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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) X33
審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) X33
審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) X33
管理番号 1210087 
異議申立番号 異議2009-900064 
総通号数 122 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2010-02-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2009-02-16 
確定日 2009-12-28 
異議申立件数
事件の表示 登録第5179917号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5179917号商標の指定商品中、第33類「その他の日本酒」中の「鹿児島県産(奄美市及び大島郡を除く。)の焼酎を除くその他の焼酎」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5179917号商標(以下「本件商標」という。)は、「さつまのたから」及び「薩摩の宝」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成20年5月14日に登録出願、第29類、第30類、第31類、第32類及び第33類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成20年11月14日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由
(1)引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下の9件である。
ア 登録第57800号商標は、別掲(1)に示すとおりの構成からなり、大正元年12月30日に登録出願、第39類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、大正2年3月5日に設定登録され、その後、6回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、平成16年7月21日、第5類、第32類及び第33類に属する商標登録原簿記載の商品に書換登録がなされたものである。
イ 登録第85292号商標は、別掲(2)に示すとおりの構成からなり、大正6年2月25日に登録出願、第39類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として大正6年4月27日に設定登録され、その後、6回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、平成20年9月24日、第33類に属する商標登録原簿記載の商品に書換登録がなされたものである。
ウ 登録第462126号商標は、「TAKARA」の文字を書してなり、昭和28年9月16日に登録出願、第39類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、昭和30年3月10日に設定登録され、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、平成18年8月30日、第32類及び第33類に属する商標登録原簿記載の商品に書換登録がなされたものである。
エ 登録第462127号商標は、「タカラ」の文字を縦書きしてなり、昭和28年9月15日に登録出願、第39類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、昭和30年3月10日に設定登録され、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、平成18年8月30日、第32類及び第33類に属する商標登録原簿記載の商品に書換登録がなされたものである。
オ 登録第980690号商標は、「タカラ」の文字を書してなり、昭和38年9月4日に登録出願、第28類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、昭和47年9月18日に設定登録され、その後、3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、平成16年6月2日、第32類及び第33類に属する商標登録原簿記載の商品に書換登録がなされたものである。
カ 登録第980691号商標は、「TAKARA」の文字を書してなり、昭和38年9月4日に登録出願、第28類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、昭和47年9月18日に設定登録され、その後、3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、平成16年6月2日、第32類及び第33類に属する商標登録原簿記載の商品にに書換登録がなされたものである。
キ 登録第1610421号商標は、「宝」の文字を書してなり、昭和50年12月3日に登録出願、第28類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、昭和58年8月30日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、平成15年12月17日、第32類及び第33類に属する商標登録原簿記載の商品に書換登録がなされたものである。
ク 登録第3129606号商標は、「TaKaRa」の文字を書してなり、平成5年6月29日に登録出願、第33類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、平成8年3月29日に設定登録され、同18年4月25日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。
ケ 登録第4348726号商標は、「タカラ」の文字を書してなり、平成10年11月18日に登録出願、第33類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、平成12年1月7日に設定登録されたものである。
コ なお、以下、これらを併せて「引用商標」という。
(2)理由の要点
本件商標は、第33類の全指定商品について、下記のア又はイにより、その登録を取り消されるべきものである。
ア 商標法第4条第1項第11号該当
本件商標中「薩摩」の部分は、国税庁長官が指定した「単式蒸留しょうちゅう」について「鹿児島県(奄美市及び大島郡を除く。)」を産地として指定した産地表示に該当するものであり、これに申立人の著名な登録商標「宝」を格助詞「の」を介して結合してなるに過ぎず、両者は「宝」の主要部を一にする類似商標であり、指定商品も抵触する。
イ 商標法第4条第1項第15号該当
申立人商標「宝」は酒類および同副産物の商標として極めて著名な商標であることは判決の確定したところであって、特に「宝焼酎」は全国に広く知られているものであり、本格焼酎についても、鹿児島県をはじめとする老舗焼酎醸造業者との提携により全国販売しており、本件商標は、申立人の著名商標「宝」に国税庁長官が指定した産地表示「薩摩」を冠したものにすぎず、かかる商標が指定商品酒類に使用された場合、取引者・需要者は申立人の商品であるか又は申立人と関係のある商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがある。

