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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない Y1825
審判 査定不服 商3条1項5号 簡単でありふれたもの 登録しない Y1825
管理番号 1213056 
審判番号 不服2004-65026 
総通号数 124 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-04-14 
確定日 2010-01-04 
事件の表示 国際登録第794599号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1に示すとおり、「Y-3」の文字を書してなり、第18類及び第25類に属する国際登録において指定された商品を指定商品として、2002年(平成14年)6月20日にドイツ国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、2002年12月16日に国際登録されたものである。
その後、指定商品については、2008年4月4日付け限定通報により、第18類「Traveling bags;shoulder bags,hand bags,backpacks,briefcases and wallets made of leather or imitations of leather.」及び第25類「Jackets;coats;pants;polo shirts;sweat shirts;sweat pants;cardigans;sweaters;tank tops;tee shirts;blousons;gloves;scarfs;stoles;hats;caps;belts;sports shoes;sports shoes for children.」と限定されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、本願の指定商品を取り扱う業界において、商品の規格や製品記号等を表すものとして普通に使用されている『Y-3』の文字を表してなるものであるから、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第5号該当性について
ア 本願商標は、欧文字の「Y」とアラビア数字の「3」を、「-」(ハイフン)を介して「Y-3」と表してなるものであるところ、格別、特徴のある字体で表されているものではなく、普通に用いられる書体といえるものである。
イ そして、このような欧文字1字若しくは2字と数字との組合せが、一般に商品の型式・品番・規格等を表すための記号・符号として、取引上、普通に採択・使用されている実情があるところ、平成19年8月23日付けで通知した当審における「証拠調べ」の結果に加え、以下のインターネット情報によっても、その一端を窺い知ることができるものである。
a.「マイクロフリースインナースーツ Y-500」
(http://shop.trendy.nikkeibp.co.jp/item_info/21068174853505.html)
b.「夏用2釦シングルスーツ Y3/Y4/Y5/Y6/Y7」
(http://kakaku.livedoor.com/item_info/20769812700225.html)
c.「Ashu’s Bar Tシャツ ベージュ 商品番号 Y-1」
(http://manma.cafecocoro.com/)
d.「商品番号 商品名 価格(税込)Y-204 ブルゾン ¥2,940」
(http://www.artsishu.com/uniform/y204.html)
e.「商品名 標準型学生服Y-1 商品番号 Y-1 販売価格 18,700円」
(http://www.coseki.co.jp/shop/cgi-local/shop/goods_list.cgi?CategoryID=000002)
f.「Y-3 水玉カットソー」
(http://www006.upp.so-net.ne.jp/satopon/ofuku1.htm)
g.「ニット子供服 商品番号y-3.サロペット(ピンク)」
(http://www1.plala.or.jp/amiamiroom/nittofuku.html)
h.「商品番号:Y-4 品名:帽子」
(http://www.workingwear.jp/item_page/LM1-Y-4.php)
i.「色番号 色 Y-3 イエロー」
(http://www.workingwear.jp/item_page/SI1-9000.php)
j.「フラワースパンコール長袖トップ 商品番号 y-3」
(http://www.rakuten.co.jp/newyork/703846/823941/)
ウ 上記の実情からしても、欧文字「Y」と数字「3」を「-」で結合してなる本願商標を、その指定商品に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、これを商品の規格又は品番等を表示した記号、符号の一類型と理解するに止まり、これをもって自他商品の識別標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、原審説示のとおり、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第5号に該当するものといわなければならない。
(2)商標法第3条第2項該当性について
