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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200733414 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商4条1項7号 公序、良俗 登録しない X30
管理番号 1216392 
審判番号 不服2009-6939 
総通号数 126 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-04-02 
確定日 2010-04-30 
事件の表示 商願2008-57853拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「世界に一つだけの花」の文字を横書きしてなり、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、平成20年7月15日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『世界に一つだけの花』の語からなり、テレビドラマの主題歌として使用されたアルバムからの曲のタイトルと認める。しかして、この曲は200万枚を超えるミリオンセラーの2003年を象徴する曲であり、2004年JASRAC賞(日本著作権賞)の金賞を受賞した、一般にも広く知られた曲のタイトルである。そうすると、これを当該楽曲関係者と関係のない出願人が商標として採択・使用することは、穏当でない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、上記1のとおり「世界に一つだけの花」の文字を横書きしてなるところ、既成の熟語とはいえず、一種の造語と認められ、該構成文字より「セカイニヒトツダケノハナ」の称呼及び「世界に一つしかない花」程の観念を生じるものである。
(2)「世界に一つだけの花」の楽曲(以下「引用楽曲」という。)の著名性について
フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」の「世界に一つだけの花」の項の記載によれば、以下の事実が認められる。
ア 2002年7月24日に発売されたオリジナルアルバム『SMAP 015/Drink! Smap!』 の収録曲。
イ 2003年3月5日、「世界に一つだけの花(シングル・ヴァージョン) 」としてシングルカットされた同曲は、SMAPの楽曲として、ビクターエンタテインメントから発売された。作詞・作曲・編曲は槇原敬之氏で後に槇原氏自身もセルフカバーした。
ウ クラシック・ジャズのアレンジを行い、2009年12月18日から2010年1月11日までの期間限定で「SMAP SHOP」にて販売された。
エ 2003年12月のNHKの『第54回NHK紅白歌合戦』とフジテレビ系列の『2003 FNS歌謡祭』の大トリを飾った。
オ 上記の効果もあり、2004年の年初頭のオリコンシングルチャートで返り咲き1位(翌週も1位)を獲得し、その後も、ロングヒットを続けた。
カ 2004年春、第76回選抜高等学校野球大会では開会式の入場行進曲に選ばれた。
キ 2005年12月のNHKの『第56回NHK紅白歌合戦』で歌われた効果で、翌2006年初頭、引用楽曲のシングルがオリコンチャートトップ100となった。
ク 2009年12月の『2009 FNS歌謡祭』のトリで歌唱された。また、『第60回NHK紅白歌合戦』でも歌唱された。
ケ オリコン歴代シングルセールス9位。アルバムからのシングルカットされた曲では歴代1位。2009年現在、オリコン調査において21世紀で最も売れたシングルCDである。
(3)請求人の主張(要旨)
ア 著作物の題号それ自体は著作権法ですら保護対象となっていない。
イ 「世界に一つだけの花」の文字は、曲のタイトルを離れた観念をも生じるものであり、前記歌のタイトルにのみ通じるものではない。
ウ 本願商標は、その構成自体が、きょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与える様な文字からなるものではないことはもとより、これをその指定商品について使用することが、社会公共の利益に反し、または社会の一般的道徳観念に反するものということもできず、さらに他の法律によって使用が禁止されているものとも認められないものである。
エ 一般に広く知られた歌のタイトルに通じる文字からなる商標の登録例は多数あり、かつ、これらについては、その登録に至る経過において、公の秩序または善良の風俗を害するおそれがある旨の拒絶の理由が示された形跡すらないものが存在する。
(4)商標法第4条第1項第7号について
商標法は、不正競争防止法と並ぶ競業法であって、登録商標に化体された営業者の信用の維持を図ると共に、商標の使用を通じて商品又は役務に関する取引秩序を維持することが目的とされている。そして、商標法第4条第1項第7号は、前記目的を具現する条項の一つとして「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標は、商標登録を受けることができない。」旨を規定している。
しかして、過去の審決例及び判決例によれば、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、「その商標の構成自体が矯激、卑隈な文字、図形である場合及び商標の構成自体がそうでなくとも、その時代に応じた社会通念に従って検討した場合に、当該商標を採択し使用することが社会公共の利益に反し、または社会の一般的道徳観念に反するような場合、あるいは他の法律によってその使用が禁止されている商標、若しくは国際信義に反するような商標である場合」も含まれるものと解されている。
そして、商標法の目的が、「商標の使用を通じて商品又は役務に関する取引秩序を維持すること」にあることよりすれば、上記の「社会の一般的道徳観念に反する場合」には、「模倣又は剽窃などにより、公正な取引秩序を乱すおそれがある場合」も含まれるというべきである。
(5)まとめ
引用楽曲は、2003年3月5日にシングルヴァージョンが発売されて以来、同年5月には200万枚と突破し、JASRAC賞を2004年(金賞)、2005年(金賞)、2006年(銅賞)を獲得し、2003年、2005年、2007年及び2009年の紅白歌合戦で歌唱される程に国民的な歌謡曲と認められる。
そうすると、需要者間に広く知られ周知・著名となっている引用楽曲のタイトル及び歌詞中のフレーズに本願商標と同一と認められる「世界に一つだけの花」の文字を、その作詞家、作曲家、実演者及び関係者と何ら関係のない請求人が、その指定商品について登録、使用することは、本願商標の登録出願前よりその周知著名性が継続している引用楽曲のもつ顧客吸引力に便乗し、本願商標を採択したといわざるを得ないから、社会の一般的道徳観念に反するものであって、社会的妥当性を欠き、公正であるべき商取引の秩序を乱すおそれがあるものといわなければならない。
(6)むすび
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-02-25 
結審通知日 2010-03-02 
審決日 2010-03-15 
出願番号 商願2008-57853(T2008-57853) 
審決分類 T 1 8・ 22- Z (X30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 福島 昇 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 瀧本 佐代子
馬場 秀敏
商標の称呼 セカイニヒトツダケノハナ 
代理人 河野 生吾 
代理人 河野 誠 

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