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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y25
管理番号 1208180 
審判番号 取消2009-300183 
総通号数 121 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-01-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-02-04 
確定日 2009-11-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第4834189号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4834189号商標の指定商品中「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4834189号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおり、「Pura Vida」の欧文字を筆記体により書してなり、平成16年7月7日に登録出願され、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成17年1月21日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、「結論同旨の審決を求める」と申し立て、その理由及び弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし第4号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)弁駁の理由
ア 乙第1号証及び第2号証について
被請求人(商標権者)は、平成18年8月1日よりアイオーアイ株式会社(以下「I社」という。)に勤務し、勤務にあたりI社に本件商標の使用許諾をした旨を主張し、その証拠として陳述書を提出している。
しかし、被請求人及びI社代表取締役は、使用許諾がある事実を述べるのみであって、具体的な使用許諾内容(使用許諾期間、使用許諾地域、使用許諾商品等)を何ら説明していない上、使用許諾時の証拠書面を提出していない。さらに、陳述の日付は本件審判請求後に係るものであるから、乙第1号証及び第2号証をもって、使用許諾の事実があった証拠とは認められない。
イ 乙第3号証ないし第6号証について
以下、被請求人よりI社に対して、本件商標の使用許諾があると仮定した場合について述べる。
I社は使用事実の証明として、ゴルフマガジンEVEN(以下「EVEN誌」という。)に本件商標の称呼「プラビダ」、「プラビーダ」を広告宣伝した事実を挙げている。
a.本件商標「Pura Vida」は、被請求人が主張するように「プラビダ」、「プラビーダ」の他、「プーラビダ」、「プラヴァイダ」等の多様な称呼が発生し得る商標である。
したがって、「プラビダ」若しくは「プラビーダ」は、本件商標と社会通念上同一であるとはいえない。
そのため、「プラビダ」、「プラビーダ」を広告宣伝した事実をもって、登録商標の使用ということはできないものである。
なお、被請求人は、商標公報(甲第1号証)に称呼「プラビダ」と記載されていると述べているが、当該記載は参考情報であって「プラビダ」のみの称呼が生じると認定されているものではない。
b.乙第3号証ないし第6号証のEVEN誌の記事中において、「プラピダ」及び「プラビーダ」の記載が見受けられるが、I社の製品であることを示す記載は一切ないだけでなく、当該半袖シャツの写真からは「Pura Vida」なる商品タグ・ラベル等が付されている事実は確認不可能である。
したがって、当該記事をもってしては、I社が本件商標「Pura Vida」を使用している証明となるものではない。
c.乙第4号証及び第5号証において、記事中に紹介されている商品は「タオル」であって、本件審判取消に係る商品「運動用特殊衣服、運動用特殊靴」とは、同一又は類似する商品でもなく、本件審判とは何ら関係ないものである。
ウ 乙第7号証について