3 本件商標に対する取消理由
当審において、商標権者に対して、平成21年8月24日付けで取消理由の要旨は以下のとおりである。
本件商標は、その構成中に日本国のぶどう酒もしくは蒸留酒の産地のうち特許庁長官が指定する「薩摩」の文字を含む標章であって、当該産地以外の地域の「しょうちゅう」について使用することが禁止されている産地名を表すものである。
したがって、本件商標は、その指定商品中「その他の日本酒」中の「鹿児島県産(奄美市及び大島郡を除く。)の焼酎を除くその他の焼酎」について、商標法第4条第1項第17号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見
商標権者は、前記3の取消理由について、指定した期間内に意見を述べていない。

5 当審の判断
(1)第4条第1項第11号該当について
本件商標は、「さつまのたから」及び「薩摩の宝」の文字からなるものであるところ、上段のやや小さく表した仮名文字「さつまのたから」は、下段の文字「薩摩の宝」の読みとして自然なものであり、上下段の各構成文字も、それぞれ、同じ書体、同じ大きさ、等間隔で一体的に表されているものである。
そして、「薩摩」の文字は、今の鹿児島県の西部である薩州を指す旧国名として広く知られた語であり、また、「宝」の文字は、貴重な品物、宝物等の意を表す語として親しまれたものである。さらに、格助詞「の」は、前の語句の内容を後の体言に付け加え、その体言の内容を限定する働きをする語である(広辞苑参照)。
しかして、本件商標は、前記「薩摩」と「宝」とを格助詞「の」を介して連結したものであり、全体として、旧国名である薩摩における宝物との意をもって容易に看取されるものであるから、「薩摩(の国)の宝もの」の観念が生じるとみるのが、その構成態様に徴して相当というべきである。
したがって、本件商標は、構成文字に相応して「サツマノタカラ」の称呼、「薩摩(の国)の宝もの」の観念を生じるものと認められる。
一方、引用商標は、いずれも、その構成文字から「タカラ」の称呼、「宝もの」の観念を生じるものである。
しかして、本件商標の称呼「サツマノタカラ」と引用商標の称呼「タカラ」とを対比すると、構成音数は全く異なり、前半の「サツマノ」の音の有無の相違により、明らかに区別し得るものである。
また、本件商標と引用商標とは、その外観構成において明らかな相違があるものであるから、外観上相紛れるおそれはなく、さらに、本件商標から生ずる「薩摩(の国)の宝もの」の観念と引用商標から生ずる「宝もの」の観念とは、紛れることなく明確に区別し得るものである。
したがって、本件商標は、外観、称呼及び観念のいずれからみても、引用商標に類似する商標と判断することはできない。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものとは認められない。
(2)第4条第1項第15号該当について
申立人提出の証拠によれば、引用商標や「宝焼酎」が、本件商標の出願前において既に、申立人の商標として焼酎等の需要者の間に広く認識されるに至っていたと優に認められるものである。
しかしながら、本件商標が引用商標に類似する商標と認められないことは前記のとおりであり、また、本件商標の構成中に「宝」の文字が含まれてはいるけれども、本件商標は、前記のとおり、外観上も観念上も不可分一体のものとして把握し理解されるのが極めて自然というべきであるから、密接に結合された「宝」の文字部分のみを分離して申立人の商標や商品と結びつけて把握されるとは言い難いものである。
してみれば、本件商標を第33類に属する全指定商品に使用したとしても、需要者が申立人の商標を想起し連想して、これを申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかの如く誤認するとは認め難く、商品の出所について混同するおそれはないと判断すべきものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものとは認められない。
(3)第4条第1項第17号該当について
当審において、平成21年8月24日付けで取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もない。
そして、上記の取消理由は妥当なものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、第33類「その他の日本酒」中の「鹿児島県産(奄美市及び大島郡を除く。)の焼酎を除くその他の焼酎」について、商標法第4条第1項第17号に違反して登録されたものである。
(4)まとめ
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、第33類「その他の日本酒」中の「鹿児島県産(奄美市及び大島郡を除く。)の焼酎を除くその他の焼酎」について、商標法第4条第1項第17号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、商標法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。
しかしながら、その余の指定商品については、取り消すべき理由がないものと認め、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持する。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)


(2)



異議決定日 2009-11-06 
出願番号 商願2008-37012(T2008-37012) 
審決分類 T 1 651・ 29- ZC (X33)
T 1 651・ 271- ZC (X33)
T 1 651・ 262- ZC (X33)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 石塚 文子小田 明 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 井出 英一郎
鈴木 修
登録日 2008-11-14 
登録番号 商標登録第5179917号(T5179917) 
権利者 株式会社指宿白水館
商標の称呼 サツマノタカラ 
代理人 特許業務法人みのり特許事務所 

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