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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X31
管理番号 1209998 
審判番号 不服2008-19667 
総通号数 122 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-08-01 
確定日 2010-01-04 
事件の表示 商願2007-110543拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「奥三河天狗なす」の文字を標準文字で表してなり、第31類「なす」を指定商品として、平成19年10月15日に登録出願されたものである。
そして、願書記載の指定商品については、原審における平成20年4月23日付け手続補正書により、第31類「愛知県北東部で生産された天狗なす」と補正されたものである。

2 原査定における拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『愛知県北東部の山岳地帯の総称。』である『奥三河』の文字と、愛知県の伝統野菜として愛知県に選定されている『天狗なす』の文字とを一連に『奥三河天狗なす』と標準文字で書してなるところ、本願商標全体からは、『愛知県北東部で生産された天狗なす』程の意味合いが容易に認識されるものであるから、これをその指定商品中、前記なすに使用するときは、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標は、「奥三河天狗なす」の文字よりなるところ、その構成中「奥三河」の文字は、コンサイス日本地名事典第5版(三省堂発行)の「おくみかわ 奥三河」の項によれば、「愛知県北東部。新城市・北設楽群の山岳地帯の総称。広義の東三河の一部。」と記載され、地名と認められるものである。
また、「天狗なす」の文字部分は、何らかの原因による奇形によって天狗の鼻のような突起物ができたなすを指称して、「天狗なす(ナス)」と一般的に称されていることが、以下の新聞記事及びインターネット・ホームページの記載からも窺い知ることができる。
a)「大石田町 高橋武男さんの畑で天狗の顔のような米ナスを収穫」(2009.08.29 山形新聞 朝刊)の見出しの下、「大石田町大石田の高橋武男さん(70)の畑で、天狗(てんぐ)の顔そっくりな米ナスが収穫され、話題になっている。この米ナスは長さ約20センチで、横に向かって長さ7センチほどの“鼻”がにょっきりと伸びている。・・・県立博物館によると『種子を包んでいる果皮が、何らかの原因で変形したのではないか』という。・・・『これはとっても縁起がいい』と『天狗ナス』を玄関に飾っている。」との記事。
b)「鼻高々*倶知安で“天狗ナス”」(2008.09.17 北海道新聞 朝刊 地方)の見出しの下、「【倶知安】天狗のような立派な“鼻”が付いたナスが、町出雲の主婦王生(いくるみ)絹子さん(65)の畑からとれた。直径九センチ、長さ十六センチほどの米ナスで、実の上部から長さ八センチ、太さ三センチの“鼻”が突き出ている。王生さんによると、これまでも変わった形のナスはあったが、『これほど見事な形は初めて』という。【写真説明】見事な“鼻”を持つ『天狗ナス』」との記事。
c)「[単眼・複眼]天狗のようなナスビ 松山市西垣生町 小成愛子」(2008.09.04 愛媛新聞 朝刊)の見出しの下、「少し元気をなくした天狗(てんぐ)のような加茂ナスを、北海道旅行の店先で見つけました。よく見ると、鼻はほかのナスを付け加えたものではありませんでした。親ナスに子供ナス?ができ、それが鼻になって天狗ナスに変身したのでしょう。」との記事。
d)「“天狗ナス”を収穫-引佐のグループホーム」(2006.06.23 静岡新聞 朝刊)の見出しの下、「浜松市引佐町のグループホーム・花平の郷(織田佳和施設長)で、天狗(てんぐ)のような形をしたナスが収穫され、職員や利用者の間で話題を集めている。十九日朝、職員が利用者と一緒に施設農園で水まきをしていたところ、珍しい形のナスがなっていることに気が付いた。縦約十センチ、横約三センチのナスは早速、『天狗ナス』と名付けられ、重宝がられている。・・・【写説】『天狗ナス』を手にとって眺める利用者ら=浜松市引佐町の花平の郷」との記事。
e)「[十字路]天狗ナスが採れた/神奈川・秦野市」(2004.07.07 日本農業新聞)の見出しの下、「神奈川県秦野市西大竹の高橋照江さんの畑で、珍しい形をした米ナスが3個とれた。高橋さんは、今年から栽培を始めたばかり。まるで、てんぐの鼻のようだ。“鼻”の長さは約5センチ。・・・」との記事。
f)「ビックリ“天狗ナス”*旭川の家庭菜園」(2003.08.27 北海道新聞 朝刊)の見出しの下、「旭川市神楽岡一三ノ三、会社員笠井保幸さん(55)の家庭菜園で天狗(てんぐ)に似た米ナスが収穫された。野菜栽培を始めて十数年の笠井さんだが『こんなナスは初めて』と驚いている。・・・」との記事。
g)「<風音>上湧別町北兵村三の農業平間正一さん(69)のビニールハウスで、天狗(てんぐ)のような奇妙な形をした米ナス一個が実った」(2000.08.22 北海道新聞 朝刊)の見出しの下、「〇…上湧別町北兵村三の農業平間正一さん(69)のビニールハウスで、天狗(てんぐ)のような奇妙な形をした米ナス一個が実った。〇…平間さんが米ナスを栽培したのは今年が初めて。七月中旬から実を付け始めたが、十九日早朝、初めて『天狗ナス』に気付いた。〇…ナスは長さ二十センチ、太さ十センチ、重さ七百グラムで、緑色のへたの下から長さ約十センチ、太さ一センチの『鼻』が伸びている。」との記事。
h)「エチエ農産(京都府京丹後市)」のホームページには、「エチエ農産の農作業日記」の項目に、「2008年07月25日 天狗茄子」の見出しの下、「茄子を収穫していると天狗に似た茄子がありました」「茄子を長年作っていますがこんなの初めてです。」「天狗茄子(写真)」との記載。(http://www.echie.jp/blog/2008/07/)
i)「JAにじ(福岡県浮羽町、吉井町、田主丸町)」のホームページには、「★天狗なす登場!」の見出しの下、「吉井町折敷町の佐々木満則さんの畑で採れたナス。長い鼻のようになっていて、横から見るとまさに天狗のよう。」との記載。(http://www.ja-niji.com/news/m_news_07/m_news_07-8.htm)
j)「白山自然態系 - 白山の写真と話題(石川県金沢市 写真家:木村芳文)」のホームページには、「天狗ナス」の見出しの下、「我が家の家庭菜園で、天狗ナスが採れました。(写真)撮影日 2007年9月24日」との記載。(http://hakusan.2702.jp/archives/2007/10/post_153.html#more)
k)「コンセプトグラマー有限会社(京都市中京区)」のホームページには、「社長ブログ」の項目に、「天狗(ナス)と白龍(くも)に出会いました」の見出しの下、「(写真)【天狗】見事な天狗ナスでした。天狗伝説のある朽木村にいってきたのですが、これも、クチコミのネタとしてはとても面白い。天狗伝説とも絡んだストーリー性のあるネタですね。偶然なのか、必然なのかその真意はわからないが、広報活動に使わないてはないですね。」との記載。(http://www.conceptglamour.com/blog/article/%E5%A4%A9%E7%8B%97%EF%BC%88%E3%83%8A%E3%82%B9%EF%BC%89%E3%81%A8%E7%99%BD%E9%BE%8D%EF%BC%88%E3%81%8F%E3%82%82%EF%BC%89%E3%81%AB%E5%87%BA%E4%BC%9A%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F)

