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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20093220 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商4条1項7号 公序、良俗 登録しない X09
管理番号 1218421 
審判番号 不服2009-7146 
総通号数 127 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-04-02 
確定日 2010-06-10 
事件の表示 商願2008-5630拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「GAUDI」の欧文字を標準文字で表してなり、第9類「電気通信機械器具,電気通信機械器具の部品及び附属品,ビデオカメラ並びにその部品及び附属品,デジタルカメラ並びにその部品及び附属品,音声又は映像の記録用機械器具並びにその部品及び附属品,音声又は映像の再生用機械器具並びにその部品及び附属品,音声又は映像の送信用機械器具並びにその部品及び附属品,デジタルオーディオプレーヤー並びにその部品及び附属品,デジタルオーディオレコーダー並びにその部品及び附属品,デジタルビデオプレーヤー並びにその部品及び附属品,デジタルビデオレコーダー並びにその部品及び附属品,デジタルビデオディスクプレーヤー並びにその部品及び附属品,デジタルビデオディスクレコーダー並びにその部品及び附属品,テレビジョン受信機並びにその部品及び附属品」を指定商品として、平成20年1月29日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、スペインの建築家であり、特に、1883年に着工して以来現在に至るも未完成といわれる、スペイン・バルセロナにある『サグラダ・ファミリア聖堂』の主任建築家として名声を博し、1926年の没後においても未だその名声は衰えていないと認められる『アントニオ ガウディ(Antonio Gaudi)』の著名な略称である『GAUDI』の文字よりなるものであるから、これを同人と何らの関係もない出願人が営利の目的において使用することは、故人の名声、名誉を傷つけるおそれがあるばかりでなく、我が国の国際的な信頼を損なうおそれがあり、ひいては国際信義に反することとなるので穏当でないから、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知(要旨)
当審において、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、下記の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成22年1月22日付けで、証拠調べの結果を通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。

本願商標は、「GAUDI」の欧文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、「ガウディ」の読みを生ずるものであるから、「GAUDI」及び「ガウディ」の文字に関して証拠調べを行った結果、以下の事実が認められる。
1 辞典における記載について
(1)「ガウディ」の項に、「【Antonio Gaudi】スペイン、カタルニアの建築家。幻想的で特異な造形の建築を残した。代表作、サグラダ‐ファミリア(聖家族)聖堂(未完成)。(1852?1926)」との記載がある(「広辞苑」第六版 株式会社岩波書店 2008年1月11日発行)。
(2)「ガウディ」の項に、「Gaudi y Cornet,Antonio 1852?1926 スペインの建築家。1868以来,バルセロナで活躍。直接自然からとった要素を導入、ゴシック様式を近代化し,蛇行する曲線を採用するなど,大胆な幻想的建築を創造した。」との記載がある(「コンサイス人名辞典」-外国編- 株式会社三省堂 昭和51年3月20日発行)。
(3)「ガウディ」の項に、「[アントニオ?,Antonio Gaudi y Cornet 1852?1926]スペインの建築家。曲線や曲面を駆使し,また多彩な装飾によって幻想的な建築空間を創造した。」との記載がある(「コンサイスカタカナ語辞典」第3版 株式会社三省堂 2005年10月20日発行)。
2 新聞記事情報における記載について
(1)2010年1月1日付けの共同通信には、「ガウディが住んだ芸術の街 自慢の地下鉄で市内巡り」の見出しのもと、「スペイン・バルセロナは芸術の街だ。ガウディの代表作の一つで、今も建設が続く大聖堂サグラダ・ファミリアは観光客でいっぱい。塔に昇るエレベーターは1時間待ちだった。ガウディが手掛けた住宅カサ・ミラとカサ・バトリョに行こうと、掃除をしていた女性に道を聞いた。…」との記載がある。
(2)2009年8月22日付けの朝日新聞の東京朝刊20頁には、「(もっと本を!!再読ガイド)だれでも詩人になれる本 詩神のささやきを聴く」の見出しのもと、「…世界には『○○の詩人』と呼ばれる人が各地にいる。世界遺産に登録されたスペインのサグラダ・ファミリア教会の設計者ガウディは『建築の詩人』、画家ミロは『絵画の詩人』、チェロのカザルスは『音楽の詩人』と呼ばれた。…」との記載がある。
(3)2008年9月6日付けの朝日新聞の東京朝刊2頁には、「(ひと)外尾悦郎さん ガウディ作の教会の彫刻を手がけて30年」の見出しのもと、「建築家ガウディの代表作、スペイン・バルセロナのサグラダ・ファミリア教会の彫刻を、78年から担い続ける。30年の節目に日本の外務大臣表彰を受け、7月に一時帰国した。…」との記載がある。
