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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 125
管理番号 1208258 
審判番号 取消2009-300151 
総通号数 121 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-01-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-01-28 
確定日 2009-11-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第1808853号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第1808853号商標(以下「本件商標」という。)は、「REMINISCENCE」の欧文字を横書きしてなり、昭和54年2月16日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同60年9月27日に設定登録、その後、平成8年2月28日及び同17年9月6日の二回にわたり、商標権存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、同18年2月8日に、第25類「洋服,コート,ズボン,ショーツ及び半ズボン,ショートパンツ,ジャケット,スカート,ドレス,婦人服,セーター類,ワイシャツ類,ティーシャツ,ブラウス,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,その他の被服」と書換登録がされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
請求の理由
請求人が鋭意調査した限りにおいては、本件商標が商標権者によって継続して3年以上日本国内において使用されている事実を発見することができなかった。また、商標登録原簿を見ても、専用使用権及び通常使用権は設定登録されておらず、許諾を受けた通常使用権者等による使用の事実もない。更には、本件商標を使用していないことについての正当な理由も認めることができない。よって、請求人は、商標法第50条第1項の規定に基づき、本件審判請求の趣旨のとおりの審決を求めるものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標の商標権者は、アメリカ合衆国ニューヨーク州、ニューヨーク、ウエスト トゥエンティーサード ストリート 50に所在するレミニッセンス リミテッドである。
本件商標は、商標権者の名称(商号)「REMINISCENCE(レミニッセンス)」に係るいわゆる商号商標であり、洋服その他の被服について幅広く使用されているものである。
被請求人の提出に係る、商品カタログ「Reminiscence(2006 SPRING and SUMMER)」(写)は、本件商標が付された商品群を掲載したもので、株式会社ルック(以下「ルック社」という。)が発行したものである(乙第1号証-1)。当該商品カタログの第1頁目の表紙には、枕を抱えた女性の写真と共に、カタログのタイトル「Reminiscence(2006 SPRING and SUMMER)」の欧文字及び数字が、また、裏表紙には、太陽の光と海が写された写真と共に、「Reminiscence」の欧文字とカタログの発行元を示す「Head office LOOK Inc.」の欧文字がそれぞれ確認できる。
第2頁目以降の頁では、衣料品類の各種商品を着用した女性の写真が多数掲載され、一部の写真については、商品名とその価格が表示されている。例えば、第2頁目の「cardigan 5,145yen」、「camisole 6,195yen」及び「pants 8,295yen」の表示は、写真の女性が着用した商品の名称及び価格として、「カーディガン 5145円」「キャミソール 6195円」「パンツ 8295円」を意味するものである。
また、第3頁目の「dress 5,145yen」、第4頁目の「shirt 8,295yen」、「denim 27,300yen」、「cap 4,725yen」は、それぞれ、「ドレス 5145円」、「シャツ 8295円」、「デニム 27300円」及び「縁なし帽子 4725円」を意味することは、明らかである。同様に、それ以降の頁においても、洋服その他の被服の範ちゅうに属する商品の名称及び価格が、写真と共に明示されている。
この商品カタログで用いられている「Reminiscence」の欧文字は、「R」、「E」、「M」のような大文字のみで構成される本件商標とは、書体・文字の種類において若干相違するものの、本件商標との関係では、不使用による商標登録の取消審判に関する商標法第50条第1項ないし2項の規定でいうところの「社会通念上同一の商標」とみなすことができる。
