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審決分類 |
審判 一部無効 称呼類似 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) X42 審判 一部無効 商8条先願 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) X42 |
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管理番号 | 1209869 |
審判番号 | 無効2009-890054 |
総通号数 | 122 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2010-02-26 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2009-05-13 |
確定日 | 2009-12-11 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5103964号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第5103964号の指定役務中、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」についての登録を無効とする。 その余の指定役務についての審判請求は成り立たない。 審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5103964号商標(以下「本件商標」という。)は、「Hitec」の欧文字を標準文字で表してなり、平成19年2月13日に登録出願、第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言(人材派遣によるものを含む),市場調査(人材派遣によるものを含む),商品の販売に関する情報の提供(人材派遣によるものを含む),ホテルの事業の管理(人材派遣によるものを含む),職業のあっせん,競売の運営(人材派遣によるものを含む),輸出入に関する事務の代理又は代行(人材派遣によるものを含む),書類の複製(人材派遣によるものを含む),速記(人材派遣によるものを含む),電子計算機・タイプライター・テレックスまたはこれらに準ずる事務用機器の操作(人材派遣によるものを含む),文書又は磁気テープファイリング(人材派遣によるものを含む),建築物における来訪者の受付及び案内(人材派遣によるものを含む),広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサーの貸与,求人情報の提供(人材派遣によるものを含む),自動販売機の貸与,新聞の予約購読の取次ぎ(人材派遣によるものを含む)」及び第42類「気象情報の提供(人材派遣によるものを含む),建築物の設計(人材派遣によるものを含む),測量(人材派遣によるものを含む),デザインの考案(人材派遣によるものを含む),電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明(人材派遣によるものを含む),医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究(人材派遣によるものを含む),建築又は都市計画に関する研究(人材派遣によるものを含む),公害の防止に関する試験又は研究(人材派遣によるものを含む),電気に関する試験又は研究(人材派遣によるものを含む),土木に関する試験又は研究(人材派遣によるものを含む),農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究(人材派遣によるものを含む),機械器具に関する試験又は研究(人材派遣によるものを含む),計測器の貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供(人材派遣によるものを含む),理化学機械器具の貸与,製図用具の貸与」を指定役務として同20年1月11日に設定登録され、その後、同21年7月16日付け商標権の一部抹消登録申請書により、指定役務中の第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供(人材派遣によるものを含む)」について登録の一部抹消がされているものである。 第2 引用商標 請求人が引用する登録第3148548号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成4年9月24日に登録出願、第42類「電子計算機のプログラム設計・作成または保守」を指定役務として同8年4月30日に設定登録され、その後、同18年4月18日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。 第3 請求人の主張の要点 請求人は、本件商標の指定役務中、第42類の指定役務についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第11号証を提出している。 1 本件商標と引用商標との類否 (1)本件商標は、「Hitec」の欧文字を標準文字にて横書きした構成からなるものであって、これよりは「ハイテック」の称呼を生じるものである。 他方、引用商標は「Fitec」の欧文字を大きく横書きし、当該欧文字の上に「ファイテック」の片仮名文字を横書きすることにより、引用商標の読みを特定しているものである。したがって、引用商標よりは「ファイテック」の称呼を生じるものである。 (2)本件商標の称呼「ハイテック」と引用商標の称呼「ファイテック」とは、その語頭において「ハ」音対「ファ」音の差異を有するものではあるが、前者が両唇を接近させて、その隙間から発する無声摩擦子音「h」と母音「a」とを結合させた音であるのに対し、後者は両唇の通路を狭め、その狭い隙間から発する無声摩擦子音「f」と母音「a」とを結合させた音であって、両音はその母音、調音方法及び無声摩擦音である点で共通するものである。 そして、「ファ」音が「フ」の音に「ア」の音を添えて一気に発音される音であることから、その音質においても近似するものである。 