ア 請求人は、審判請求書において「本願商標は商標法第3条第1項第5号に該当するものではない」旨主張しているが、その一方で「本願商標はアディダス社の高級ブランドファッションを表示するものとして、すでに本願指定商品の需要者の間で広く認識されるに至っていることが証拠方法より明らかである。よって、本願商標は同法第3条第2項の適用により登録されるべきである」旨をも主張し、検甲第1号証及び甲第1号証ないし第315号証(枝番を含む。)を提出している。
イ ところで、ある商標が使用により自他商品識別力を認められることについて、平成19年(行ケ)第10050号判決(知的財産高等裁判所 平成19年10月31日判決言渡)によれば、商標法第3条第2項の趣旨について、「当該商標が,本来であれば,自他商品識別力を持たないとされる標章であっても,特定人が当該商標をその業務に係る商品,役務に使用した結果,当該商品等から,商品等の出所と特定の事業者との関連を認識することができる程度に,広く知られるに至った場合には,登録商標として保護を与えない実質的な理由に乏しいといえること,当該商標の使用によって,商品等の出所であると認識された事業者による独占使用が事実上容認されている以上,他の事業者等に,当該商標を使用する余地を残しておく公益的な要請は喪失したとして差し支えないことにあるものと解される。
商標が商標法3条2項の規定により商標登録を受けることができるものであるかを判断するに当たっては,上記の観点を勘案して,当該商標及び商品,役務の性質・態様,取引の実情等を総合考慮すべきである。」及び「商標法3条2項に該当する商標と認められるためには,当該商標から,商品等の出所と特定の事業者との関連を認識することができる程度に広く知られるに至ったといえる必要があり,取引者,需要者に,偶然,広告を見たとか,個人的な関係があるとか,一般的とはいえない特別な関心を持っていたため,知られていたと評価されるような場合に当該商標の保護を認めることは相当でないし,また,商標権が全国的に及ぶことからも,地域的に限られた範囲においてのみ,知られているといえるような場合においても,その商標が広く知られているとして保護するのは相当ではない。」旨判示している。
ウ そして、上記判決の趣旨からすると、商標法第3条第2項の要件を具備し登録が認められるための要件は、(a)実際に使用している商標が、判断時である審決時において、取引者、需要者において何人の業務に係る商品であるかを認識することができるものと認められること、(b)出願商標と実際に使用している商品・役務及び商標の同一性が認められること、が必要であると解される。
そこで、以上の観点から、本願商標が、商標法第3条第2項の要件を具備するか否かについて検討する。
エ 甲各号証に表示された商標(以下「使用商標」という。)と出願に係る商標との同一性について
a.甲第52号証中の別掲2、4ないし6で示されている使用商標は、縦縞模様の中に溶け込むように「Y-3」の文字を表してなるものであり、本願商標とは別異のものである。
b.甲第52号証中の別掲3で示されている使用商標は、「-」が「3」と連結した態様からなり「Y-3」とは見られないから、本願商標と同一の商標とはいえない。
c.甲第258号証中の別掲7は、赤地に黒線で籠字風に「Y-3」の文字を表現してなるところ、本願商標とはその外観が異なるから、本願商標と同一の商標とは認められない。
d.甲第258号及び第259号証中の別掲8ないし10は、点を組み合わせて「Y-3」の文字を表現しているところ、本願商標とは、その外観が著しく異なり、本願商標と同一の商標とは認められない。
e.甲第260号証中の別掲11は、「Y」と「-」の中に白いぎざぎざの線が引かれ、かつ、該「Y-3」の下段には「YOHJI YAMAMOTO」の文字が併記されていることから、本願商標とは、その構成態様を異にするものであり、本願商標と同一の商標とはいえない。
f.甲第261号証中の別掲12は、トロフィーの上部の円形の飾り中に「Y-3」の文字が表示されているところ、本願商標とは、その外観が著しく異なるから、本願商標と同一の商標とはいえない。
g.甲第262号証中の別掲13は、白地の吹き流し風の図形内に黒で「Y-3」の文字が表示されているところ、本願商標とは、その外観が異なり、本願商標と同一の商標とは認められない。
h.甲第262号証中の別掲14は、5角形に縁取りされた線の中に「Y-3」の文字が表示されているところ、本願商標とは、その外観が異なり、本願商標と同一の商標とは認められない。
i.甲第263号証中の別掲15は、渦巻き状の図形の中心部に「Y-3」の文字が表示されているところ、本願商標とは、その外観が異なり、本願商標と同一の商標とは認められない。
j.なお、甲第51、52、255及び258号ないし第263号証については、いずれの証拠も日本語による記載は見あたらないし、どのように使用され、頒布されたのかも定かでないから、これらの証拠によっては、使用商標が実際に日本国内で使用され、周知・著名性を獲得したかを証する証拠とは認められない。
オ 使用商標の商品と、出願に係る指定商品との同一性について
本願の指定商品は、前記1のとおり、第18類「Traveling bags;shoulder bags,hand bags,backpacks,briefcases and wallets made of leather or imitations of leather.」(仮訳:旅行かばん,肩掛けかばん,ハンドバッグ,バックパック,革製又は人工皮革製ブリーフケース及び札入れ)及び第25類「Jackets;coats;pants;polo shirts;sweat shirts;sweat pants;cardigans;sweaters;tank tops;tee shirts;blousons;gloves;scarfs;stoles;hats;caps;belts;sports shoes;sports shoes for children.」(仮訳:ジャケット,コート,ズボン及びパンツ,ポロシャツ,スウェットシャツ,スウェットパンツ,カーディガン,セーター,タンクトップ,ティーシャツ,ブルゾン,手袋,スカーフ,ストール,縁あり帽子,縁なし帽子,ベルト,運動靴,子供用運動靴)である。
