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審決分類 審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) X0345
管理番号 1211514 
異議申立番号 異議2009-900062 
総通号数 123 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2010-03-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2009-02-12 
確定日 2010-01-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第5179654号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5179654号商標の指定商品中、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,つけづめ,歯磨き,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤」についての商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第5179654号商標(以下「本件商標」という。)は、「サクセス風水」の文字を標準文字で表してなり、平成19年6月8日に登録出願され、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,つけづめ,歯磨き,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤」及び第45類「結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,占い,ファッション情報の提供」を指定商品及び指定役務として同20年10月1日に登録査定、同年11月14日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下の3件である。
ア 登録第605236号商標は、「サクセス」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和36年11月20日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として同38年2月13日に設定登録され、その後、同48年11月5日、同58年7月25日、平成5年5月28日及び同14年11月12日の4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同15年4月9日に指定商品を第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」とする指定商品の書換登録がされているものである。
イ 登録第2138742号商標は、「サクセス」の片仮名文字と「SUCCESS」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、昭和61年11月20日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として平成元年5月30日に設定登録され、その後、同11年4月6日及び同21年5月12日の2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同21年7月8日に指定商品を第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」とする指定商品の書換登録がされているものである。
ウ 登録第4446457号商標は、「SUCCESS」の欧文字を標準文字で表してなり、平成11年6月11日に登録出願、第3類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として同13年1月19日に設定登録されたものである。
以下、これらをまとめて「引用商標」という。
(2)引用商標について
申立人が、頭髪化粧品、フェース用化粧品、シャンプーをはじめとした化粧品やせっけん類に「サクセス」、「SUCCESS」を使用し始めたのは、昭和62年のことであり(甲第5号証及び甲第6号証)、花王販売レポートにみられるようにその製造販売を継続して行ってきた(甲第7号証ないし甲第12号証)。
当然ながら、申立人は、本件商標の登録出願前より該商品を販売し、多くの広告媒体を利用して広告宣伝に努めており(甲第14号証ないし甲第29号証)、かかる広告宣伝をはじめとする多くの広告宣伝の結果、早くから「サクセス」、「SUCCESS」は、取引者、需要者の間に広く知られるようになった。
最近の広告宣伝や認知率については、以下のとおりである。
広告会社の取り扱った広告料の取扱い証明書(甲第32号証ないし甲第36号証)によれば、テレビ、雑誌、新聞などのメディアを通じての広告料は、2002年4月から2008年1月までの間に株式会社電通において44億3千万円、株式会社博報堂において15億2千万円、株式会社I&S BBDOにおいて15億3千万円、株式会社大広において3億4千万円、株式会社アサツーディ・ケイにおいて1億5千万円となっている。
テレビにおけるCFでは、商品とともに「サクセス」の音声が流されている(甲第37号証ないし甲第63号証)。
また、週刊文春、SPA!、日経ビジネス、週刊ダイヤモンド、DIME等の雑誌にも広告を掲載しており(甲第64号証ないし甲第75号証)、その広告費は、2002年4月から2008年1月までの間に先の5社だけでも6億4千万円にのぼる。
