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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y11
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない Y11
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y11
管理番号 1206751 
審判番号 不服2008-28593 
総通号数 120 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-11-10 
確定日 2009-10-26 
事件の表示 商願2006-93529拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「耐震システムバス」の文字を標準文字で表してなり、第11類「便所ユニット,浴室ユニット,乾燥装置,換熱器,蒸煮装置,蒸発装置,蒸留装置,熱交換器,牛乳殺菌機,工業用炉,原子炉,飼料乾燥装置,ボイラー,暖冷房装置,冷凍機械器具,業務用衣類乾燥機,美容院用又は理髪店用の機械器具(いすを除く。),業務用加熱調理機械器具,業務用食器乾燥機,業務用食器消毒器,水道用栓,タンク用水位制御弁,パイプライン用栓,汚水浄化槽,し尿処理槽,ごみ焼却炉,太陽熱利用温水器,浄水装置,電球類及び照明用器具,家庭用電熱用品類,水道蛇口用座金,水道蛇口用ワッシャー,ガス湯沸かし器,加熱器,調理台,流し台,アイスボックス,氷冷蔵庫,家庭用浄水器,浴槽類,あんどん,ちょうちん,ガスランプ,石油ランプ,ほや,あんか,かいろ,かいろ灰,湯たんぽ,洗浄機能付き便座,洗面所用消毒剤ディスペンサー,便器,和式便器用いす,家庭用汚水浄化槽,家庭用し尿処理槽,化学物質を充てんした保温保冷具,火鉢類」を指定商品として、平成18年10月6日に登録出願されたものであり、その後、指定商品については、原審における同19年7月18日付けの手続補正書において、第11類「浴室ユニット,浴槽類」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶理由
原査定は、「本願商標は、『地震に強いシステムバス(工場で生産されたパーツを現場で組み立てる方式の浴室ユニット)』の意味合いを看取させる『耐震システムバス』の文字よりなるものであるから、これをその指定商品中、前記意味合いに照応する浴室ユニットに使用しても、商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、「耐震システムバス」の文字を標準文字で表してなるところ、該構成中の「耐震」の文字が、「地震に耐えて損傷しないこと。」(株式会社岩波書店発行「広辞苑第6版」)、「地震に耐えられること。地震に強いこと。構造物・建築物などの性能にいう。」(株式会社三省堂発行「大辞林第3版」)を意味する語として知られているものである。
また、「システムバス」の文字については、「気泡浴槽やサウナ、音響装置、テレビなど多機能を備えた快適な浴室。」(株式会社集英社発行「イミダス現代人のカタカナ語欧文略語辞典」)、「ジャクージやサウナ、オーディオ、テレビなど多機能を備えたバスルーム」(株式会社三省堂発行「日経新聞を読むためのカタカナ語辞典<改訂版>」)、「<(和)system+bath>ジェット噴流の出る浴槽・サウナ・オーディオシステム・テレビなど、さまざまな機能を備えた高級浴室。」(「コトバンク」のウェブページ中「デジタル大辞泉」より(http://kotobank.jp/word/%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0%E3%83%90%E3%82%B9))を意味する語として使用され、知られているものと認められる。
さらに、「システムバス」の文字に関して、「ユニットバス」には、「ユニットバスとは・・・壁、床、天井、浴槽を一体化して工場で生産された浴室のこと。最近では、システムバスとも呼ばれる。」(「Goodリフォーム.jp リフォーム用語集」。http://www.goodreform.jp/edit/yougo/ya/yunittobasu.html)との記載があり、フリー百科事典「ウィキペディア」には、「ユニットバス」として、「ユニットバスとは、工場であらかじめ天井・浴槽・床・壁などを成型しておき、現場に搬入した後にそれらを組み立てる浴室の事である。タイルを一枚一枚貼って造る在来工法の浴室と比べ、短時間での施工が可能なうえに階下への水漏れのリスクが少ない事から、戸建住宅からマンション、ホテル、アパート、病院等にいたるまで、様々な建築物に用いられている。最近では、サイズや機器のオプションが自由に選べるものが増えている事から、『システムバス』と呼ばれる事も多い。」(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%8B%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%90%E3%82%B9)との記載がある(文字の下線は当合議体が線引きしたものである。)。
してみると、本願商標は、これを補正後の指定商品中「浴室ユニット」に使用したとしても、「地震に耐えて損傷しない浴室ユニット」であることを理解させるにとどまり、単に商品の品質を表示したものと認識させるにすぎないといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、自他商品の識別標識としては認識し得ないというべきであるから、単に商品の品質を表示するにすぎないものといわざるを得ず、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、本願商標をその指定商品中、前記商品以外の商品について使用するときには、商品の品質を誤認させるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当するといわなければならない。
