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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない X070911
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X070911
管理番号 1214597 
審判番号 不服2008-10454 
総通号数 125 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-04-24 
確定日 2010-03-18 
事件の表示 商願2007-27633拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「NARA」の欧文字を標準文字で表してなり、第7類、第9類及び第11類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成19年3月29日に登録出願されたものであるが、その指定商品については、原審における同年12月27日受付及び当審における同21年8月3日受付の手続補正書により、第7類「微細粒子の加工装置その他の粉砕機,乾燥機,混合造粒機,表面改質装置,その他の粉粒体処理に関する装置」、第9類「実験用炉」及び第11類「乾燥装置,熱交換器」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、奈良県の欧文字表記『NARA』を標準文字で表示してなるものであるから、これをその指定商品に使用しても、単に商品の製造場所・販売地を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を有しないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
本願商標は、上記のとおり「NARA」の文字よりなり、第7類「微細粒子の加工装置その他の粉砕機,乾燥機,混合造粒機,表面改質装置,その他の粉粒体処理に関する装置」、第9類「実験用炉」及び第11類「乾燥装置,熱交換器」を指定商品とするものであるところ、当審における証拠調べの結果、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当すべきものとする新たな証拠を発見したので、請求人に対し、平成21年11月18日付けで、下記審尋書(要旨)を発し、改めて意見を求めた。

