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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 X43 |
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管理番号 | 1206858 |
異議申立番号 | 異議2009-900153 |
総通号数 | 120 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2009-12-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2009-04-24 |
確定日 | 2009-10-28 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5199370号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5199370号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5199370号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成よりなり、平成20年3月11日に登録出願され、第43類「飲食物の提供,会議のための施設の提供,商品展示のための施設の提供,多目的ホールの提供,宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与」を指定役務として、平成21年1月23日に設定登録されたものである。 2 引用商標 (1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第1452417号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ピノ」の片仮名文字と「PINO」の欧文字を二段に併記してなり、昭和51年7月28日に登録出願され、第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、昭和56年1月30日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権存続期間の更新登録がなされ、また、平成13年1月31日に指定商品の書換登録があった結果、第30類「菓子及びパン」となったものである。 (2)同じく、登録第1469962号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2に示すとおりの構成よりなり、昭和52年4月19日に登録出願され、第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、昭和56年7月31日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権存続期間の更新登録がなされ、また、平成14年6月19日に指定商品の書換登録があった結果、第30類「菓子及びパン」となったものである。(以下、一括していうときは「引用商標」という。) 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、その指定役務中「飲食物の提供」については、飲食料品の製造販売と取引実情において密接な関連を有していると認められるから、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであり、同法第43条の2第1号により取り消されるべきである旨主張し、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし第38号証を提出した。 (1)本件商標と引用商標の類似 本件商標は、別掲1に示したとおりの構成よりなるところ、これよりは、「pino」の欧文字部分をもって「ピノ」の称呼が生ずるものと認められる。 他方、引用商標1は、「ピノ」の片仮名文字と「PINO」の欧文字とを二段に併記してなるものであり、また、引用商標2は、やや図案化された書体をもって「PINO」の欧文字と「ピノ」の片仮名文字とを書してなるところ、これらは、いずれも「ピノ」の称呼を生ずるものと認められる。 したがって、本件商標と引用商標とは、「ピノ」の称呼において共通する類似の商標といわざるを得ない。 (2)引用商標の周知性 申立人は、引用商標につき、自己の業務に係る商品「アイスクリーム」について、1976年の発売から現在に至るまで継続して使用している。 当該商品は、いわゆるロングセラーであり、申立人は、その発売からこれまでの間、常にテレビ、新聞等の媒体を利用した広告宣伝活動を行ってきた。その甲斐もあって、当該商品の販売量は順調に増加し、高いマーケットシェアを維持している。 そして、甲第4号証ないし第26号証を総合的に勘案すれば、引用商標は、申立人の業務に係る商品「アイスクリーム」に継続的に使用された結果、本件商標の登録出願時には、既に取引者・需要者の間において周知・著名となっていたものと判断するのが妥当である。さらに、甲第27号証ないし第30号証の新聞記事類によれば、その登録査定時においてもそうであったと認めることができる。 (3)申立人の事業 申立人は、乳製品の製造販売を主たる業務とするも、たとえば甲第31号証として示す会社経歴書写しのとおり、その事業目的は広範におよび、アイスクリーム類の製造・販売のほか、飲食店の経営をも事業の目的の一つとしていると認められる。