EVEN誌に掲載された商品(乙第3号証ないし第6号証)と同一の商品であると主張する商品写真を乙第7号証として提出しているが、両商品の左胸ポケット部分の刺繍を比較するに、旗の有無、犬の模様等に差異があり、乙第7号証の商品と、乙第3号証及び第6号証の商品とが同一であると認めることはできないものである。
エ 乙第8号証について
乙第8号証において、株式会社アイラック(以下「B社」という。)が、I社からの受注により、「Pura Vida」の標章が表示されている織りネーム・下げ札を製作した旨を証言している。
2006年頃の製作については使用する商品種類の記載がなく、2007年には「プラビーダゴルフ用」との記載があるだけであり、本件審判取消に係る商品「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」用として製作されたとの証拠とならないばかりでなく、当該織りネーム・下げ札の製作のみをもって、それがI社の製作する「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」に使用された事実を示すとものとは認められない。
オ 乙第9号証について
当該織りネーム・下げ札(乙第8号証)を、商品力タログ(乙第9号証)に示す態様で、I社は自社製品に付けて販売している旨を主張している。
しかし、当該カタログに掲載されている商品は、すべて「被服」に属する商品であって「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」とは認められない。
したがって、当該カタログをもって、I社が当該織りネーム・下げ札(乙第8号証)を、本件審判取消に係る商品「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」に使用していると認めることはできない。
カ 乙第10号証について
ギルドストア、ハレハレビーチハウス、グレミー(いずれも業種不明)なる店舗が「競技スポーツ用イン&アウターウェア」のチラシを平成19年11月頃より店頭にて配布している旨を証言している(乙第10号証の1ないし3)。
a.当該チラシ上部には「Pura Vida\ATHELETE\Sports People's Choice」なるロゴマークが記され、商品写真の胸部分及び膝部分には「Pura Vida」なる文字がプリントされているが、当該文字「Pura Vida」と本件商標「Pura Vida」とでは、すべての構成文字において、そのデザインが微妙に異なっており、当該文字と本件商標「Pura Vida」とが同一であると認めることはできない。
b.また、当該チラシ上部の「Pura Vida\ATHELETE\Sports People's Choice」は不可分一体的に構成されており、その全体をもって、ひとつの商標といえるものである。したがって、この使用をもってして、本件商標「Pura Vida」の使用ということはできない。
c.商品写真の胸部分及び膝部分の「Pura Vida」なる文字は、胸・膝という商品デザイン上の重要な位置に描かれており、自他商品の識別機能というよりも、商品デザインとして描かれたものであり、意匠的・装飾的使用に当たり、社会通念上、本来の商標としての使用とはいえないものである。
d.当該チラシ下部に「お問い合わせ」として、I社の社名が記されているが、「お問い合わせ」の記載のみをもって、I社が当該商品を生産・譲渡等しているということはできない。
e.ギルドストア、ハレハレビーチハウス、グレミーなる各店舗の業種は不明であり、他にどのような形で当該チラシを配布しているのか不明である。少なくとも一年半以上前から、当該チラシを配布し、当該商品の製造販売を継続して行っているのであれば、すでに当該商品の卸・小売を行った事実があると考えるのが蓋然であり、証拠として当該商品の売上伝票、鮮明な商品写真等を提出できるはずである。
f.当該チラシに掲載された左商品写真の「P」の文字と、中2点の商品の「P」の文字とのデザインが異なる。また、「V」の文字の大きさのバランスが異なっている。そして、中2点のシャツと右のタイツとは、商品写真ではなく商品シルエットのみの絵といえるものであり、当該商品が現実に存在するか疑わしいものである。
そうすると、左商品写真も無地のシャツ写真と「Pura Vida」の文字とを合成したとの疑いも生じる。
g.以上のことから、I社が当該商品を現実に製造販売しているとは考え難く、実在しない商品のチラシのみを作成した蓋然性が高いといえるものである。
