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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X35
審判 全部申立て  登録を維持 X35
審判 全部申立て  登録を維持 X35
管理番号 1210101 
異議申立番号 異議2008-900387 
総通号数 122 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2010-02-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-09-29 
確定日 2009-12-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第5146814号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5146814号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5146814号商標(以下「本件商標」という。)は、「うみ ほたる」の文字と「海蛍」の文字を二段に書してなり、平成19年4月13日に登録出願され、第35類「食肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食用水産物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,野菜及び果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品(干しのり・焼きのり・かつお節・寒天・削り節・食用魚粉・とろろ昆布・干しひじき・干しわかめを除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、平成20年5月19日に登録査定、同年6月27日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
(1)申立人の「海ほたる」の著名性について
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成9年12月に東京湾アクアラインの開通と同時に海ほたるパーキングエリアを開業している。「海ほたるPA」又は「海ほたる」は、上記施設名又はその略称であり、また、「海ほたる」(以下「使用商標1」という。)、「海ほたるPA」(以下「使用商標2」という。)を「加工水産物の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」等のいわゆる小売役務(以下「使用役務」という。)に使用している(甲第6号証)。
この施設には、毎年、多くの観光客、通行人が訪れている。また、この施設は、海の上の建築物として特殊な施設であり、各種新聞で取り上げられて、「海ほたるPA」又は「海ほたる」の名称、使用商標1及び2は、多くの利用者に周知されるに至っている(甲第8ないし甲第11号証)。
また、申立人は、平成12年以降、年3回から年6回程度、毎回3万部の情報誌を作成し、利用者、全国旅行代理店等約8,500社に配布している(甲第12ないし第14号証)。このため、高速道路を利用する多くの利用者にとって、「海ほたるPA」又は「海ほたる」の名称、使用商標1及び2は、広く知られる状態にあるということができる。
実際に、千葉県が行っている入込調査では、平成19年には、ディズニーランド、成田山新勝寺に次いで、千葉県で第3位となる年間625万人の入込数を数えるに至っている(甲第16号証)。
さらに、この「海ほたるPA」は、ここ数年、年8回程度テレビ・ラジオの取材がなされ、同数の放映・放送が流されている(甲第17号証)。加えて、インターネットにおいても多くの記事が紹介されている事情も認められる(甲第18号証)。
また、高速道路における多くのパーキングエリアが、それぞれの地域の土産物等を販売する販売施設、レストラン等の飲食施設を併設していることは周知の事実である。以上の事実を総合的に判断すると、「海ほたるPA」又は「海ほたる」の名称は、高速道路のパーキングエリアとして広く知られているのみならず、一種の商業施設として、広く知られていると認めることができる。
(2)商標法第4条第1項第10号該当について
本件商標は、使用商標1及び2とその称呼において同一であり、本件商標の指定役務と申立人の使用役務とは相抵触している。さらに、使用商標1及び2は、需要者に広く知られているものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号該当について
本件商標は、申立人の運営する施設名称であり略称である「海ほたるPA」又は「海ほたる」の名称と類似するため、例えば、役務「加工水産物の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用すると、申立人の提供に係る役務であるかのごとく、役務の出所について混同を生じるおそれがある。更には、申立人と何らかの関係があるかのごとく出所の混同を生じるおそれもあるといわざるを得ない。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第7号該当について
申立人の運営する「海ほたるPA」は、日本で唯一の大型海上PA施設であり、同時に千葉県内でも有数の観光スポットである。このような公共的な施設であると同時に観光スポットでもある名称と類似する商標を、当該施設の運営に全く関係のない者に与えることは、その者に実質的に当該施設と何らかの関係を直感させる商売を容認することになるといわざるを得ない。係る商標権者の行為は、「海ほたるPA」の名声にただ乗りすることにほかならず、公序良俗に反するものと考えられる。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

3 当審の判断
(1)本件商標について
本件商標は、「うみ ほたる」及び「海蛍」 の文字を書してなるところ、うみほたる(海蛍)は、「カイムシ(貝虫)目の甲殻類。上唇の一部から分泌する発光物質は海水に触れて青色に発光。日本の太平洋岸の海に普通。夏から秋にかけて最も多い。」(広辞苑より)であり、我が国において、海にいる生物として広く知られているものである。
(2)引用商標の著名性について
申立人の主張及び提出した証拠によれば、申立人は、平成9年12月に東京湾横断道路の開通と同時に海上の人工島に「海ほたる」(以下「引用商標」という。)の名称のパーキングエリアを設置し、該海ほたるは、東京湾の景色を楽しめるばかりではなく、各種イベントが行われ、また、レストラン、加工水産物、土産物等を販売する売店、アミューズメント等の施設を有し、一種の観光施設として利用されていることが認められる。そして、引用商標は、上記パーキングエリアの名称として広く知られているということができる。しかしながら、新聞等による報道のほとんどが「東京湾横断道路・海ほたるパーキングエリア」等と記載されているなど、引用商標は、上記東京湾横断道路のパーキングエリアとして、また、それに付随する施設として知られていると認められる。
(3)商標法第4条第1項第7号、同第10号及び同第15号該当性について
本件商標は、上記のとおり、「うみ ほたる」及び「海蛍」の文字からなり、引用商標は、「海ほたる」の文字であるから、いずれも「ウミホタル」の称呼及び「海蛍」の観念を生じる類似の商標である。
しかしながら、引用商標は、申立人の運営する東京湾横断道路のパーキングエリアの名称として、知られているということはできても、本件商標の指定役務と同一又は類似の商品及び役務について、申立人の業務に係る役務及び商品を表示する商標として広く認識されていたとまでは言い難い。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
また、海蛍は、上記(1)のとおり、青色に発光する甲殻類の生物名として広く知られているものであること、引用商標がパーキングエリアの名称として知られているとしても東京湾横断道路に付随するものとして知られていることからすると、本件商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、申立人の引用商標を連想又は想起させるものとはいえず、その役務が申立人又は同人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、その役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
さらに、本件商標を使用しても引用商標にただ乗りするものとはいえないし、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいうことができない。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(4)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号及び同第15号に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、本件登録異議申立に係る役務の登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2009-11-30 
出願番号 商願2007-36906(T2007-36906) 
審決分類 T 1 651・ 251- Y (X35)
T 1 651・ 22- Y (X35)
T 1 651・ 271- Y (X35)
最終処分 維持  
前審関与審査官 蛭川 一治 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 内山 進
稲村 秀子
登録日 2008-06-27 
登録番号 商標登録第5146814号(T5146814) 
権利者 株式会社海ほたる本舗
商標の称呼 ウミホタル 
代理人 山本 典弘 
代理人 清水 定信 
代理人 鈴木 正次 
代理人 鈴木 一永 
代理人 涌井 謙一 

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