(4)2008年4月14日付けの読売新聞の東京夕刊9頁には、「[旅]バルセロナ(スペイン) 古都の誇り、ガウディ建築」の見出しのもと、「…そんな硬質で直線的な町並みの中に、ぐにゃぐにゃした建物が異彩を放つ。建築家アントニ・ガウディの作品群だ。建設当時はさぞ衝撃的だったことだろう。1852年に近郊の町で生まれたガウディは、生涯バルセロナを拠点とした。いまだ工事中のサグラダ・ファミリア教会、広大なグエル公園など市内に点在する代表作は世界遺産に指定され、観光客でにぎわう。…」との記載がある。
(5)2007年6月18日付けの読売新聞の東京夕刊の13頁には、「[MONO語り]色あせぬガウディの思い出」の見出しのもと、「…オレンジや青、白など、色鮮やかな小片をちりばめた独特のデザイン。そして胸にはGAUDIの文字。スペインの建築家、アントニオ・ガウディ(1852?1926)が描いたモザイクをプリントしたシャツだと、ひと目でぴんと来る人も多いだろう。中学生のころから建築デザインに興味があった。特にガウディの奇抜なデザインに注目していた。ガウディの建築を自分の目に焼き付けたくて、6年前、家族旅行の目的地にスペインを選んだ。…」との記載がある。
(6)2004年4月1日付けの朝日新聞の東京夕刊5頁には、「プレゼント マリオン」の見出しのもと、「●建築家ガウディの本 エクスナレッジが、スペインを代表する世界的な建築家アントニ・ガウディのエピソードや作品が詳しくわかる本『GAUDi ガウディが知りたい!』(写真、2520円)を45人に。人物、建築、デザイン、アートなどあらゆるジャンルにわたって彼の魅力を紹介。…」との記載がある。
3 インターネットにおける記載について
(1)「ガウディの遺産」のウェブサイトにおいて、「ここは、スペインの建築家、アントニ・ガウディが残したメッセージを探るサイトです。」との記載がある。(http://www.guell.co.jp/gaudi/)
(2)「kotobank.jp」のウェブサイトにおいて、「ガウディ【ガウディ】」の見出しのもと、「スペインの建築家。バルセロナで活躍。カタルニャ独自の建築技術やイスラム風の装飾性などいくつもの要素が混じりあい,植物を連想させる装飾モティーフや有機的曲線・曲面を多用した作品は,機能主義全盛の風潮のなかでは異端視されてきたが,今日その独自性が再評価されている。(1852-1926)出典:(株)日立システムアンドサービス」との記載があり、また、「デジタル大辞泉の解説 ガウディ【Antonio Gaudi y Cornet】 [1852?1926]スペインの建築家。」との記載がある。
(http://kotobank.jp/word/%E3%82%AC%E3%82%A6%E3%83%87%E3%82%A3)
(3)「阪急交通社」のウェブサイトにおいて、「世界遺産?The World Heritage? 第46回 スペイン ガウディの作品群 自然と建築物のかくも美しき融合」の見出しのもと、「19世紀末?20世紀初頭、カタルーニャ地方で興った芸術復興運動モデルニスモ。その一翼を担ったのが、スペインを代表する建築家アントニ・ガウディです。」との記載がある。
(http://www.hankyu-travel.com/heritage/spain/gaudi.php)
(4)「PARCO CITY」のウェブサイトにおいて、「ガウディの世界 [DVD]」の見出しのもと、「時代を超越した世界最高峰の建築家、アントニ・ガウディ。今年で没後80周年となり、ガウディの全貌に迫るドキュメンタリー映像が堂々リリース!」との記載がある。
(http://www.parco-city.com/mall/commodity_param/shc/18upl138/ctc/30/cmc/ULD-327/)
(5)「GAUDi ガウディが知りたい! 雑誌・書籍 X・Knowledge(エクスナレッジ)」のウェブサイトにおいて、「GAUDi ガウディが知りたい! 販売価格:2,520円 (税込)ガウディの建築・デザイン・アート・人物・謎が丸分かり。・2002年にはサグラダ・ファミリアが閑静か?」との記載がある。
(http://www.xknowledge.co.jp/book/detail/76780369)
(6)「はてなキーワード」のウェブサイトにおいて、「ガウディ」の見出しのもと、「アントニ・ガウディ・イ・コルネット(Antoni Gaudi i Cornet)スペインのモデルニスモ期を代表する建築家。1852年生まれ。1926年没(享年73歳)。」との記載がある。
(http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%AC%A5%A6%A5%C7%A5%A3)
(7)「宇宙航空研究開発機構」のウェブサイトにおいて、「2006年9月1日掲載 ガウディたちが活躍した街:スペイン、カタルーニャ州バルセロナ」の見出しのもと、「…19世紀末にカタルーニャで花開いたモデルニスモは独自の近代芸術で、とりわけ建築において後生に残る作品を多数生み出しました。その中心人物がアントニ・ガウディ(1852?1926年)です。…」との記載がある。
(http://www.eorc.jaxa.jp/imgdata/topics/2006/tp060901.html)
(8)「ガウディの建造物(観光情報)世界遺産ガイド」のウェブサイトにおいて、「世界遺産紹介 ヨーロッパ ガウディの建造物」の見出しのもと、「独創性に満ちた奇才アントニオ・ガウディの代表作 ガウディの建造物:文化遺産 バルセロナのグエル公園、グエル邸、カサ・ミラ」との記載がある。
(http://www.ab-road.net/sekaiisan/gaudi/index.html)
