• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 225
管理番号 1210067 
審判番号 取消2008-300881 
総通号数 122 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-02-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-07-15 
確定日 2009-11-24 
事件の表示 上記当事者間の登録第366580号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第366580号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、「ATHLETE」の欧文字を横書きし、その下に「アスリート」の片仮名文字を縦書きしてなる構成よりなり、昭和21年7月13日に登録出願、商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同年10月28日に設定登録、その後、5回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされているものである。
そして、指定商品については、平成19年5月9日に指定商品の書換登録がなされ、第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋,防火被服」、第10類「医療用手袋」、第14類「カフスボタン,ネクタイピン,宝石ブローチ」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第21類「家事用手袋」、第24類「布製身の回り品,経かたびら」、第25類「被服(頭から冠る防虫網・あみ笠・すげ笠・ナイトキャップを除く。),運動用特殊衣服(剣道衣・柔道衣・空手衣を除く。),マラソン足袋,地下足袋」及び第26類「帯留,こはぜ,ボタン,衣服用ブローチ」となったものである。
また、本件審判の請求の登録日は、平成20年8月6日である。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中「第5類 失禁用おしめ、第9類 事故防護用手袋、第10類 医療用手袋、第16類 紙製幼児用おしめ、第21類 家事用手袋、第25類 被服(頭から冠る防虫網・あみ笠・すげ笠・ナイトキャップを除く。),運動用特殊衣服(剣道衣・柔道衣・空手衣を除く。),マラソン足袋,地下足袋」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べている。
1 請求の理由の要旨
請求人が調査したところ、本件商標は、日本国内でその現在の指定商品中「第5類 失禁用おしめ、第9類 事故防護用手袋、第10類 医療用手袋、第16類 紙製幼児用おしめ、第21類 家事用手袋、第25類 被服(頭から冠る防虫網・あみ笠・すげ笠・ナイトキャップを除く。),運動用特殊衣服(剣道衣・柔道衣・空手衣を除く。),マラソン足袋,地下足袋」について、商標権者によって継続して3年以上使用された事実がない。
また、本件商標の登録原簿には、専用使用権又は通常使用権の設定の記録はなく、ほかに商標権者の許諾を得て使用している者も見いだせなかった。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)被請求人である美津濃株式会社は、平成20年9月19日付け答弁書に添付してカタログ(乙第2号証、乙第5号証)、商標販売態様等を説明するための写真(乙第3号証)と出荷案内伝票(乙第4号証)を提出するとともに、本件商標が指定商品中「被服」に含まれる「ウォームアップスーツ」について、日本国内において本件審判の予告登録日からさかのぼって3年の間に商標権者によって使用されていた旨を主張している。
乙第2号証は、商標権者が2008年5月に発行したカタログであり、その発行時期は、最後のページ右下に記載され、「原産国は08年4月現在・・・」の記載もあることから、審判請求前3年以内の日本国内において頒布されたものであることは、明らかである。しかしながら、ここに掲載された写真のうち、表紙と第39頁においてモデルが着用しているものには、「Athlete」の文字を斜めに白抜きで表示したラベルがハーフパンツの向かって右下(左裾)とスウェットタイプシャツの向かって左下(右裾)に縫い付けられている。それは、本件商標のように「ATHLETE」のゴシック体に近い書体を手書きのような手法で表記したものではなく、全体がほぼ同じフォントで頭文字が大文字の「Athlete」の活字を斜体で表示した構成に見えるが、いずれにしろ明瞭に表示されたものではない。一方、本件商標は、「ATHLETE」の文字を横書きにしたものの更に下部にそのカタカナ表記を縦書きにした構成であるため、乙第2号証は、登録商標の使用を証明する資料とはならない。また、商品のみを撮影したその他の写真については、写真が小さいため「ATHLETE」の文字を看取することはできない。