(2)商標法第3条第2項について
請求人は、請求の理由において、「本願商標出願人の浴室ユニットは、耐震構造とする『浴室ユニット』に、その商品にピッタリとする商標として『耐震システムバス』を平成18年11月から継続して使用し続けてきた。このように本願出願人が継続して使用した結果、需要者が『耐震システムバス』を本願商標出願人の業務にかかる商品(浴室ユニット)であると認識するまでに至っている。」旨述べるとともに、甲第9号証ないし甲第40号証を提出している。
ところで、商標法第3条第2項に該当する商標であるか否かについては、「出願に係る商標が、指定商品の品質、形状を表示するものとして商標法3条1項3号に該当する場合に、それが同条2項に該当し、登録が認められるかどうかは、使用に係る商標及び商品、使用開始時期及び使用期間、使用地域、当該商品の販売数量等並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して、出願商標が使用をされた結果、需要者がなんぴとかの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるかどうかによって決すべきものであり、その場合に、使用に係る商標及び商品は、原則として出願に係る商標及び指定商品と同一であることを要するものというべきである。そして、同条1項3号により、指定商品の品質、形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標が、本来は商標登録を受けることができないとされている趣旨は、そのような商標が、商品の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占的使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによることにかんがみれば、上記の場合に、使用商標が出願商標と同一であるかどうかの判断は、両商標の外観、称呼及び観念を総合的に比較検討し、全体的な考察の下に、商標としての同一性を損なわず、競業者や取引者、需要者等の第三者に不測の不利益を及ぼすおそれがないものと社会通念上認められるかどうかを考慮して行うべきものと解するのが相当である。」(平成14年1月30日判決 東京高裁平成13年(行ケ)第265号)と判示されている。
そこで、該判示に基づき、請求人の提出にかかる各証拠について検討するに、「耐震」の文字を赤色のゴシック体で、「システムバス」の文字を青色のややレタリングされたゴシック体で「耐震システムバス」と表した文字が、商品「浴室ユニット」について使用されていることは認め得るところである(甲第9号証のカタログの77ページ、甲第10号証のカタログの表紙部分、等。)が、当該商品の使用開始時期について請求人が主張する「平成18年11月」から使用していることについては、提出された証拠全体を見ても確認することができないばかりか、指定商品中「浴槽類」に本願商標を使用していることについては、提出された証拠全体をみても、これを確認することができない。
さらに、広告、宣伝の方法、回数等について、甲第9号証ないし甲第26号証を提出して、これら「カタログ、チラシの類は1,100万部を超える大量のものが使用された。」旨主張しているが、該カタログ等を使用した地域や期間は明らかではなく、また、該カタログ等を作成した部数等についての客観的裏付けがないものであり、広告宣伝の状況を示すものとしては、いまだに不十分であるといわざるを得ない。
また、本願商標を使用した商品の販売数量等についても、上記、請求人の提出にかかる証拠を総合的にみても確認することができないものである。
以上を総合すると、本願商標並びにその指定商品についての使用期間、使用地域、営業の規模、広告宣伝の方法、回数及び内容等の使用状況に関する事実及び商標の周知性を客観的に示すものとして十分なものと認めるに足りるものではなく、本願商標は、その指定商品について使用された結果、請求人の業務に係る商品であることが、取引者、需要者間に広く認識されるに至ったものであるとは認めることはできないものであるから、本願商標が使用により識別力を獲得したものであるとする請求人の主張は採用することができない。
(3)結論
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであって、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものではないから、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2009-08-11 
結審通知日 2009-08-21 
審決日 2009-09-07 
出願番号 商願2006-93529(T2006-93529) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Y11)
T 1 8・ 17- Z (Y11)
T 1 8・ 13- Z (Y11)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土井 敬子原田 信彦 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 杉本 克治
石田 清
商標の称呼 タイシンシステムバス、タイシンシステム、タイシン、システムバス 
代理人 原田 洋平 
代理人 笹原 敏司 
代理人 森本 義弘 

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