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審決分類 審判 全部無効 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y41
管理番号 1218343 
審判番号 無効2009-890009 
総通号数 127 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-07-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-01-19 
確定日 2010-06-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第5047898号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5047898号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第5047898号商標(以下「本件商標」という。)は、「声優検定」の文字を標準文字で書してなり、第41類「声優の適性能力の検定,声優の適性能力の検定試験の企画・運営・実施」を指定役務として平成18年8月11日に登録出願、同19年4月10日に登録査定、同19年5月18日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第64号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)本件商標について
本件商標は、「声優検定」の漢字を標準文字で書してなるところ、その構成中前半部の「声優」の文字は、「ラジオの放送劇、テレビ・映画の吹き替え、アニメーションなどに、姿を見せず声だけで出演する俳優」(「広辞苑第六版」甲第4号証)、「声だけで出演する俳優。ラジオの放送劇や、テレビのナレーション、吹き替えなどをする俳優」(「日本国語大辞典第二版」甲第5号証)、「アニメの登場人物や映画の吹き替えなどの声を演じる俳優」(「大辞林第三版」甲第6号証)を意味する語として一般に知られており、また、後半部の「検定」の文字は、「一定の基準に照らして検査し、合格・不合格・価値・資格などを決定すること。検定試験の略」(「広辞苑第六版」甲第7号証)、「調べてみて決定すること。一定の基準のもとに検査をして、価値、品質、資格などを決めること」(「日本国語大辞典第二版」甲第8号証)、「基準を設け、それに合っているかどうかを検査して、合格・不合格・等級・価値などを定めること。「検定試験」の略」(「大辞林第三版」甲第9号証)を意味する語として一般に知られているところである。
そうすると、「声優検定」の文字を書してなる本件商標は、「声優」の語と「検定」の語とを結合してなるものと容易に理解、認識されるというのが相当であり、全体として「声優の検定」及び「声優に関する検定」等の意味合いを生ずるものである。
(2)「声優検定」の語の使用例
請求人に関係する「声優検定」の語の使用例としては、例えば、以下のようなものがある。
(a)パンフレット、説明書、広告及び試験問題(甲第10号証ないし甲第12号証(枝番を含む。))
(b)インターネットの掲載記事(甲第13号証ないし甲第17号証)
さらに、請求人及び被請求人を除いた第三者に関係する「声優検定」が使用されたインターネットの掲載記事がある(甲第18号証ないし甲第57号証)。
以上のとおり、本件商標「声優検定」の語は、パンフレット、説明文、広告及び試験問題並びにインターネットの掲載記事中において、「声優の検定(試験)」及び「声優に関する検定(試験)」等の意味合いで広く使用されている事実が認められる。
(3)「声優検定」の語と本件商標の指定役務との関係
本件商標は、上記のとおり、第41類「声優の適性能力の検定、声優の適性能力の検定試験の企画・運営・実施」を指定役務とするものである。
しかして、上記(1)及び(2)を踏まえると、本件商標に接する取引者、需要者は、その指定役務との関係において、本件商標を構成する「声優検定」の文字を、「声優能力の検定(試験)」及び「声優を目指す人に対する能力の検定(試験)」等の意味合いの語として直ちに理解、認識するというべきである。
(4)ちなみに、それぞれ語義を有する漢字のみを結合してなる商標について、これまでの判決例をみると、例えば、平成12年(行ケ)第76号において「『負圧燃焼焼却炉』との語は、仮に、それ自体としては造語であるとしても、それを構成する各単語の語義から前示意味合いを有する複合語として認識されるものであるから、原告らの該主張を採用することはできない。しかして、本願商標は、指定商品を『焼却炉』とするものであるから、本願商標から前示『負圧を利用して空気吸入し燃焼させる焼却炉』との意味合いが生じるものとすれば、本願商標を指定商品に用いた場合には、これに接する取引者、需要者は、本願商標につき、当該商品がそのような機構の焼却炉であることを表したものと理解するにすぎないと認められる。」旨判示されているところである(甲第58号証)。
