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審決分類 審判 判定 その他 属さない(申立て成立) X09
管理番号 1205396 
判定請求番号 判定2009-600018 
総通号数 119 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標判定公報 
発行日 2009-11-27 
種別 判定 
判定請求日 2009-04-15 
確定日 2009-10-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第5171586号商標の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 商品「雑誌の版面を記録したマイクロフィルム」に使用するイ号標章は、登録第5171586号商標の商標権の効力の範囲に属しない。
理由 第1 本件商標
本件登録第5171586号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、平成19年6月6日に登録出願、第9類「録音済みの磁気カード・磁気シート及び磁気テープ,録音済みのコンパクトディスク,録画済のビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」、第16類「印刷物(「雑誌・新聞」を除く。)」、第35類「録音済みの磁気カード・磁気シート及び磁気テープ・録音済みのコンパクトディスクの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,録画済みのビデオディスク及びビデオテープの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電子出版物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第41類「書籍の制作,雑誌の制作,電子書籍の制作,電子出版物の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」を指定商品及び指定役務として、同20年10月10日に設定登録されたものである。

第2 イ号標章
本件判定請求人(以下「請求人という。」)が商品「雑誌の版面を記録したマイクロフィルム」に使用するイ号標章は、別掲(2)に示すとおりの構成よりなるものである。

