• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない X16
管理番号 1206793 
審判番号 不服2008-29126 
総通号数 120 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-11-14 
確定日 2009-11-02 
事件の表示 商願2007-88203拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「角ケシ電ケシ」の文字を横書きしてなり、第16類「消しゴムその他の文房具類,印刷物,電気式鉛筆削り,紙製幼児用おしめ,家庭用食品包装フイルム,紙製テーブルクロス,紙類」を指定商品として、平成19年8月10日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第4684894号商標(以下「引用商標」という。)は、「KADOKESHI」の欧文字と「カドケシ」の片仮名文字とを上下二段に横書きしてなり、平成15年1月8日登録出願、第16類「紙類,荷札,印刷物,写真,写真立て,文房具類,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,青写真複写機,あて名印刷機,印字用インクリボン,こんにゃく版複写機,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機」を指定商品として、同15年6月20日に設定登録されたものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり「角ケシ電ケシ」の文字を横書きしてなるものであり、他方、引用商標は、前記2のとおり「KADOKESHI」の文字と「カドケシ」の文字とを上下二段に横書きしてなるものである。
ところで、原査定では、新聞記事やインターネット情報を例示して、「カドケシ」の語がコクヨ株式会社が商品「消しゴム」について使用する、広く知られた商標である旨認定しているところ、該「カドケシ」の商品紹介や販売実績その他の関連情報は、例えば以下のような新聞記事、雑誌等においても裏付けることができる。

(1)新聞記事
ア 「公募ユニバーサルデザイン 角多い「消しゴム」など 5月にも発売へ/コクヨ」(2003.03.15 読売新聞大阪朝刊)
「・・・『カドケシ』と名付けられた消しゴムは、サイコロ状のゴムを十個組み合わせた複雑な構造にすることで、・・・『角で消すと力を入れずに済むし、細かい場所も消しやすい』という素朴な発想から生まれた。五月にも売り出す予定で、価格は従来品の百円に対して、百五十-二百円となる見込みだ。・・・」との記載がある。
イ 「カドたくさんの消しゴム発売 コクヨ(情報ファイル・商品)」(2003.04.22 朝日新聞東京朝刊)
「コクヨは、28カ所の角をもつ新形状の消しゴム『カドケシ』を5月2日に発売する。角は製図やデザインなど細かい作業に便利。10個の立方体を組み合わせており、次々に新しい角が使える。16g、150円。」
ウ 「カドケシ 面白くて可愛い形(ウチらのはやりモン)」(2003.11.09 朝日新聞東京朝刊)
「文房具に詳しい女子高生たちの、最近のオススメは「カドケシ」。小さな立方体が10個互い違いにくっついている消しゴムだ。1個150円。・・・製造元のコクヨによると、今年5月に発売。以来売れ行き絶好調で、3月までに出荷数は60万個に達する見込みという。・・・」との記載がある。
エ 「カドケシ 使いやすさと環境に配慮(技・人・夢)」(2004.06.26 朝日新聞東京夕刊)
「(コクヨ)・・・10個の立方体を組み合わせ、角が28個もある消しゴムができた。細かな部分が消しやすく、売り上げは発売1周年を迎えた5月、百万個に達した。当初目標の4万個を大幅に上回る。・・・」との記載がある。
オ 「コクヨ、『カドケシ』のミニサイズを来月16日に発売」(2004.07.26 日刊工業新聞)
「コクヨはユニバーサルデザインの形状を採用した消しゴム『カドケシ』のミニサイズ『カドケシプチ』を8月16日に発売する。カドケシは10個の立方体を組み合わせ、使い続けても何度も新しいカドで消すことが出来るのが特徴。03年5月の発売以来、100万個を販売した。・・・初年度100万個の販売を目指す。」との記載がある。
カ 「角立てて愛される商品に 子どもの情報網が火付け役」(2006.05.06 共同通信)
「・・・コクヨの『カドケシ』は、・・・二〇〇三年五月に発売した時の年間目標は四万個。だが一カ月で十万個の注文が来た。いち早く目を付けたのは、子どもの「口コミ」ネットワーク。文具店では『お母さん、カドケシ知ってる?』と教える子どもの姿が相次ぎ、累計販売数は六百五十万個に達した。」との記載がある。