キ 運動用特殊衣服について
a.被請求人は、「運動用特殊衣服」について独自の見解を述べ、乙第3号証に掲載されているポロシャツ(被請求人は「ゴルフウェア」と主張している。)が、「運動用特殊衣服」の範疇に属すると主張する。
しかし、EVEN誌がゴルフ誌であるにしても、ポロシャツとして紹介され、ゴルフウェアなる記載はない上、特にゴルフ専用のポロシャツ、ゴルフ向きの特殊機能が備えられているといった記載もされていない。
ところで、ポロシャツは、一般にカジュアルウェアとして、ゴルフ用品専門店などでなく、通常の衣料品店にて、スポーツ用などと称されずに日常生活用衣服として販売されているものであって、「被服」に属する商品と解される(甲第3号証)。
乾きが早い、紫外線を遮断する等の機能は、スポーツ用に限った機能ではなく、「ドライ」、「UVカット」などと称して、「被服」に属する商品にも浸透し日常生活で着用されており、乙第3号証に掲載されているポロシャツは、これらポロシャツと何ら大差ないものである。
「商品及び役務の区分解説」(特許庁商標課編、社団法人発明協会、2007年11月30日改訂第5版発行)の130頁「運動用特殊衣服」の項によれば、「この概念には、スポーツをする際に限って着用する特殊な衣服が含まれる。なお、『トレーニングパンツ』『ランニングシャツ』等は、スポーツ以外の日常生活でも使用され、特殊なものでもないことから、この概念には含まれず、本類『被服』に属する。」とされていることからも、ポロシャツが「被服」に属することは明白である。
b.さらに、乙第10号証の1ないし3の商品をI社が製造販売しているとしても、保温性、撥水加工、抗菌防臭加工等の機能を謳っているものの、これら機能が備わっている「被服」に属する商品が浸透していることは前述したとおりであって、「競技スポーツ用イン&アウターウェア」などと称しているが、スポーツ専用ではなく、スポーツに適していることを表わしているにすぎないと考えられる。
なお、当該商品と同等の商品について、登録取消審判事件の審決においても、同様の見解が示されている(甲第4号証)。

3 被請求人の主張
被請求人は、「請求を棄却する。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし第11号証(枝番を含む。但し、枝番の全てを引用する場合は、その枝番の記載を省略する。)及び検乙第1号証を提出した。
(1)本件商標の使用の事実について
ア 本件商標の権利者である岡本典彦は、I社の社員であり、同人は同社との間で口頭で本件商標の通常使用権を設定し、同社は同人の許諾を得て本件商標を平成18(2006)年8月以降、同社の取扱商品であるスポーツシャツ等に使用している(乙第1号証及び第2号証)。
イ EVEN誌に掲載された写真にあるゴルフウエアは、その右側の解説書き(赤塗りした部分)と下段のインタビュー書き(赤塗りした部分)から明らかなとおり、I社が本件商標「Pura Vida」から生ずる称呼の「プラビダ」をブランドとして取引している商品である。また、該写真のゴルフウエアの織りネームには、本件商標の「Pura Vida」の標章が表示されている(乙第3号証)。
ウ 乙第4号証ないし乙第6号証に示す各書証に掲載された各商品の写真下の解説書きには、本件商標から生ずる「プラビダ」の称呼(赤塗りした部分)が記載されている。
したがって、I社がゴルフウエアの他、ゴルフプレイに関連する商品に本件商標を本件審判請求以前から使用していることは明らかである。
(2)第25類「被服」中のスポーツシャツ、水泳着について
ア 各メーカーでは、それぞれのスポーツの種目毎にプレイヤーの身体の動きの特徴を生かしたスポーツシャツ、スポーツウエアを開発し販売している。この事実は一般的にいうと、商品分類に区分けされたスポーツシャツ、水泳着といっても、実態は、一般的なレジャーに使用するものから、特殊運動着の範疇に入るものがあるということである。
そして、分類表による「スポーツシャツ」とは、一般にいう運動着であり、また、分類表による「水泳着、水泳帽」も同じである。
イ 「運動用特殊衣服」中のユニホーム、スキー競技用衣服について
この分類でユニホームとは、スポーツシャツ、スポーツウエアといわれる範疇に入るものを指すと思われ、野球着、サッカー着、水泳着に限らず、その他の種目のスポーツにも、それぞれのスポーツの種目毎に順応する機能を発揮する着衣が研究開発され、商品化されている。