乙第3号証は、乙第2号証にも掲載された「82SD-6922」等の商品の販売態様を示す写真であるが、審判請求前3年以内の使用を立証するものではない。すなわち、同号証の写真の撮影時期が不明であるため、撮影されたスウェットタイプシャツ等の商品が、審判請求後に準備して撮影されたものと考えることも可能であり、本件審判請求登録前における商品であることを確認するに足る事実は、立証されていない。同写真は、販売態様と表示されてはいるが、審判被請求人が表示したものであって、客観性に乏しく、販売を目的とした状態の写真と認めることはできない。また、乙第2号証と同様、商品タグや下げ札に見られる名称は、本件商標とは、異なる斜体で表示した「ATHLETE」である。しかも、頭文字が大文字で「A」の文字の横棒を消して「V」を上下逆にしたような表示であって、「E」に関しては、縦横の繋ぎ目に隙間があり、2カ所の「E」にあることから意図的にデザイン化したものと判断され、アルファベットの横書きとカタカナの縦書きで構成される本件商標の使用であるとはいえない。
乙第4号証は、被請求人の製造委託先である酒伊編織株式会社宛ての出荷案内伝票であるが、酒伊編織株式会社が本件商標の商標権者、専用使用権者、又は通常使用権者のいずれかに該当することは、証明されていない。しかも、同伝票の右下に「MIZUNO」の文字は見えるが、送信元として被請求人の正式名称も見られない上に、登録商標に関する記載もない。
乙第5号証は、商標権者が2007年4月に発行したカタログであり、その発行時期は、最後のページ右下に記載があることから、審判請求前3年以内の日本国内において頒布されたものであることは、明らかである。しかしながら、乙第2号証と同様、第34頁においてモデルが着用しているものに付されたラベルは、本件商標のような「ATHLETE」のゴシック体とそのカタカナ表記を併記したものと判断できない上に、その他、個別の商品の写真と同様、写真が小さいため「ATHLETE」の文字を看取することはできない。また、第31頁下欄には「ATHLETE」のラベルに対し、「ロゴラインテープでデザイン性もアップさせました」との記載がある。通常は、このラベルの表示で使用していたとすれば、これも「ATHLETE」の文字をデザイン化してアレンジを施した態様であって、本件商標の使用とは、いえないものである。
以上、検討した結果、答弁書に添付された各乙号証は、審判請求登録前3年以内の商標権者、専用使用権者、通常使用権者による登録商標の使用を証明するものとは、認められない。
なお、被請求人は、答弁書において次の主張をしている。 つまり、乙第2号証のカタログの第34頁で男性モデル着用のウェア右胸に「ATHLETE」と表示され、その他、各商品にもその表示が使用されていると主張している。しかし、答弁書副本における乙第2号証には、被請求人のいう第34頁は、存在しない。また、各商品における表示も小さく、本件商標の使用を確認できないから、被請求人の主張は、失当である。
また、上記カタログに掲載された「82SD-69□□」を始めとする商品が、乙第3号証ないし乙第5号証にも記載されているが、前述のとおり、証拠方法は、登録商標を表示するものではないため、被請求人の主張は、失当である。
以上の理由から、答弁書において主張している被請求人による登録商標の使用については、何ら立証されていない。
第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第18号証を提出している。
1 答弁の理由
(1)商標権者(被請求人)は、乙第2号証として、商標権者が2008年5月に発行したカタログ「2009 MIZUNO SCHOOL SPORTS\WEAR & GOODS COLLECTION」の要部複写を提出する。
なお、このカタログが2008年5月に発行されたことは、同カタログの裏表紙の最下段に記載されている。
このカタログの第34頁には、ウォームアップスーツを着用した男性モデルの写真が掲載されている。さらに、男性モデルが着用のウェア右胸に白抜きで「ATHLETE」(被請求人より「ATHLEETE」は、「ATHLETE」の誤記であり、答弁書中の記載はすべて訂正すると申出があったため、以下訂正する。)と表示していることが確認できる。
同様に、第36頁には、ウオームアップスーツを着用した男性モデルと女性モデルの写真が掲載されている。さらに、女性モデルが着用のパンツ左裾に白抜きで「ATHLETE」と表示していることが確認できる。
