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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20079933 審決 商標
不服200914970 審決 商標
不服20083949 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X30
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない X30
管理番号 1218435 
審判番号 不服2009-14979 
総通号数 127 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-08-19 
確定日 2010-06-07 
事件の表示 商願2008-58604拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「半生」の文字と「キャラメル」の文字を上下二段に書してなり、第30類「キャラメル」を指定商品として、平成20年7月17日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『半生』の文字と『キャラメル』の文字を書したものであるところ、『半生』という語は生菓子と干菓子の中間の含水量のものというような意味として知られているものと認められるから、これをその指定商品中『半生(生菓子と干菓子の中間の含水量のもの)のキャラメル』について使用するときは、前記意味を理解させるにとどまり、商品の品質を表示したものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「半生」の文字と「キャラメル」の文字を上下二段に書してなるものである。
そして、これを構成する「半」の文字は、「なかば。不完全。ほとんどそのさまであること。」の意を有するもので(「広辞苑第六版(株式会社岩波書店)」)、「生」の文字は、本願指定商品との関係において、「クリームと水分を多く含んだチョコレート。」を「生チョコ」、「水分の多い、主として餡類を用いた菓子。クリームや果物などを使った洋菓子。」を「生菓子」(参考「広辞苑第六版(株式会社岩波書店)」)と指称するなど、当該商品が水分の多いものやクリームを使ったものであることを表す語として使用されているもので、「キャラメル」の文字は、「砂糖・水飴・練乳などを煮詰めて油脂・香料で風味をつけた柔らかい飴菓子。」を意味する語(「広辞苑第六版(株式会社岩波書店)」)である。
また、「半生」の文字は、「半生菓子(生菓子と干菓子との中間のもの。)」の略であるとされ(参考「大辞泉 増補・新装版(株式会社小学館)」、「大辞林 第三版(株式会社三省堂)」)、一般に、水分を多めに含ませたりクリームを入れたりするなどの工夫によって、しっとりした、口あたりを滑らかにさせた各種の菓子を指称する際に使用されている実情がみられる。
以上のことは、例えば、以下のインターネットホームページ情報及び新聞記事により、うかがい知ることができる。なお、下線は、審判の合議体で加えた。
(1)2009年11月25日付け 日本食糧新聞には、「ビスケット特集:主要メーカー動向=森永製菓」の見出しのもと、「半生カテゴリーは、『デセール・ドール』が前年割れも『エンゼルパイ』がサブフレーバー『デビルズココア』の投入効果もあり、20%増と好調に推移したことが寄与し、半生トータルでも5%増となった。」との記載がある。
(2)2009年8月28日付け 静岡新聞 朝刊 24頁には、「紅ほっぺをキャラメルに 東名SAなどで販売-JA静岡経済連」の見出しのもと、「JA静岡経済連はこのほど、本県特産のイチゴ「紅ほっぺ」を使った「ご当地・静岡いちご『紅ほっぺ』半生キャラメル」の販売を始めた。県内菓子メーカーの協力を得て、県内JAから調達した紅ほっぺに北海道生クリームを合わせた。紅ほっぺの香りと味を維持し、とろけるような食感に仕上げたという。」との記載がある。
(3)2009年7月17日付け 日経MJ(流通新聞) 16頁には、「焼き菓子とろ?り新食感??定番にひねり、冷やしても(ブームの予感)」の見出しのもと、「半熟・半生・レア・しっとり・・・ カステラなのにとろ?り・・・? 新食感の焼き菓子に人気が集まっている。切り口から卵黄クリームが溶け出すカステラ、水分を多く残ししっとり焼き上げたバウムクーヘンやパウンドケーキなど、定番菓子にひねりを利かせた商品が相次ぎ登場。口溶け感のいい生キャラメルがヒットしたように、焼き菓子でも「レア」や「生」が新たなキーワードになりつつあるようだ。(略)店頭では特にとろりとして見えるカットケーキを並べ、半生感をアピールするようにした。」との記載がある。
