,Seabass」の記載(甲第19号証)。
(ク)ダイワ精工株式会社が2003年に発行した総合力タログには、釣り竿の説明として、153ページに「シリーズの中心となるWADINGマスターよりもトップからバットまでのパワーをアップし、ショアだけでなくボートからのシーバスやライトタックルでのシイラまでも対象とする。」、「干潟や遠浅の海または河口でのウェーディングはもちろん防波堤や河川でのショアからのゲームにも充分対応するスーパーベーシックロットである。」、154ページに青色の角丸横長四角形の枠内に「Shore」の記載(3箇所)、「グランビューのブランクスは類まれな感度と張り、さらには驚異的な粘りとキャスティング性能でショアーゲームに新境地を拓いたチューブラーパワースリムを採用しています。」及び157ページに「ショアからのアキアジキャスティング専用・モデル」の記載(甲第20号証)。
(ケ)ダイワ精工株式会社が2005年に発行した商品力タログには、42・43ページに釣り具の品質・用途の見出しとして、また、46・47ページ及び50・51ページの釣り竿自体に「Shore」及び「ショア」の文字を含む表示が多数使用されるほか、「数あるソルトゲームの中でも、ショアのシーバスほど多くのファンを抱えるゲームはない。」、「ヘビージグをキャストして青物を狙う ショアジギ専用スベシャリティーモデル」、「現在、九州のほか中国、四国、関西、北陸でハマチ(イナダ)やメジロ(ワラサ)、中型のヒラマサをショアからのキャスティングで狙う新しいスタイルのゲームが注目されている。・・・投げ釣りとショアジギングの圧倒的な違いは、・・・」の記載。(甲第21号証)
(コ)ダイワ精工株式会社が2005年(153ページ)及び2007年(140ページ)に発行した総合力タログに釣り竿の説明として「干潟や遠浅の海または河口でのウェーディングはもちろん防波堤や河川でのショアからのゲームにも充分対応するスーパーベーシックロッドである。」の記載並びに2007年(142ページ)に「ショアジギングはいわば忍耐の釣り。・・・」の記載(甲第22号証及び甲第23号証)。
(2)以上によれば、本件商標の登録査定の前から、釣り具の取引者、需要者間において、「Shore」及び「ショア」の語が「海岸、湖畔、河岸、陸」を意味する一般語として使用されていたほか、「釣り具」との関係においても、「海岸等の岸から魚を釣るための専用の釣り具」であることを表すものとして普通に使用されていたことが認められるものである。
そうとすると、「Shore」の文字を標準文字で表してなる本件商標を、その指定商品中「海岸等の岸から魚を釣るための専用の釣り具」に使用するときには、これに接する取引者、需要者間をして、その商品の用途、品質を表示したものと理解させるにとどまるものであって、自他商品の識別標識とは認識し得ないというべきである。
また、本件商標をその指定商品中、前記商品以外の商品に使用するときには、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見
商標権者は、上記3の取消理由に対し、指定した期間内に意見を述べていない。

5 当審の判断
上記3の取消理由は、妥当なものと認められるから、本件商標の登録は、商標法第43条の3第2項により取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2010-03-25 
出願番号 商願2008-78621(T2008-78621) 
審決分類 T 1 651・ 272- Z (X28)
T 1 651・ 13- Z (X28)
最終処分 取消  
前審関与審査官 山田 正樹 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 小川 きみえ
野口 美代子
登録日 2009-04-24 
登録番号 商標登録第5226478号(T5226478) 
権利者 株式会社シマノ
商標の称呼 ショア 
代理人 蔵田 昌俊 
代理人 石川 義雄 
代理人 河野 哲 
代理人 鈴江 武彦 
代理人 小出 俊實 
代理人 橋本 良樹 
代理人 吉田 親司 
代理人 潮崎 宗 
代理人 幡 茂良 

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