(5)さらに構成中に「検定」の文字又はそれに類する文字を有してなる商標について、これまでの審決例をみると、例えば、次のような審決が存在する。
(a)平成10年審判第18252号審決(甲第59号証)
(b)平成10年審判18251号審決(甲第60号証)
(c)不服2004-11385審決(甲第61号証 )
(d)平成11年審判19110号審決(甲第62号証)
(e)不服2000-20015審決(甲第63号証)
(f)不服2005-14691審決(甲第64号証)
(6)以上を総合すると、「声優検定」の漢字を標準文字で書してなる本件商標は、これをその指定役務に使用するときは、その登録査定時はもとよりそれ以前から、その役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみかのなる商標に該当しているというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすべきである。

3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第19号証を提出している。
(1)請求人の主張は何らの根拠にも基づかないものであって理由がない。
(2)本件商標と同構成の登録商標について、特許電子図書館(IPDL)を用い、IPDLの商標検索で、商標「?検定」及び類似群コード「41A01」として検索したところ360件がヒットした(乙第1号証)。そのうち検索結果一覧(乙第2号証)に示すように登録商標は本件商標も含めて236件(うち本件商標よりも後に登録となったもの101件)であった。なお、類似群コード「41A01」は「試験及びその実施等」を含むものである。
そして、236件の登録商標のうち、文字商標であると共に本件商標と同様の構成の結合商標であり、かつ指定役務中に検定試験(の実施)を含むものを抽出したところ61件であった。また、そのうち標準文字のものは52件であった。
これら本件商標を含む236件の登録商標は、いずれも商標法第3条第1項第3号の規定に該当しないものとして特許庁において認定判断されて登録されたものであり、これらの判断に反する請求人の主張論理は到底受け入れ難きものであり、これまでの審査運用基準をことごとく覆すものである。
(3)そこで、本件商標について見てみると、本件商標登録査定時(平成19(2007)年4月10日)において、本件商標「声優検定」の語が本件指定役務である「声優の適正能力の検定、声優の適正能力の検定試験の企画・運営・実施」について具体的な質等を表示するものとして普通に使用されていた事実はどこにも認められない。ここで、改正商標審査基準(平成19年4月適用)第4ページ(乙第5号証)には「1.第3条第1項の規定に該当するか否かの判断時期は、査定時とする。」と記載されている。つまり、「判断基準は査定時」である。
その根拠としては、まず、本件商標に係る商標登録出願に対して、出願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとの拒絶理由通知(乙第6号証)を受け、それに対して提出した意見書(乙第7号証)において、「これを本願商標について見てみますと、本願商標である「声優検定」の文字が本願の指定役務である「声優の適性能力の検定、声優の適性能力の検定試験の企画・運営・実施」について具体的な質等を表示するものとして普通に使用されている事実はどこにも認めることはできません。」との反論をし、それが認められて登録査定(乙第8号証)となったという事実がある。
また、請求人に由来する甲第10号証の1及び甲第17号証には「しかしながら、声優を養成する環境においては、声優の能力を客観的に評価する基準がないのが現状でもあります。」と記載されている。甲第10号証の1の日付は不明であるが、甲第17号証中に「『声検』は日本声優能力認定協会の登録商標です(登録番号5097055号)」と記載されていることから、その公開日は当該商標の登録日以降である。そして、当該登録商標情報(乙第9号証)によれば、当該商標登録日は平成19(2007)年12月7日である。したがって、これらのことから、少なくとも本件商標登録査定時以降の少なくとも2007年12月頃までは声優の適性能力の検定自体が存在していなかったことが推認される。