(4)2009年5月27日付け 毎日新聞 地方版/高知 20頁には、「四国経済:香川・宇多津の塩でまろやか? ミネラルたっぷり、キャラメル販売/四国」の見出しのもと、「香川県宇多津町は特産の塩を使った半生タイプのキャラメル『うたづ塩キャラメル』を発売した。」との記載がある。
(5)2008年8月29日付け 日本食糧新聞には、「菓子秋需戦略特集:大手菓子メーカー6社の動向=ブルボン」の見出しのもと、「半生タイプの『パッケージケーキ』シリーズは、しっとりケーキにカットマロンを散りばめたマロンクリームをサンドし、マロン風味のチョコをデコレーションした〈マロンブラン〉を昨年に続き展開、(略)」との記載がある。
(6)2007年6月29日付け 日本食糧新聞には、「カリフォルニア・レーズン菓子新製品開発コンテスト、最終審査・表彰式開催」の見出しのもと、「同コンテストは、カリフォルニア・レーズンを使用した新製品の開発と商品化を促進するために行われる。『生菓子、半生菓子部門』と『ギフト菓子(焼き菓子・干菓子)部門』の2部門を設定。作品は和・洋・中などジャンルを問わず、菓子分野を広く対象にしている。」との記載がある。
(7)2006年7月29日付け 京都新聞 朝刊 2頁 滋賀新聞2には、「グルメール パティスリー グラン・ガトー(草津市)」の見出しのもと、「オーストラリア産のクリームチーズをたっぷり使い、水分を逃がさないように強火のオーブンで一気に焼き上げるこのケーキ。しっとりとした半生の食感と深く濃厚な味が特徴です。」との記載がある。
(8)2002年11月28日付け 朝日新聞 東京朝刊 53頁には、「『お取り寄せ』情報 ホテルのギフト be・GIFT特集」の見出しのもと、「こしのある餅で作った焼きたてのおかきに、昆布とシイタケのうまみを加えた本醸造のしょうゆを染み込ませた。しっとりとした半生タイプで、柔らかな食感が特徴。」との記載がある。
(9)1996年9月19日付け 日経流通新聞 31頁には、「チョコ市場回復の兆し-板・半生・・・、工夫受ける(データ診断)」の見出しのもと、「バブル経済の崩壊以降、落ち込みが続いていたチョコレート市場に回復の動きが見えてきた。(略)九五年になると、菓子メーカー各社が相次いで新製品を投入。半生タイプや冷凍庫で冷やして食べるチョコレートなど食感にこだわった商品が人気を集め、(略)」との記載がある。
(10)1992年2月15日付け 日経流通新聞 3頁には、「森永製菓の『エンゼルパイ』??半生菓子の元祖味など様々な試み(長生き商品の秘密)」の見出しのもと、「森永製菓の『エンゼルパイ』は一九六一年の発売以来、安定した人気を保っている。マシュマロをビスケットではさみ、チョコレートでくるんだ菓子で、現在流行の半生タイプ菓子の元祖ともいえる存在だ。(略)エンゼルパイは、マシュマロに含まれた水分がクッキーに浸透し、歯ざわりがしっとりしているのが特徴。」との記載がある。
(11)インターネット上の「里の菓茶房」のホームページにおいて、「洋菓子 ケーキ」の項目に、「半生ガトーショコラ」、「しっとりした食感、風味豊かなチョコレートの濃厚な味わい。」との記載がある。
(http://www.satonokasabou.com/cake-1.html)
(12)インターネット上の「All About」のホームページにおいて、「半生アーモンドミルクキャラメルの作り方」の項に、「前々回の生キャラメルと前回の生キャラメルは、とても柔らかで、口に含むだけでとろけてしまいそうでした。今回は、もう少しゆっくり、おいしさを楽しみたいと思い、練り時間を長くしてちょっと硬めにし、アーモンドを入れて香ばしさをプラスしました。」との記載がある。
(http://allabout.co.jp/gm/gc/7218/)
(13)インターネット上の「いきいきグルメドットコム」のホームページにおいて、「北海道生クリーム100%使用【半生キャラメル】」、「北海道の上質生クリームをたっぷり使った半生タイプのソフトキャラメル」との記載がある。
(http://ikiiki-ys.com/SHOP/sh0310-1.html)
(14)インターネット上の「ユタカ商会オンラインショッピング」のホームページにおいて、「宮崎マンゴー半生キャラメル」、「宮崎のお土産、マンゴーを使った半生のキャラメルです。やさしくお口のなかでとけて、宮崎産マンゴーの上品な味と香りがふわっとひろがります。」との記載がある。
(http://www.m-yutaka.jp/category/b030.html)