同様に、第39頁には、ウォームアップスーツを着用した男性モデルと女性モデルの写真が掲載されている。さらに、男性モデルが着用のウェア右裾に白抜きで「ATHLETE」と表示していることが確認できるとともに、女性モデルが着用のパンツ左裾に白抜きで「ATHLETE」と表示していることが確認できる。
かかる「ATHLETE」の表示は、同カタログの第35・37・38頁に示す各商品「82SD-11□□」「82SV-11□□」「82SD-13□□」「82PC-11□□」「82PH-11□□」「82SD-69□□」「82SV-69□□」「82SD-68□□」「82PC-69□□」「82PC-68□□」「82PH-69□□」「82PH-67□□」「82SB-68□□」「82SV-68□□」で使用している(□□は、数字2桁のカラーコードを示す。)。
したがって、乙第2号証に示すカタログへの商標の使用は、本件商標の使用に該当するものである。
(2)乙第3号証は、乙第2号証に示すカタログに掲載の商品の一例「82SD-6922」並びに「82PH-6922」の現品により商標使用態様を説明すべく写真を提出する。この乙第3号証により、「ATHLETE」使用は、明らかなものと確信する。
(3)乙第4号証は、出願人の製造委託先である酒伊編織株式会社宛てに出荷指示した実績を示す「出荷案内伝票」の複写を提出する。各伝票の品番と乙第2号証に示すカタログ並びに乙第3号証から、実際に「ATHLETE」を表記した商品が商取引されていることは明らかである。
(4)乙第5号証として、商標権者が2007年4月に発行したカタログの要部複写を提出する。なお、このカタログが2007年4月に発行されたことは、同カタログの裏表紙の最下段に記載されている。
前記乙第2号証並びに乙第5号証により、2007年4月以降継続的に「ATHLETE」を表記した商品が商取引されていることは、明らかである。
(5)結論
以上のように、本件商標は、その指定商品中の被服に属する「ウォームアップスーツ」に使用していたものであり、商標権者と取引をしているスポーツ品店に販売されたものである。
そして、本件商標を付した商品の販売時期は、「商標権一部取消し審判の予告登録」日である平成20年8月4日からさかのぼって3年以内である。
このように、本件商標は、その審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において商標権者である被請求人が、その請求に係る指定商品中の「被服」に使用していたものであるから、本件審判請求の理由は、成り立たない。
2 審尋に対する被請求人の回答について
(1)審尋の内容
被請求人は、平成20年9月19日付けの答弁書を提出し、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証を提出しているところ、商標の使用の事実については、実際の取引の中で具体的にどのように商標が使用されているかを証明しなければならない。
ところが、披請求人提出の証拠によっては未だ実際の取引の中での使用の事実が判然としないものである。そこで、乙第1号証の「カタログ」を頒布した事実及び乙第3号証に示された写真の商品に関する取引書類について、披請求人が取引先と実際に取引した根拠となる事実を明らかにするために詳細な説明を求めるものである。
なお、カタログについては、実物の提出及び作成部数、作成の証拠、頒布先等についての説明をされたい。また、取引書類については、具体的な取引がされているのであるから、その時の各取引き先との間で交わした納入伝票、請求書、領収書などの他、各取引き先の注文伝票などの取引の証拠となるものを提出されたい。
(2)被請求人の回答の要旨
ア 乙第2号証について
(ア)まず、被請求人は、乙第2号証として提出したカタログ「2009 MIZUNO SCHOOL SPORTS\WEAR & GOODS COLLECTION」の原本を提出する。
(イ)乙第2号証の原本を見てみると、
・第34頁にはウォームアップスーツを着用した男性モデルの写真が掲載され、男性モデルが着用のウェア右胸に白抜きで「ATHLETE」と表示していること、
・第36頁にはウォームアップスーツを着用した男性モデルと女性モデルの写真が掲載され、女性モデルが着用のパンツ左裾に白抜きで「ATHLETE」と表示していること、
・第39頁にはウォームアップスーツを着用した男性モデルと女性モデルの写真が掲載され、男性モデルが着用のウェア右裾に白抜きで「ATHLETE」と表示していること、女性モデルが着用のパンツ左裾に白抜きで「ATHLETE」と表示していること、が確認できる。
さらに、第34頁右下からは、オリジナルラインテープに「ATHLETE」の商標を使用していることがわかる。