さらに、請求人は、審判請求書において「以上のとおり、本件商標『声優検定』の語は、パンフレット、説明文、広告及び試験問題並びにインターネットの掲載記事中において、『声優の検定(試験)』及び『声優に関する検定(試験)』等の意味合いで広く使用されている事実が認められる。」と主張し、甲第10号証の1ないし甲第57号証の多数の証拠を示しているものの、本件登録査定時において、本件商標「声優検定」の語が本件指定役務である「声優の適性能力の検定、声優の適性能力の検定試験の企画・運営・実施」について具体的な質等を表示するものとして普通に使用されていた事実を証明するものは何もない。
具体的には、甲第10号証の1ないし甲第57号証は、まず、いずれも正確な日付が確定されるものではないことから証拠能力が無く、また、仮に表示された日付に基づいて判断したとしても、次ページの表に示すように、その大半が本件商標登録査定後の日付であり、しかも、大半が「声優検定」の語を「声優に関するクイズ」について使用したものである。そして、表示された日付が登録査定時より前でかつ「声優検定」の語を「声優能力試験」について使用した甲号証は存在しない。
以上のことから、本件商標「声優検定」は、本件登録査定時において、本件指定役務「声優の適正能力の検定、声優の適正能力の検定試験の企画・運営・実施」について具体的な質等を表示するものとして普通に使用されている事実が認められず、したがって、これを指定役務に使用しても自他役務の識別標識として十分に機能を果たし得るものである。
(4)請求人は、審判請求書において「本件商標に接する取引者、需要者は、その指定役務との関係において、本件商標を構成する「声優検定」の文字を、「声優能力の検定(試験)」及び「声優を目指す人に対する能力の検定(試験)」等の意味合いの語として直ちに理解、認識するというべきである。」、つまり、本願登録商標が品質表示に該当する旨をも主張する。
しかしながら、本件商標「声優検定」は、これから「適正能力」の意味合いを直接的かつ一義的に導くことができるものではない。
例えば、上記検証した甲第10号証の1ないし甲第57号証では、大半が「声優検定」の語を「声優に関するクイズ」について使用している。なお、さらに細かく分類すると、「声優に関するクイズ」は、特定のアニメ等のキャラクターを当てる問題を出題するもの、特定の声優についての知識を問う問題を出題するもの等に分かれる。
また、甲第17号証は請求人のWEBページを示すものであるが、そこには「声優検定?声優能力認定試験?とは」と記載されている。つまり、これは、「声優検定」単独では、その内容を理解できないので、「声優能力認定試験」と説明を付け加えたものと理解される。
したがって、取引者、需要者が本件商標を本件指定役務の意味合いの語として直ちに理解、認識するとの請求人の上記主張には理由がない。
(5)次に、甲第58号証ないし甲第64号証の判例及び審決例について述べる。
(a)請求人は、甲第58号証に基づいて、「そうすると、・・・(中略)・・・してなる本件商標『声優検定』も、その指定役務を『声優の適正能力の検定、声優の適正能力の検定試験の企画・運営・実施』とするものであるから、本件商標をその指定役務に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、該語を『声優能力の検定(試験)』及び『声優を目指す人に対する能力の検定(試験)』等の意味合いの語として直ちに理解、認識するばかりでなく、その提供にかかる役務が『声優の適正能力の検定(試験)』及び『声優を目指す人に対する適性能力の検定(試験)』並びに『声優の適正能力の検定試験の企画・運営・実施』及び『声優を目指す人に対する適性能力の検定試験の企画・運営・実施』等であることを表示したものと直ちに、理解、認識するというべきである。」と主張する。
しかしながら、上述したとおり、本件商標「声優検定」からは「適正能力」の意味合いが直接的かつ一義的には導かれない。これに対し、甲第58号証の「負圧燃焼焼却炉」からは負圧を利用して燃焼させる焼却炉の意味のみが直接的かつ一義的に導かれる。
このように、甲第58号証の商標は本件商標とは構成が相異し、両者を同一視することはできない。したがって、甲第58号証の商標が品質等表示に該当することを根拠として本件商標が質等表示に該当するとした請求人の上記主張には理由がない。
(b)請求人は、甲第59号証ないし甲第64号証の審決例に基づいて、「そうすると、本件商標は、『声優検定』の漢字を標準文字で書してなるものであるから、これをその指定役務『声優の適正能力の検定、声優の適正能力の検定試験の企画・運営・実施』に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、該語を『声優能力の検定(試験)』及び『声優を目指す人に対する能力の検定(試験)』等の意味合いの語として直ちに理解、認識するばかりでなく、その提供にかかる役務が『声優の適正能力の検定(試験)』及び『声優を目指す人に対する適性能力の検定(試験)』並びに『声優の適正能力の検定試験の企画・運営・実施』及び『声優を目指す人に対する適性能力の検定試験の企画・運営・実施』等であることを表示したものと直ちに、理解、認識するというべきであり、単に役務の質(内容)を表示したにすぎないというのが相当である。」と主張する。
