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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X33
審判 全部申立て  登録を維持 X33
審判 全部申立て  登録を維持 X33
審判 全部申立て  登録を維持 X33
管理番号 1216488 
異議申立番号 異議2009-900328 
総通号数 126 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2010-06-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2009-08-24 
確定日 2010-04-19 
異議申立件数
事件の表示 登録第5232706号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5232706号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5232706号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成20年10月27日に登録出願、第33類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成21年4月10日に登録査定、同年5月22日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由の要点
(1)引用商標の周知著名性について
ア 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、1849年に誕生したオレンジの皮から造られる「ホワイトキュラソー(リキュール)」(以下「申立人商品」という。)の生産、販売を行う企業であるところ、その業務に係る申立人商品について、以下の商標を使用している。
(ア)登録第4060930号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成7年6月14日に登録出願、第33類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成9年9月26日に設定登録され、その後、平成19年7月17日に商標権存続期間の更新登録がされ、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
(イ)国際登録第837454号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、2004年3月12日にフランス国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して2004(平成16)年8月31日に国際登録、第33類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、我が国において平成17年8月19日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
(ウ)引用商標1を立体化した未登録商標(以下「引用商標3」という。)。
(上記(ア)?(ウ)の商標をまとめていうときは、以下、単に「引用商標」という。)
イ 申立人商品は、洗練された味わいとオレンジのほのかな香りが数多くのバーテンダーに評価され、マルガリータ、ホワイトレディ、サイドカーなどのカクテルに愛用されており、我が国においても、洋酒輸入商社であるマキシアム・ジャパン株式会社及びアサヒビール株式会社を通じて輸入販売され、現在では、申立人の子会社であるREMY COINTREAU JAPAN株式会社を通じて輸入販売されている。また、申立人商品は、国際コンクールで各種の賞を受賞した。さらに、申立人商品の全世界における、(a)販売本数、(b)正味売上高、(c)広告費は、2006年?2007年は、(a)1498万本、(b)約123億9000万円、(c)約34億円であり、2007年?2008年は、(a)1525万本、(b)約126億7000万円、(c)約34億4000万円である。その他、申立人商品は、カンヌ映画祭の公式カクテルとしても採用されたり、米国の有名なTVドラマで出演する女優が好んで飲む酒としても登場した。
その結果、申立人商品に使用される引用商標は、本件商標の出願前より、申立人の業務に係る商品である商品「リキュール」を表示するものとして、日本及び世界中の需要者に認識され、周知著名なものとなっている。
(2)商標法第4条第1項第11号
本件商標は、引用商標1及び2と外観において類似するものであって、本件商標の指定商品は、引用商標1及び2の指定商品と同一又は類似する商品である。
(3)商標法第4条第1項第10号
本件商標は、周知著名な引用商標3に類似する商標であり、引用商標3が長年にわたり使用されてきた商品「リキュール」は、本件商標の指定商品と抵触するものである。
(4)商標法第4条第1項第15号
本件商標は、周知著名な引用商標3と外観において類似しており、本件商標が付された商品は、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、申立人商品との間に、商品の出所の混同を生ずるおそれがある。
(5)商標法第4条第1項第19号
本件商標に接する需要者は、引用商標の周知著名性から引用商標を想起するものであり、本件商標の商標権者は、周知著名な引用商標の形状を模倣して、引用商標の顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)する目的で本件商標を使用するものである。
(6)むすび
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号及び同第19号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲(1)のとおり、立体的形状部分と、該立体的形状部分の正面に横書きされた「Citronge」の文字(「o」の文字部分には、アクサンテギュが付されている。以下同じ。)とを結合した構成よりなる商標である。そして、本件商標中の立体的形状部分は、指定商品との関係からみて、直方体の上部に内容物の注ぎ口である首状部を設けた包装容器の形状といえるものであり、4つの側面の接合部は、直角ではなく、それぞれの角を切り落としたように細長い面を形成している。また、首状部と各側面の間には、首状部に沿って2つの円輪郭が描かれている。
以上によると、本件商標中の立体的形状部分のうち、容器の各側面にある角の切り落とし部分や首状部の下部にある2つの円輪郭は、極めてありふれた形状のものといえるから、本件商標中の立体的形状部分は、構成全体としても、商品(アルコール飲料等)の包装容器として、同種商品が一般的に採用し得る範囲内のものであって、予測し難いような特異な形状や特別な印象を与えるものということはできない。
