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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X0942 審判 全部申立て 登録を維持 X0942 |
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管理番号 | 1211541 |
異議申立番号 | 異議2009-900224 |
総通号数 | 123 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2010-03-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2009-06-12 |
確定日 | 2010-01-18 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5214313号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5214313号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5214313号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲の構成よりなり、平成20年10月15日に登録出願、第9類「電子計算機用プログラム」及び第42類「電子計算機のプログラムの設計、作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供」を指定商品及び指定役務として、同21年2月24日に登録査定され、同年3月13日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する標章(以下「引用商標」という。)は「TOTAL」の文字を書してなるものである。 第3 登録異議の申立ての理由(要旨) 1 商標法第4条第1項第15号該当性 (1)申立人「トタル エス アー(TOTAL S.A.)」の周知性、申立人の略称及びハウスマークである引用商標の周知性 ア 申立人は、1924年設立のパリに本社を置くフランスの国際石油資本であり、世界第4位のメジャーに数えられる総合石油企業である。申立人は、中東、アフリカ、北海をはじめ、世界42ヶ国以上で原油、石油ガス、天然ガスの採掘を行い、世界30ヶ所の製油プラントで精製を行い、50ヶ所に及ぶ生産拠点を有し、販売拠点を有する国は150ヶ国以上にのぼり、世界で17,000以上のサービスステーションを展開している(甲第2号証及び甲第3号証)。 なお、申立人は、これら150ヶ国において約2000の引用商標及び引用商標を含む商標を第9類、第42類を含め、主として第4類、第1類等に登録(甲第7号証の1)するとともに、引用商標から派生した商標として、「TOTALGAZ」を、日本における登録第5168305号(甲第7号証の2)を含め、世界で約150件登録している。 イ 引用商標は申立人の略称であり、ハウスブランドであり、引用商標は、世界第4位のメジャーとして、少なくとも、我が国における石油や天然ガスや石油ガスの関連企業の間では周知であり、また、日本市場において、少なくとも、エンジンオイルやギアオイル等を使用するサービスステーションやサービスステーションの利用者の間では周知であり、さらに、F1やル・マンやWRCやモトGP等のスポンサーであることからも、少なくとも、サービスステーションの利用者でもあるカードライバーの間においても周知である(甲第3号証ないし甲第6号証の7、甲第8号証の1ないし31)。 ウ 本件商標において、「Tota1」及び「Total Gas」は、申立人及び申立人の商品を連想、想起させる。 (ア)本件商標構成中の「Tota1」の文字は、「全体的な、全般的な、包括的な」等の意味を有する英語として、また、英語に由来する外来語として、我が国において日常的に広く用いられている。 (イ)我が国において、「Gas」の語は、「ガス」という外来語として日本語として定着するほど、広く知られた英語である。 そして、「ガス」の語は、一般に「気体」を意味するが、「石油ガス」、「天然ガス」等の意味でも頻繁に用いられる(例、「ガスを掘り当てた。」「ガスを採掘している。」等)。また、ガソリンが切れることを「ガス欠」というように、「ガソリン」、ひいては「燃料」の意味で用いられる(以上、公知の事実。)。 したがって、本件商標構成中の「Gas」の文字は、一般に、「気体」の外に、「石油ガス、天然ガス、ガソリン等の燃料」を連想、想起させる。 (ウ)英語の「manager」に由来する外来語「マネージャー」は、「野球やサッカーなどのチームの運営をする人、タレントなどの契約をとったり管理したりする人、店舗の責任者」などの意味で普通に使用され、また、「マネージャー」の関連語である「マネージメント」の語は、「会社などの経営、運営」などの意味で広く用いられている。 