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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない Y0709
管理番号 1208384 
審判番号 不服2008-650147 
総通号数 121 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-10-15 
確定日 2009-09-29 
事件の表示 国際商標登録第871634号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第7類及び第9類に属する国際登録において指定された商品を指定商品として、2004(平成16年)年11月17日にEuropean Communityにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2005年5月9日に国際登録され、その後、指定商品については、平成19年2月1日付け手続補正書により、第7類「Electric motors and servomotors(except for land vehicles),stepping motors,electric drives not for land vehicles.」及び第9類「Lasers for measuring purposes;sensors,in particular optical,electronic,optoelectronic,photoelectric,inductive,capacitive sensors;distance measuring machines or apparatus(range finders),rotation angle sensors;magnetic encoders,incremental encoder,electronic interface modules;electronic data processing equipment;computer programs included in this class,in particular for measuring and control technology.」と補正されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第1109231号商標(以下「引用商標」という。)は、「DSL」の欧文字を横書きしてなり、昭和46年9月23日に登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、同50年3月7日に設定登録され、その後、同60年3月19日、平成7年8月30日及び同16年12月28日の3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同17年6月22日に指定商品を第7類「起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,直流発電機,家庭用食器洗浄機,家庭用電気式ワックス磨き機,家庭用電気洗濯機,家庭用電気掃除機,電気ミキサー,電機ブラシ」、第8類「電気かみそり及び電気バリカン」、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」、第10類「家庭用電気マッサージ器」、第11類「電球類及び照明用器具,家庭用電熱用品類」、第12類「陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。)」、第17類「電気絶縁材料」及び第21類「電気式歯ブラシ」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標の類否について
本願商標は、別掲のとおり、「HIPERFACE」の欧文字(「P」、「F」及び語尾の「E」の各文字は、縦線の一部を欠き、「FACE」の文字部分は肉太で表されている)及び「DSL」の欧文字(「D」の文字は、縦線の一部を欠く)を肉太にして上下二段に横書きにし、「HIPERFACE」及び「DSL」の文字の間には、「P」のやや下から右上方にカーブを描き、「C」及び「E」の文字と重なる部分は欠落し、先端部が「L」に近接するように描かれた弧状の図形(以下、「弧状図形」という。)を配してなるところ、弧状図形は「HIPERFACE」の文字の「C」及び「E」と重なりあうことなく表されていることから、視覚上、文字部分と弧状図形とは分離して看取されるばかりでなく、その弧状図形と文字部分の相互間には、観念上これらを不可分一体のものとして認識、把握しなければならない格別の事情は認めがたいものである。
そうすると、本願商標は、その構成中の文字部分も独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすというのが相当である。
そこで、「HIPERFACE」及び「DSL」の文字部分についてみるに、該文字全体より生ずる称呼は、「ハイパーフェースディーエスエル」と10音(長音及び拗音を除く)からなるものであって、比較的冗長であるところ、上段の「HIPERFACE」の文字は、特定の意味を有しない造語からなるものであり、また、下段の「DSL」の文字は、「Digital Subscriber Line」の略語として、「ブロードバンドの一つ。従来の電話回線に専用モデムをつけるだけで高速のインターネット接続が可能に。」(「2009年現代用語の基礎知識」自由国民社発行)の意味を有するものであるが、本願商標に係る指定商品には、第7類に属する商品及び第9類の指定商品中「Lasers for measuring purposes;sensors,in particular optical,electronic,optoelectronic,photoelectric,inductive,capacitive sensors;distance measuring machines or apparatus(range finders),rotation angle sensors;magnetic encoders,incremental encoder」は、必ずしも「ブロードバンド」に関連する商品ともいい難いものであるから、「DSL」の文字から直ちに上記「ブロードバンド」の意味合いが生ずるともいえないものであり、むしろ、欧文字3文字で表した特定の観念を有しない一種の造語と認識されるものというべきである。
