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審決分類 審判 査定不服 商4条1項14号 種苗法による登録名称と同一又は類似 登録しない Y07
管理番号 1206657 
審判番号 不服2008-16458 
総通号数 120 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-06-27 
確定日 2009-10-21 
事件の表示 商願2006-119347拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ESA」の欧文字を標準文字で表してなり、第7類「半導体及びマイクロ電子半導体製品の製造装置(機械),半導体用及びシリコンウェハー用の半加工品の処理装置(機械),半導体用半加工品のエッチング用・洗浄用・ポリシング用・粗面処理用及び乾燥用の装置(機械)」を指定商品として、2006年(平成18年)6月30日ドイツ連邦共和国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成18年12月25日登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、国際機関である『欧州宇宙機関』を表示する標章であって、経済産業大臣が指定する平成6年4月26日付け通商産業省告示第303号と類似のものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断をして、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
商標法第4条第1項第3号は、「国際連合その他の国際機関を表示する標章であって経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の商標は、商標登録をうけることができない。」とするものであって、工業所有権の保護に関する国際間の条約であるパリ条約第6条の3(1)(b)の規定の趣旨を受けて設けられたものである。
そして、パリ条約第6条の3(1)(a)は、「同盟国は、同盟国の国の紋章、旗章その他の記章・・証明用の公の記号及び印章並びに紋章学上それらの模倣と認められるものの商標又はその構成部分としての登録を拒絶し又は無効とし、また、権限のある官庁の許可を受けずにこれらを商標又はその構成部分として使用することを適当な方法によつて禁止する」と規定し、パリ条約第6条の3(1)(b)は、「(a)の規定は、一又は二以上の同盟国が加盟している政府間国際機関の紋章、旗章その他の記章、略称及び名称についても同様に適用する。」と規定しており、同条約の規定の目的とするところは、同盟国が加盟している政府間国際機関の紋章、旗章その他の記章、略称及び名称については、これと同一又は類似の標章を工業所有権の保護対象から除外することにより、当該機関の主権を尊重し、その権利と尊厳を維持・確保することにあり、前記法条の規定はこれと同趣旨をもって、一私人に独占させることにより当該国際機関等の尊厳性を害し、公益上支障のあるような標章は、登録しない旨を定めたものと解される。そこで、以上の観点を踏まえて検討する。
本願商標は、「ESA」の欧文字を標準文字で表してなるものである。
次に、通商産業省告示第303号で告示された標章(以下「本件標章」という。)は、商標法(昭和34年法律第127号)第4条第1項第3号の規定に基づき、通商産業大臣(平成13年1月6日施行の中央省庁等改革基本法により「通商産業大臣」は「経済産業大臣」に改められた。)が「南半球における天体観測のためのヨーロッパ機関及び欧州宇宙機関の標章指定」(昭和54年3月6日通商産業省告示第七十七号:この告示は、平成6年4月26日に通商産業省告示第三百三号により制定されたものとする)として指定する標章の一である。そして、本件標章は、後掲のとおり、円弧状の線を地模様の如く描き、小さな丸と「e」の欧文字を白抜きした円図形を左側に配し、その横に黒い太線で大きく「esa」の欧文字を表し、その下段に「european space agency」の欧文字と「agence spatiale europeenne」(「europeenne」の6文字目の「e」にアクサンテギュが付されている。)の欧文字とを上下二段に小さく表してなるものである。このように、本件標章は、円図形、「esa」の文字及びその下部に表された小文字の欧文字部分の構成要素からなるものである。
そして、前記のとおり、商標法第4条第1項第3号が、政府間国際機関の主権を尊重し、その権利と尊厳を維持・確保することを趣旨とするものであることからすれば、本件標章は経済産業大臣が指定した標章である以上、いずれの構成要素にも該国際機関の権利・尊厳等は化体しているものであって、該権利と尊厳等を尊重されるべきであり、これを一私人の私権として独占を許すことは妥当ではないものと解されるものである。
そうすると、本件標章は、大きく顕著に表された「esa」の文字を構成の一とするものであり、本願商標「ESA」とは、大文字と小文字の差はあっても、その綴りを同じくするものである。そして、たとえ、大文字及び小文字といった表記の差異があるとしても、欧文字においては、大文字と小文字の互換変更使用がそれを用いる状況や場合に応じ適宜行われるのが通例であるから、両者に外観上顕著な差異があるということはできない。さらに、「ESA」の文字は、例えば、「広辞苑 第6版」(株式会社岩波書店 2008年1月11日発行)によれば、「【欧州宇宙機関】(European Space Agency)欧州一七カ国が参加する宇宙開発機関・・・ESA」と記載され、「現代用語の基礎知識2007」(自由国民社)、「imidas2007」(株式会社集英社)、「知恵蔵2007」(朝日新聞社)(いずれも2007年1月1日発行)にも同様に記載があることをも勘案すれば、大文字及び小文字の差異は、看者にとって、さして注意を引くものでなく、本願商標から「欧州宇宙機関」を想起させることも少なくないということにおいても、本願商標「ESA」は、本件標章と類似の商標というほかはなく、したがって、本願商標を商標法第4条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
なお、請求人は、請求の理由において、諸外国での登録例や我が国における過去の登録例を挙げ、本願も登録されるべきである旨主張するが、過去にされた登録例等は具体的、個別的な判断が示されているものであって、本願商標が登録されるべきか否かも、過去の登録例等の一部の判断に拘束されることなく、個別、具体的に検討されるべきものであり、本件については、前述のとおりの判断するものであるから、この点に関する請求人の主張は採用することができない。また、請求人は、本願商標の指定商品と、欧州宇宙機関の業務とは、非類似の関係にある旨主張しているが、たとえ、本願商標の指定商品が前記国際機関と直接関係を有しないものであるとしても、本条項の規定は、前述のとおり、一私人に独占させることにより当該国際機関等の尊厳性を害し、公益上支障のあるような標章と同一又は類似の標章は、登録しない旨を定めたものであって、前記のとおり本願商標と本件標章とは類似するものと判断するのが相当であるから、この点についての請求人の主張も採用することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 平成6年4月26日通商産業省告示303号

審理終結日 2009-04-27 
結審通知日 2009-05-12 
審決日 2009-06-08 
出願番号 商願2006-119347(T2006-119347) 
審決分類 T 1 8・ 21- Z (Y07)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 薩摩 純一馬場 秀敏 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 末武 久佳
清川 恵子
商標の称呼 イイエスエイ、エサ、イイサ 
代理人 岡田 稔 
代理人 坂上 正明 
代理人 曾我 道治 

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