したがって、本件商標構成中の「Manager」の文字は、「運営したり管理したりする人又はもの」の観念を有するものと一般に認識される。 (エ)したがって、本件商標構成中の「Total Gas Manager」の文字は、「包括的にガスを制御する人」又は「包括的にガスを制御するもの」の意味合いを想起させる。 かかる意味合いの「Total Gas Manager」の語が、我が国において、熟語として定着し、普通に用いられているというような格別の事情はない。 よって、本件商標構成中の「Total Gas Manager」の文字(語)は、一体としてのみ把握されるものではなく、「Tota1」と「Gas」及び「Manager」の3語により構成される標章と認識され、「Tota1」、「Gas」及び「Manager」は、それぞれ分離して要部として認識される。 (オ)上述のとおり、少なくとも、石油ガスや天然ガス関連の企業やサービスステーションの間において、「TOTAL」の語は、申立人の略称として、また、そのハウスマークとして周知である。 そして、「Tota1」と「TOTAL」とは、類似し、「Tota1」は「TOTAL」、ひいては申立人を連想、想起させる。 また、「Gas」の語は、申立人の取扱いに係る商品である石油ガス、天然ガスを連想、想起させ、ガソリンと密接に関連する商品である申立人の製造販売する潤滑油等を連想、想起させる。 すなわち、本件商標構成中の「Total」の文字及び「Total Gas」の文字は、我が国において、少なくとも、石油ガスや天然ガスに関連する業務にかかわる人々の間において、また、サービスステーションに関連する業務にかかわる人々の間において、申立人を連想、想起させ、申立人の取扱商品である石油ガスや天然ガスや潤滑油等を連想、想起させる。 (2)混同のおそれ ア 本件商標の指定商品は、第9類「電子計算機用プログラム」であり、本件商標の指定役務は、第42類「電子計算機のプログラムの設計、作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供」である。 イ 電子計算機のプログラムというものは、実に多くの目的のために作成されるものである。これに伴い、「電子計算機のプログラムの設計、作成又は保守」も、「電子計算機用プログラムの提供」も、実に多くの目的のためになされるものである。 当然のことながら、天然ガスや石油ガスの生産や加工や使用などの制御やガソリンの仕入や販売などの制御のための電子計算機用プログラムが製造され販売されることもあり得るし、また、かかる目的のための電子計算機のプログラムの設計、作成又は保守が行なわれたり、かかる目的のための電子計算機用プログラムの提供が行なわれたりすることもあり得る。 ウ そして、本件商標を使用して、かかる目的のため電気計算機用プログラムが製造され販売された場合、又は、かかる目的のための電子計算機のプログラムの設計、作成又は保守、電子計算機用プログラムの提供という役務が提供された場合、かかる電子計算機のプログラムの取引者や需要者は、自然に、本件商標構成中の「Total」の文字及び「Gas」の文字に着目することになり、また、かかる役務の提供を受ける者は、自然に、本件商標構成中の「Tota1」の文字及び「Gas」の文字に着目することになる。 本件商標構成中の「Manager」の文字は、単に「制御する人」又は「制御するもの」を意味するものであり、かかる電子計算機のプログラムの機能を表示するにすぎず、かかる電子計算機のプログラムに係る役務の内容を表すにすぎないからである。 エ したがって、本件商標が、天然ガスや石油ガスの生産や使用などの制御やガソリンの仕入や販売などの制御の目的を有する電子計算機のプログラムの商標として使用されたり、かかる目的を有する電子計算機のプログラムの設計、作成又は保守という役務、あるいは、かかる目的を有する電子計算機用プログラムの提供という役務の提供に使用されたりしたときは、かかる商標に接する取引者、需要者は、かかる電子計算機用プログラムが申立人又は申立人と何らかの経済的関係を有する者により製造販売されるものであると誤認をし、あるいは、かかる電子計算機のプログラムの設計、作成又は保守、電子計算機用プログラムの提供という役務が申立人又は申立人と何らかの経済的な関係を有する者により提供されるものであると誤認するおそれがある。 (3)よって、本件商標は、申立人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。 2 商標法第4条第1項第16号該当性 (1)上記1で述べたとおり、本件商標構成中の「Total Gas Manager」の文字は、「包括的にガスを制御する人」又は「包括的にガスを制御するもの」を想起、連想させる。 そして、本件商標構成中の「TGM」の文字は「Total Gas Manager」の頭文字をとったものと認識される。 そうとすれば、本件商標からは、「包括的にガスを制御する人」又は「包括的にガスを制御するもの」の観念が生ずる。 