第3 請求人の主張の要旨
請求人は、結論同旨の判定を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第17号証を提出した。
1 請求の理由
(1)判定請求の必要性
請求人は、大正8年4月から昭和30年2月まで発行され、現在では発行されていない雑誌「改造」のうち、創刊号から戦前休刊号(昭和19年6月刊)までの版面を記録した復刻版マイクロフィルムを内容とする商品(以下「本件商品」という。)の販売を企画している。本件商品を販売するにあたり、それに表示されるイ号標章が本件商標に係る商標権の効力の範囲に属さないとの判断を得ておきたい。
(2)イ号標章の説明
イ号標章は、甲第1号証のラベルに示すとおり、僅かに横長の長方形の枠内に、上部から下部にかけて横書き数段に書された文字列「臨川書店近代文芸・文化雑誌複製叢書/<第4次>/改造/マイクロフィルム版/第○回配本/リール○?○/自○巻○号[大正(昭和)○年○月]/至○巻○号[大正(昭和)○年○月]/定価 ○円(本体 ○円+税) 臨川書店刊」と、右下の「臨川書店刊」の直前に描かれたロゴマークが配された構成を有する。
(3)イ号標章の使用態様
イ号標章は、約20cm×20.5cm(上面用)、約13.5cm×24cm(側面用)のクリーム色の紙に印刷され、本件商品の外箱である約23.5cm×31.5cm×17cmの段ボール製の箱の表面に貼付される。外箱の内部には、複数個の紙製の小箱が収納され、各小箱内にマイクロフィルムが1巻ずつ収納される(甲第2号証及び甲第3号証)。
(4)イ号標章が商標権の効力の範囲に属さないとの説明
ア 使用商品
イ号標章が使用される本件商品は、現在では発行されていない雑誌の版面を記録した復刻版マイクロフィルムである。該マイクロフィルムには、大正8年4月から昭和30年2月まで、「改造」なる題号の下に発行されていた雑誌のうち、創刊号から戦前休刊号(昭和19年6月刊)までの版面が記録されている。
本件商品は、本件商標の指定商品中、「第9類 録音済みの磁気カード・磁気シート及び磁気テープ,録音済みのコンパクトディスク,録画済みのビデオディスク及びビデオテープ」に類似すると考えられる。
イ 使用商品の内容等
本件商品は、アインシュタイン、バートランド・ラッセル、芥川龍之介、志賀直哉等の錚々たるメンバーが執筆者に名を連ね、大正から昭和にかけての論壇は言うに及ばず、一般世論にも大きな影響を与えた雑誌「改造」である。今般、同雑誌の創刊号から戦前休刊号(昭和19年6月刊)までの版面をマイクロフィルム形式により完全復刻することを企図するに至った。
本件商品は、大正8年4月から昭和30年2月まで発行された雑誌「改造」の創刊号から戦前休刊号(昭和19年6月刊)までの全版面をマイクロフィルム約90巻で完全に複製するというものであり、更に、その索引を別売CD-ROMで提供する予定である。本件商品であるマイクロフィルムのセット価額は約170?190万円と予想される。本件商品の主たる購買者としては、大学、図書館、研究所、主要研究者等が想定され、販売予想部数は約30?35部と推定される。
なお、今般の「改造」復刻版は、請求人の手による近代文芸・文化雑誌複製叢書の第4次刊行となるものであり、その第1次「婦人世界」(明治39年1月?昭和8年5月)、第2次「婦人画報」(明治38年7月?昭和19年4月)、第3次「婦人公論」(大正5年1月?昭和7年12月)である。請求人はその他にこれまで、「やまと錦」(明治21年12月?明治22年12月)、「明星」(明治33年?明治41年)、「スバル」(明治42年1月?大正2年12月)等の復刻版も刊行している(甲第5号証ないし甲第9号証)
ウ 本件商品の需要者によるイ号標章の看取のされ方
イ号標章は、上記(2)のとおり、一部に本件商標の一部と共通する「改造」なる文字を含むものの、その他に、上部に「臨川書店近代文芸・文化雑誌複製叢書/<第4次>」、下部に「マイクロフィルム版/第○回配本/リール○?○/自○巻○号[大正(昭和)○年○月]/至○巻○号[大正(昭和)○年○月]/定価○円(本体○円+税) 臨川書店刊」なる多数の文字列を含む。
これらの文字列中に「臨川書店…叢書」、「臨川書店刊」との記載があること、及び、本件商品が雑誌の復刻版マイクロフィルムであることを勘案すると、これらの文字列を看取する需要者は、本件商品の出所が「臨川書店」であると当然に理解するものと考えられる。
すなわち、イ号標章中において商品の出所を表示する、商標としての要部は、「臨川書店」なる部分であると考えられる。
一方、イ号標章中において「改造」なる文字は、最も大きなサイズで書されているが、その文字形態は原雑誌の題号において用いられていたものと全く同じである(甲第4号証。ただし、戦前の日本語横書き表記法により「改造」の文字順は左右逆となっている。)。雑誌「改造」の前記周知度はその題号の形態についても同様であり、そのため、イ号標章中の「改造」の文字は、既に廃刊となった雑誌「改造」そのものを想起させ、表示するものとなっている。本件商品が該雑誌の復刻版マイクロフィルムであること、及び、「改造」なる雑誌が既に昭和30年2月に廃刊となっていることが周知であることを勘案すると、「改造」なる文字は本件商品の需要者間において、本件商品の内容物を表示するものとして理解されることは必定である。
エ イ号標章の類否
イ号標章中の「改造」なる文字部分は、上記のとおり本件商品の出所を表示するものではなく、本件商品の内容物を表示するものであり、商標としての機能は果たさないものと考えられる。
イ号標章はその他の部分において本件商標と共通する部分は無いため、イ号標章は全体として本件商標には類似しない。
(5)むすび
イ号標章は、登録第5171586号商標権の効力の範囲に属さないと解されるので、その趣旨の判定を求める。