また、商品カタログのタイトル「Reminiscence(2006 SPRING and SUMMER)」から分かるように、当該商品カタログは、平成18年(2006)の春から夏頃にかけて、消費者・需要者等に頒布されていたものである。これについては、被請求人の提出に係る株式会社ホッタガクフがルック社宛てに発行した2006年2月28日付けの請求書において、「商品名」の欄に「Reminiscence カタログ」、「カタログ修正ステッカー」及び「Reminiscence POSTCARD」の記載があることから、当該請求書が上述の商品カタログ及びそれに付随するステッカー、さらには、本件商標を付した商品が描かれた絵はがきの作成代金に係るものであることは、明らかである(乙第1号証-2)。
なお、商品カタログ、ステッカー、絵はがきといった物品・媒体は、商品の広告・宣伝等を目的として製造・頒布されるものであるから、本件商標を付したそれらの物品・媒体等を頒布する行為は、当該物品・媒体等に掲載された商品についての本件商標の使用に該当するものである。
以上のとおり、本件商標が、その指定商品の一部である、第25類「洋服,ズボン,ドレス,ワイシャツ類,下着,帽子その他の被服」について、審判の請求の登録前3年以内に、日本国内においてルック社によって使用されていたことは、明らかである。
2 被請求人の提出に係る、「請求書(控)」は、洋服その他の被服が販売された際に発行された請求書の控え書類で、商品の品名と価格の明細が記載されているものである(乙第2号証-1ないし2号証-9)。
まず、2007年11月18日付けの「請求書(控)」では、品名の欄に「Reminiscence スカート」、「Reminiscence ジャケット」と手書きで記載されているのが確認できる。これは、本件商標を付したスカート及びジャケットが、現実に販売・取引されたことを意味するものである。
また、2007年11月22日付けの「請求書(控)」では、「Reminiscence ブラウス」、「Reminiscence カーペンター(パンツ)」の記載が、「Reminiscence ワンピース」の記載が、2007年12月4日付けの「請求書(控)」では、「Reminiscence カーペンターパンツ」が、2007年12月17日付けの「請求書(控)」では、「Reminiscence ジャケット」、「Reminiscence ワンピース」、「Reminiscence パンツ」、「Reminiscece TOPS(トップス)」の記載がそれぞれあり、同様に、2008年4月から9月までの日付けが入った「請求書(控)」でも、「Reminiscence」に係る商品の品名と価格の明細が列挙されているのが確認できる。
これらは、本件商標を付した洋服、ズボン、ドレスその他の被服が上述の「請求書(控)」の日付に前後する時期に、現実に販売・取引されていたことを示唆するものである。
したがって、本件商標が「洋服,ズボン,ドレス,ワイシャツ類,下着,帽子その他の被服」について、審判の請求の登録前3年以内に、日本国内においてルック社によって使用されていたのは、明らかである。
3 被請求人の提出に係る「INVOICE」は、アメリカ合衆国に所在する被請求人が日本に所在するルック社に対して、本件商標を付した商品を輸出する際に生じた商品の仕入代金及び輸出時に発生した諸経費に係る請求書で、航空貨物会社である、株式会社南海エクスプレスからルック社宛てに発行されたものである(乙第3号証-1)。
当該請求書に添付された商品の明細には、「COTTON BLOUSE」、「COTTON DRESS」、「JEANS MIX A」、「CHILDRENS DENIM」、「WORK PANTS」、すなわち、「綿製のブラウス」、「綿製のドレス」、「ジーンズ」、「子供用デニム」、「ワークパンツ」等、本件商標を付した洋服その他の被服に係る商品名が列挙され、各品目ごとの価格と共に表示されている。
また、当該請求書の発行日は、2006年3月7日であり、同請求書に「入港年月日2006.03.05」「申告年月日2006.03.06」の表示がある。これらのことからも、2006年(平成18年)3月5日から7日にかけて、本件商標を付した商品の取引、すなわち、日本への輸入が行われたことは、明らかである。
したがって、本件商標が、少なくとも、その指定商品の一部である、第25類「洋服,ズボン,ドレス」について、審判の請求の登録前3年以内に、日本国内においてルック社によって使用されていたことが確認できるものである。
なお、同様に、本件商標を付した被服等の商品の仕入代金及び日本への輸出時の諸経費に係る請求書が、2006年(平成18年)1月から2月にかけても株式会社南海エクスプレスからルック社宛てに発行されており、これは、審判の請求の登録前3年の日以前から継続して、本件商標が「洋服その他の被服」等について使用されていたことを示唆するものである(乙第3号証-2ないし3号証-4)。