また、第50頁の「82TT-37□□」及び「82HT-38□□」のTシャツに、第52頁の男性モデルと女性モデルが着用しているウェアの胸に、第56頁の男性モデルが着用しているウェアの胸、袖、パンツ左上部に、第64頁の男性モデルが着用しているウェアの胸や反射テープ・ワッペン(同頁右下参照)に、第66頁の少年モデルが着用しているウェアの胸に、それぞれ「ATHLETE」の商標を使用していることが確認できる。
そして、これらのモデルが着用しているウェアは、それに続く頁に同じデザインのウェアの写真と品番、サイズ、生地材料等を掲載しているから、これら該当頁のウェア、例えば第35・37・38頁に示す各商品「82SD-11□□」、「82SV-11□□」、「82SD-13□□」、「82PC-11□□」、「82PH-11□□」、「82SD-69□□」、「82SV-69□□」、「82SD-68□□」、「82PC-69□□」、「82PC-68□□」、「82PH-69□□」、「82PH-67□□」、「82SB-68□□」、「82SV-68□□」等の「ATHLETE」表示が小さくて確認し難いとしても、「ATHLETE」の商標が使用されていると考えるのが素直である。
(ウ)請求人は、弁駁書の第4頁第5行目において、「答弁書副本における乙第2号証には審判被請求人のいう第34頁は存在しない。」と記載しているが、乙第2号証の原本を参照すれば、第34頁が存在し、男性モデルが着用しているウェア右胸に「ATHLETE」と表示していることが確認できる。
イ 乙第5号証について
被請求人は、乙第5号証として提出した2007年4月発行のカタログ「2008 MIZUNO\SCHOOL SPORTS\WEAR & GOODS COLLECTION」の原本を提出する。
このカタログ原本を見てみれば、乙第2号証のカタログ原本と同様「ATHLETE」の商標が使用されていることがわかる。
ウ 乙第2号証のカタログの作成部数等について
(ア)審尋において、「なお、カタログについては、実物の提出及び作成部数、作成の証拠、頒布先等についての説明をされたい。」と記載されている。
そこで、被請求人は、証拠として、乙第2号証のカタログを印刷した野崎印刷紙業株式会社(〒550-0011大阪市西区阿波座1丁目1番10号 平田ビル8F)の「見積明細書」を乙第6号証として、乙第2号証のカタログを企画した有限会社ヒットエンドラン(〒532-0011大阪市淀川区西中島7丁目12番23号 ホーククレセント第一ビル4F)の見積書を乙第7号証として、野崎印刷紙業株式会社の「受注明細書5月」を乙第8号証として、乙第2号証のカタログを被請求人の営業所に配布した配布先を示す「AT事・募集物集計」を乙第9号証として提出する。
(イ)乙第6号証は、乙第2号証のカタログを印刷した野崎印刷紙業株式会社の「見積明細書」である。
この資料は、2008(平成20)年5月19日に野崎印刷紙業株式会社が被請求人宛てに作成したもので、「品名」の欄には、「2009年 スクールカタログ」と乙第2号証のカタログの正式名を略記しており、「数量」の欄には「4800」と記載されている。
(ウ)乙第7号証は、乙第2号証のカタログを企画した有限会社ヒットエンドランの「見積明細書」である。
この資料は、野崎印刷紙業株式会社に印刷を依頼する前の2008(平成20)年4月15日に、有限会社ヒットエンドランが作成したもので、タイトルには、「2009 SCHOOL SPORTS カタログ」と乙第2号証のカタログの正式名を略記している。
カタログの企画は、カタログの印刷前に行なわれるから、この日付および見積書は妥当なものと考えることができる。
(エ)乙第8号証は、野崎印刷紙業株式会社の「受注明細書5月」である。
これをみると、平成20年5月9日に、野崎印刷紙業株式会社から印刷された乙第2号証に示すカタログが4800部納品されたことが分かる。
なお、前記納品日は、(ア)の「見積明細書」の日付よりも前であるが、その「見積明細書」は被請求人が野崎印刷紙業株式会社に印刷を発注後、印刷費用を支払するに当たり正式な「見積明細書」の発行を依頼したために、日付が前後したと考えられる。実際の取引においては、通常に生じうることである。
(オ)乙第9号証は、乙第2号証のカタログを被請求人のどの営業所の誰宛てに何部送付してほしいかを示す「AT事・募集物集計」の社内資料である。
被請求人は、この資料を配送会社へ渡すことによって、配送会社は印刷会社から納品されたカタログを分けて、被請求人の全国の営業所の担当者へ送付したものである。各営業所では、営業員が送付されてきたカタログを携えて、当社製品を取り扱うスポーツ品店への訪問時に配布したものである。
なお、表には、「1-1 スクールカタログ」と「1-2 スクール別パンフ」の欄とがあるが、乙第2号証のカタログは左欄の「1-1 スクールカタログ」の方であり、その合計配布部数4607は、印刷部数4800とも符合するものである。