2 被請求人の答弁に対する弁駁
(1)フリーライドとの非難について
被請求人も認めている通り、雑誌「改造」は昭和30年を最後としてそれ以降刊行されておらず、また、請求人が刊行しようする復刻版においても、収録しているのは昭和19年6月号までのものである。被請求人が述べる通り、「商品価値」が各号に掲載された論文等にあるとすれば、その「商品価値」は各論文等の著作者に所属するものであり、その実体は各論文等の著作権にある(この点については、請求人が現在、各論文等の著作権者より許諾を得つつあるところである)。
雑誌「改造」の編集著作物としての著作権の存続期間は現行著作権法(昭和45年法律第48号)への経過措置により公表後50年(現行著作権法第53条)となる。本件商品が収録する最後の号である昭和19年6月号についても、平成6年末にその著作権は消滅している。仮にその著作権が山本實彦氏に属していたとしても、同氏が死去した昭和27年から50年が経過した平成14年末に著作権は消滅している。したがって、今日では、仮に改造図書出版販売株式会社もしくは被請求人が改造社もしくは山本實彦氏の著作権の幾分かを有していたとしても、既にその権利は両者の許にはない。
したがって、著作権法の原則に従い、「改造」誌の「商品価値」は、一部の記事に関するものを除き、国民共有のものとなっている。
(2)改造図書出版販売株式会社について
本件商品の需要者の間では、現在の「改造図書出版販売株式会社」の代表者が山本實彦氏の孫であるという認識はあっても、同社が「改造社」の出版文化を引き継いでいる、あるいは引き継ぐべきものであるとの認識は全くないと言える。一般の需要者の間でも、「改造図書出版販売株式会社」は単なる新刊小売書店の一つとしてしか認識されておらず、仮に本件商品において「改造」が出所を表すとしたとしても、その出所が「改造図書出版販売株式会社」と認識されることはない。「改造図書出版販売株式会社」はあくまで新刊小売書店として認識されているのであり、出版社として認識されることはない、ということができる。被請求人は答弁書において、「本件商品の出所は、根源的には改造社である。」と述べているが、仮にそうだとしても、それは「改造図書出版販売株式会社」ではないし、本件商標の商標権者である被請求人でもない。

(3)標章と商品の出所の判断について
イ号標章中の「改造」の文字は、その書体がかの有名なる「改造」誌の題号と同じ書体であることも相まって、その内容物を表すと認識されることは間違いがない。本件商品の主たる需要者の間では、「改造」誌が戦後まもなく廃刊となったというのは周知の事実であり、そのような雑誌の題号が「マイクロフィルム版」や「臨川書店近代文芸・文化雑誌複製叢書」、「臨川書店刊」等の文字と一緒に表示されている場合、明らかに、その商品は復刻版であり、「改造」なる文字は、その復刻版の内容物を表すものと判断するに違いない。
本件商品のマイクロフィルム版「改造」は、過去に刊行された(しかもすでに終刊している)雑誌の復刻版であり、「改造」という二文字は、(通常の定期刊行物の表題とは異なり)過去に刊行された特定の雑誌の、特定の内容を表示しているものと考えるべきである。
したがって、「書籍」商標と同じく、「改造」の二文字は特定の著作物の内容を表示しているに過ぎないものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、「本件判定の請求は成り立たない。」との判定を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第12号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 被請求人(本件商標権者)について
被請求人にして本件商標権者である内川博雅は、月刊雑誌「改造」を創刊しその後これを継続して定期的に発行していた改造社(後に株式会社化)の創業者初代社長山本實彦の孫(被請求人の実母が山本實彦の長女という関係)である。
改造社は、月刊雑誌「改造」を大正8年(1919年)4月に創刊以来昭和30年(1955年)2月まで36年間にわたり、第2次世界大戦終戦前後の混乱期を除き、毎月定期的に刊行を継続し、日本の言論界をリードした。
なお、雑誌「改造」が昭和30年2月をもって休刊したことをもって、世上、「改造」が廃刊されたと表現する向きもあるが、「改造」という雑誌名は第1次世界大戦後の世界の動きを観望して創業者山本實彦がつけた名前であり、創業者の気概溢れる名前であるから、いずれまた、改造社の定期刊行物の題号として使用されることが予定されている。
改造社は、経営上の諸問題を原因としてこれを休刊にしたが、会社業務自体をやめることはなく、すべて被請求人の実父内川順雅(山本實彦の長女の夫)が代表者としてこれを承継した。被請求人は内川順雅の長男で、内川順雅死亡後同社を引き継ぎ、現在改造社(現在の名称は改造図書出版販売株式会社)の代表取締役である。

