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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X30
管理番号 1218475 
異議申立番号 異議2009-900421 
総通号数 127 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2010-07-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2009-10-30 
確定日 2010-05-17 
異議申立件数
事件の表示 登録第5253811号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5253811号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5253811号商標(以下「本件商標」という。)は、「味わいしっかり」の文字を標準文字で表してなり、平成21年1月16日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同年7月2日に登録査定、同月31日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要点)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。
本件商標は、「味わいしっかり」の文字を標準文字で表してなるところ、これは、「味やうまみが、堅固で容易に崩れたりしない」という程度の意味合い、すなわち「味やうまみがしっかりとしている」ないし「しっかりとした味や旨みを有する」ということを理解させるものである。
一方、飲食料品を取り扱う分野においては、その味やうまみについて、これを「しっかり」と表現することが少なくなく(甲第2号証ないし甲第6号証)、さらに、たとえばインターネット上には、飲食料品の味やうまみについて、これを「味わいしっかり」の文字により表現したものも少なくない(甲第7号証ないし甲第9号証)。
そうとすると、本件商標を構成する「味わいしっかり」の文字については、飲食料品との関係上、「味やうまみがしっかりとしている」ないし「しっかりとした味や旨みを有する」ということを理解させるにすぎず、これをその指定商品に使用するときは、その取引者、需要者に当該商品の味やうまみがしっかりとしているという品質の誇称表示と認識されるにとどまるものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号によりその登録を取り消されるべきものである。

3 当審の判断
本件商標は、「味わいしっかり」の文字を同じ書体、等間隔をもって視覚上一体的に表してなるところ、その構成中、前半の「味わい」の文字は、「食物のあじ。うまみ。」、「物事のおもむき。おもしろみ。」(「広辞苑第六版」岩波書店発行)を意味し、後半の「しっかり」の文字は、「堅固でゆるぎないさま。堅実で信頼できるさま。」、「気力が充実していたり精神作用が健全であったりするさま。」、「量が多いさま。たくさん。」、「十分に、また確実に物事を行うさま。」、「市場に活気があり、相場が下落しそうにないさま。」(前出「広辞苑第六版」)を意味し、それぞれ多義的な語として親しまれているものである。
ところで、申立人の提出に係る証拠をみるに、甲第1号証は、指定商品を第29類「豆腐を用いたハンバーグ」とする商標「味わい豆腐バーグ」についての審決例であり、「味わい」の語について述べているとしても、本件とは、その指定商品が異なり、かつ、商標においても事案が異なるものである。
また、甲第2号証ないし甲第7号証及び甲第9号証は、商品「苺」、同「グラノーラ」、同「コーヒー」、同「ミルクティー」、同「カスタードクリーム」、同「中華粥」についての証左であって、かつ、いずれも記述的な文章において、「・・・しっかりした味わいのため、・・・」、「・・・しっかりとした味わいの・・・」、「・・・味わいがしっかり楽しめる・・・」、「・・・しっかりとした味わいに・・・」、「・・・しっかりとした味わいと香り・・・」、「・・・味わいしっかり、・・・」のように記載されているものである。
そうすると、上記証左は、いずれも、本件商標の指定商品とは異なる商品についてのものであり、また、「味わいしっかり」の文字が単独で使用されているものでもなく、わずかな例として記述的な文章中において使用されているものであるから、本件とは事案を異にし、本件商標と同列には、論じ得ないものである。
なお、甲第8号証は、唯一本件商標の指定商品に含まれる商品「パン」についてのものであり、「Leafおすすめの店 味わいしっかりの天然酵母パン。週2日だけの小さなパン屋さん」と記述的な文章の中で「味わいしっかり」の文字が使用されているものであるが、この証左によって、本件商標がその指定商品を取り扱う業界において、商品の品質等を直接的、かつ、具体的に表すものとして一般的に使用されているとは認め難いものである。
ほかに本件商標がその指定商品ついて、商品の品質等を直接的、かつ、具体的に表すものとして一般的に使用されているとする証左は見いだせない。
また、当審において職権をもって調査したが、本件商標がその指定商品について、商品の品質等を表すものとして取引上、普通に使用されている事実を発見することもできなかった。
してみれば、本件商標は、食品との関係においては、「うまみたくさん」、「うまみ十分に」ほどの意味合いを看取させ、食品の品質等を暗示ないし間接的に表すものといえるとしても、その指定商品との関係においては、商品の品質等を直接的、かつ、具体的に表したものとまでいうことができず、構成全体をもって特定の観念の生じない一種の造語を表したものと理解されるとみるのが相当である。
そうとすれば、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、その商品の品質を普通に用いられる方法で表示するものとはいえず、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たすものといわなければならないから、商標法第3条第1項第3号に該当するものではない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品について、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2010-04-26 
出願番号 商願2009-2215(T2009-2215) 
審決分類 T 1 651・ 13- Y (X30)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大森 健司 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 末武 久佳
酒井 福造
登録日 2009-07-31 
登録番号 商標登録第5253811号(T5253811) 
権利者 江崎グリコ株式会社
商標の称呼 アジワイシッカリ 
代理人 河野 生吾 
代理人 河野 誠 

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