株式会社マーケティング・リサーチ・サービスが行ったベンチマーク調査における「サクセス」の知名率は、2003年5月は67.5%、同年10月は72.1%、2004年5月は68.6%、2005年5月は74.3%、同年10月は74.9%、2006年5月は81.7%、同年10月は85.2%、2007年5月は80.6%、同年10月は85.9%と、他のメンズ商品に比して、著しく高くなっている(甲第77号証ないし甲第85号証)。
(3)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、全体として既成語ではなく、「サクセス」と「風水」の二つの既成語を結合したものである。「サクセス」は、「成功」の意を有し、「風水」は、「吹く風と流れる水」を意味し、また、「地気・地勢・陰陽五行・方位を定める術」を意味する語である。
したがって、本件商標は、「サクセス」と「風水」とのそれぞれの片仮名と漢字とを羅列しただけの観念しか生じず、両語の結合は必ずしも強いとはいえない。
そして、本件商標は、その指定商品と同一又は類似の商品に使用されて需要者の間に広く知られている引用商標を含むものであることに疑う余地はない。
してみると、本件商標は、引用商標に称呼上類似する商標といわなければならない。
また、本件商標に係る指定商品中、第3類に属する商品と引用商標に係る指定商品とは同一又は類似の商品である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(4)商標法第4条第1項第15号について
仮に、本件商標が引用商標と類似するものでないとしても、本件商標は、取引者、需要者の間に広く知られた「サクセス」の文字を有し、「サクセス」の称呼を含むこと、また、「サクセス」と「風水」とが特定の意味合いを有する結合語ではないことから、取引者、需要者は、既に慣れ親しんでいる引用商標と同一の文字及びその称呼の部分に注意が引かれ、その指定商品との関係において、その出所を申立人又は同人と何らかの関係のあるものと誤認し、混同する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

3 本件商標に対する取消理由(要旨)
平成21年9月25日付けで通知した取消理由は、次のとおりである。
(1)申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 申立人は、ヘアートニック、ヘアリキッド、ヘアーリンス等の化粧品及びシャンプー等のせっけん類について、引用商標を昭和62年以来継続して使用している(甲第6号証ないし甲第13号証)。
イ 引用商標を使用した上記化粧品等の商品については、昭和62年の発売開始以来現在に至るまで、「GORO」、「文芸春秋」、「POPEYE」等の各種雑誌、テレビ等の広告媒体を通じて盛大に宣伝広告されている(甲第14号証ないし甲第29号証及び甲第37号証ないし甲第75号証)。
ウ 上記イの商品に係るテレビ、ラジオ、新聞、雑誌による広告宣伝費は、2002年4月ないし2008年1月において、株式会社電通の取扱分が約44億4千万円、株式会社博報堂の取扱分が約15億3千万円、株式会社I&S BBDOの取扱分が約15億3千万円、株式会社大広の取扱分が約3億5千万円、株式会社アサツーディ・ケイの取扱分が約1億6千万円であり、これら5社の合計は80億円に達し、各年毎の5社の合計をみても、2002年4月ないし2003年3月に約15億2千万円、2003年4月ないし2004年3月に約10億7千万円、2004年4月ないし2005年3月に約13億8千万円、2005年4月ないし2006年3月に14億2千万円、2006年4月ないし2007年3月に約13億7千万円、2007年4月ないし2008年1月に12億5千万と、いずれの年も10億円以上となっている(甲第32号証ないし甲第36号証)。
エ 株式会社マーケティング・リサーチ・サービスが2007年10月ないし11月に調査した「発毛・育毛・養毛剤や育毛トニック、シャンプー、リンス・コンディショナー、カラーリング剤、シェービング剤、顔の肌のお手入れ品」に関する「メンズプロダクト」のベンチマーク調査においても、引用商標についての知名率は67.5%ないし85.9%に達し、他の男性用の商品を凌駕している(甲第76号証ないし甲第85号証)。
(2)当審における職権調査によれば、新聞記事情報において、以下の事実が認められる。
ア 「花王、男性用『サクセス』シリーズを総合ブランド展開へ」の見出しの下、「花王は、今春投入のメンズプロダクツ『サクセス』シリーズを総合ブランドに拡充する。今春発売のヘアケア製品、今秋発売の整髪料などがいずれも好調な売れ行きを示していることによる。」との記載がある(1987年12月3日 化学工業日報 3ページ)。
イ 「ヘアスタイリング剤??ブランド、『ケープ』強さキープ(ヒット分析バイヤー調査)」の見出しの下、「男性用の花王『サクセス』は発売後二十年以上たつ老舗ブランド。サラリーマンのライフスタイルに合わせた明確な商品展開が『商品コンセプト』(四八%)で一位の評価を得た。」との記載がある(2005年7月10日 日経MJ 2ページ)。
ウ 「シェービングフォーム??シック、ニーズ“深ぞり”(ヒットを狙え)」の見出しの下、「日経POSデータで今年一月の販売金額を基に上位十商品のランキングを作成した。・・・二位は『サクセス薬用シェービングジェル フレッシュ』。十位にも同シリーズの『マイルド』が入った。いずれもジェルタイプの商品で、肌を湿らせたり蒸したりする必要がなく、手軽に利用できる点が若い世代を中心に受けている。三位の花王『サクセス プレシェーブローション』は今回のランキングで唯一の電気カミソリ用商品。同社の調査によると、電気カミソリを使用している男性でシェービング剤をつける人は約三%と少数派だが、肌のすべりを良くし、そり残しを防ぐ効果で固定客をつかんでいる。六位の『サクセス 薬用シェービングフォーム』は昨年十月の発売。ジェルタイプでは優位に立つ花王が、満を持して送り出した泡タイプの商品だ。」との記載がある(2007年2月9日 日経MJ 3ページ)。
