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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) X09 |
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管理番号 | 1205357 |
異議申立番号 | 異議2008-900363 |
総通号数 | 119 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2009-11-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2008-09-22 |
確定日 | 2009-08-26 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5142509号商標の登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5142509号商標の登録を取り消す。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5142509号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成19年5月22日に登録出願、第9類「傾斜センサ」を指定商品として、同20年6月20日に設定登録されたものである。 第2 登録異議申立ての理由 1 理由の要点 (1)商標法第4条第1項第7号について 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、台湾を本拠地として「LED照明」、「光学傾斜角度感度装置」等の製造、販売を行っている会社であるが、別掲(2)のとおりの構成よりなる商標(以下「申立人標章」という。)は、申立人の企業ブランドとして使用されている。 一方、本件商標は、申立人標章とその構成を同一にするものであるところ、商標権者である「Edison Opto Japan株式会社」(以下「本件商標権者」という。)が、日本において本件商標の登録出願を行うためには、申立人の許諾を受けるか、又は商標登録を受けることについての正当な理由が必要である。 しかしながら、本件商標権者は、これらを欠くにもかかわらず、本件商標の登録出願を行い、商標登録を受けており、本件商標権者の行為は、不正目的を持ってなされたものであり、著しく社会的妥当性を欠くものであるから、このような商標登録を認めることは、商取引の秩序を乱し、ひいては国際信義に反することになる。 よって、本件商標は、いわゆる公序良俗を害するおそれのある商標に該当する。 (2)商標法第4条第1項第19号について 本件商標と同一の構成からなる申立人標章は、高出力LED、各種半導体照明応用モジュール、光通信ユニットSPDIF素子、OPTO Sensorなどの光電製品(以下「申立人製品」という。)のみならず、いわゆる申立人の企業ブランドとして使用されており、台湾等において周知な商標であって、また、上記のとおり、本件商標権者は、不正の目的を持って登録出願を行ったものである。 (3)申立人は、証拠方法として、甲第1ないし第14号証を提出している。 第3 本件商標に対する取消理由の要旨 1 申立人の提出した甲第1ないし第12号証によれば、以下の事実を認めることができる。 (1)本件商標は、岐阜県大垣市南高橋町所在の「Edison Opto Japan株式会社」を商標権者として、平成20年6月20日に設定登録された。 (2)申立人は、申立人製品の製造、販売をする企業として、2001年(平成13年)10月に台湾において設立され、その後、2002年4月から2008年9月に至るまで、高出力LED関連の新商品を順次発表した。また、申立人は、遅くとも2007年(平成19年)1月の時点には既に、申立人標章を自社のカタログや店頭などに表示していた。 (3)申立人は、申立人製品の日本市場への進出を図るため、2007年3月30日に、岐阜県大垣市静里町所在の大倉忠博を代表取締役とするジェイエスティエム株式会社(以下「ジェイエスティエム社」という。)との間で、ジェイエスティエム社が「Edison Opto Japan Company Limited」(以下「Edison Opto Japan」という。)を設立すること、Edison Opto Japanが申立人の有する登録商標を使用することについて合意をした。そして、上記Edison Opto Japanは、商号を「Edison Opto Japan株式会社」とし、本店を「岐阜県大垣市所在」、設立目的を「電子部品の輸入及び販売」等として、平成19年3月19日に設立された。 (4)上記(3)に関し、2007年(平成19年)4月2日付け日刊工業新聞には、「LEDの台湾・エジソン/日本に本格進出/岐阜に販社」の見出しのもと、「台湾の高輝度発光ダイオード(LED)メーカー、エジソン・オプト(台北市)が日本市場に本格進出する。岐阜県大垣市に販売会社『エジソン・オプト・ジャパン』を設立。エジソンが量産するLEDは出力3ワット級・光束130ルーメン(ルーメンは光の量を計測する単位)と世界最高水準の輝度・効率を持つのが強みとしており、水銀灯代替の投光器向けなど環境配慮型照明分野で市場開拓する。初年度(08年2月期)に売上高約5億円を見込む。新会社は3日に業務を始める。社長にはエジソン製LEDを搭載した投光器を製造販売するジェイエスティエム(岐阜県大垣市)の大倉忠博社長が就任。」との記事が掲載された。 (5)申立人とEdison Opto Japan(Edison Opto Japan株式会社)とは、2007年5月25日に、上記(3)の合意を解約した。これに伴い、Edison Opto Japanは、申立人の有する登録商標を使用する権利も消失した。 また、Edison Opto Japan株式会社は、平成20年6月16日より社名を「パワーエコライテック株式会社」と変更した。 2 前記1における認定の事実によれば、本件商標権者は、申立人製品の日本市場での販売を目的として、申立人とジェイエスティエム社との合意により、平成19年3月19日に設立された会社であり、同合意が解約される同年5月25日までの間、申立人製品の日本における販売等に携わっていたこと、本件商標権者の代表取締役である大倉忠博は、申立人製品等に使用される申立人標章について、本件商標の登録出願前より熟知していたことを優に推認することができる。 一方、本件商標は、別掲(1)のとおりであり、申立人標章とは、同一の構成よりなるものである。 3 以上によれば、本件商標権者は、申立人標章が日本において登録されていないことを奇貨として、先取り的に申立人標章と同一の本件商標を申立人の承諾を得ないで、前記1(3)の合意が解約される直前の平成19年5月22日に登録出願し、登録を得たものと推認することができ、このような本件商標権者の行為は、社会の一般的道徳観念に反するものであり、かつ、公正な取引秩序に反するものであって、ひいては国際信義に反するものというべきであり、上記商標権者の行為に基づいて登録された本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標といわなければならない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してされたものと認める。 第4 商標権者の意見 上記第3の取消理由に対し、商標権者は、指定した期間内に何ら意見を述べていない。 第5 当審の判断 平成21年4月27日付けで商標登録の取消の理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もない。そして、本件商標についてした先の取消理由は、妥当なものと認められる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 (1)本件商標 (色彩については、原本を参照してください。) (2)申立人標章 |
異議決定日 | 2009-07-07 |
出願番号 | 商願2007-50797(T2007-50797) |
審決分類 |
T
1
651・
22-
Z
(X09)
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最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 大橋 良成 |
特許庁審判長 |
石田 清 |
特許庁審判官 |
久我 敬史 小林 由美子 |
登録日 | 2008-06-20 |
登録番号 | 商標登録第5142509号(T5142509) |
権利者 | Edison Opto Japan株式会社 |
商標の称呼 | エジソン、エディソン |
代理人 | 特許業務法人三枝国際特許事務所 |
代理人 | 守谷 一雄 |