2 イ号標章について
イ号標章の文字列のうち、「臨川書店近代文芸・文化雑誌複製叢書」という部分は、商品が臨川書店の複製にかかるものである旨の説明的表示である。なお、「近代文芸・文化雑誌複製叢書」の部分は普通名称である。
「<第4次>」という部分は、「4番目の複製」である旨の説明的表示であり、普通名称である。
「改造」の2文字は、肉太ゴシック様の特徴ある大きな文字で表示されている。そのため、他のすべての表示を圧していて、甲第1号証全体の表示の最要部を構成する。
「マイクロフィルム版」という部分は、商品の内容の表示であり、普通名称である。
「第○回配本/リール○?○/自○巻○号[大正(昭和)○年○月]/至○巻○号[大正(昭和)○年○月]」という部分は、分割販売商品のどれにあたるかの単なる説明的表示であり、標章には当たらない。
「定価○円(本体○円+税)」という部分は、販売価格の表示であり、標章には当たらない。
「臨川書店刊」という部分は、発売元の表示であって、標章には当たらない。
「臨川書店刊」という部分の直前に描かれたロゴマークは標章である。
したがって、請求人が「イ号標章」として括った文字列全体のうち、標章としての実体を有しているのは「改造」という文字のみである。

3 本件商品とイ号標章中の「改造」について
本件商品は、表紙に始まり裏表紙で終わる月刊雑誌「改造」の全号合計455冊を、刊行順に有姿有形のままメディア変換したものであるから、マイクロフィルム化されたといえども、雑誌「改造」各号の印刷・組版の態様をそのまま複製したものであり、それぞれ内容の異なる455冊の雑誌「改造」各号を収集した本件商品を識別する標章は請求人のいう「イ号標章」の全表示の中で「改造」しかない。
本件商品は、論文等をはじめとして記事すべての内容が異なる合計455冊の雑誌「改造」を収集したものであるから、仮に研究者等がある特定の論文等を見ようとする場合は、たとえば「改造」第○巻第○号(又はたとえば昭和○年○月号)の映像の箇所を辿るわけであるから、映像の上であっても、「改造」各号は独立している。
本件商品の内容物とは、「それぞれの号が内容的に独立している雑誌『改造』の455号(冊)のメディア変換版」とでもいうべきであるから、これを説明できる表示でないと内容物の表示とは言えず、単なる原雑誌の商標「改造」では内容物の表示としては不十分である。
したがって、甲第1号証上の文字「改造」は商品の内容物を表示するものではなく、本件商品を識別する標章であるというべきである。

4 甲第1号証におけるイ号標章の自他識別標章について
本件商品の商品価値は、媒体のマイクロフィルムにあるのではなく、マイクロフィルム上に映像として定着した雑誌「改造」各号そのもの及びその各号に掲載された論文等にあるということである。
そして、マイクロフィルム上に映像として定着した雑誌「改造」のオリジナル各号はいずれも請求人が創作又は編集したものではない。オリジナルの雑誌「改造」を編集したのは改造社(後に株式会社改造社。以下あわせて「改造社」という)である。その意味で、本件商品は、実質的には雑誌「改造」の組版をそのまま流用したものと同様であるといわざるを得ない。
さらに銘記すべきことは、雑誌「改造」は昭和30年以来休刊しているが、その発行元である改造社は、前記のとおり、昭和30年以後も脈々と書籍雑誌にかかわる業務を継続して現在に至っているものであり、雑誌「明星」や「スバル」のように発行元が消滅してしまった場合と異なるということである。
したがって、これだけ著名な雑誌のマイクロフィルム変換品という本件商品であるから、かりに臨川書店の名が発売元として表記されていたとしても、臨川書店は雑誌「改造」の発行元である改造社の許諾を受けてこの復刻商品を販売しているのではないかと考えられるのが普通である。何の許諾も得ずに財産的価値のあるものをフリーライド(ただ乗り)しているとは、少なくとも本件需要者の予想するところではあるまい。
甲第1号証の表示の中で、「改造」の2文字は、全体のほぼ中心よりやや上部の位置に、肉太ゴシック様の特徴ある書体で表記され、甲第1号証の表示中2番目に大きな文字が使われている「臨川書店近代文芸・文化雑誌複製叢書」「<第4次>」の約16倍の大きさで表示され、他のすべての表示を圧していて、甲第1号証全体の表示の最要部を構成する表示となっている。
そのため、甲第2号証の包装箱に付された甲第1号証の文字列は、少し後ろに下がった位置からこれを見ると、「改造」の2文字しか眼に入らない。それくらい甲第1号証の文字列のうち「改造」の文字だけが突出した大きさの表示になっている。このことは「改造」の文字の視覚的効果が、まさに、それが「簡単明白に認識され、容易に人の注意をひき、記憶されやすい」という機能そのものであることを意味し、「改造」が標章そのものであり、その他の文字列は標章的機能を有していないことを物語っている。
そして、この「改造」という標章は、たとえば、「婦人世界」(甲第5号証)等のマイクロフィルム商品とを識別する機能を有している。