キ 「(ヒットの秘ミツ)800万個突破『カドケシ』 コクヨ 角で消す快感 【大阪】」(2007.04.02朝日新聞大阪夕刊)
「・・・一般的な消しゴムのカドは八つ。だが、コクヨが開発した消しゴムには28ある。・・・商品名は『カドケシ』だ。・・・03年5月に発売。初期の販売目標は4万個だったが、1カ月間の注文は20万個に達した。品切れの店が続出。オフィスだけでなく、小中高生にも受け、爆発的なヒットにつながった。06年12月末までの累計販売個数は800万個を超えた。形状も進化を遂げ、サイズの大小、青やピンクなどのカドケシが登場。玩具メーカーのバンダイと提携した「たまごっち」をあしらったカドケシも誕生した。・・・」との記載がある。
(2)雑誌類
ア 「STATIONERY magazine No.1」(株式会社▲えい▼出版社 2005年7月30日発行)
「消しゴム」の項目に「30. コクヨ/カドケシプチ ○税込157円 □コクヨ(メーカー) 大ヒット「カドケシ」の小型版。2個1組。」、「49. コクヨ/カドケシ ○本体150円 □コクヨ(メーカー) カド総数28個。エラストマー樹脂採用で消しやすく環境にも優しい。カラーバリエーションも豊富。」との記載がある。(24頁及び25頁)
イ 「STATIONERY magazine No.2」(株式会社▲えい▼出版社 2006年6月10日発行)
「STATIONARY STYLE 007 コクヨのユニバーサルデザイン」に「カドケシプチ 157円(2個セット) 新品の消しゴムの角で消すと気持ちがいい。その気持ちよさを常に感じることができるのが28個の角がついたカドケシだ。消しゴムの硬さと消字力を追求し、素材はエラストマー樹脂を採用。」との記載がある。(55頁)
ウ 「STATIONERY magazine No.4」(株式会社▲えい▼出版社 2008年6月20日発行)
「文房具のキホン 字消し」の項目に「カドケシアニマル KOKUYO コクヨの人気消しゴムであり、28個の角があるカドケシの発売5周年を記念して、アニマル柄のケースに入ったカドケシが登場した。種類はヒョウ、キリン、シマウマの3種類。ひと味違ったカドケシが楽しめる。価格は157円。」との記載がある。(37頁)
エ 「STATIONERY magazine No.5」(株式会社▲えい▼出版社 2009年5月20日発行)
「PEN 筆記具 細部まで消せるユニーク消しゴム」の項目に「カドケシ コクヨ カドケシは通常の消しゴムなら8つしかないカドを全部で28か所に設けている。次々と新しいカドが使えるので、細かな部分を消すときに最適。全長50×幅20×厚み20mm/157円。」、「カドケシスティック コクヨ カドをもった革新的な消しゴム「カドケシ」に新スタイルのホルダータイプが登場。・・・」との記載がある。(92頁及び93頁)
オ 「週刊文春」(平成16年2月12日発行)
目次に「THIS WEEK 新製品 新消しゴム「カドケシ」」の記載があり、記事に「パソコン時代でも消しゴムは消えず「カドケシ」の評判」として「・・・ペーパーレスオフィスが声高に(?)叫ばれる昨今、・・・そんな中、発売前に立てた販売目標(四万個)の、十八倍もの売り上げを記録しそうな消しゴムがある。同社が昨年五月に発売した「カドケシ」だ。・・・」との掲載がある。
カ 「読売ウイークリー」(平成19年2月4日発行)
「ちょっと粋づかい」に「・・・コクヨのカドケシは、10個の立方体を互い違いに組み合わせたユニークな形状の消しゴムだ。斬新なデザインばかりでなく、28か所の角があるため、細かな部分も消しやすい。特に入学試験に用いられるマークシートには最適だ。・・・」との記載がある。(57頁)
キ 「週刊 東洋経済」(2005年2月12日発行)
「76 マーケティングの達人に会いたい」に「コクヨ「カドケシ」定番文具の常識を破ったヒット」に「「カドケシ」が発売から1年7ヶ月で200万個を突破した。・・・発売するやいなや1万個の注文が入り、あわてて金型を増産した。ユニークなデザインは高く評価され、2004年にニューヨーク近代美術館で展示された。」、「店頭で目に留めてもらうために、サンプルを貼り付けた特別なディスプレーセットを作った。発売後は新聞や雑誌に取り上げられたこともあり、売れ行きを伸ばした。」との記載がある。(76頁)
ク 「2007年文具・紙製品・事務機年鑑」(株式会社オフィスマガジン 2007年版)
「消しゴム」の項目に「形状として、03年5月にコクヨが10コのキューブを集め、次々と角が使える新タイプの「カドケシ」を発売、04年に年間販売100万個を達成するヒットに。05年MoMA(ニューヨーク近代美術館)選定となった。」との記載がある。(72頁)