したがって、本件商標の指定商品である「電子計算機用プログラム」に本件商標が使用されたときに、取引者、需要者は、自然に当該電子計算機用プログラムは、「包括的にガスの制御をする」という機能(品質)を有する電子計算機用プログラムであると認識する。 また、本件商標の指定役務である「電子計算機のプログラムの設計、作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供」に関して、本件商標が使用された場合、かかる役務の提供を受ける者は、かかる役務の内容(質)が「包括的なガスの制御」に関するものであると自然に認識する。 したがって、本件商標が、「包括的なガスの制御」という機能(質)を有する電子計算機用プログラム以外の電子計算機用プログラムに使用されたときは、取引者、需要者はその品質を誤認することになる。 また、本件商標が「包括的なガスの制御」という内容(質)以外の電子計算機のプログラムの設計、作成又は保守という役務や「包括的なガスの制御」という内容(質)以外の電子計算機用プログラムの提供という役務の提供に使用されたときは、かかる役務の提供を受ける者は、その役務の内容(質)を誤認することになる。 (2)よって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。 3 むすび 以上述べたとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第16号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録を取り消されるべきである。 第3 当審の判断 1 商標法第4条第1項第15号について (1)商標法第4条第1項第15号にいう「混同を生ずるおそれ」の有無は、「当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品又は指定役務と他人の業務に係る商品又は役務との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品又は役務の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品又は指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきものである。」とされる(最高裁平成12年7月11日第三小法廷判決参照)。 そこで、上記最高裁判所判決が判示する判断基準に沿って、本件商標が引用商標との間で出所の混同を生じさせるおそれについて検討する。 ア 本件商標と引用商標の類似性の程度 (ア)本件商標 本件商標は、別掲のとおり、「Total Gas Manager」の欧文字とやや図案化された青色の「TGM」の欧文字(「G」の文字の下半分は下部へ行くにしたがい徐々に色が濃くなっている。)とを上下二段に横書きしてなるものであり、「TGM」の文字は、「Total Gas Manager」の文字に比べて大きく表されている。 本件商標は上記の構成よりなるものであるから、「Total Gas Manager」の文字と「TGM」の文字とは、外観上分離して把握し得るものであり、それぞれ独立して自他商品識別標識としての機能を発揮するとみるのが相当である。 そして、「Total Gas Manager」の文字は、中間部分の2カ所に半文字程度の間隔を有し、また、「Total」、「Gas」及び「Manager」各文字の語頭が大文字で表されているが、かかる表示方法は英文字表記において普通用いられている表示方法であることからすれば、外観上は一体的に把握し得るというべきである。 また、当該文字部分より生ずると認められる「トータルガスマネージャー」の称呼も、一連に無理なく称呼し得るものである。 「Total Gas Manager」の文字のうち、「Total」の文字は「全体的な、全般的な、包括的な」等の意味を有する語として、「Gas」の文字は「ガス、気体、ガソリン」等の意味を有する語として、「Manager」の文字は「経営者、支配人、部長」等の意味を有する語として、我が国において広く知られている語である。 しかしながら、「Total Gas Manager」の文字は、「Total」、「Gas」及び「 Manager」のそれぞれの語が多義的な意味を持っていることもあり、全体として、特定の意味合いを認識、把握させない造語であるというのが相当である。 また、本件商標構成中「TGM」の文字も特定の意味合いを有しない造語と認められるから、本件商標は、全体としても特定の観念を有しない造語であると認められる。 そして、他に、本件商標の構成中「Total Gas Manager」の文字は、これを構成する「Total」、「Gas」及び「Manager」の各文字をそれぞれ分離、抽出して観察しなければならないとする格別の理由を見いだすこともできない。 そうとすれば、本件商標の構成中「Total Gas Manager」の文字は、全体として把握、認識されるというべきである。 