エ 「第10部主従逆転(1)ランキング症候群??自分で選べず上位に走る(ネットと文明)」の見出しの下、「四月初め、利用者の評価に基づくランキングで人気の化粧品サイト『@コスメ』で異変が起きた。シャンプー部門の首位に、男性用の『サクセス 薬用シャンプー』が躍り出たのだ。このサイトの利用者は九八%が女性。男性用商品がトップに立つのは異例だ。・・・評判が評判を呼び三月から順位が急上昇、売れ行きも伸びる。」との記載がある(2007年4月16日 日本経済新聞 朝刊 1ページ)。
オ 「人気!!ランキング:シャンプー/リンス」の見出しの下、「1位 花王 サクセス 薬用シャンプー/リンス・・・◇『男性用』を女性が高評価 アイスタイル(東京都港区)が運営し、インターネットで化粧品情報を提供している口コミサイト『@cosme(アットコスメ)』によるランキング(メーカー名、ブランド名、商品名の順。集計期間は3月26日から6月25日)。同サイトは消費者が書き込む使用感の情報が人気で、投稿できる登録会員は約86万人に上る。女性向けシャンプー・リンス部門で、3?6月の3カ月で最も高い評価を集めたのは、多くの女性専用ブランドを抑えた花王の男性用シャンプー『サクセス』。」との記載がある(2007年7月2日 毎日新聞 東京朝刊 8ページ)。
(3)前記(1)及び(2)の認定事実によれば、引用商標は、本件商標の登録出願時には既に、申立人の業務に係るヘアートニック、ヘアリキッド、ヘアーリンス等の化粧品及びシャンプー等のせっけん類等の商品を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたものというべきであり、その状態は本件商標の登録査定時においても継続していたものと認められる。
(4)他方、本件商標は、前記1のとおりの構成からなるところ、全体として親しまれた既成の観念を有する成語を表したものとはいえないこと、「サクセス」の文字部分と「風水」の文字部分とは片仮名文字と漢字という字種の相違により、視覚上両部分に分離して看取されること、「サクセス」の文字は、「成功、出世」を意味する外来語として、「風水」の文字は、「吹く風と流れる水。山川・水流などの様子を考え合わせて、都城・住宅・墳墓の位置などを定める術。特に中国や李朝朝鮮では墓地の選定などに重視され、現在も普及。風水説。」を意味する語としていずれも知られていること(株式会社岩波書店発行「広辞苑第6版」参照)などからすると、「サクセス」及び「風水」の2語からなるものとして容易に認識し理解することができるものである。
しかして、本件商標の指定商品及び指定役務のうち、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,つけづめ,歯磨き,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤」は、引用商標が使用されている商品と同一又は類似といえる「せっけん類,化粧品」を含むほか、その他の商品も、日常一般に使用される商品であり、需要者層を共通にする場合があるなど、引用商標が使用されている商品とは関連性を有するものといえる。
(5)以上を総合勘案すると、本件商標は、これをその指定商品及び指定役務中の第3類「せっけん類,香料類,化粧品,つけづめ,歯磨き,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤」について使用した場合には、これに接する取引者、需要者がその構成中の「サクセス」の文字部分に注目して周知著名となっている引用商標を連想、想起し、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
したがって、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,つけづめ,歯磨き,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤」については、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見
商標権者は、前記3の取消理由に対して、指定した期間内に意見を述べるところがない。

5 当審の判断
本件商標についてした前記3の取消理由は、妥当なものである。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、結論掲記の指定商品について、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定によって、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2009-11-20 
出願番号 商願2007-64312(T2007-64312) 
審決分類 T 1 652・ 271- Z (X0345)
最終処分 取消  
前審関与審査官 深沢 美沙子 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 田村 正明
末武 久佳
登録日 2008-11-14 
登録番号 商標登録第5179654号(T5179654) 
権利者 株式会社スターデーリー
商標の称呼 サクセスフースイ、サクセス、フースイ 
代理人 宇野 晴海 
代理人 福間 智人 
代理人 中田 光一知 

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