• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y10
管理番号 1211496 
審判番号 不服2007-650044 
総通号数 123 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-03-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-06-05 
確定日 2009-12-08 
事件の表示 国際登録第860452号にかかる国際商標登録出願の拒絶査定に対する不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「SwissPlus」の欧文字を横書きしてなり、第10類「Instruments and parts for dental and oral surgical and prosthetic reconstruction.」指定商品として、2005年(平成17年)6月29日に国際登録されたものである。
2 原査定の理由
原査定は、「本願商標は、その構成中に『Swiss』の文字を含んでなるところ、構成全体として特定の観念をもって親しまれた一体不可分の熟語等を表すものとはいえず、常に一体のものとして把握されるとみるべき特段の事情があるとは認められないことから『スイスで製造された商品ないしスイスで開発された商品』等を認識させるものであり、前記文字に照応する商品以外の商品に使用するときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「SwissPlus」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成中「S」及び「P」の文字が、大文字で書されていることから、「Swiss」及び「Plus」の文字(語)からなるものであることを容易に理解させるものである。
そして、「Swiss」及び「Plus」の語は、それぞれ「ヨーロッパ中部の連邦共和国。【正称】Swiss Confedederation」(株式会社三省堂発行「コンサイス外国地名事典」<第3版>)」を示す語として、また、「プラス(+)の、余分の」(株式会社研究社発行「新英和大辞典」第6版)を意味する英語として共に親しまれた語である。加えて、これらの文字が構成文字全体として特定の観念をもつ熟語等を表すものとはいえず、常に一体不可分のものとして把握されるべき特段の事情は見出せない。
ところで、スイスが医薬品や医療機器産業の国際的中心地であり、本願の指定商品に含まれるインプラント製品の製造に関しても、スイス国在の企業が世界において高いシェアを占めていることなど、以下のインターネットにおけるウェブサイトの情報等からも窺い知ることができる。
(1)大和総研のウェブサイトにおいて、「スイス医療技術産業の底力を探る?躍進するバイオと医療機器系ベンチャー?」の見出しのもと、「スイスは、医薬品や医療機器産業の国際的中心地である。中でも、ノバルティス社やロッシュ社という国際的医薬品企業の本拠地であるバーゼル市は、『世界のバイオセンター』と称されている。そして、その産業基盤を支える一翼を担っているのが、バイオベンチャーや医療機器系ベンチャーなどの、医療技術系ベンチャーである。企業数が多く、活動も活発である。」の記載。(http://www.dir.co.jp/souken/research/report/emg-inc/bio-medi/07090101bio-medi.html)
(2)JapanTimesのウェブサイトにおいて、「医療機器・精密機器業界 米・独・スイス・北欧企業など約200社が進出」の見出しのもと、「これら外資系医療機器・精密機器企業は米国のほか、ドイツ、フランス、スイス、北欧、さらにイスラエルなどの先端企業が日本市場に参入してきているのが特徴です。」の記載。(http://job.japantimes.com/cl_f_16.php)
(3)インプラントネットのウェブサイトにおいて、「インプラントメーカー紹介」の見出しのもと「straumann/国内トップクラスのシェア 世界中の人が支持するスイス生まれの“ストローマンインプラントシステム”・・・1974年に開発されて以来、世界40ヶ国以上で使用され、もっとも信用されているインプラントの一つに数えられています。」の記載。(http://www.implant.ac/implant_html/maker/iti.htm)
(4)絶対に役立つインプラント治療情報のウェブサイトにおいて、「えっ!スイス製のインプラントだって!インプラントの種類はいくつあるのかなぁ?」の見出しのもと、「インプラント治療に使用される素材には多くの種類が存在します。歯科医によって使用する素材が変わってきますが、代表的に使用される素材はスイス製のものが多いようです。スイス製のものは、古くからアメリカを中心に様々な国で使用されているものなので素材に対する信頼性は高いと言えます。」の記載。(http://kms-associates.com/6.html)
(5)山本歯科のウェブサイトにおいて、「インプラントITIってなあに?」の見出しのもと、「インプラントITIとは、『International Team for oral Implantology』の略で『口腔インプラント学のための国際チーム』のことです。治療は、スイス ストローマン社インプラントシステムITIに従って行われます。スイス ストローマン社インプラントシステムITIは1974年に開発され、以後ほぼ半世紀に渡り、生体工学、物理学、化学、外科、歯科等の専門の研究員によって知識と技術を結集した世界最高品質のインプラントです。」の記載。(http://www.excalibur-recovery.com/iti.html)
