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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X013042
管理番号 1218418 
審判番号 不服2009-612 
総通号数 127 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-01-07 
確定日 2010-06-10 
事件の表示 商願2007-99743拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「日本型バイオ」の文字を標準文字で表してなり、第1類、第30類及び第42類に属する平成19年9月21日付け商標登録願に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同日に登録出願されたものである。その後、指定商品及び指定役務については、原審において同20年2月27日付け手続補正書により、第1類「微生物の発酵代謝物を原材料とする化学剤,米その他の穀類を原料として得られる化学品,その他の化学品,植物成長調整剤類,肥料,試験紙,人工甘味料,工業用粉類,原料プラスチック」、第30類「コーヒー及びココア,菓子及びパン,調味料,穀物の加工品,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,穀物を主成分とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・カプセル状・液体状の加工食品,穀物を発酵して抽出したエキスを主成分とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・カプセル状・液体状の加工食品,穀物から抽出したアミノ酸を主成分とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・カプセル状・液体状の加工食品,茶葉から抽出したアミノ酸を主成分とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・カプセル状・液体状の加工食品,糖類を発酵して得られるアミノ酸を主成分とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・カプセル状・液体状の加工食品,茶葉を主成分とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・カプセル状・液体状の加工食品」及び第42類「気象情報の提供,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『日本型バイオ』の文字を書してなるところ、指定商品・役務との関係においては、全体として、『日本独自のバイオ技術を生かした商品・役務』というほどの意味合いを理解させるにとどまり、これをその指定商品・役務に使用しても自他商品の識別標識として機能し得ず、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識すことができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定し、本願を拒絶したものである。

第3 当審において平成22年1月12日付けで通知した証拠調の要旨
1 本願商標は、願書に記載のとおり、「日本型バイオ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字についての職権による証拠調によれば、以下の事実が認められる。
(1)インターネットの検索エンジン「YAHOO!JAPAN」を用いて、「日本型」の語をキーワードとして検索を行うと、「日本型食生活」、「日本型社会民主主義」及び「日本型風力発電ガイドライン」等を見出しとする情報が多数ヒットし、それらにおいては、「日本型」の語が「日本ならでは、日本独自の」との意味で使用されている。
(2)辞書を用いて、本願商標の一部を構成する「バイオ」の語について調べると以下の記載がある。
ア 辞書「大辞泉(第1版 株式会社小学館)」の「バイオ」の項には、「1 『バイオテクノロジー』の略。 2 他の語の上に付いて、生命の、生物に関する、の意を表す。」との記載がある。
イ 辞書「大辞林(第3版 株式会社三省堂)」の「バイオ」の項には、「1 他の語の上について、生命・生物などの意を表す。 2 バイオテクノロジー。」との記載がある。
ウ 辞書「大きな字のカタカナ新語辞典(第2版 株式会社学習研究社)」の「バイオ」の項には、「1 生命の.生体の.生物の. 2 →バイオテクノロジー. 3 →バイオニクス.」との記載がある。
(3)インターネットにおいて、「日本型バイオ」の語が次のとおり用いられている。
ア「日本型バイオテクノロジー」又は「日本型バイオ技術」として用いられている例
(ア)「老舗にシニシズムは要らない」と称するウェブページにおいて、その6段落目に「これを開発したのが、日本の老舗醤油メーカー・・・。そしてそれが有史以来長らく続いていた羊毛収穫の手法に革命をもたらすことにつながったわけだ。元来が自然のものなので、副作用もない。これを『日本型バイオテクノロジー』と呼ぶそうだ。欧米型の遺伝子操作によるアプローチとは対極を成す。」との記載がある。(審決注:現在は閉鎖されている。)
(イ)インターネット上で、請求人を紹介する「香川県 勇心酒造 株式会社」と称するウェブページにおいて、「お米から日本型バイオ技術の力で生体機能健全化を実現。・・・お米から日本型バイオともいえる技術、すなわち麹菌や酵母などによる発酵法の組合せによりライスパワーエキスを開発しました。」との記載がある。
(ウ)「九州地場中小製造業のための技術経営セミナー●立命館アジア太平洋大学」と称するウェブページにおいて、「■[A]九州地場中小製造業のための技術経営セミナー●立命館アジア太平洋大学」とのタイトルのセミナーの内容紹介で「4 内容:」として、「13:10?14:00 日本型と欧米型バイオテクノロジー」との記載がある。
イ「日本型バイオエタノール」又は「日本型バイオ燃料」として用いられている例
(ア)日本経済新聞出版社の書籍紹介で「日本型バイオエタノール革命-山家公雄」と称するウェブページにおいて、「エネルギーと農業の融合によるバイオエタノール革命。・・・エネルギー事情に精通した著者が日本型バイオエタノール革命の真実に迫る。」との記載がある。
(イ)「アジア・バイオマスエネルギー協力推進オフィス Asia Biomass Office」の「日本型バイオエタノール生産の開発」と称するウェブページにおいて、「バイオエタノールの普及には、草本系や間伐材などの木質系を使ったエタノール化技術がカギを握る。日本での木質系バイオエタノール製造は、その土地条件にあった日本型バイオエタノール生産の研究開発・実用化が進められている。」との記載がある。
(ウ)題号「それでも環境税を払いたくなる本」という書籍を紹介するウェブページには、目次として「日本型バイオエタノール利用方法」との記載がある。
(エ)「日本型バイオ燃料サミット」と称するウェブページにおいて、「開催趣旨 農林水産業は、自然の循環機能を利用しながら営まれる活動であり、・・・。農林水産省では、・・・農林水産分野における資源・環境対策に積極的に取り組んでいるところです。特に、国産バイオ燃料の大幅な生産拡大に向けて、・・・低コストでの安定供給に向けた取組や、食料と競合しない稲わらや間伐材等の非食用資源から効率的にバイオエタノールを生産する『日本型バイオ燃料生産拡大対策』を推進することとしています。・・・」との記載がある。
(オ)「政府公報オンライン」と称するウェブページの「国産バイオ燃料」の項において、「バイオマスの利活用は地球温暖化防止や、循環型社会の形成に貢献するほか、・・・。日本においても、平成18年3月に閣議決定された『バイオマス・ニッポン総合戦略』や平成19年2月に関係府省においてとりまとめられた『国産バイオ燃料の大幅な生産拡大に向けた工程表』にもとづき、食料供給と競合しない稲わらや間伐材等の未利用バイオマスを有効に活用して、『日本型バイオ燃料生産拡大対策』の推進を図ることとしています。」との記載がある。
(カ)「FujiSankeiBusiness i. on the Web」と称するウェブページの「月間エネルギー/月間エネルギー 2007年11月」の項において、「特集1 バイオマス燃料の新展開 ・日本型バイオ燃料の大幅な生産拡大」との記載がある。
2 上記1の事実よりすれば、「日本型」の語は、「日本ならでは」との意味として、また、「バイオ」の語は、「生命の、生物の、生体の」等の意味を有するとともに、「バイオテクノロジー(バイオ技術)」の語の略語としてそれぞれ認識されているものと認められる。
さらに、「日本型バイオ」の語は、「日本型バイオテクノロジー」、「日本型バイオ技術」、「日本型バイオエタノール」及び「日本型バイオ燃料」のように、一般的に使用されているものと認められる。
そうとすれば、本願商標を構成する「日本型バイオ」の文字は、「日本ならではのバイオテクノロジー」との意味を認識させるものとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品及び指定役務中の第1類並びに第3類の全商品及び第42類の指定役務中「医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究」について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、本願商標をそれらの商品及び役務が「日本ならではのバイオテクノロジー(バイオ技術)を利用した商品又は役務」であることを表したもの、すなわち、商品の品質及び役務の質を表示したものと理解するに止まり、自他商品、役務の識別標識として認識し得ないものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。