(カ)以上の次第であるから、乙第2号証のカタログが4800部作成され、2008(平成20)年5月には印刷会社から被請求人の各営業所に配布された事実は明らかであり、当該カタログに掲載された「ATHLETE」商標も被服に使用されたことが明らかである。
エ 取引書類について
(ア)審尋において、「また、取引書類については、具体的な取引がされているのであるから、その時の各取引き先との間で交わした納入伝票、請求書、領収書などの他、各取引き先の注文伝票などの取引の証拠となるものを提出されたい。」と記載されている。
そこで、被請求人は、証拠として、被請求人から当社製品を販売しているスポーツ品店に商品を送付したことを示す「出荷指図書」を乙第10号証として提出する。
(イ)乙第10号証を順に説明すると、伝票番号1411810076からは、2008(平成20)年4月18日に、宮崎県の晃正スポーツ宛てに、品番82PH3014(乙第2号証カタログ第51頁)のハーフパンツを2枚送付したことが分かる。
伝票番号1411810009からは、2008(平成20)年4月18日に、名古屋市の毎日マーク株式会社の名古屋支店宛てに、品番82SB-3714(乙第2号証カタログ第54頁)のウォームアップシャツを2枚送付したことが分かる。
伝票番号1411810080からは、2008(平成20)年4月18日に、香川県高松市のスポーツマンクラブ宛てに、品番82PH-2133、82TT-2133(乙第2号証カタログ第45頁)のハーフパンツ、Tシャツをそれぞれ1枚ずつ送付したことが分かる。
伝票番号1411810099からは、2008(平成20)年4月18日に、群馬県伊勢崎市の磯部商店宛てに、品番82WP-2022(乙第2号証カタログ第65頁)のウインドブレーカーパンツを2枚送付したことが分かる。
伝票番号1411810008からは、2008(平成20)年4月18日に、名古屋市の白川ネーム店宛てに、品番82SB-2214(乙第2号証カタログ第45頁)のウォームアップシャツを6枚送付したことが分かる。
伝票番号1411810119からは、2008(平成20)年4月18日に、秋田県由利本荘市のスポーツショップ ヨシダ宛てに、品番82PH-1163、82PC-1163(乙第2号証カタログ第35頁)のハーフパンツ、ウォームアップパンツをそれぞれ1枚ずつ送付したことが分かる。
伝票番号1411810108からは、2008(平成20)年4月18日に、東京都練馬区のスワロースポーツ練馬宛てに、品番82PH-6986、82PH-6922、82PC-6922、82SD-6922(乙第2号証カタログ第37頁)のハーフパンツ、ウォームアップパンツ、ウォームアップシャツを合計4枚送付したことが分かる。
伝票番号1411810079からは、2008(平成20)年4月18日に、松江市の島根県体育用品株式会社宛てに、品番82RW-3814(乙第2号証カタログ第51頁)のニットショートパンツを2枚送付したことが分かる。
伝票番号1411810066からは、2008(平成20)年4月18日に、千葉県船橋市のヤノスポーツ宛てに、品番82PC-3620(乙第2号証カタログ第53頁)のウォームアップパンツを1枚送付したことが分かる。
伝票番号1411810067からは、2008(平成20)年4月18日に、熊本県阿蘇市の阿蘇スポーツ宛てに、品番82SD-1363(乙第2号証カタログ第35頁)のウォームアップシャツを1枚送付したことが分かる。
(ウ)以上のとおり、乙第2号証に掲載の「ATHLETE」商標を付した被服が、少なくとも2008(平成20)年4月18日に、被請求人会社から各地のスポーツ品店に販売されたこと(取引されたこと)は明らかである。
オ 商標の使用態様について
(ア)請求人は、弁駁書第2頁第20行目から第25行目において「本件登録商標のように『ATHLETE』のゴシック体に近い書体を手書きのような手法で表記したものではなく、全体がほぼ同じフォントで頭文字が大文字の『Athlete』の活字を斜体で表示した構成に見えるが、何れにしろ明瞭に表示されたものではない。一方、本件登録商標は、『ATHLETE』の文字を横書きにしたものの更に下部にそのカタカナ表記を縦書きにした構成であるため、乙第2号証は登録商標の使用を証明する資料とはならない。」と主張している。
また、弁駁書第3頁第6行目から第10行目にかけて、「しかも、頭文字が大文字で『A』の文字の横棒を消して『V』を上下逆にしたような表示であって、『E』に関しては縦横の繋ぎ目に隙間があり、2箇所の『E』にあることから意図的にデザイン化したものと判断され、アルファベットの横書きとカタカナの縦書きで構成される本件登録商標の使用であるとはいえない。」と主張している。