(6)エムエムデンタルクリニックCIDインプラントセンターのウェブサイトにおいて、「当院のメインインプラント?Straumannインプラント?」の見出しのもと、「昨今では、インプラントは世界中の様々なメーカーにより生産されています。当クリニックでは、スイスのStraumann社製インプラントを中心に、症例に応じた高品質なインプラントを使用しております。」の記載。(http://www.implant-yokohama.org/result/straumann.html)
(7)リキタケ歯科医院のウェブサイトにおいて、「信頼高いインプラントを使用」の見出しのもと、「当院では「ITI・Straumann(アイ・ティー・アイ・ストローマン)」というスイス製のインプラントを使用しています。ストローマン社は世界的なシェアから見てもトップクラスに入り、信頼性の高いインプラント製品を作っている製造元として知られています。現在、日本国内だけでも40?50種類あると言われるインプラントブランドですが、中にはコピー商品まがいや使用年数の短いものもあるようです。当院ではストローマン社製の正規品を扱っております。」の記載。(http://www.4618implant.com/0515clinic-cure/)
(8)中川駅前歯科のウェブサイトにおいて、「外国製インプラント」の見出しのもと、「現在、全世界で100社以上のインプラントメーカーが存在するといわれています。そのうち、日本には30?40社ほどのインプラントメーカーが存在します。世界では、ノーベルバイオケア社(スウェーデン)とストローマン社(スイス)2社のインプラントで全世界の50%以上を占めています。日本国内においても、この2社のインプラントがかなり使用されています」の記載。(http://www5.famille.ne.jp/ ̄ekimae/sub7-293.html)
(9)星野歯科駒沢クリニックのウェブサイトにおいて、「5種類のインプラント比較」の見出しのもと、「I.T.I(ストローマン)が世界で二番目のシェア、ブローネマルクが世界で一番のシェア)」の記載。(http://www.hoshino-dental.com/implant/03_tekiou.html)
以上のことからすれば、本願の指定商品を取り扱う歯科機器業界において、スイス国がインプラント製品を含む歯科機器等の製造地として広く認識されているということができる。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品がスイスで製造、販売されたものであると、認識、把握することが決して少なくないものと判断するのが相当である。
してみれば、「Swiss」の文字を含む本願商標をその指定商品中「スイスで製造された商品ないしスイスで開発された商品」以外の商品に使用するときは、これに接する需要者、取引者は、該商品があたかも「スイス製」の商品であるかのごとく商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標が第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であり、取り消すことはできない。
なお、請求人は、「本願指定商品を取り扱う業界では、国名等をその商標構成中に織り込めたりすることも儘あることから、『Swiss』の部分のみをもって当該商品の製造地あるいは販売地が『スイス連邦』であると判断をすることはない」旨主張しているが、前述のとおり、本願商標は、その構成態様からして「Swiss」の文字(語)を含むものであることを看取させるものであることは明らかであり、さらに、本願指定商品を取り扱う業界においては、スイスが指定商品の主要な製造・販売地の一つとして認識されていることからすれば、本願商標は「スイス国」を容易に想起、認識させるものとみるのが相当であり、該主張を採用することはできない。
また、請求人は、「請求人は、世界最大のインプラントメーカーであり、本願商標は請求人が全世界規模で製造販売しているインプラントに使用している」旨述べているが、前記のとおり、製品の製造シェアから見ても、請求人が世界最大のメーカーであるとは認められず、かつ、提出された証拠を徴するも、本願商標が世界各国で使用されていることを立証するに足る証左はない。
また、請求人は、「本願指定商品の対象となる需要者はその指定商品の性質上、歯科医療従事者等の専門従事者に限定されることから商品の品質の誤認は生じない」旨主張しているが、前記のとおり、歯科医療従事者と認められる複数の歯科医院のウェブサイトにおいても、スイス製のインプラント製品が高品質であり、信頼性が高いことが紹介されていることからすれば、「Swiss」の文字を含む本願商標は、(品質の高い)スイス製品であるかのごとく認識させることは十分にありうるものであり、また、「品質の誤認は生じない。」とする請求人の主張を裏付ける具体的な証拠もないことから、該主張を採用することはできない。
さらに、請求人は、「本願商標は他の国において登録されている」旨主張するが、登録の判断については、各国は属地主義を採用しているものであり、我が国と外国とでは法制度及び商取引の実情を異にするものであるから、外国の登録例があることをもって、我が国においても直ちに本願商標を登録すべきであるとはいえないことは明らかというべきであるから、該主張は採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-07-01 
結審通知日 2009-07-03 
審決日 2009-07-27 
国際登録番号 0860452 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Y10)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 早川 真規子 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 野口 美代子
小田 昌子
商標の称呼 スイスプラス 
代理人 福田 賢三 
代理人 福田 伸一 
代理人 福田 武通 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