(2)上記の実情からすれば、本願商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者は、本願商標全体として、「愛知県北東部で生産された天狗なす」ほどの意味合いを表示したものと認識するに止まり、自他商品の識別標識として認識することはないものといわざるを得ない。

(3)なお、請求人は、平成20年4月23日付け意見書及び手続補足書を提出し、使用により、本願商標が、自他商品の識別力を有するに至ったものと認めるに足りる客観的な証拠である旨述べ、証拠として資料1ないし同12を提出している。
そこで、請求人提出の各資料について検討するに、提出された資料1及び資料3には、請求人の作成に係る15年度から19年度までの出荷個数、販売金額等が示されているが、本願指定商品の出荷先(地域)、出荷先別の出荷個数及び販売金額といった具体的な事実が明示されていないため、本願商標が請求人の事業に係る商品を表す商標として需要者の間に広く認識されていることを証明する証拠としては不十分であるといわざるを得ず、また、その余の資料において、「奥三河天狗なす」の文字が記載されていることを認め得るとしても、例えば、本願商標を付した本願指定商品の需要者数や営業の規模、広告宣伝の方法、回数及び内容等の使用状況に関する事実についての客観的証拠が充分でないことから、商標の周知性を客観的に示すものとして、十分なものと認めるに足りない。
そうとすれば、これらの証拠からは、本願商標をその指定商品について使用した結果、請求人(出願人)の取扱いに係る商品を表すものとして、取引者、需要者間に広く認識されるに至っているとは認めることができないものであるから、本願商標が、単なるありふれた産地表示や品質表示の識別力なき標識として認識されることはないとする請求人の主張は、採用することができない。

(4)まとめ
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-10-21 
結審通知日 2009-10-30 
審決日 2009-11-10 
出願番号 商願2007-110543(T2007-110543) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X31)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田口 善久武谷 逸平冨澤 美加 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 久我 敬史
豊瀬 京太郎
商標の称呼 オクミカワテングナス、オクミカワテング、テングナス、テング、オクミカワナス 
代理人 三宅 始 

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