しかしながら、本件商標「声優検定」は、本件商標登録査定時において、それを本件指定役務について具体的な質等を表示するものとして普通に使用された事実が認められず、また、「適正能力」の意味合いが直接的かつ一義的には導かれないことから、質(内容)表示には該当しないことは繰り返し述べたとおりである。
これに対し、前記審決の商標は、審決時における使用状況が本件商標の査定時の状況とは相異するか、或いは、その商標の構成が本件商標とは相異し、両者を同一視することはできないものである。したがって、甲第59号証ないし甲第64号証の商標が品質等表示に該当することを根拠として本件商標が質等表示に該当するとした請求人の上記主張には理由がない。
(6)以上に述べたとおり、本件商標は、本件指定役務の質(内容)を表示するにすぎず、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすべきであるとの請求人の主張は何らの根拠にも基づかないものであって全く理由がない。

4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であっても、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(最高裁昭和53年(行ツ)第129号、昭和54年4月10日第三小法廷判決)。
商標登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号にいう「役務の提供の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するというためには、必ずしも当該指定役務が現実に提供されていることを要せず、需要者又は取引者によって、当該指定役務が提供されているであろうと一般に認識されることをもって足りるというべきであると解される(最高裁昭和60年(行ツ)第68号、昭和61年1月23日第一小法廷判決参照)。
(2)本件商標は、上述したとおり、「声優検定」の漢字を標準文字で書した構成よりなるものである。その構成中の「声優」の語については、2001年7月20日株式会社小学館発行「日本国語大辞典 第二版 第七巻」には「声だけで出演する俳優。ラジオの放送劇や、テレビのナレーション、吹き替えなどをする俳優。」と記載されていること(甲第5号証)、2006年10月27日株式会社三省堂発行「大辞林 第三版」には「アニメの登場人物や映画の吹き替えなどの声を演じる俳優。」と記載されていること(甲第6号証)が認められる。また、同じく「検定」の語については、2001年5月20日株式会社小学館発行「日本国語大辞典 第二版 第五巻」には「調べてみて決定すること。一定の基準のもとに検査をして、価値、品質、資格などを決めること。」と記載されていること(甲第8号証)、前記「大辞林 第三版」には「基準を設け、それに合っているかどうかを検査して、合格・不合格・等級・価値などを定めること。『検定試験』の略。」と記載されていること(甲第9号証)が認められ、「声優」及び「検定」の語が一般に知られていることについては争いがない。
そうとすると、「声優検定」の語は、「声優に関する検定」の意味合いを認識させるものであるということができる。
そして、本件商標の指定役務は、第41類「声優の適性能力の検定,声優の適性能力の検定試験の企画・運営・実施」であるところ、「声優検定」の語を上記指定役務の関係においてみるならば、これに接する取引者、需要者は、容易に「声優の能力の検定(試験)」の意味合いを認識するというのが相当である。
したがって、本件商標は、役務の質(内容)を表示するにすぎず、自他役務の識別力を有しないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(3)被請求人の主張について
(ア)被請求人は、本件商標の登録査定時において、「声優検定」の語が本件指定役務について具体的な役務の質等を表示するものとして普通に使用されていた事実はどこにもない、また、本件登録査定時以降、少なくとも2007年12月ころまでは声優の適正能力の検定自体が存在しなかったと推認できるとし、本件商標は、その指定役務に使用しても自他役務の識別標識として十分に機能を果たし得るものである旨主張している。