5 むすび
甲第1号証に表示されている「改造」という文字標章は、本件商品の標章に該当するものであるから、イ号標章は、本件商標の商標権の権利範囲に属するものである。

第5 当審の判断
1 本件商標とイ号標章との類否について
(1)本件商標とイ号標章
本件商標は、別掲(1)に示すとおり、上段に小さく「KAIZO」の欧文字と下段に大きく「改造」の文字を二段に横書きしてなるところ、「KAIZO」の欧文字が、「改造」の文字の読みを特定したものであると無理なく理解されるから、その構成文字に相応して、「カイゾー」の称呼及び「物事をつくりなおすこと」の観念を生ずるものである。
他方、イ号標章は、別掲(2)に示すとおり、二重四辺形の枠内に「改造」の肉太ゴシック風文字を大きく表わし、その上部に「臨川書店近代文芸・文化雑誌複製叢書」、「第4次」の各文字を表し、下部に「マイクロフィルム版」の文字、黒地の横長長方形内に白抜きで「第1回配本」の文字、「リール1?00」、「自1巻1号[大正8年4月]」、「至6巻12号[大正13年12月]」、「定価 0,000,000円(本体 0,000,000円+税)」、「臨川書店刊」の各文字と、「臨川書店刊」の文字の左横に図形を配し、さらに枠の下部に「ISBN978-4-653-00000-0 C0000 ¥0000000E(ISBN978-4-653-00000-0 セット)」の文字を配した構成からなる。
(2)イ号標章における出所表示について
甲第2号証及び第3号証によれば、イ号標章は、本件商品のマイクロフィルムを収納した小箱に貼付して、使用することが認められるから、商標法第2条第3項第1号の規定の「標章について使用」と認められる。
つぎに、イ号標章についてみるに、イ号標章中の「近代文芸・文化雑誌複製叢書」の文字部分は、近代文芸・文化雑誌の複製でシリーズものを、「第4次」の文字部分は、シリーズ商品の4番目を、「マイクロフィルム版」の文字部分は、マイクロフィルムの様式であることを、「第1回配本/リール1?00/自1巻1号[大正8年4月]/至6巻12号[大正13年12月]」の文字部分は、分割販売商品の1回目にあたることを、「定価 0,000,000円(本体 0,000,000円+税)」)」の文字部分は、販売価格の表示を意味し、商品の品質、用途、価格等を表示するものであるから、自他商品の識別標識としては機能し得ないものである。同「ISBN」の文字部分は、「International Standard Book Number」の略語で国際標準図書番号と訳され、世界共通で図書(書籍)を特定するための番号であり、各種の書籍(単行本、漫画など)の他、CD-ROM・カセットテープ・マイクロフィルムなど、出版社から刊行されて出版取次・書店で流通する出版物におおむね適用されるものであるから、該文字部分も自他商品の識別標識としては機能し得ないものである。同「臨川書店」及び「臨川書店刊」の文字部分は、本件商品の出版元を表すものである。同「改造」の文字部分は、視覚上、看者の注意を惹くものであり、イ号標章全体から叢書の題号であると認識されるものである。
(3)イ号標章中の「改造」の文字と本件商品について
「改造」の文字は、広辞苑第六版(株式会社岩波書店)によれば、「大正・昭和戦前期の代表的総合雑誌。1919年(大正8)改造社(山本実彦主幹)の創刊。第一次大戦後の改革機運の高まりの中、急成長をとげた。横浜事件にまきこまれ、廃刊を命じられる。第二次大戦後復刊するが、55年(昭和30)廃刊。」と記載されている。
また、雑誌「改造」は、毎号その記事内容を異にするものとみられるから、特定の著作物の内容を表示するものとはいえず、雑誌に使用する「改造」の文字は、自他商品識別力を有するものといえる。
しかしながら、本件商品は、大正8年4月から昭和30年2月まで発行され、現在では発行されていない雑誌「改造」のうち、創刊号から戦前休刊号(昭和19年6月刊)までの、公表後50年以上経過した雑誌「改造」の版面を記録した復刻版のマイクロフィルムを内容とする商品であるから、その発行形態は雑誌と異なり、既に刊行された雑誌「改造」の内容を表示するものと認められる。
さらに、本件商品の需要者層は、近代文学を歴史的に調査する研究者、大学、図書館の関係者等に限定されると考えられ、本件商品を購入する際には、イ号標章中の「近代文芸・文化雑誌複製叢書」、「改造」等の記載から、廃刊となった雑誌「改造」の復刻版であると容易に理解、認識すると判断するのが相当である。
そうとすれば、イ号標章の構成中の「改造」の文字部分は、大きく顕著に表され、その文字形態は原雑誌の題号(甲第4号証)に用いられていたものと同じであるが、上記のとおり、本件商品が雑誌「改造」の版面を記録した復刻版のマイクロフィルムであること、該雑誌が既に昭和30年に廃刊となっていることが一般に知られていること、需要者は本件商品の内容を既に理解していること、イ号標章には、図書(書籍)を特定するためのISBNコードが表示されていること等を総合勘案すると、本件商品に接する需要者は、イ号標章に表示された「改造」の文字を、雑誌「改造」の版面を記録した復刻版マイクロフィルムに対して付けられた題号であると理解、認識するというのが相当である。
(4)本件商標とイ号標章中の「改造」の文字の類否
イ号標章の「改造」の文字部分は、これをその使用に係る商品「雑誌の版面を記録したマイクロフィルム」に使用するときは、取引者、需要者は、雑誌「改造」の版面を記録した復刻版マイクロフィルムの題号を表したもの、すなわち、商品の品質を表示したものと認識、理解するにとどまるから、自他商品の識別標識として機能するとはいい得ないものである。
以上のとおり、イ号標章中「改造」の文字部分は、自他商品の識別標識として機能し得ないものであるから、本件商標との類否の判断の対象とはなし得ないものというべきである。