さらに、「HIPERFACE」及び「DSL」の両語について、これらをあわせて、一連の熟語として特定の意味合いを有するものとはいい難いものである。
そうとすれば、本願商標は、上段、下段の各文字がそれぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を果たしえるというべきであるから、本願商標に接する取引者、需要者は、その構成中、「DSL」の文字部分を捉え、これより生ずる「ディーエスエル」の称呼のみをもって、商品の取引にあたる場合も決して少なくないとみるのが相当であるから、本願商標からは、「DSL」の文字に相応して、「ディーエスエル」の称呼をも生ずるものといわなければならない。
一方、引用商標は、「DSL」の文字からなるものであるから、構成文字に相応して「ディーエスエル」の称呼を生じ、また、「DSL」の文字は、前記のとおり、特定の観念を有しない一種の造語と認識されるとみるのが相当である。
また、本願商標の構成中の「DSL」の文字と引用商標の文字とは、「D」の文字に相異があるとしても、全体としてみれば同じ綴り字からなるものであるから、本願商標と、引用商標とは、外観上においても近似した印象を与えるというべきである。
以上のとおり、本願商標と引用商標とは、観念について比較することはできないとしても、称呼を共通にし、かつ、外観においても紛らわしい類似する商標であり、かつ、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品に含まれるものである。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「本願商標は、『HIPERFACE』、『半月状の図形』及び『DSL』が一体として認識されるばかりでなく、『HIPERFACE』が最も看者の注意を惹く構成であり、『DSL』は、『デジタル加入者線』の略語であり、観念の上でも識別力が弱い。したがって、仮に本願商標が一体としてのみ把握すべきものではないとしても、本願商標の識別力の中心は、『HIPERFACE』にある。」旨主張している。
しかしながら、前記認定のとおり、本願商標の構成中、「HIPERFACE」及び「DSL」の各文字及び弧状図形は、それぞれ分離して認識、把握され得るものであり、また、「DSL」の文字が、「ブロードバンド」の意味を有するものであるとしても、本願商標に係る指定商品には、必ずしも「ブロードバンド」に関連しない商品も含まれることから、「DSL」の文字が本願商標に係る指定商品全般にわたり識別力が弱いとはいえない。
イ 請求人は、「本願商標の外観と引用商標の外観とは全く異なり、かつ、本願商標の識別力の中心は『HIPERFACE』にあるから、両者の外観を識っている需要者、取引者にとって、本願商標の示す出所と引用商標の示す出所とが異なることは明白であり、単に『ディーエスエル』という称呼のみをもって、出所についての誤認混同は生じ得ないのである。」旨主張している。
しかしながら、本願の指定商品を取り扱う分野において、商標の称呼よりもむしろ外観や観念を重視して取引される特殊事情があるものとも認められず、請求人もその主張を裏付ける証左を何ら示していない。そうすると、本願の指定商品を取り扱う分野においては、称呼のみによる取引も否定できず、その他電話等の口頭による商取引が全く行われていない等の、特殊な取引の実情があるものとも認められないから、称呼が共通であることを理由に引用商標と類似するものと判断することは必ずしも不合理とはいえない。
ウ 請求人は、他の登録例を挙げて、本願商標は引用商標に類似しない旨主張している。
しかしながら、請求人が挙げる登録例は、二語からなる欧文字を結合した商標やハイフン(-)を介して結合した商標等の例であり、欧文字を二段に横書きして分離観察され得る本願商標とはその構成態様が相違するものである。そして、商標法第4条第1項第11号の該当性については、個別具体的に決せられるべきものである。また、請求人が挙げる登録例があるとしても、その登録例が本願指定商品との関係において、取引社会においてどのように使用されていて、どのような状況であるのかなどは不明であり、それらの登録例が本願商標と引用商標の類否の判断における特別の事情となり得るということはできない。そうとすれば、対比される商標の具体的な構成等を異にする他の登録例は、本件に関する上述の判断を左右するものではない。
よって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)むすび
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものとした原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 【別記】

審理終結日 2009-04-21 
結審通知日 2009-04-24 
審決日 2009-05-19 
国際登録番号 0871634 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (Y0709)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 根岸 克弘千葉 麻里子 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 清川 恵子
木村 一弘
商標の称呼 ハイパーフェースデイエスエル、ヒパーフェースデイエスエル、ハイパーフェース、ヒパーフェース、フェース、フェースデイエスエル、デイエスエル、ハイパー、ヒパー 
代理人 佐藤 雅巳 
代理人 古木 睦美 

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