さらに、弁駁書第4頁第8行目から第10行目にかけて、「上記カタログに掲載された『82SD-69□□』を始めとする商品が、乙第3号証?乙第5号証にも記載されているが、前述のとおり証拠方法は登録商標を表示するものではない」とも主張している。
しかし、被請求人は、本件商標の使用は、商標法第50条第1項括弧書きにいう「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標」に相当し、本件商標の使用と社会通念上同一であると主張する。
(イ)被請求人は、その根拠として、乙第11号証ないし乙第13号証を提出する。
(ウ)乙第2号証、乙第5号証のカタログや乙第3号証の写真に使用されている「ATHLETE」の商標の使用は、多少図案化されているとはいえ、欧文字の「ATHLETE」を表したと認識することができ、英語とカタカナの2段書きではないが、「アスリート」の称呼が同一で、「運動選手」という同一の観念を生じるから、社会通念上同一の商標の使用ということができる。
キ 結論
以上のとおり、本件商標は、その指定商品中の被服に使用していたものであり、その商標の使用も社会通念上同一と認められる範囲である。そして、本件商標を付した被服は、商標権者からスポーツ品店に販売されているから、本件商標を使用していることは明らかなものと確信する。
第4 当審の判断
1 被請求人は、本件商標を被服に属する商品「ウォームアップスーツ」に使用している旨主張し、その使用を立証する証拠として乙第1号証ないし乙第18号証を提出しているので、提出された乙各号証について検討する。
(1)乙第2号証(実物)は、被請求人(商標権者)の「2009 MIZUNO SCHOOL SPORTS\WEAR & GOODS COLLECTION」をタイトルとする商品カタログであって、その裏表紙に「2008年5月ミズノ株式会社」の記載があり、このカタログが2008年5月に発行されたものと認められる。
そして、このカタログ中「ECOLOGY WEAR WARM UP SUITS」の項目には、「スウェットタイプシャツ」「ウォームアップパンツ」「ハーフパンツ」の各商品が掲載されており、その第37頁には、商品コード「82SD-69□□」の「スウェットタイプシャツ」、及び、第38頁には、商品コード「82PH-69□□」の「ハーフパンツ」が掲載され、それぞれの商品に織りネームが付されている。
(2)乙第3号証は、商品コード「82SD-6922」の「スウェットタイプシャツ」、及び、商品コード「82PH-6922」の「ハーフパンツ」の写真であるところ、その写真についての撮影時期及び撮影者は不明であるものの、当該「スウェットタイプシャツ」においては、シャツの右下部分の織りネーム、襟ネーム及び下げ札に「ATHLETE」の使用商標が付されており、また、当該「ハーフパンツ」においては、パンツの左裾下部分の織りネーム、腰部のネームタグ及び下げ札に「ATHLETE」の商標が付されており、これらは、乙第2号証のカタログの第37頁及び第38頁に掲載された商品と符合する。
(3)乙第4号証は、出願人の製造委託先である酒伊編織株式会社宛てに出荷指示した実績を示す「出荷案内伝票」の複写とするものであるところ、「No.82362」、「No.82363」及び「No.83262」の各伝票は、いずれも発行日が本件審判の請求の登録前3年以内である2008年1月8日又は同年2月1日であり、各伝票に記載された品番「82SD-6922」等は、乙第2号証のカタログの商品コードと合致するものである。
(4)乙第5号証(実物)は、被請求人の「2008 MIZUNO/SCHOOL SPORTS/WEAR & GOODS COLLECTION」をタイトルとする商品カタログであって、その裏表紙に「2007年4月ミズノ株式会社」の記載があり、このカタログが2007年4月に発行されたものと認められる。
そして、このカタログ中「WARM UP SUITS」(第40頁ないし第63頁)の項目には、「ウォームアップシャツ」「ウォームアップパンツ」「ハーフパンツ」の各商品が掲載されており、それらの各所には、それぞれの商品に織りネーム、襟ネームが付されている。
(5)乙第6号証は、乙第2号証のカタログの印刷(費用)見積書とされるものであって、品名「2009年 スクールカタログ」を印刷した野崎印刷紙業株式会社の2008年5月19日付け「見積明細書」であり、「数量」の欄には「4,800」の記載がある。
(6)乙第7号証は、乙第2号証のカタログについてのものとされるものであって、「2009 SCHOOL SPORTS カタログ」を企画した有限会社ヒットエンドランの2008年4月15日付け「見積明細書」とされるものである。
(7)乙第8号証は、野崎印刷紙業株式会社の「受注明細書5月」とされるものであって、受注明細書中の「商品名」の欄には「スクールカタログ」、「数量」の欄には「4,800」、「ミズノ納品日」の欄には「5月9日」の記載がある。
