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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X31
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X31
管理番号 1216303 
審判番号 不服2009-7707 
総通号数 126 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-04-09 
確定日 2010-04-15 
事件の表示 商願2007-120133拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「琴弾山の自然薯」の文字を書してなり、第31類「自然薯」を指定商品として、平成19年11月30日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『琴弾山の自然薯』の文字を書してなるところ、その構成中、『琴弾山』の文字部分は『香川県観音寺市に位置する山(58m)』を意味し、また、『自然薯』は、『自然生(じねんじょう)の転。栽培されているナガイモに対して、自生しているヤマノイモの称。』の意味を有するものであり、かつ、商品の普通名称を表すものであることから、本願商標よりは全体として『琴弾山又はその山麓・周辺で産出された自然薯』であるとしか認識し得ないものといわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記『琴弾山又はその山麓・周辺で産出された自然薯』以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるため、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、「琴弾山の自然薯」の文字を書してなるところ、構成中の「琴弾山」の文字は、「香川県西部,観音寺市(かんおんじ)市。財田川(さいたがわ)河口北岸の陸繋島。付近の海岸は琴弾公園となり,砂絵『寛永通宝』の大銭形(周 345m),山麓に四国八十八ケ所第68番札所の神恵院,第69番の観音寺,山崎宗鑑の一夜庵がある。」等(コンサイス日本地名事典〈第5版〉 株式会社三省堂発行)の地名を表し、「自然薯」の文字は、本願の指定商品を表すものである。
(2)請求人の主張について
請求人は、当審において、構成中の「琴弾山」で自然薯が自生し、または栽培され、同山及びその周辺地域が自然薯の産地として一般の需要者に知られている事実が見当たらないこと。加えて、著名な観光地として認識されているとはいい難いことから、そこで自然薯が生産され、販売されているであろうと認識される蓋然性もない旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号の適用に関しては、「商標登録出願に係る商標が商標法3条1項3号にいう『商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標』に該当するというためには、必ずしも当該指定商品が当該商標の表示する土地において現実に生産され又は販売されていることを要せず、需要者又は取引者によって、当該指定商品が当該商標の表示する土地において生産され又は販売されているであろうと一般に認識されることをもって足りるというべきである」(昭和61年1月23日 最高裁昭和60年(行ツ)第68号)、「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである」(平成12年9月4日 東京高裁平成12年(行ケ)第76号)と判示されていること及び以下の3(3)、(4)の実情を併せ考慮すれば、請求人の主張は採用することはできない。
(3)以下の新聞記事情報及びインターネット情報において、香川県で「自然薯」が、販売、栽培等されている事実について
ア 「立派に成長、喜び 自然薯の収穫始まる まんのう/香川県」
(朝日新聞 2009.11.27 大阪地方版/香川 32頁)
「まんのう町で26日、特産の自然薯(じねんじょ)の収穫が始まった。1メートルにも達する長いものもあり、農家の人たちが笑顔を見せた。」と記載されている。
イ 「自然な甘みPR、自然薯販売開始 さぬき、南川自然の家 /香川県」
(朝日新聞 2008.11.28 大阪地方版/香川 29頁)
「お歳暮やおせち料理の食材として人気がある自然薯(じねんじょ)の販売が23日、さぬき市大川町南川の南川自然の家で始まった。さぬき市の特産で、会場では地元生産者から調理法などの助言を受けることができる。」と記載されている。
ウ 「[エコいずむ]香川・さぬき市 南川自然薯研究会/転作田生かし栽培推進」(2007.08.09 日本農業新聞 12頁)