ケ 「2008年文具・紙製品・事務機年鑑」(株式会社オフィスマガジン 2008年版)
「消しゴム」の項目に「形状として、03年5月にコクヨが10コのキューブを集め、次々と角が使える新タイプの「カドケシ」を発売、04年に年間販売100万個を達成するヒットに。05年MoMA(ニューヨーク近代美術館)選定となった。」との記載がある。(68頁)
コ 「2009年文具・紙製品・事務機年鑑」(株式会社オフィスマガジン2009年版)
「消しゴム」の項目に「消しゴム市場は、03年5月にコクヨが10コのキューブを集め、次々と角が使える新タイプの「カドケシ」を発売、04年に年間販売100万個を達成するヒットに。・・・」との記載がある。(62頁)
そして、以上の新聞記事、雑誌等に掲載された事実内容を総合すると、「カドケシ」は、2003年(平成15年)より、コクヨ株式会社が新しい形状の消しゴムとして販売開始した商品について使用する商標で、該商品は主に小中高生の間で急速に人気が上昇し、その累計販売個数は、2004年(平成16年)に100万個を達成し、その後2006年までには、800万個以上に昇る人気商品となったという事実が認めれる。そして、かかる事実が、前記のとおり、相当数の全国紙、地方紙、専門紙、及び週刊誌、専門誌等で紹介されていることからすると、「カドケシ」は、引用商標権者の株式会社コクヨが、本願商標の登録出願前より商品「消しゴム」に使用をした結果、その取引者、需要者の間で広く認識されている商標であって、その周知性は、現在においても継続していると認められるものである。
そこで、本願商標と引用商標の類否について検討するに、本願商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、その構成文字全体から生ずる「カドケシデンケシ」の称呼は、やや冗長で、第3音目と第4音目、及び第7音目と第8音目において、それぞれ「ケ」「シ」の音を繰り返して称呼されるものであるから、常に語呂良く称呼されるとはいいがたく、これを一連に称呼するときには、むしろ抑揚をもって「カドケシ」、「デンケシ」のように2音節に区切って称呼されるとみるのが相当である。
また、本願商標は、その構成文字全体をもって、特定の意味合いを有するものとみるべき格別の事情も見いだせず、さらに前記のとおり2音節をもって区切って称呼されることも相俟って、本願商標は、外観上「角ケシ」と「電ケシ」とに、分離して理解、認識されるというべきであり、これを常に一体不可分のものとして把握、認識されるとはいえない。
そうとすると、「カドケシ」がコクヨ株式会社の商品「消しゴム」について使用する周知な商標である事実、及び前記のとおり本願商標が必ずしも一体不可分に把握、認識されるものでないことを併せて考慮すると、本願商標に接する取引者、需要者は、該「カドケシ」を容易に想起、連想し、前半部の「角ケシ」の文字部分のみに着目して、その構成文字に相応して「カドケシ」の称呼のみをもって取引に資する場合が十分にあるといわなければならない。
そうとすると、本願商標は、「カドケシデンケシ」の称呼に加えて、その構成前半部の「角ケシ」の文字部分に相応して「カドケシ」の称呼をも生ずるものと認められる。
他方、引用商標は、前記2のとおり「KADOKESHI」の欧文字と「カドケシ」の片仮名文字からなるところ、その構成文字に相応して「カドケシ」の称呼を生ずるものである。そして、該語は特定の意味を有しない一種の造語と認められる。
してみると、本願商標と引用商標とは、外観において相違し、観念については比較することができないことを考慮しても、「カドケシ」の称呼を共通にする類似の商標であって、また、本願の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものを含むものである。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-08-19 
結審通知日 2009-08-28 
審決日 2009-09-08 
出願番号 商願2007-88203(T2007-88203) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (X16)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今田 三男山田 正樹 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 佐藤 淳
岩崎 良子
商標の称呼 カドケシデンケシ、カクケシデンケシ、スミケシデンケシ、ツノケシデンケシ、カドケシ、カクケシ、スミケシ、ツノケシ、デンケシ 
代理人 橘 哲男 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