4 被請求人の提出に係る2006年5月26日付けの「御請求書」は、ルック社が、本件商標を付した商品の製品在庫管理及びそれに付随する付帯作業を外部業者である有限会社スナオに委託し、それらの作業等に係る代金の請求書を、受託者である有限会社スナオがルック社宛てに発行したものである(乙第4号証)。当該請求書には、「別紙明細 洋服」の記載があり、また、添付の明細の5枚目にも「Reminiscence 古着」と記載されていることからも、当該請求書が、本件商標を付した「洋服その他の被服」等に関連する作業の対価に係るものであることが確認できる。
このことからも、本件商標が、その指定商品である、第25類「洋服その他の被服」について、審判の請求の登録前3年以内に、日本国内においてルック杜によって使用されていたというべきである。
5 本件商標を付した商品は、日本各地に展開する店舗で販売されている。販売店では、本件商標を付した様々な商品が陳列され、販売されているが顧客の関心を惹き寄せ、購買意欲を喚起させるために、商品そのものは当然ながら、その他に、特売をはじめとする各種催事や商品の入れ換え等の節目に合わせて、随時、商品のディスプレイ(陳列)、店内に施す装飾等の内装に手を加えたり変化をつけたりすることによって様々な雰囲気を演出し、より魅力的な店舗にするための工夫が凝らされている。
被請求人の提出に係る、株式会社ディー・ブレーン、日昭電気株式会社及び有限会社サン・リフォームからルック社宛の請求書は、東京都渋谷区に所在する本件商標を付した商品の販売店「Reminiscence DAIKANYAMA(レミニッセンス代官山)」の内装の作業代、及び、店舗の保守等に係る、いわゆるメンテナンス料に関するものである(乙第5号証-1ないし5号証-7)。当該請求書の日付は2006年2月から11月となっており、これは、本件商標を付した商品が、請求書の日付に該当する時期又はそれに前後する時期に、上述の販売店において現実に販売されていたことを示唆するものである。
したがって、本件商標は、第25類「洋服その他の被服」について、審判の請求の登録前3年以内に、日本国内においてルック社によって使用されていたというべきである。
6 また、本件商標を付した商品は、百貨店・スーパーマーケット・ショッピングセンター(ショッピングモール)等、複数の小売店が集合した商業施設においても販売されている。
被請求人の提出に係る株式会社ウェルダンが発行したルック社宛ての2006年4月1日付けの請求書は、神奈川県横浜市に所在する商業施設「横浜ルミネ」の催事場で行われた、本件商標を付した商品の販売の対価としての販売代行費に係るものである(乙第6号証-1)。かかる販売代行は、ルック社と株式会社ウェルダンとの間で締結された2006年3月27日付けの「販売代行委託契約書」に基づいて行われたものである(乙第6号証-2)。当該販売代行委託契約書によれば、委託契約期間は、2006年3月14日より3月31日までとなっており、これは、本件商標を付した商品が、その期間中、「横浜ルミネ」の催事場において現実に販売されていたことを示唆するものである。
また、このような商業施設での催事場においても、店舗の改装・保守等は随時行われており、それに伴って、内装関連の業者による作業が行われている。被請求人の提出に係るジーク株式会社が発行したルック社宛ての平成18年3月28付けの請求書は、上述した催事場を設営する際の作業代に係るもので、現実に催事が行われ、本件商標を付した商品が催事期間中に販売されていたことを示唆するものである(乙第6号証-3)。
これらのことから、本件商標は、その指定商品である、第25類「洋服その他の被服」について、審判の請求の登録前3年以内に、日本国内においてルック社又は株式会社ウェルダンによって使用されていたというべきである。
7 以上、被請求人の提出に係る、乙各号証を総合的に勘案すれば、本件商標は、株式会社ルック及びその他の者によって、第25類「洋服,ズボン,ドレス,ワイシャツ類,下着,帽子その他の被服」について、日本国内で継続して使用されていると認められるところであり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、請求人の請求に係る指定商品のうち、少なくとも、第25類「洋服,ズボン,ドレス,ワイシャツ類,下着,帽子その他の被服」について、通常使用権者により使用されているといわなければならないところである。すなわち、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に基づいて、その登録を取り消されるべきものではない。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る各乙号証より、以下の事実が確認できる。