そうすると、共に5音の構成音数からなり、「ハ」音と「ファ」音以外の音については共通する両称呼にあっては、当該「ハ」音と「ファ」音の近似性が両称呼全体に与える影響は非常に大きいものであって、両称呼は、その語感、語調において近似するものであり、彼此聞き誤られるおそれが存するものである。 したがって、本件商標と引用商標とは、その称呼において類似するものである。 (3)審決例においても、本件と同様に、称呼上、語頭における「ハ」音と「ファ」音の差異のみを有し、しかも、構成音数が本件の場合よりも少ない称呼同士の類否について、以下に示すように称呼上類似すると判断されているものが多数存在するものであって(甲第5ないし第11号証)、このことからも本件商標と引用商標とが称呼上類似することが容易に理解できるものである。 ・昭和53年審判第9442号:称呼「ファルク」と「ハルク」 ・昭和56年審判第21711号:称呼「ハフナ」と「ファウナ」 ・昭和58年審判第21065号:称呼「ハクト」と「ファクト」 ・昭和61年審判第6183号:称呼「ハイロン」と「ファイロン」 ・平成5年審判第1120号:称呼「ファミロン」と「ハミロン」 ・平成6年審判第7689号:称呼「ファイベル」と「ハイベル」 ・不服2002-12082号:称呼「ハルコン」と「ファルコン」 (4)また、引用商標は、第42類「電子計算機のプログラム設計・作成または保守」をその指定役務とするものであるのに対し、本件商標の第42類の指定役務は上記第1のとおりであるから、引用商標の指定役務が本件商標の指定役務と同一又は類似する関係にあること明らかである。 2 本件商標の商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項該当性 本件商標と引用商標が類似し、その指定役務同士も類似の関係にあることは上記のとおりであるところ、本件商標は平成19年2月13日に出願し、同20年1月11日に登録されたものであるのに対し、引用商標は同4年9月24日に出願し、同8年4月30日に登録されたものであるから、引用商標が、本件商標の先願・先登録に係るものであること明らかである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項の規定に該当するものである。 3 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により無効とされるべきものである。 第4 被請求人の答弁の要点 被請求人は、本審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1及び第2号証(枝番を含む。)を提出している。 1 同一又は類似でない指定役務について 引用商標は、第42類「電子計算機のプログラム設計・作成または保守」を指定役務として登録されている。 本件商標の登録において、この役務と同一又は類似の第42類の指定役務は「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」のみであり、それ以外の第42類の「気象情報の提供(人材派遣によるものを含む),建築物の設計(人材派遣によるものを含む),測量(人材派遣によるものを含む),デザインの考案(人材派遣によるものを含む),電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明(人材派遣によるものを含む),医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究(人材派遣によるものを含む),建築又は都市計画に関する研究(人材派遣によるものを含む),公害の防止に関する試験又は研究(人材派遣によるものを含む),電気に関する試験又は研究(人材派遣によるものを含む),土木に関する試験又は研究(人材派遣によるものを含む),農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究(人材派遣によるものを含む),機械器具に関する試験又は研究(人材派遣によるものを含む),計測器の貸与、電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供(人材派遣によるものを含む),理化学機械器具の貸与,製図用具の貸与」の指定役務については、役務が同一又は類似するものには当たらないため、これらの指定役務について、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項のいずれの規定にも違反するものではない。 2 同一の指定役務について 本件商標の登録における第42類の指定役務のうち、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」については、引用商標の指定役務と役務が同一である。そこで、本件商標が引用商標と同一又は類似であるかが問題となる。 本件商標が、標準文字の「Hitec」であるのに対して、引用商標は、大きく横書きした「Fitec」の欧文字と、欧文字の上に横書きされた「ファイテック」の片仮名文字からなる商標である。請求人は、本件商標より生じる「ハイテック」の称呼と引用商標より生じる「ファイテック」の称呼が類似することから、本件商標と引用商標が類似すると主張している。 本件商標と引用商標からは、請求人が主張するように、それぞれ「ハイテック」と「ファイテック」の称呼が生じるものである。このうち、本件商標の称呼である「ハイテック」については、指定役務との関係から、需要者には「ハイテク」(「ハイテクノロジー」の略語、乙第1号証)が連想されるものであり、高度であることを意味する「ハイ」の語、さらにその語頭音である「ハ」の音が需要者に明瞭に認識されるものである。 これに対し、引用商標の「ファイテック」の称呼については、後半部分の「テック」からは「テクノロジー」が連想されるのに対し、前半部分の「ファイ」からは、後半部分の「テクノロジー」との関係において、技術関連の用語で「ファイン-ケミカル」、「ファイン-スチール」、「ファイン-セラミックス」などが広く使用されている(乙第2号証)ことを考慮すると、「ファイン」の語が連想されるものであり、優れた性質であることを意味する「ファイン」の語、さらにその語頭音である「ファ」の音が需要者に明瞭に認識されるものである。 以上より、本件商標と引用商標が、指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」において使用された場合の取引事情を考慮すると、本件商標より生じる「ハイテック」の称呼と引用商標より生じる「ファイテック」の称呼は明瞭に区別して認識し得るものであり、本件商標と引用商標は類似しないものと思料する。 