そうすると、「スキー競技用衣服」と同じように、それぞれの種目のスポーツのプレーを行おうとする者が着用するスポーツウエア、スポーツシャツは、運動用特殊衣服の範疇に属するということになる。
ウ そして、分類表による運動用特殊衣服とは、各種の種目の運動を行うのに当たり、それぞれの運動に着用する衣服であって、それぞれの運動に適合するよう工夫されて作られた被服ということである。
エ ゴルフウエアについても、ゴルフに関心を持ち始めた初心者が着用する着衣はともかくとして、ゴルファーと言われる人等は自分の希望に合った機能を発揮するゴルフウエアを選択する。
そうすると、ゴルフウエアは一般的にはスポーツウエア、スポーツシャツといわれるものでもあるけれども、商品区分の分類からいえば、運動用特殊衣服ということになる。

4 当審の判断
(1)被請求人提出の証拠
ア 乙第1号証及び第2号証について
乙第1号証は、商標権者が平成18年8月1日より、I社の社員として勤務していること及びI社が、本件商標について「アスリートスポーツ用ウェアなどの運動被服」に許諾を受けて使用していることを、I社の代表取締役が述べる陳述書であり、また、乙第2号証は、乙第1号証と同様なことを商標権者が述べる陳述書である。
イ 乙第3号証ないし乙第6号証について
a.乙第3号証は、2007(平成19)年5月1日発行のEVEN誌であり、その149頁上段に胸部刺繍、いわゆるワンポイントマークを拡大したものと、全体を撮影した半袖シャツとみられる写真、その右側にこれを解説した「『プラビダ』のポロ。…ポロ・シャツが大人気。…」の記載及び対談記事中に「…今号はポロ・シャツの特集(166ページ)をやったけれどさ、湘南発の新ブランド『プラビダ』って、知ってる? そこのポロが…」との紹介記事が掲載されている。
b.乙第4号証及び乙第5号証は、同じく2007(平成19)年11月1日及び2008(平成20)年3月1日発行のEVEN誌であり、その146頁及び130頁のそれぞれの上部に「プラビダ別注」及び「キャディ・バッグ・タオル」、「プラビーダ別注」及び「キャディ・バッグ・タオル」の各記載と、その下段記事中に「湘南で話題のニュー・ブランド『プラビダ』。…」、「湘南発の話題のブランド『プラビーダ』とのコラボ。…」の各記載がある。
c.乙第6号証は、同じく2008(平成20)年7月1日発行のEVEN誌であり、その34頁に「ポロ選びはPGAプロに学べ!」の表題の下、「ワンコがピンに!」の引き出しをしたワンポイントマークを拡大したものと、全体を撮影した半袖シャツとみられる写真及び「プラビーダ」の表示と「弊誌とのコラボ・タオル(114ページ)でおなじみのブランド。ゆったりとした形状と柔らかな天竺で、…」の記載などが、各メーカーのワンポイントマークとポロシャツの写真と共に紹介されている。
ウ 乙第7号証について
乙第7号証は、半袖シャツの上部分を撮影した写真2葉であり、そのシャツの織りネームに本件商標と同一構成になる欧文字「Pura Vida」が入れられていること、加えて、下段の写真には該シャツに重ねるように前記のEVEN誌(乙第3号証)149頁の一部が撮影されていること及びこの写真についての説明として、「雑誌EVEN(イーブン)掲載品 同一商品写真」、「撮影日 2009年4月17日」及び「撮影者 アイオーアイ(株)岡本典彦、岡本の印影」の各記載がある。
エ 乙第8号証及び第9号証について
a.乙第8号証は、「アイ・オー・アイ株式会社 御中」を表題とする書証であり、本件商標と同一構成になる欧文字「Pura Vida」が表示された下げ札や織りネームなどが撮影された写真2葉と、その下に「プラビーダブランドの副資材は、2006年頃に、アイ・オー・アイ(株)様の依頼により、弊社で製作いたしました 2007年には、プラビーダゴルフ用を製作しています」等の記載と、B社の住所や代表取締役及びその印が押印されている。
b.乙第9号証は、アイオーアイ株式会社の発行したカタログとするものであり、この小冊子様の表紙には「'08年の春と夏の洋服。」の表題、下段には本件商標と同一構成になる欧文字「Pura Vida」が表示されていること及びP9には、「GM-8306 天竺マチポロ(メンズ)」とする商品の掲載のほか、各頁には各種ズボンやシャツなどの商品が掲載されている。