確かに、甲第10号証ないし甲第11号証によれば、請求人は、滑舌(早口言葉)、朗読などによる声優としての能力についての検定(以下「声優能力検定」という。)を2008年8月15日よりスタートしたことが認められ、被請求人も2006年8月11日に本件商標に係る登録出願をし、声優能力検定実施の準備を進め、2008年12月13日に「第1回声優検定試験3級」を実施したことが認められる(乙第11号証)が、本件商標の登録査定時前において、声優能力試験が行われたことを認めるに足る証左はない。 しかしながら、上述したとおり、「声優」の語が「ラジオの放送劇、テレビ・映画の吹き替え、アニメーションなどに、姿を見せず声だけで出演する俳優。」を意味するものとして広く知られていたと認められ、かつ、「検定」の語が「一定の基準に照らして検査し、合格・不合格・価値・資格などを決定すること。検定試験の略。」を意味するものとして広く知られ、更に「検定試験」とは、「特定の資格を与えるか否かを検定するために行う試験」(広辞苑第5版)であるから、「検定」の語は、その能力を検査する検定試験であることを容易に認識させ得るものであることに加え、「検定」の語にその検定の対象を表す語を冠して検定試験を表すことは、例えば「英語検定」、「珠算検定」、「暗算検定」、「秘書検定」などのように各種の能力検定試験が相当以前から実施されされていることは周知の事実であることを併せ考慮すると、本件商標「声優検定」をその指定役務「声優の適性能力の検定,声優の適性能力の検定試験の企画・運営・実施」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、役務の出所を表示するものとして認識するというよりは、声優の能力検定試験そのものを想起、理解するものと推察され、役務の質(内容)を表示するにすぎないというのが相当である。
(イ)被請求人は、「声優検定」の語が特定のアニメのキャラクターを当てる問題を出題するものや特定の声優についての知識を問う問題を出題するもの等「声優に関するクイズ」について使用されていること、請求人のWEBページ(甲第17号証)に「声優検定?声優能力認定試験?とは」と記載されているのは、「声優検定」単独では、その内容を理解できないので、「声優能力認定試験」と説明を付け加えたものと理解されるとして、取引者、需要者が本件商標を本件指定役務の意味合いの語として直ちに理解、認識するということはない旨主張している。
確かに甲第18号証ないし甲第57号証には、特定のアニメのキャラクターを当てる問題を出題するものや特定の声優についての知識を問う問題を出題するものなどの「声優に関する知識を問うクイズ(試験)」について、その使用開始時期は定かでないものの「声優検定」と称し、甲第36号証のように「合格条件:10問正解」などとされているものが認められ、「声優検定」の語が、「声優に関する知識を問うクイズ(試験)」を認識する場合があることは否定できない。
しかしながら、「検定」の語は「一定の基準に照らして検査し、合格・不合格・価値・資格などを決定すること。検定試験の略。」を意味するものであるから、「検定」の語により、どのような能力を有するか、その能力がどのような水準かを判定することは当然想定されることから、「声優検定」の語から「声優能力検定」の意味合いも無理なく認識し得るというべきであり、本件指定役務の関係においては、「声優能力検定」の意味合いを認識する場合も少なくないというのが相当である。
してみれば、被請求人の主張はいずれも採用できない。
(4)以上のとおり、本件商標の登録は、商標法商標法第3条第1項第3号の規定に違反してされたと認められるから、同法第46条第1項により、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-09-03 
結審通知日 2009-09-08 
審決日 2009-09-24 
出願番号 商願2006-75641(T2006-75641) 
審決分類 T 1 11・ 13- Z (Y41)
最終処分 成立  
前審関与審査官 田中 亨子平山 啓子 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 岩崎 良子
内山 進
登録日 2007-05-18 
登録番号 商標登録第5047898号(T5047898) 
商標の称呼 セーユーケンテー 
代理人 嶋田 高久 
代理人 杉浦 靖也 
代理人 杉浦 靖也 
代理人 前田 弘 
代理人 今江 克実 
代理人 竹内 宏 
代理人 嶋田 高久 
代理人 今江 克実 
代理人 竹内 祐二 
代理人 竹内 祐二 
代理人 前田 弘 
代理人 竹内 宏 
代理人 岩内 三夫 

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