(15)インターネット上の「株式会社鳴門千鳥本舗」のホームページにおいて、「商品一覧」の「お菓子」の項に、「淡路島びわソフト生キャラメル」、「淡路島産びわを使用した、半生タイプのびわキャラメルです。やわらかな口どけとびわの風味をお楽しみください。」との記載がある。
(http://www.narutochidori.co.jp/item/sweets/index.htm)
(16)インターネット上の「楽天市場」のホームページにおいて、「沖縄お菓子>その他>半生キャラメル」の項に、「深?いコクと、とろけるような柔らかさが自慢!」、「半生キャラメル 塩」、「半生キャラメル 紅いも」、「半生キャラメル マンゴー」、「半生キャラメル パイナップル」との記載がある。
(http://item.rakuten.co.jp/oki-kariyushi/c/0000000493/)
してみれば、「半生」の文字よりは、「生菓子と干菓子の中間のもの」、「生タイプほどではないが、水分を多めに含むなどし、しっとりとした柔らかさのもの」程の意味合いを看取させるものであるというのが相当である。
そうとすれば、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、前記のような半生タイプのキャラメルであること、すなわち、商品の品質を表示したものと認識するにとどまるものというのが相当であるから、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を有しないものといわなければならない。
なお、請求人は、「半生」の文字について「生菓子と干菓子の中間の含水量のもの」とすることは、曖昧で不確実な表現で、「半生菓子」の定義は厳密にはなく、菓子の購入者にとって、生菓子か干菓子か、水分含有量が何パーセントかは意味を持たないなどと述べ、本願商標は、キャラメルについての新たな食感をイメージ、実感してもらうための表現であるとし、また、菓子の業界の内部では、「半生」=ハンナマと読んだ場合に、「生菓子と干菓子の中間の含水量のもの」と理解される面があるかもしれないが、商品又はその包装に「半生」と表示している例はない、したがって、本願商標が、実際の取引の現状において、商標法第3条第1項第3号に定められた「普通に用いられる方法」で使用されているとはいえず、同号に該当しないと述べている。
しかしながら、「半生」の文字は、本願指定商品を取り扱う業界においては、前記の意味を有し、使用されている実情もあることから、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者、取引者は、「半生」の文字の意味合いを、たとえその水分含有量を正確には把握しないとしても、その商品が半生タイプであるとして把握し、商品の品質を表示するものと認識するとみるのが相当である。そして、仮に、商品又は商品の包装自体に「半生」と表示している例がなかったとしても、本願商標の「半生」及び「キャラメル」の文字は、ごく通常、一般的な表示態様よりなるものであるから、当該文字から半生タイプのキャラメルといった意味合いが生じる以上、指定商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に当たることが妨げられるものではない(東京高裁 平成12年9月4日判決言渡し 平成12年(行ケ)第76号参照)。
また、請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨述べているが、請求人が主張する過去の登録例に係る商標は、本願商標とは、その構成態様や指定商品等が相違するものであって、本願とは事案を異にするものであり、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項の規定に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、個別具体的に判断されるべきものであるから、それらの登録例に前記認定が左右されるものではない。
さらに、請求人は、本願商標の使用による顕著性について主張しているところ、請求人は、別掲の商品写真にある、半生ミルクキャラメルを平成20年2月に、半生チョコレートキャラメルを同年8月に、半生ミルクキャラメルの丸箱包装タイプを同年9月に、それぞれ販売を開始し(請求人の商願2008-58603における手続補足書に係る提出物件)、当審において提出された甲第10号証によれば、同年10月までの販売数量に同年11月及び12月の予想販売量を加えた平成20年の販売量及び小売売価金額は、半生ミルクキャラメルが687,614袋、136,147,572円、半生チョコレートキャラメルが121,506袋、24,058,188円、半生ミルクキャラメルの丸箱包装タイプが92,730個、55,638,000円であり、その他、使用態様は不明なものの、半生プリンキャラメル(平成20年8月から)、半生びわキャラメル(同年9月から)、半生バターキャラメル(同年8月)、半生ミルクキャラメル紙管タイプ(同年9月から)を販売したことが認められる。