(9)「世界遺産を巡る旅 ガウディの作品群-MSNトラベル」のウェブサイトにおいて、「文化遺産 ガウディの作品群 絶句し感動する。不思議な魔力に満ちた建築物」の見出しものと、「バルセロナ出身の異色の天才建築家、アントニ・ガウディ。その建築物でもっとも有名なのは、サグラダ・ファミリア教会でしょう。」との記載がある。
(http://travel.jp.msn.com/special/heritage/0220/special1.htm)

第4 証拠調べ通知に対する意見
請求人は、前記第3の「証拠調べ通知」に対して、平成22年3月5日付け意見書において、要旨以下のように意見を述べた。
1 本願の指定商品と故「アントニオ ガウディ」が名声を博したとされる建築分野とは、まったく異なる分野であり関連性も乏しいことからすると、本願商標をその指定商品について使用をしたとしても、本願商標に接した者に同故人を認識させることはあり得ない。したがって、請求人が本願商標をその指定商品について使用をしたとしても、商取引の秩序を乱すものではなく公序良俗を害するものとはいえない。
2 商標法第4条第1項第7号は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」で、商標登録を受けることができないことを規定しており、そして、同号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」について、知財高裁平成17年(行ケ)第10349号(判決日平成18年9月20日)では、同号に該当する商標として、下記(1)から(5)が判示されている。
(1)その構成が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合
(2)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会の公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合
(3)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合
(4)特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合
(5)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合
そして、本願商標は、「GAUDI」の文字を標準文字により表してなり、第9類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品とするものであるところ、上記(1)ないし(5)のいずれにも該当していない。
3 過去の登録に、「ガウディ」及び「gaudi」の商標登録がある。そして、同故人とは何ら関係もない商標権者が上記2つの商標を使用することは、同故人の名声、名誉を傷つけるおそれがなく、我が国の国際的な信頼を損なわず、国際信義に反することはない、とされる一方で、請求人が本願商標(GAUDI)の使用をすることが同故人の名声、名誉を傷つけるおそれがあり、我が国の国際的な信頼を損ない、ひいては国際信義に反することとなる、とされる。つまり、上記2つの商標は商標法第4条第1項第7号に該当しない一方で、本願商標は同号に該当する特別な事情は存在しない。
また、上記証拠調べ通知書において列挙された事実のいずれにも、上記2つの商標は同号に該当しないことは示されていない。さらに、上記証拠調べ通知書において列挙された事実のいずれにも、上記2つの商標と本願商標との間で、同号に該当するか否かについて、異なる判断をすべき特別な事情が存在することも示されていない。

第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第7号について
同号については、「世界的に著名な者の氏名の略称を、その死後、遺族等と何ら関係を有しない者が、遺族等の承諾を得ることなく、商標として登録することは、世界的に著名な死者の名声に便乗し、指定商品についての商標の使用の独占をもたらすことになり、故人の名声、名誉を傷つけるおそれがあるばかりでなく、公正な取引秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものとして、公の秩序又は善良の風俗を害するものといわざるを得ない。」と解されるところである(同旨判決 東京高裁 平成13年(行ケ)第443号 平成14年7月31日判決言渡参照)。
これを本件についてみるに、本願商標は、前記1のとおり、「GAUDI」の欧文字からなるものであるから、その構成文字に相応して、「ガウディ」の称呼を生ずるものと認められる。
そして、前記第3によれば、故「Antonio Gaudi(アントニオ ガウディ)」は、スペインの建築家として我が国において一般に知られており、同故人は、「ガウディ」の略称をもって、一般に紹介されていることが認められる。
しかして、本願商標は、上記のとおり、「GAUDI」の欧文字を書してなり、該文字は、「ガウディ」の称呼を生ずるところ、かかる発音から、上記略称を想起するほかに、特定の意味を有する親しまれた語が見いだせないことからすれば、「GAUDI」の欧文字に接する取引者、需要者は、同故人の略称を表したものと理解、把握するとみるのが相当である。
そこで、請求人と同故人との関係についてみるに、両者が何らかの関係を有する者であると認め得る証左はなく、また、当該略称の出願や登録に関して、同故人の遺族等から何らかの承諾等を得た者であるともいえないものであるから、請求人は、同故人とは何ら関係を有することのない者といわざるを得ない。