2 本件商標の指定商品とイ号標章の使用する商品との類否について
本件商標の指定商品中、第9類「録画済のビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」、第16類「印刷物(「雑誌・新聞」を除く。)」とイ号標章の使用商品「雑誌の版面を記録したマイクロフィルム」とは、共に文字情報や画像情報を記録する媒体であって、古い新聞、書籍、雑誌などの紙媒体資料が復刻版として、マイクロフィルム、CD、DVD等で販売されているものであり、商品の生産部門、販売部門、用途、需要者等を共通にするものであるから、互いに類似する商品の関係にあると判断するのが相当である。

3 以上のとおり、イ号標章の構成中の「改造」の文字部分は、その使用商品の品質を普通に用いられる方法で表示するものであり、自他商品の識別標識としての機能を果たすものということはできない。

4 むすび
したがって、本件判定請求に係る商品「雑誌の版面を記録したマイクロフィルム」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属しないものである。
よって、結論のとおり判定する。
別掲 別掲(1) 本件商標


別掲(2) イ号標章


判定日 2009-09-17 
出願番号 商願2007-62098(T2007-62098) 
審決分類 T 1 2・ 9- ZA (X09)
最終処分 成立 
前審関与審査官 稲村 秀子泉田 智宏 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 平澤 芳行
小畑 恵一
登録日 2008-10-10 
登録番号 商標登録第5171586号(T5171586) 
商標の称呼 カイゾー 
代理人 八掛 俊彦 
代理人 小林 良平 
代理人 八掛 順子 
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