<審尋書>
1 商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、「NARA」の標準文字で表してなるところ、該文字に関して証拠調べを行った結果、以下の事実が認められる。
(1)書籍における記事について
ア 「なら【奈良】」の項に、「1 近畿地方の中央部、内陸の県。2 奈良県北部、奈良盆地の北東部の市。県庁所在地。」との記載がある(「広辞苑」第六版 株式会社岩波書店 2008年1月11日発行)。
イ 「なら 奈良」の項に、「奈良県北部,奈良市の中心。」との記載があり、また、「奈良県」において、近畿地方中央部にある県。」との記載があり、さらに、「奈良市」において、県北部。奈良盆地北部から笠置山地にいたる都市。県庁所在地。(中略)南部は工業地区。」との記載がある(「コンサイス日本地名事典」第5版 株式会社三省堂 2007年11月20日発行)。
(2)新聞記事について
ア 2007年9月19日付けの読売新聞の大阪朝刊 31頁には、「『NARAにホテル進出を』荒井知事、在日米商議所にPR=奈良」の見出しのもと、「県内の宿泊施設の充実を図ろうと、県は18日、日本に進出している米国系企業でつくる在日米国商工会議所関西支部(大阪市)の幹部らを奈良市に招き、観光地を紹介し、荒井知事がNARAの魅力を語るなど、ホテル進出のメリットをアピールした。」との記事がある。
イ 2006年9月30日付けの読売新聞の大阪朝刊 35頁には、「『NARAに満足』多くてほっと 県、外国人観光客へ聞き取り開始=奈良」の見出しのもと、「◆県、東大寺周辺で 奈良を訪れた外国人から観光スポットの満足度や改善すべき点を聞き取る県の『外国人観光客動向実態調査』が29日から奈良市の東大寺周辺で始まった。」との記事がある。
ウ 2006年9月21日付けの読売新聞の大阪朝刊 32頁には、「外国にNARAの魅力PR 推進協など、5か国から添乗員ら8人招待=奈良」の見出しのもと、「◆シカ寄せや墨作り体験 外国人観光客を増やそうと、県などでつくる『京都・奈良国際観光客誘致推進協議会』と国土交通省近畿運輸局は、欧米5か国の旅行会社で働くツアーコンダクターら8人を奈良市へ招待した。」との記載がある。
エ 2004年11月9日付けの読売新聞の大阪朝刊 35頁には、「『NARA』もっと海外PR『平城遷都1300年記念事業』成功へ向け=奈良」の見出しのもと、「◆11日からフランスで写真展『仏像は心の造形』伝えたい 県HPは7か国語対応に 二〇一〇年に、奈良市の平城宮跡などで行われる『平城遷都1300年記念事業』を成功させようと、県は海外向けのPR活動を始めている。」との記載がある。
オ 1999年12月28日付けの日本経済新聞 朝刊 24頁には「全国各地の主なミレニアム・イベント。」の見出しのもと、「▽カウントダウン2000 IN NARA〈奈良県奈良市〉 奈良青年会議所が世界遺産の奈良公園一帯で。2000人の市民によるカウントダウン人文字イルミネーション、ミレニアムコンサート」との記載がある。
カ 1995年9月24日付けの日本経済新聞 朝刊 29頁には、「来月開催、歴史的町並み保全へ奈良市で国際シンポ。」の見出しもと、「街づくり活動に取り組む国内外の二百人が集まり、歴史的な町並みの保全と再生を話し合う『まちづくり草の根国際シンポジウム IN NARA』が十月二十七日から四日間、奈良市で開かれる。」との記載がある。
キ 1992年3月13日付けの日本経済新聞 地方経済面 近畿C 27頁には、「地場産業センター、奈良の味を生かすデザイン製品試作。」の見出しのもと、「奈良県広域地場産業振興センター(大和高田市)は、地場企業の新商品開発の支援策の一環として、奈良らしいデザインを生かしたニット製品や薬品、靴下用などのパッケージの試作品を相次いで発表した。(中略)パッケージの試作品は、今年一、二月に薬品、食品、繊維の六社が参加して企画、取り組んだ成果。胃腸薬、かぜ薬、靴下、しょうゆ、ジャムの五点=写真。シカと三笠山をイメージした図案やNARA(奈良)のNとシカのシルエットをデザイン化した図柄を採用した。」との記載がある。
ク 1989年7月2日付けの日本経済新聞 地方経済面 近畿A 9頁には、「奈良県、シルク博財団11日設立??交流・文化事業の中核。」の見出しのもと、「奈良県は一日、準備をすすめてきた『なら・シルクロード博記念国際交流財団』(略称NIFS、会長上田繁潔奈良県知事)を十一日に設立すると発表した。(中略)財団の事業として(1)『シルクロード学研究センター』構想の推進(2)国際交流事業(3)文化事業(4)『NARAフェスティバル89』への参加??を当面の柱とする。」との記載がある。
(3)インターネットのホームページにおける記事について
ア 「奈良市」のWebサイトにおいて、英語表記の「Nara City Offcial Website」との記載がある。
(http://www.city.nara.nara.jp/www/toppage/0000000000000/APM03000.html)
イ 「奈良県」のWebサイトにおいて、英語表記の「NARA PREFECTURE」との記載がある。
(http://www.pref.nara.jp/)
(4)判断
前記(1)ないし(3)によれば、「NARA」の文字は、近畿地方中央部にある奈良県又は奈良県北部にある奈良市を表す地理的名称として広く使用されているものと認めるのが相当である。
そうすると、たとえ、当該「NARA」の文字が、姓氏や植物の名前の意味で使用されることがあるとしてもなお、商品の産地、販売地として認識されることを否定し得ないから、本願商標をその指定商品に使用しても、本願商標は、商品の産地、販売地を表示するものとして認識されるにとどまり、自他識別標識としての機能を果たし得ないものと判断せざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 商標法第3条第2項について
請求人は、平成20年10月1日受付の上申書において、本願商標は、商標法第3条第2項の規定によって、登録を認められるべきであることを予備的に主張する旨述べているが、出願された商標が商標法第3条第2項に該当し、商標登録を受けることができるかどうかは、使用に係る商標及び商品、使用開始時期、使用期間、使用地域、商品の販売数量等、営業の規模、広告宣伝の方法及び回数並びに一般紙又は雑誌等の掲載回数等の事実を総合的に勘案し判断すべきものである。そして、その場合に、使用に係る商標及び商品は、出願に係る商標及びその指定商品と同一の場合に限られるものである。
しかしながら、請求人が提出した証拠は、カタログ、証明書に限られるものであり、例えば、本願商標の使用開始期間、営業の規模、広告宣伝の方法及び回数等の具体的な事実を立証するものはなく、本願商標が、商標法第3条第2項に該当することを立証するためには十分とはいえない。
そして、請求人は、証明書(甲第36号証ないし甲第45号証、甲第47号証ないし甲第179号証、甲第183号証ないし甲第185号証)を多数提出しているが、あらかじめ印字された3種類程の定型的な書面では、各証明者がいかなる理由で本願商標が広く知られていると判断したのか定かではないから(例えば、その文面に「長年にわたり国内外で盛大に使用されてきたものであって、世界的に広く知られていること。」と記載されているが、「長年」とは、どの程度の期間なのか、「盛大に使用されてきた」とは、どのような方法で使用されたのか、さらに、「世界的に広く知られている」とは、どこの国又は地域においてなのか、等)、当該証明書は、信ぴょう性に欠けるといわざるを得ない(平成20年(行ケ)第10474号 知的財産高等裁判所平成21年9月30日判決言渡参照)。
さらに、使用に係る商品は、出願に係る指定商品と同一の場合に限られるものであるところ、請求人が使用している商品と補正後の指定商品(平成21年8月3日受付の手続補正書)とは同一とはいえない。

上記審尋書に対し、請求人からは所定の期間を経過するも何らの応答もなかった。
そして、上記審尋は、妥当なものであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号により拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-01-19 
結審通知日 2010-01-22 
審決日 2010-02-02 
出願番号 商願2007-27633(T2007-27633) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X070911)
T 1 8・ 17- Z (X070911)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 前山 るり子 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 田村 正明
榎本 政実
商標の称呼 ナラ 
代理人 奥山 尚一 
代理人 有原 幸一 
代理人 松島 鉄男 

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