「香川県さぬき市大川町の南川自然薯(じねんじょ)研究会は、ヤマノイモ(ジネンジョ)栽培を通じて遊休農地の増加を食い止めている。収穫したジネンジョは、地区の直売所や年に一度の『自然薯まつり』で全量を直売する。高齢化が進み、担い手は減る一方だが、“売れる農作物”を育てることで、地区には遊休農地がほとんどない。ジネンジョが農地の荒廃を防ぎ、中山間地を守っている。」と記載されている。
エ 「じねんじょ、割安に殺到 さぬき特産 /香川県」
(朝日新聞 2006.12.04 大阪地方版/香川 28頁)
「地元特産の『じねんじょ』をもっと多くの人にPR??。『南川じねんじょまつり』が3日、さぬき市大川町南川の『南川自然の家』で開かれた。南川地区の農家でつくる『南川自然薯(じねんじょ)研究会』の主催で、今年で6回目。・・・じねんじょは今月下旬まで、同研究会が『南川自然の家』で直売している。」と記載されている。
オ 「自然薯:大きくなあれ 香川・前山小児童、植え付け体験 /高知」
(毎日新聞 2006.04.15 地方版/高知 24頁)
「児童に農業体験をしてもらおうと、香川県さぬき市立前山小(岸本律子校長)はこのほど、同市前山の畑で自然薯(じねんじょ)を植え付けた。全校児童14人が畑に掘った穴に自然薯の種イモを植えていった。」と記載されている。
カ 「フードフェスタかがわ2005 県内の特産品ずらり」
(2005.11.30 日本農業新聞 89頁)
「【かがわ】地産地消の推進を目的に、香川県内の農水産品と加工食品を展示する『フードフェスタかがわ2005』が28日、高松市内のホテルで開かれた。・・・さぬき市南川自然薯(じねんじょ)研究会は、すり身のヤモノイモ(ジネンジョ)をてんぷらや酢の物にして試食に出し、消費者に新しい食べ方を提案した。」と記載されている。
キ 「『四国ふるさと自慢』(88) 自然薯(香川県さぬき市) 休耕田で1万4000本栽培」(高知新聞 2003.01.11 朝刊 29頁)
「香川県東部の山あいに位置するさぬき市大川町南川地区は、木々が冬支度を始めるころ、“健康食の王様”ともいわれる自然薯(じねんじょ)の収穫、販売で一気に活気づく。・・・同地区では、大みそかに食べる年越しそばに自然薯を入れる風習があり、住民らは年末になると自生する自然薯を掘るため、山中に出掛けていた。平成元年、地元の農家約三十軒が南川自然薯研究会(樫原実夫会長)を南川自然の家に設立。高齢化や過疎化などで使われなくなった田で、自然薯栽培を始めた。春先に、種となる直径五ミリから一センチほどのムカゴを植え付け。一年後に約三十センチにまで育った種芋をプラスチックでできた特製のパイプを使い、さらに一年かけてまっすぐに伸びた一メートルほどの自然薯に育て上げる。」と記載されている。
ク 「香川県 さぬき市観光協会」の「さぬき市観光ガイド」と称するホームページにおいて、「さぬき市のお土産・特産品」の見出しのもと、「じねんじょ(自然薯)-季節限定」の項に、「これがほんものの自然薯・・・山芋です。 滋味たっぷりの美味しさが自慢のじねんじょ(自然薯)は、豊かな自然と穏やかな気候に恵まれ、まっすぐに育成された天然の山芋です。タンパク質やミネラルなどの栄養価を多く含みます。■生産販売:南川自然薯栽培研究会/南川自然の家 香川県さぬき市大川町南川1309 TEL 0879-43-3064」と記載されている。
(http://sanuki-kanko.jp/souvenir/index.html/)
ケ 「香川県 さぬき市」のホームページにおいて、「観光案内」の見出しのもと、「お土産・特産物」の項に、「自然薯 生産販売:南川自然薯栽培研究会 香川県さぬき市大川町南川1309 日本原産の自然薯は細く曲がるのが特徴です。」と記載されている。
(http://www.city.sanuki.kagawa.jp/sightseeing/omiyage/index.html)
コ 「高松空港web」と称するホームページにおいて、「お土産には高松空港周辺の特産品」の項に、「自然薯(じねんじょ) 自然薯は山いもの一種で、ビタミンを多く含み、滋養強壮や美容にも効果があるとされています。」と記載されている。
(http://www.takamatuair.com/toku.html)
サ 「かがわ県産品振興協議会」の「香川の県産品」と称するホームページにおいて、「県産品紹介 農林水産品 野菜」の見出しのもと、「自然薯 本来は山野に自生し、細長く曲がりくねって育つため、掘ったり洗ったりするには、大変な労力が、かかりますが、東かがわ市大内町南川地区と白鳥町五名地区では、研究を重ね、現在では特産物として自然薯を、栽培するようになりました。」と記載されている。
(http://www.kensanpin.org/web/syoukai/nourinn/nourin.htm/)