してみれば、本願商標は、指定商品の取引者、需要者に故「Antonio Gaudi(アントニオ ガウディ)」の略称を表す文字よりなるものと容易に認識させるものであるから、遺族等の承諾を得ることなく本願商標を指定商品について登録することは、著名な死者の名声に便乗し、指定商品についての使用の独占をもたらすことになり、故人の名声・名誉を傷つけるおそれがあるばかりでなく、公正な取引秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものとして、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるといわざるを得ないものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
2 請求人の主張について
請求人は、過去の登録に、「ガウディ」及び「gaudi」の商標登録があり、故「アントニオ ガウディ」とは何ら関係もない商標権者が、上記2つの商標を使用することは、同故人の名声、名誉を傷つけるおそれがなく、我が国の国際的な信頼を損なわず、国際信義に反することはないとされる一方で、請求人が本願商標の使用をすることが同故人の名声、名誉を傷つけるおそれがあり、我が国の国際的な信頼を損ない、ひいては国際信義に反することとなるとされる、特別な事情は存在しない旨主張する。
ところで、平成21年10月5日に開催された、経済産業大臣の諮問機関である産業構造審議会の知的財産政策部会第20回商標制度小委員会において、「歴史上の人物名(周知・著名な故人の人物名)からなる商標登録出願の取扱いについて」が審議、了承され、その取扱いの概要は、以下のとおりである。
(1)歴史上の人物名からなる商標登録出願の審査においては、商標の構成自体がそうでなくとも、商標の使用や登録が社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するような場合も商標法第4条第1項第7号に該当し得ることに特に留意するものとし、次に係る事情を総合的に勘案して同号に該当するか否かを判断することとする。
ア 当該歴史上の人物の周知・著名性
イ 当該歴史上の人物名に対する国民又は地域住民の認識
ウ 当該歴史上の人物名の利用状況
エ 当該歴史上の人物名の利用状況と指定商品・役務との関係
オ 出願の経緯・目的・理由
カ 当該歴史上の人物と出願人との関係
(2)上記(1)に係る審査において、特に「歴史上の人物の名称を使用した公益的な施策等に便乗し、その遂行を阻害し、公共的利益を損なう結果に至ることを知りながら、利益の独占を図る意図をもってした商標登録出願」と認められるものについては、公正な競業秩序を害するものであって、社会公共の利益に反するものであるとして、商標法第4条第1項第7号に該当するものとする。
さらに、対象となる「歴史上の人物名」には、現存する者は含まれず、周知・著名な実在した故人をいい、外国人も含まれる。また、「人物名」には、フルネーム(正式な氏名)も、また、略称・異名・芸名等も含まれ得るが、いずれも特定の人物を表すものとして広く認識されているものでなければならない。(http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/t_mark_giji20.htm 参照)
以上のとおり、商標制度小委員会で了承された上記取扱いをふまえれば、前記第3のとおり、故「Antonio Gaudi(アントニオ ガウディ)」が、スペインの建築家として我が国において一般に知られていること、同故人は、「ガウディ」の略称をもって、一般に紹介されていること、また、上記のとおり、本願商標の登録について、同故人の遺族等の承諾を得ていないことをも勘案すると、本願商標は、これを指定商品について登録することは、著名な死者の名声に便乗し、指定商品についての使用の独占をもたらすことになり、故人の名声・名誉を傷つけるおそれがあるばかりでなく、公正な取引秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものとして、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるというべきである。
なお、請求人は、過去の登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきと主張するが、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するか否かは、査定時又は審決時において、個別具体的に判断されるものであるから、それらの登録例に拘束されるべき理由はない。
したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
また、請求人は、面接を希望する旨述べているが、面接によって、上記認定、判断に影響を及ぼすものとは認め難く、かつ、請求人には、既に意見を述べる機会が与えられているので、あらためて面接することなく判断することにした。
3 むすび
以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-03-29 
結審通知日 2010-03-30 
審決日 2010-04-22 
出願番号 商願2008-5630(T2008-5630) 
審決分類 T 1 8・ 22- Z (X09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 原田 信彦 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 末武 久佳
榎本 政実
商標の称呼 ガウディ 
代理人 石橋 佳之夫 
代理人 西村 啓一 

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