第4 請求人の意見
請求人は、要旨以下のような主張をしている。
1 証拠調べ通知書には「『日本型バイオ』を『含む』語」の使用例は記載されていても、「日本型バイオ」の語のみが使用されている証拠はあげられていない。
2 「日本型バイオ」の文字は一般的に使用されてはいないし、「日本ならではのバイオテクノロジー」が何を意味するは全く明確ではなく、このような不明確な意味合いは商品自体の「品質」や役務の「質」の表示とは考えられないから、本願商標が、指定商品・役務の品質・質を表示したものと理解するに止まるとする認定は誤りである。

第5 当審の判断
本願商標は、「日本型バイオ」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標に対する当審の判断は、上記第3 2の認定のとおりであり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
ところで、請求人は、上記第4のとおり主張している。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号については、「指定商品の品質、用途を表すものとして取引者、需要者に認識される表示態様の商標につき、そのことのゆえに商標登録を受けることができないとしたものであって、同号を適用する時点において、当該表示態様が、商品の品質、用途を表すものとして現実に使用されていることは必ずしも必要でないものと解すべきである。」(平成13年12月26日 東京高等裁判所 平成13年(行ケ)207号)と判示されているところである。
そして、商標が識別力を有するか否かの判断は、その取引者、需要者の認識を基準に判断すべきものである。
そうとすれば、本願商標を構成する「日本型」及び「バイオ」の各語が、上記第3 1のとおり使用されている事実からすれば「日本型バイオ」の語は、造語とは認識されず、むしろ「日本ならではのバイオテクノロジー」との意味を認識させるものといわざるを得ない。
そして、本願指定商品及び指定役務中、第1類並びに第3類の全商品及び第42類の指定役務中「医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究」は、「バイオテクノロジー(バイオ技術)」と綿密な関係にあるものである。
してみれば、「日本型バイオ」の文字からなる本願商標は、これをその指定商品及び指定役務中、第1類並びに第30類の全商品及び第42類の「医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究」について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「日本型バイオ」の文字をそれらの商品及び役務が「日本ならではのバイオテクノロジー(バイオ技術)を利用した商品又は役務」であることを表したもの、すなわち、商品の品質及び役務の質を表示したものと理解するに止まり、自他商品、役務の識別標識として認識し得ないものといわなければならない。
したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-04-08 
結審通知日 2010-04-13 
審決日 2010-04-28 
出願番号 商願2007-99743(T2007-99743) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X013042)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 前山 るり子井出 英一郎 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 小畑 恵一
馬場 秀敏
商標の称呼 ニッポンガタバイオ 
代理人 葦原 エミ 
代理人 津国 肇 
代理人 山村 大介 

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