(4)以下のインターネット情報において、香川県の「琴弾山」若しくはその周辺地域が、観光地、観光ポイントと認識されている事実について
ア 「株式会社昭文社」の「MAPPLE 観光ガイド」と称するホームページにおいて、「琴弾公園」の項に、「白砂青松で知られる公園で、桜やツツジの名所。根上り松をはじめ希少な形の松や銭形、琴弾山などの見どころが点在。隣接して世界のコイン館、郷土資料館がある。」と記載されている。
(http://www.mapple.net/spots/G03700039102.htm/)
イ 「株式会社JTBパブリッシング」の「るるぶ.com」と称するホームページにおいて、「琴弾公園」の項に、「琴弾山一帯に広がる公園で、展望台から眺める銭形砂絵が有名。」と記載されている。
(http://www.rurubu.com/sight/detail.aspx?BookID=A4501110/)
ウ 「楽天トラベル株式会社」の「たびノート」と称するホームページにおいて、「道の駅 ことひき」の項に、「白砂青松の有明浜の散策や琴弾山山頂からの美しい眺望、世界のコイン館、郷土資料館などが楽しめる。」と記載されている。
(http://kanko.travel.rakuten.co.jp/kagawa/spot/S37000676.html/)
エ 「株式会社リクルート」の「じゃらん」と称するホームページにおいて、「琴弾公園の桜」の項に、「標高59mの琴弾山を中心とした公園。山頂からは有明海岸の白浜と松林の見事なコントラストが望める。四方からハイキング道やドライブウェイがつけられ、桜の美しい春には特に賑わう。」と記載されている。
(http://www.jalan.net/kankou/spt_37205ac2100136368.html/)
オ 「有限会社サヌキドットコム」の「オデカケガイド」と称するホームページにおいて、「琴弾山山頂展望台、銭形・寛永通宝」の項に、「■駐車場から徒歩で約15分 琴弾山山頂展望台へは、ドライブウェイを使って車でも行けますが、ここは駐車場に車を止めて徒歩で登ってみたい。・・・琴弾山の標高は60メートル。」と記載されている。
(http://www.sanuki.com/mag-spot/index.cgi?mode=spot&code=0018/)
これらの新聞記事及びインターネットにおける情報よりすれば、自然薯の販売、栽培等が香川県で行われており、かつ、琴弾山及びその周辺地域が観光スポットとして紹介されていることが認められる。
(5)そうすると、前記3の(1)ないし(4)よりすれば、本願商標を「琴弾山(その周辺地域)を産地、販売地とする自然薯」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、香川県の特産品の一つに「自然薯」があり、琴弾山及びその周辺地域が観光スポットとして認識されていることなどから、「香川県の琴弾山(その周辺地域)を産地、販売地とする自然薯」であると理解させるにとどまり、単に商品の産地、販売地、品質を表示するにすぎない商標であると判断するのが相当である。
また、本願商標は、その指定商品中、前記「琴弾山(その周辺地域)を産地、販売地とする自然薯」以外の「自然薯」に使用するときは、商品の品質、産地、販売地について誤認を生じるおそれがあるものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものである。
なお、請求人が上げた過去の審決例(甲第4号証ないし第6号証)については、商標の構成等において事案を異にするものであり、ある商標が識別力を有するか否かの判断は、個々の商標ごとに個別具体的に判断されるべきものであるから、本願の判断に影響を与えるものとは認められない。
(6)したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-02-10 
結審通知日 2010-02-16 
審決日 2010-03-01 
出願番号 商願2007-120133(T2007-120133) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X31)
T 1 8・ 272- Z (X31)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 保坂 金彦 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 大島 康浩
小畑 恵一
商標の称呼 コトヒキヤマノジネンジョ、コトヒキザンノジネンジョ、コトヒキヤマ、コトヒキザン 
代理人 河野 誠 
代理人 河野 生吾 

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