そうとすれば、本件商標中の立体的形状部分は、商品の包装容器の形状そのものを表したと認識されるにとどまるものと認められるから、自他商品の識別標識としての機能を有しない部分であるといわなければならない。
してみると、本件商標に接する需要者は、その構成中、造語を表したと理解される「Citronge」の文字部分を捉えて、これより生ずる称呼をもって商品の取引に当たるとみるべきである。
したがって、本件商標よりその構成中の立体的形状部分を分離、抽出し、これが独立して自他商品の識別標識としての機能を有することを前提にして、本件商標と引用商標1及び2とが外観上類似するとする申立人の主張は、前提において、既に失当といわなければならない。その他、本件商標と引用商標1及び2とが類似するとみるべき特段の理由は見出せない。
以上によれば、本件商標は、引用商標1及び2とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当しないものと認める。
(2)商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号について
ア 引用商標3の周知著名性について
(ア)申立人の提出した甲第2号証の3ないし甲第8号証及び甲第9号証の2によれば、以下の事実を認めることができる。
申立人は、オレンジの皮から造られる「ホワイトキュラソー(リキュール)」(申立人商品)の生産、販売を行う企業であること。申立人商品は、甲第2号証の3に示す引用商標3と同一の構成態様の包装容器、すなわち、容器正面に「COINTREAU」の文字が大きく表示されたレッテルが貼付された、茶色がかった透明の容器に収納されていること。申立人商品は、本件商標の登録出願前より、我が国において、輸入・販売業者であるマキシアム・ジャパン株式会社やアサヒビール株式会社によって、若い女性を購読対象としたファッション関連の雑誌等に盛んに広告がされたこと。これらの広告には、「COINTREAU」、「コアントロー」の文字と共に、引用商標3の正面を写した写真が掲載され、若い女性のおしゃれ感覚を刺激するような「カンヌとコアントローのセレブな関係」などの文面をもって、申立人商品を使用したカクテルを紹介する内容のものであったこと。申立人商品は、本件商標の登録出願前である2007年?2008年において、全世界の販売本数が1525万本、正味売上高が約126億7000万円、広告費は約34億4000万円であったこと。
(イ)ところで、引用商標3における立体的形状部分は、甲第2号証の3に示す引用商標3がやや不鮮明であること、雑誌等の広告に示された申立人商品の写真(甲6、甲7、甲9の2)は、容器の正面を写した写真のみであることから、その全体の形状は明確には把握し難いところであるが、甲第2号証の3及び雑誌等の広告に示された写真を見る限りにおいては、本件商標中の立体的形状部分と同様に、酒の包装容器として、同種商品が一般的に採用し得る範囲内のものであって、予測し難いような特異な形状や特別な印象を与えるものということはできないから、引用商標3中の立体的形状部分は、商品の包装容器の形状そのものを表したと認識されるにとどまるものといわなければならない。
そして、上記(ア)で認定した広告においても、「COINTREAU」ないし「コアントロー」の文字が看者の注意を強く引くものとなっていることを併せ考慮すれば、「COINTREAU」の文字ないし「コアントロー」の文字は、我が国の若い女性を中心とした需要者をはじめ、洋酒を取り扱う飲食関連の取引者の間においては、広く認識されていたものと推認することができるから、引用商標3に接する需要者は、その構成中の「COINTREAU」の文字部分を捉えて、これより生ずる称呼をもって商品の取引に当たるとみるべきである。他に、引用商標3中の立体的形状部分のみが独立して周知著名性を獲得したと認めるに足る証拠の提出はない。
してみれば、引用商標3中の立体的形状部分は、独立して自他商品の識別標識としての機能を有するものではなく、また、「COINTREAU」ないし「コアントロー」の文字と分離、独立して周知著名性を獲得したものとも認めることができない。
イ 前記(1)認定のとおり、本件商標中の立体的形状部分は、自他商品の識別標識としての機能を有しない部分であるから、本件商標は、引用商標3と外観上類似する商標ということもできないし、他に本件商標と引用商標3とが類似するとみるべき特段の理由も見出せない。
したがって、本件商標は、引用商標3とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
ウ 以上によれば、引用商標3中の立体的形状部分が、独立して自他商品の識別標識としての機能を有し、これが周知著名性を獲得していたこと、及び、本件商標中の立体的形状部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を有することを前提に、本件商標が商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に該当するとする申立人の主張は、前提において誤りがあり、失当というべきものである。
そうとすれば、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、該商品が申立人又はこれと業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標と認めることはできないし、また、本件商標は、不正の目的をもって使用するものということもできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号のいずれにも該当しない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号及び同第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(1) 本件商標


別掲(2) 引用商標1(色彩については原本参照)


別掲(3) 引用商標2(色彩については原本参照)


異議決定日 2010-03-31 
出願番号 商願2008-86964(T2008-86964) 
審決分類 T 1 651・ 25- Y (X33)
T 1 651・ 26- Y (X33)
T 1 651・ 272- Y (X33)
T 1 651・ 271- Y (X33)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大森 健司 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 内山 進
岩崎 良子
登録日 2009-05-22 
登録番号 商標登録第5232706号(T5232706) 
権利者 パトロン スピリッツ インターナショナル アクチェン ゲゼルシャフト
代理人 田島 壽 
代理人 原 隆 
代理人 中山 健一 
代理人 青木 篤 

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