(1)乙第1号証-1は、商品カタログの写しであり、1枚目には「Reminiscence Daikanyama 03-5784-1980/Head Office LOOK Inc 03-3794-9176
」、「Reminiscence 2006 SPRing and SUMMeR」、2枚目には「cardigan 5,145yen/camisole 6,195yen/pants 8,295yen」、第3枚目には「dress 5,145yen」、第4枚目には「shirt 8,295yen/denim 27,300yen/cap 4,725yen」の各文字と、各価格の商品を着用したモデルの写真が掲載されている。
(2)乙第1号証-2は、ルック社あての株式会社ホッタガクフからの2006年2月28日付けの請求書の写しであるが、そこには、「商品名」の欄に「Reminiscence カタログ」、数量「300」、単価「1,400.00」の記載がある。
(3)乙第3号証-1は、INVOICEであり、一枚目はルック社に対する株式会社南海エキスプレスからの請求書の写しであり、AWB INFORMATIONとして、「AWB NO:91018270」、「ARR DATE:05/MAR/2006」、「GOODS:GARMENTS」、「SHIPPER:REMINISCENCE」の記載のほか、「航空運賃:40,640」、「関税 27,700」、「配送料:4,500」、「請求額合計 56,167」等と表示されている。
また、2枚目の輸入許可通知書の写しには、「申告年月日 2006.03.06」、「輸入者 36272 LOOK INC.」、「代理人 1MNTI NANKAI EXPRESS CO.,LTD」、「輸出者名 REMINISCENCE」、「AWB番号 910 18270」、「品名 BLOUS、SHIRT-BLOUSE&ETC OF COTTON」、「関税 ¥27,700」、「輸入許可日 2006.03.06」等が表示されている。
5枚目は、REMINISCENCEから、LOOK INC.への、INVOICEの写しであり、「ArtNo」の欄には、「SPECIAL TEE A」等の表示、「Description」の欄には、「CO 100% WOVEN T-SHIRT」等、 「Otv」欄には、「37」等、「U.Price」欄には 「6.00」等、「Amount」欄には、「222.00」等及び下段には、「US$ 2,265.00」と表示されている。
2 以上の事実を総合すれば、ルック社は、2006年2月28日に、商品「キャミソール、パンツ、ドレス」等の商品が掲載された被請求人の製品に係る商品カタログ「Reminiscence(2006 SPRing and SUMMeR)」300冊を作成、宣伝広告のために頒布し、その後、2006年3月6日に、商品「ブラウス」等が、被請求人からルック社を介して輸入されたことが認められる。
そして、上記取引の事実及び該カタログの一枚目に「Reminiscence Daikanyama/Head Office LOOK Inc.」との記載がみられることを考慮すれば、ルック社は、我が国における被請求人の実質的な通常使用権者といえる。
さらに、そのカタログには、「Reminiscence」の商標が使用されていると認められるところ、該使用商標が、筆記体の欧文字で表され、本件商標と「eminiscence」の部分において大文字と小文字の違いであるものの、綴りを同じにするものであり、それぞれの構成文字全体より「レミニッセンス」の称呼が生ずることからすれば、本件商標と使用商標は、社会通念上同一の商標とみて差し支えない。
したがって、被請求人は、通常使用権者が、本件商標と社会通念上同一の商標を、日本国内において、その請求に係る指定商品中「キャミソール、パンツ、ドレス」等の商品について、請求の登録前3年以内に使用していたことを証明したといえるから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-09-30 
結審通知日 2009-10-05 
審決日 2009-10-16 
出願番号 商願昭54-10350 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (125)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 内山 進
岩崎 良子
登録日 1985-09-27 
登録番号 商標登録第1808853号(T1808853) 
商標の称呼 レミニスンス、レミニセンス 
代理人 高田 泰彦 
代理人 宮嶋 学 
代理人 吉武 賢次 
代理人 橘 哲男 
代理人 塩谷 信 
代理人 宮城 和浩 
代理人 黒瀬 雅志 

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