オ 乙第10号証について
乙第10号証は、「体温の・・・競技スポーツ用イン&アウターウェア。」を表題とする、商品に関するリーフレットであり、そこには楕円図形内やシャツの胸部、パンツの腿部を撮影した写真に、本件商標と同一構成になる欧文字「Pura Vida」が表示されていること、商品説明として「●中空起毛素材による抜群の保温性」等や「■適合競技例」の記載のほか、「■お問い合わせ:アイオーアイ株式会社(プラビーダプロジェクト)」及び「ギルドストア」(乙第10号証の1)、「ハレハレビーチハウス」(乙第10号証の2)、そして「グレミー」(乙第10号証の3)の各店舗表示と、「平成19年11月20日より、このカタログを店頭におき販売用に配布しています。」等の添え書き等が記載されている。
カ 乙第11号証について
乙第11号証は、商標権者に係る「登録名義人の表示変更登録申請書」の写しであるところ、当該登録商標の使用を立証するものでない。
キ 検乙第1号証について
検乙第1号証は、2007年5月1日発行の刊行物「EVEN」であるが、乙第3号証のコピーの原本であることが認められる。

(2)商標法第50条第2項に規定する所定の使用
ア 当該登録商標の使用者について
上記(1)で認定した事実を総合すると、商標権者(被請求人)がI社の社員であることを前提とすれば、その関係からしても、I社に対し本件商標について通常使用権の許諾がされたというのが自然である。
そして、具体的な使用許諾内容(使用許諾期間、使用許諾地域、使用許諾商品等)や使用許諾時の証拠書面の提出がないとしても、直ちに使用許諾の既成事実を捏造し、虚偽の主張をしているものとするのは困難であって、かつ、陳述書(乙第1号証及び乙第2号証)の内容を否定すべき事実もないから、I社は通常使用権者の立場にあるというのが相当である。
イ 取消請求に係る指定商品について
次に、使用に係る当該「半袖シャツ」が、本件請求に係る指定商品中の「運動用特殊衣服」の範疇に属する商品であるか否かについて検討する。
a.第25類に属する「運動用特殊衣服」は、前出「商品及び役務区分解説(国際分類第9版対応)」において、その「運動用特殊衣服」の項によれば、「この概念には、スポーツをする際に限って着用する特殊な衣服が含まれる。なお、『トレーニングパンツ』『ランニングシャツ』等は、スポーツ以外の日常生活でも使用され、特殊なものでもないことから、この概念には含まれず、本類『被服』に属する。」とされている。
b.また、特許庁商標課編「類似商品・役務審査基準(国際分類第9版対応)」によれば、第25類「運動用特殊衣服」の概念に含まれる商品として、「アノラック,空手衣,グランドコート,剣道衣,柔道衣,スキー競技用衣服,ヘッドバンド,ヤッケ,ユニフォーム及びストッキング,リストバンド」が掲載されている。
c.他方、「被服」の概念に含まれる商品として「ジョギングパンツ,スウェットパンツ,スキージャケット,スキーズボン」、「スポーツシャツ,ポロシャツ,水泳着」等が掲載されている。
d.してみると、「商品及び役務区分解説」及び「類似商品・役務審査基準」の係る事実からみて、第25類「運動用特殊衣服」の概念に含まれる商品とは、日常生活の場では使用されず、各種スポーツの競技にのみ着用されることを目的につくられた衣服に限定されるということができる。
e.そうすると、EVEN誌に掲載された半袖シャツは、当該シャツの解説中の「…『プラビダ』のポロ。…ポロ・シャツが大人気…」の記載、対談記事中の「…今号はポロ・シャツの特集、…そこのポロが…」との記載(乙第3号証)、同じく、「ポロ選びはPGAプロに学べ!」の表題、「…ゆったりとした形状と柔らかな天竺で、…」の記載(乙第6号証)ほか、I社のカタログ(乙第9号証)の表紙には「'08年の春と夏の洋服。」の表題と「GM-8306 天竺マチポロ(メンズ)」等の掲載が認められるところであり、これらの解説や該シャツを撮影した写真などからは、ゴルフをする際に限って使用されるような形や構造、素材からなる製品とは到底認め難いものであって、その他、当該シャツがゴルフ専用に特殊加工されたようなところも見出せない。
f.以上からして、EVEN誌に掲載された半袖シャツは、「被服」の概念に含まれる商品「ポロシャツ」そのものということができる。