さらに、申立人の子会社である株式会社ナポリアイスクリーム(東京都新宿区在)により、東京都新宿区、同渋谷区の店舗のそれぞれにおいてアイスクリームその他の飲食物の提供が行われているという事実もある(甲第32号証及び第33号証)。 (4)本件申立てに係る役務と引用商標を使用中の商品との関連性 飲食料品の製造販売と飲食物の提供について、一の企業により行われることが少なくないことについては前述したとおりであるが、特にアイスクリームをその提供の主とする飲食店においては、店舗における飲食のための飲食物提供と、いわゆるテイクアウトの方法によるアイスクリームの販売とを同時に行う業態のものが少なくない(甲第35号証及び第36号証)。 そうとすれば、商品としてのアイスクリームと役務としてのアイスクリームその他の飲食物の提供とは、その需要者が共通するのみならず、販売ないしは提供の場所を同一とする場合があるものと認められ、要するに、取引の実情において密接な関連を有しているものと認めるのが相当である。 よって、本件商標をその申立てに係る役務について使用するときは、これに接する取引者・需要者は、引用商標を連想又は想起し、当該役務について申立人又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。 4 当審の判断 (1)本件商標と引用商標の類否について 本件商標は、別掲1のとおり、松ぼっくりのような図形とその右側に下線を施してなる「pino」の欧文字を表した構成からなるものであるから、その構成中の「pino」の文字部分に相応して「ピノ」の称呼を生じるものと認められ、また、引用商標も、前記2のとおり、「ピノ」及び「PINO」の文字よりなるものであるから、これより、「ピノ」の称呼を生じるものというべきである。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観においては差異を有するとしても、称呼上は、共に「ピノ」の称呼を生じる類似の商標といわざるを得ない。 しかしながら、本件商標と引用商標が、称呼を共通にする類似の商標であることは認められるとしても、以下に述べるとおり、本件商標の指定役務中の「飲食物の提供」が、引用商標の指定商品中の「アイスクリーム」と、その出所について混同を生ずるおそれがあるものとは認められない。 (2)引用商標の周知性とその取引形態について 申立人は、引用商標につき、自己の業務に係る商品「アイスクリーム」について、1976年の発売から現在に至るまで継続して使用している旨述べ、その証拠として甲第4号証ないし第30号証を提出している。 確かに、申立人が当該商品に引用商標「pino」ないし「ピノ」を使用して盛大に販売し、申立人の業務に係る商品を表すものとして広く知られていることを否定するものではないが、使用に係る商品(以下「使用商品」という。)は、「一口タイプのチョコアイス」として、箱状の紙ケース内に包装され、菓子店、スーパーマーケット、コンビニエンスストアー等の小売店の冷蔵ショウケースで展示・販売されている取引形態を有するものである。 (3)使用商品と本件商標の役務との関連性について 申立人の使用に係る商品が「アイスクリーム」といっても、使用商品は「一口タイプのチョコアイス」であり、申立人の営業に係る商品「アイスクリーム」の中でも、特に限定された商品の個別商品について使用するものであるから、上記引用商標の周知性は、これに関連する商品に限定した範囲に及ぶにすぎないものというべきである。 他方、これに対する本件商標の指定役務は「飲食物の提供」であって、主に食堂、レストラン等で提供する物は「料理及び飲料」であるから、箱状の紙ケースで包装され冷蔵のショーケースで販売される使用商品「一口タイプのチョコアイス」とは、その提供方法、提供場所、販売方法等が著しく異なるものである。 (4)申立人の事業について 申立人は、飲食料品の製造販売と飲食物の提供が、一の企業により行われることが少なくないとして、申立人の子会社である株式会社ナポリアイスクリームにより、各店舗においてアイスクリームその他の飲食物の提供が行われ、また、テイクアウトの方法により、飲食物の提供に係る店舗でアイスクリームが販売されている旨述べている。 しかしながら、個々に包装され、転々と流通する商品「アイスクリーム」と、その場(店頭)で容器に盛られて販売されるサービス品としてのアイスクリームの取引とでは、取引形態は著しく異なるものである。 また、引用商標の周知性が及ぶ範囲は、前記したとおり、申立人の使用に係る「一口タイプのチョコアイス」に関連する商品の範囲内に止まるというべきであるから、結局、申立人が主張する本件商標の指定役務「飲食物の提供」にまで及ぶものではないといわざるを得ない。 (5)結び 以上のとおり、本件商標は、これをその指定役務について使用しても、これに接する需要者が申立人又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(本件商標) 別掲2(引用商標2) |
異議決定日 | 2009-10-09 |
出願番号 | 商願2008-18303(T2008-18303) |
審決分類 |
T
1
652・
271-
Y
(X43)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 日向野 浩志 |
特許庁審判長 |
佐藤 達夫 |
特許庁審判官 |
野口 美代子 久我 敬史 |
登録日 | 2009-01-23 |
登録番号 | 商標登録第5199370号(T5199370) |
権利者 | 高見株式会社 |
商標の称呼 | ピノ、ピーノ |
代理人 | 河野 誠 |
代理人 | 河野 生吾 |