したがって、本件商標は、その構成文字全体に相応して「トータルガスマネージャーテイジイエム」の称呼及びその構成中上段部の「Total Gas Manager」の文字部分に相応して「トータルガスマネージャー」の称呼及び「TGM」の文字に相応して「テイジイエム」の称呼を生ずる。 (イ)引用商標 引用商標は、「TOTAL」の文字よりなるものであるから、その構成文字に相応して「トータル」の称呼を生ずる。 また、「TOTAL」の文字は「全体的な、全般的な、包括的な」等の意味を有する語として、我が国において広く知られている語であるから、引用商標からは「全体的な、全般的な、包括的な」の観念を生ずる。 (ウ)本件商標と引用商標との比較 本件商標より生ずる称呼「トータルガスマネージャーテイジイエム」、「トータルガスマネージャー」及び「テイジイエム」と引用商標より生ずる称呼「トータル」は、いずれも構成音数、構成音において顕著な差異を有するものであるから、称呼上相紛れるおそれはないものである。 また、本件商標は、特定の観念を有さない造語と認められるから、観念については本件商標と引用商標を比較することができない。 さらに、本件商標と引用商標は、外観上十分に区別し得る差異を有するものである。 してみれば、本件商標と引用商標とは、明らかに異なる別異のものといわなければならない。 イ 引用商標の周知著名性の程度 申立人の提出に係る甲第2号証ないし甲第8号証(枝番を含む。)によれば、申立人は、世界的に「石油」関係の取引者、需要者の間に知られている企業であること、そして、我が国においても「石油、エンジンオイル」を取り扱っている企業として相当程度知られていることが認められる。 ウ 引用商標の独創性の程度 引用商標を構成する「TOTAL」の文字は、「全体的な、全般的な、包括的な」等の意味を有する平易な英語として我が国において一般に知られていることから、引用商標の独創性の程度は低いものと認められる。 エ 本件商標の指定商品又は指定役務と申立人の業務に係る商品又は役務との間の性質、用途又は目的における関連性の程度 本件商標の指定商品及び指定役務である、第9類「電子計算機用プログラム」及び第42類「電子計算機のプログラムの設計、作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供」は、申立人の業務に係る石油関連商品と性質、用途又は目的が明らかに相違していることから、関連性の程度は低いものといわざるを得ない。 オ 小括 申立人が世界的に「石油」関係の取引者、需要者の間に知られている企業であり、我が国においても「石油、エンジンオイル」を取り扱っている企業として相当程度知られていることは、認められるものの、本件商標と引用商標とは、明らかに異なる別異の商標であること、また、引用商標の独創性の程度が低いこと、さらに、本件商標の指定商品及び指定役務と申立人の業務に係る商品との関連性の程度が低いことからすれば、本件商標に接する取引者、需要者が申立人の引用商標を連想、想起するということはできない。 してみれば、商標権者が本件商標をその指定商品又は指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品又は役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく、その商品又は役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものでない。 2 商標法第4条第1項第16号について 本件商標構成中「Total Gas Manager」の文字が特定の意味合いを認識、把握させない造語であることは、上記1(1)ア(ア)で認定したとおりであるから、本件商標をその指定商品中のいずれの商品又は指定役務中のいずれの役務について使用しても、商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれはないといわなければならない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものでない。 3 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第16号に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 (色彩は、原本参照) |
異議決定日 | 2009-12-22 |
出願番号 | 商願2008-83494(T2008-83494) |
審決分類 |
T
1
651・
272-
Y
(X0942)
T 1 651・ 271- Y (X0942) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 今田 尊恵 |
特許庁審判長 |
井岡 賢一 |
特許庁審判官 |
田村 正明 末武 久佳 |
登録日 | 2009-03-13 |
登録番号 | 商標登録第5214313号(T5214313) |
権利者 | ギガフォトン株式会社 |
商標の称呼 | トータルガスマネージャー、テイジイエム |
代理人 | 古木 睦美 |
代理人 | 佐藤 雅巳 |
代理人 | 大井 正彦 |