しかしながら、前記指定商品中、第25類「コート,ポロシャツ,カーディガン,セーター,ストール」の商品については、本願商標と(実質上)同一の商標が使用されたことを示す何らの証拠も提出されていない。
そうすると、出願商標に係る指定商品中に、商標法第3条第2項の要件を満たさないため登録を受けることができない商品があるときは、その指定商品中から該商品が補正等により削除されない限り、その出願は全体として登録を受けることができないものと解されるところ、本願商標には、その指定商品中、一部の商品については使用されていないことが明らかであるから、前記イの趣旨に照らせば、その指定商品の全部にわたって登録を受けることができないものといわざるを得ない。
カ「Y-3」又は「y-3」の使用方法について
a.甲第264号、第265号、第268号及び第269号証は、いずれも「Y-3」商品一覧であるところ、該甲各号証の項目欄中「color/material(色/材質)」欄には、「y-3 black/running white/…」との記載がる。
b.同じく甲第272号ないし第281号、第283号ないし第287号証の「Color(色)」欄又は「color/material(色/材質)」欄にも、「y-3 black/…」又は「Y-3 black/…」との記載がある。
そうすると、これらの記載(使用)例から判断して、請求人自身が、「y-3」ないし「Y-3」の文字を、品質(黒色)を表す語として使用していることが認められる。
キ 使用商標に係る個別商品毎の使用開始時期、個別商品毎の販売数量等及び広告宣伝費の実績等について
a.甲第288号及び第289号証は、「Y-3」商品販売実績2006年、甲第290号ないし第293号証は、「Y-3」商品販売実績2007、甲第294号証は、「Y-3」商品販売実績2008であるが、いずれの年においても、いずれの商品に使用商標が付されて販売された本願の指定商品であるのか不明である。
b.さらに「ベスト、リストバンド、スカート、フード、ニッカボッカ」等、本願の指定商品に含まれない商品も、リスト中に掲載されている。
また、それらの商品の販売数量にしても、その多くが1桁台か30台の数字の販売量にすぎない。
そうすると、これらの販売数量によっては、過去3年間の間に、日本国内において、全ての指定商品について、本願商標が周知になっていたものとは認められない。
c.甲第298号証は、2003年秋冬から2008年春夏までのシーズン毎集計であるが、販売先の名称及び販売額は示されているものの、本願の指定商品毎の販売数量、販売額の記載はなく、かつ、使用商標が付されたどの商品が販売されたかどうかも不明である。
そうすると、この証拠によっては、いずれの指定商品について、使用商標の使用開始時期が2003年からであると認めることは出来ない。
なお、販売額が、ユーロドルで示されているものは、日本国内での販売とは認められない。
d.甲第299号証は、「Y-3」商品販売実績(商品毎集計)であるが、2008年春夏のシーズンについては、「スウェットパンツ,セーター,手袋,スカーフ,ストール,ブリーフケース」の各商品は、1個も売れていない。さらに「スウェットパンツ」については、2006年から2008年までの過去3年間で、合計155個販売されただけである。また、「ストール」については、過去3年間で合計110個しか販売されていない。
そうすると、特に「スウェットパンツ」及び「ストール」については、過去3年間で100台の数字の販売数しか売れていないことになるから、これをもって、それら2商品が、過去3年間の間に、日本国内において販売され、周知になっていたものとは認め難い。
e.そして、提出されたいずれの証拠にも、本願商標「Y-3」が、テレビ、新聞、雑誌、インターネット等で大々的に宣伝・広告されたとの証拠はなかった。
そうすると、北海道から沖縄まで、全国的に「Y-3」商品の小売店が存在するとしても、甲第296号証によれば、全国47都道府県の全てに販売店がなく、かつ、全国的なテレビ、雑誌等による宣伝・広告が行われていない状況等を勘案すれば、販売店が存在しない県においては、本願商標が周知・著名になっているものとは認められない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標と判断するのが相当であって、かつ、請求人提出の証拠によっては、本願商標が、その指定商品に使用された結果、取引者、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至ったものとは認められない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当し、また、同法第3条第2項の要件を具備しないものであるから、本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】















審理終結日 2009-07-24 
結審通知日 2009-07-29 
審決日 2009-08-21 
国際登録番号 0794599 
審決分類 T 1 8・ 15- Z (Y1825)
T 1 8・ 17- Z (Y1825)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 豊田 純一 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 井出 英一郎
小田 昌子
商標の称呼 ワイサン、ワイスリー 
代理人 柳田 征史 

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