また、請求人会社及び上記半生キャラメルに係る請求人の販売戦略等が食品業界誌、地域経済誌、FM放送に取り上げられたこと(甲第6号証?甲第9号証、甲第14号証?甲第16号証)、愛知を中心に近県数県を視聴エリアとするFM愛知で平成21年3月25日から6月30日にコマーシャル放送をしたこと(甲第11号証?甲第13号証)、その他、請求人の商品がブログに紹介されていること(甲第17号証)が認められる。
しかしながら、上記のとおり、請求人の商品の販売は、平成20年2月から、わずか2年ほどの期間にすぎず、「半生」の文字は、本願指定商品を取り扱う業界において、「生タイプほどではないが、水分を多めに含むなどし、しっとりとした柔らかさのもの」といった意味を有する語として、広く一般に使用されている状況にある。
また、請求人のホームページにおける半生ミルクキャラメルの紹介ページでは、「これぞ半生、柔らかさにビックリですよ。」、「常温でも保存OKなのに、半生なんです。」、半生チョコレートキャラメルの紹介では、「チョコレートを配合しても、あの半生は健在!・・・柔らかさにビックリですよ。」、「口の中に入れると、舌の上で優しくス?っと溶け、半生の口どけを感じながら味わうこのキャラメル・・・。」、「常温でも保存OKなのに、半生なんです。」などと説明され(請求人の商願2008-58603における手続補足書添付書類)、上記ラジオコマーシャルでも、「半生を強調・訴求(生ではない)」を特徴として企画され、その内容も「そう、生ではなく、は・ん・な・ま・・キャラメルなんです!」、「安部製菓の半生ミルクキャラメル」というものであり、さらに、第三者のブログにも、「指で摘んでみてもまさに半生」、「昨年大ヒットだったという、生キャラメル。ちょっと試しに『半生』タイプを発見したから試食しました?」、「常温なのに半生???」、「生キャラメルが口の中で溶けるのが早すぎるので、この半生、というのが魅力的」、「『半生』というだけあって、『生キャラメル』よりもしっかりとした食感」と記載されるなど、「生キャラメル」に対する半生タイプの商品として理解、認識されていることを示している。
加えて、請求人の商品のうち、袋入りの商品については、袋正面に表示された「半生」の文字部分が本願商標の「半生」の文字部分と同一の態様と認められるものの、その上部には請求人のハウスマークも付されているものであり、丸箱包装タイプの商品については、上の面に表示された「半生」の文字の態様が本願商標の「半生」の文字部分とは大きく異なっているものであり、かつ、本願商標は「半生」の文字の下に「キャラメル」の文字が表されているところ、これと同一の態様からなるものを請求人の提出する証拠から見出すことができない。
以上の事実を総合すると、請求人の商品が一定程度販売されていることは認められるものの、「半生」と「キャラメル」の文字のみから構成される本願商標の態様で需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識できるとまでは認めることができない。
そうすると、請求人が提出した証拠によっては、本願商標が、その指定商品に使用された結果、取引者、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(商品写真)


審理終結日 2010-03-18 
結審通知日 2010-03-26 
審決日 2010-04-12 
出願番号 商願2008-58604(T2008-58604) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X30)
T 1 8・ 17- Z (X30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平松 和雄 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 板谷 玲子
瀧本 佐代子
商標の称呼 ハンナマキャラメル、ハンナマ、ハンセイ 
代理人 松波 祥文 

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