なお、ゴルフに着用する半袖シャツを「ゴルフウエア」という概念になる商品ということはできるとしても、これが取消請求に係る商品中のスポーツをする際に限って着用される「運動用特殊衣服」の範疇に属する商品であると認めるとはできない。むしろ、当該半袖シャツは、スポーツ以外の日常生活の場にあっての気軽な普段着、或いはスポーティーな感じをもつデザインから趣味的なものとしても着用されるシャツというのが相当である。
g.その他のEVEN誌に掲載された「キャディ・バッグ・タオル」(乙第4号証、乙第5号証)は、商品の区分第25類に属する「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」の範疇に属する商品でないことは明らかである。
h.また、I社が将来にかけて運動用特殊衣服も手掛ける計画をもっているとして提出された該リーフレット(乙第10号証)は、直接的には本件商標の使用を立証するためのものでないが、念のため検討するに、その掲載された商品(競技用スポーツ用イン&アウターウェア)は、特定のスポーツの目的にそってつくられた形や構造、素材からなる衣服であるとの点は見出せず、むしろ、「被服」の概念に含まれる「スウェットパンツ,スキージャケット,スキーズボン,水泳着」等と同程度の素材や加工などがされた商品ということができ、スポーツ以外の日常生活でも体温保持のための重ね着としても使用される商品というのが相当である。
ウ 予告登録前3年以内の使用について
当該審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用されたか否かに関しては、上記の認定、判断のとおり、取消請求に係る指定商品についての使用が認められない以上、要証明期間内での使用を立証したことにならない。
エ 当該登録商標の使用について
また、同様に、当該登録商標の使用についても、当該ポロシャツが取消請求に係る指定商品についての使用と認められない以上、本件商標と同一構成になる欧文字「Pura Vida」の使用が認められるとしても(乙第7号証:織りネームの拡大写真)、本件商標の使用を立証したことにはならない。
オ その他の乙号証による立証について
B社の証明書(乙第8号証:下げ札や織りネームなどが撮影された写真2葉)からは、取消請求に係る指定商品「運動用特殊被服,運動用特殊靴」について使用されたか否かの事実は不明であり、その使用を立証するに足りない。
また、I社の小冊子様のカタログ(乙第9号証)には、表紙や裏表紙に本件商標と同一構成になる欧文字「Pura Vida」が表示されていることや「GM-8306 天竺マチポロ(メンズ)」とするポロシャツといえる商品の掲載などは認められるが、取消請求に係る指定商品「運動用特殊被服,運動用特殊靴」についての掲載は見出せない。
その他、乙第1号証ないし乙第11号証からは、取消請求に係る指定商品「運動用特殊被服,運動用特殊靴」についての使用は認められない。
(3)結語
以上のとおり、被請求人の提出に係る証拠によっては、本件商標が、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その取消請求に係る指定商品のいずれかについて使用していた事実が認められない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて、正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中「結論掲記の指定商品」について、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 (本件商標)



審理終結日 2009-08-31 
結審通知日 2009-09-03 
審決日 2009-09-28 
出願番号 商願2004-62921(T2004-62921) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y25)
最終処分 成立  
前審関与審査官 田口 善久 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 野口 美代子
小川 きみえ
登録日 2005-01-21 
登録番号 商標登録第4834189号(T4834189) 
商標の称呼 プラビダ 
代理人 藤木 重一 
代理人 志村 正和 

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