(8)乙第9号証は、スクールカタログについて被請求人の営業所に何部送付するかを示す「AT事・募集物集計」の社内資料とされるものであって、その表中には、「08.3年月度」の記載、「送り先」「部門」「担当」について各記載、スクールカタログの「東西計」の欄には「4607」の数字の記載がある。
してみれば、上記のとおり、乙第6号証ないし乙第9号証からは、乙第2号証に係るカタログに関するものとしての一貫した蓋然性がある証拠といえるものであって、「スクールカタログ」の合計配布部数とされる「4607」は、印刷部数「4,800」に見合う相当の部数である。
そして、このような商品カタログが制作された場合は、その商品の販売のために、各営業所に配布され、または一般に頒布されるのが商取引の経験則に照らして相当である。
(9)乙第10号証は、被請求人がその製品を販売しているスポーツ品店に商品を送付したことを示す「出荷指図書」とされるものである。
伝票番号「1411810076」には、「2008,04,18」の日付、あて先に宮崎県の「晃正スポーツ」、商品コード等の欄に「ハーフパンツ」及び「82PH-3014」(乙第5号証カタログ第71頁)、運送方法の欄に「2」等の記載がある。
伝票番号「1411810009」には、「2008,04,18」の日付、あて先に名古屋市の「毎日マーク(株)名古屋」、商品コード等の欄に「ウォームアップシャツ」及び「82SB-3714」(乙第5号証カタログ第60頁)、運送方法の欄に「2」等の記載がある。
伝票番号「1411810080」には、「2008,04,18」の日付、あて先に香川県高松市の「スポーツマンクラブ 外商」、商品コード等の欄に「ハーフパンツ、Tシャツ」及び「82PH-2133、82TT-2133」(乙第5号証カタログ第47頁、第65頁)、運送方法の欄に「2」等の記載がある。
伝票番号「1411810099」には、「2008,04,18」の日付、あて先に群馬県伊勢崎市の「(有)磯部商店」、商品コード等の欄に「ウインドブレーカーパンツ」及び「82WP-2022」(乙第5号証カタログ第74頁)、運送方法の欄に「2」等の記載がある。
伝票番号「1411810008」には、「2008,04,18」の日付、あて先に名古屋市の「(株)白川ネーム店」、商品コード等の欄に「ウォームシャツ」及び「82SB-2214」(乙第5号証カタログ第47頁)、運送方法の欄に「6」等の記載がある。
伝票番号「1411810119」には、「2008,04,18」の日付、あて先に秋田県由利本荘市の「(有)スポーツショップ ヨシダ」、商品コード等の欄に「エコ ハーフパンツ、エコ ウォームアップカットパンツ」及び「82PH-1163、82PC-1163」(乙第5号証カタログ第32頁)、運送方法の欄に「2」等の記載がある。
伝票番号「1411810108」には、「2008,04,18」の日付、あて先に東京都練馬区の「スワロースポーツ 練馬」、商品コード等の欄に「ハーフパンツ、カットパンツ」及び「82PH-6936、82PH-6922、82PC-6922」(乙第5号証カタログ第36頁、第37頁)、運送方法の欄に「4」等の記載がある。
伝票番号「1411810079」には、「2008,04,18」の日付、あて先に松江市の「島根県体育用品株式会社」、商品コード等の欄に「ニットパンツレデース」及び「82RW-3814」(乙第5号証カタログ第55頁)、運送方法の欄に「2」等の記載がある。
伝票番号「1411810066」には、「2008,04,18」の日付、あて先に千葉県船橋市の「ヤノスポーツ」、商品コード等の欄に「ウォームアップパンツカットガタ」及び「82PC-3620」(乙第5号証カタログ第59頁)、運送方法の欄に「1」等の記載がある。
伝票番号「1411810067」には、「2008,04,18」の日付、あて先に熊本県阿蘇市の「阿蘇スポーツ」、商品コード等の欄に「エコ ウォームアップシャツハーフJ」及び「82SD-1363」(乙第5号証カタログ第33頁)、運送方法の欄に「1」等の記載がある。
(10)乙第14号証は、「08A/W/ATHLETE/MEN’S & WOMEN’S/MEGASTORE SALES DIVISION/NEW COLLECTION」をタイトルとするカタログの要部複写とされるものである。
このカタログには、発行年月日の記載はないものの、その表紙及び各頁には、「08A/W」、「‘08A/W」の記載があり、「08」「‘08」の表示は、西暦の「20」部分を省略することが普通に行われていることから、2008年のカタログといえるものである。
なお、被服等のカタログは、通常遅くともその年の早い時期には頒布されるものであるから、被請求人が「秋冬用の受注を取る見本市(大阪は被請求人のビルにおいて2008年3月4日?6日開催、東京も同じく被請求人のビルにおいて2008年3月11日?12日開催)のために作成されたものである」と述べるところは首肯できるものである。