したがって、本件商標と引用商標で同一の指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」についても、本件商標は引用商標と類似しないため、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項のいずれの規定にも違反するものではない。 なお、被請求人は、第42類の指定役務中「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供(人材派遣によるものを含む)」については本件商標を使用していないため、平21年7月16日付で商標権の一部抹消登録申請書を提出し、上記役務についての抹消登録を申請している。 3 結び 以上に述べたとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項のいずれの規定に違反してされたものでもないため、同法第46条第1項の規定に基づき無効とされるべきものではない。 よって、本件審判の請求は成り立たない。 第5 当審の判断 1 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標と引用商標との類否について 本件商標は、親しまれた既成の観念を有する成語を表したものとは認められず、かかる場合には、我が国において最も普及している外国語である英語の発音に倣って称呼されるとみるのが自然であるから、全体として英語風の「ハイテック」の称呼を生ずるものといえる。 他方、引用商標は、その構成に照らし、上段に小さく書された「ファイテック」の文字が「Fitec」の文字部分の読みを特定したものと容易に認識し把握されるから、全体として「ファイテック」の称呼を生ずるものといえる。 しかして、上記「ハイテック」の称呼と「ファイテック」の称呼とは、同音数からなり(「ファ」の音は、もともとは日本語になかったものであるが、今では外来の1音節を形成するものとして一般に広く認識されている。)、第1音が「ハ」と「ファ」とで相違するのみで、他の音を、順序を含め、悉く共通にするものである。しかも、相違する「ハ」と「ファ」の音は、母音(a)を共通にし調音方法が酷似する近似音であるばかりでなく、後半の「テック」の音が促音を伴って強く響くことから、この差異が全体に及ぼす影響はわずかなものであり、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の音感・音調が極めて近似し彼此相紛らわしいものである。 してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼上類似する商標といわなければならない。 なお、両者が外観において判然と区別し得る差異を有するとしても、また、両者共親しまれた既成の観念を有する成語を表したものともいえないから観念上比較することができないとしても、これらの差異が上記称呼上の類似性を凌駕するものではない。 (2)本件商標の指定役務と引用商標の指定役務との類否について 請求人は、本件商標の指定役務中の第42類の指定役務と引用商標の指定役務とが同一又は類似である旨主張するが、本件商標は、第42類に属する役務として多数の役務を指定するものであり、そのうちの「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」については、引用商標の指定役務と同一のものと認められるものの、その余の役務は、引用商標の指定役務と同一又は類似のものとは認められない。 請求人も、本件商標に係る第42類の指定役務中の「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」以外の役務と引用商標の指定役務とが同一又は類似であることについて具体的に主張・立証していない。 (3)以上によれば、本件商標は、その指定役務中の第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」について、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。 2 本件商標の商標法第8条第1項違反について 本件商標は、上記第1のとおり、平成19年2月13日に登録出願されたものであり、引用商標は、上記第2のとおり、平成4年9月24日に登録出願されたものであるから、引用商標が本件商標よりも先に登録出願されたことは明らかである。 そして、前示のとおり、本件商標と引用商標とは称呼上類似するものであり、本件商標の指定役務中の「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」と引用商標の指定役務とは同一のものである。 したがって、本件商標は商標法第8条第1項の規定に違反するものである。 3 むすび 以上のとおり、本件商標は、その指定役務中第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」については、商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 引用商標 |
審理終結日 | 2009-10-15 |
結審通知日 | 2009-10-19 |
審決日 | 2009-10-30 |
出願番号 | 商願2007-11362(T2007-11362) |
審決分類 |
T
1
12・
4-
ZC
(X42)
T 1 12・ 262- ZC (X42) |
最終処分 | 一部成立 |
前審関与審査官 | 豊瀬 京太郎 |
特許庁審判長 |
石田 清 |
特許庁審判官 |
久我 敬史 小林 由美子 |
登録日 | 2008-01-11 |
登録番号 | 商標登録第5103964号(T5103964) |
商標の称呼 | ハイテック |
代理人 | 橋本 良樹 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |
代理人 | 幡 茂良 |
代理人 | 吉田 親司 |
代理人 | 潮崎 宗 |
代理人 | 鈴江 武彦 |
代理人 | 河野 哲 |
代理人 | 小出 俊實 |
代理人 | 石川 義雄 |
代理人 | 土生 哲也 |