そして、該カタログは、「ウォームアップシャツ」「ウォームアップパンツ」「ハーフパンツ」等の商品カタログであって、その各頁において「ATHLETE」の商標が使用されている。
(11)乙第15号証は、乙第14号証のカタログの5pの頁に掲載された「ウインドブレーカースーツ」、商品コード「66WT-87207」(末尾「07」は、カラーNo.)の写真である。
そして、ウインドブレーカースーツの上着の右胸に刺繍、背中の上部に織りネーム、襟ネーム及び下げ札に「ATHLETE」の使用商標が付されており、また、そのウインドブレーカースーツのパンツの左足側に刺繍及び下げ札に「ATHLETE」の使用商標が付されている。
(12)乙第16号証は、乙第14号証のカタログに掲載はないが、追加品番として企画された被服とされる商品コード「66TM-75509」の写真である。
この写真の商品には、ハイネックの首元に刺繍、襟ネーム及び下げ札に「ATHLETE」の使用商標が付されている。
(13)乙第17号証及び乙第18号証は、商品コード「66WT-872-AQ」及び商品コード「66TM-755S-AQ」の被服についての「物品受領書」である。
これら5枚の物品受領書は、「社名」及び「店名」の欄には、それぞれ「イオン キュウシュウ オオノジョウサティ」「イオン キュウシュウ トクリキサティ」「イオン キュウシュウ カミミネサティ」、「納品日」の欄の日付には「08年09月23日」、等の記載がある。
そして、各伝票の「品名・規格」の欄には「アスリート」の商標が記載されている。
なお、当該物品受領書によれば、「納品日」の欄の日付から、2008年9月23日に商品が納品されたものであるところ、前記の日は、本件審判の請求の登録日である平成20(2008)年8月4日より後であるが、乙第14号証のカタログが2008年の早い時期には頒布されていたであろうことを併せ考慮すると、被請求人が本件審判の請求の登録日以前から本件商標を使用していたことを推認できるものである。
2 商標の同一性について
本件商標は、「ATHLETE」の欧文字と「アスリート」の片仮名文字からなるものであるところ、両文字は共に「運動選手」の意味を有する語であるから、これよりは「アスリート」の称呼及び「運動選手」の観念が生ずるものである。
そして、被請求人から提出された乙各号証によれば、乙第2号証のカタログ、乙第3号証の商品写真及び乙第5号証のカタログよりみてとれる織りネーム、襟ネーム、ネームタグ及び下げ札等に表された使用商標の態様は、その構成が斜体で頭文字が大文字で「A」の文字の横棒を消して「V」を上下逆にしたような表示であり、2カ所の「E」が縦横の繋ぎ目に隙間があるとしても、「ATHLETE」の欧文字として無理なく理解できるものであり、このようなデザイン化は、格別なものでなく、該使用は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用といい得るところである。
また、乙第14号証のカタログ及び乙第15号証の商品写真よりみてとれる刺繍、織りネーム、襟ネーム及び下げ札等に表された使用商標の態様は、「ATHLETE」の欧文字であるから、該使用は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用といい得るところである。
3 まとめ
以上を総合すると、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品中の第25類「被服」に属する「ウォームアップスーツ」について、被請求人によって使用されていたものと認められる。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品中、請求に係る商品についての登録を取り消すべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】

審理終結日 2009-06-24 
結審通知日 2009-06-30 
審決日 2009-07-14 
出願番号 商願昭21-5762 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (225)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 鈴木 修
井出 英一郎
登録日 1946-10-28 
登録番号 商標登録第366580号(T366580) 
商標の称呼 アスリート、アスレト 
代理人 吉岡 宏嗣 
代理人 鵜沼 辰之 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