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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない Y43
審判 査定不服 商3条1項4号 ありふれた氏、名称 登録しない Y43
管理番号 1205216 
審判番号 不服2008-10287 
総通号数 119 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-04-24 
確定日 2009-10-01 
事件の表示 商願2006- 85594拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲1に示すとおり「玉家」の文字を筆書体で横書きにしてなり、第43類「沖縄そば又はうどん・そばの提供」を指定役務として、平成18年9月1日に登録出願、その後、指定役務については、当審における同20年6月26日付け手続補正書により、第43類「沖縄そばの提供」に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『玉家』の文字を書してなるところ、『玉家』の語は、飲食物の提供の店としてありふれた店名と認められるので、これをその指定役務について使用しても、本願商標に接する需要者は、『如何なる玉家の飲食物の提供であるか』を特定することができず、結局、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識できないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審においてした審尋
当審において、以下の要旨の審尋を改めて通知し、相当の期間を指定して請求人に意見を求めたものである。

本願商標は、「玉家」の文字を筆書体風に書してなるところ、「玉家」の文字は、別掲2に示すとおり、多数の者が、該文字を店名として使用していることが認められる。
さらに、本願商標は、筆書体風に書されているものの、「玉家」の文字を十分に認識できる構成態様であるから、普通に用いられる態様の域を脱しない方法で表示されたとみるのが相当である。
そうとすると、本願商標は、ありふれた名称普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、これを本願指定役務に使用しても自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。

第4 審尋に対する請求人の回答(要旨)
審尋によって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当すると判断されたところ、原査定の適用条文と審尋の適用条文が異なることについては、争うつもりはない。
しかしながら、本願商標が商標法第3条第1項第4号に該当するとされたことを受けて、本願商標が商標法第3条第2項に該当するものであることを主張する。
請求人の提出した証拠資料からすれば、本願商標は、平成12年6月から継続して使用している結果、取引者・需要者は、請求人の業務に係る「沖縄そばの提供」に使用する商標であることを認識することができるものであり、いわゆる使用による特別顕著性が発生していると認識しうるものである。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当するものであるとしても、同条第2項の規定により、商標登録を受けることができる商標である。

第5 当審の判断
1 本願商標の商標法第3条第1項第4号の該当性について
前記第3の審尋により通知した本願商標の拒絶の理由は、妥当なものと認められる。

2 本願商標の商標法第3条第2項の該当性について
(1)商標法第3条第2項について
商標法第3条は、同条第1項第一号ないし第六号に該当する商標については、商標登録できない旨の規定であるが、同条第2項において、「商標法第3条第1項第3号から第五号までに該当する商標であっても、使用された結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができる。」とされている。
そして、工業所有権法逐条解説[第17版](特許庁編集 社団法人発明協会発行 1173頁)によれば、「本条(商標法第3条)二項は、いわゆる使用による特別顕著性の発生の規定である。前述のように一項各号に掲げる商標は自他商品又は自他役務の識別力がないものとされて商標登録を受けられないのであるが、三号から五号までのものは特定の者が長年その業務に係る商品又は役務について使用した結果、その商標が、その商品又は役務と密接に結びついて出所表示機能をもつに至ることが経験的に認められるので、このような場合には特別顕著性が発生したと考えて商標登録をしうることにしたのである。」と説明されている。
また、知的財産高等裁判所平成18年(行ケ)10441号判決(判決日 平成19年3月29日)(以下「判決例」という。)において、「商標法3条2項は、商標法3条1項3号等に対する例外として、『使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの』は商標登録を受けることができる旨を規定している。その趣旨は、特定人が当該商標をその業務に係る商品の自他識別標識として長期間継続的かつ独占的に使用し、宣伝もしてきたような場合には、当該商標は例外的に自他商品識別力を獲得したものということができる上に、他の事業者に対してその使用の機会を開放しておかなければならない公益上の要請は乏しいということができるから、当該商標の登録を認めるというものであると解される。そして、このような商標法3条2項の趣旨からすると、商標法3条2項の要件を具備し、登録が認められるための要件は、1.実際に使用している商標が、判断時である審決時において、取引者・需要者において何人の業務に係る商品であるかを認識することができるものと認められること、2.出願商標と実際に使用している商標の同一性が認められること、であると解される。」旨判示されている。
そこで、以上の観点を踏まえて、本願商標が商標法第3条第2項に該当するか否かについて検討する。

(2)本願商標が商標法第3条第2項に該当するか否かについて
a 本願商標が、取引者・需要者において請求人の業務に係る役務であるかを認識することができるものであるかについて
請求人により提出された証拠資料を総合判断するに、請求人は、沖縄県内で、本願商標をその指定役務「沖縄そばの提供」について使用し、また、百貨店等で開催される「沖縄物産展」等のイベント(以下「イベント」という。)に出店している事実は認められる(第2号証及び第3号証、第9号証ないし第17号証、第23号証、第26号証、第30号証ないし第40号証)。
また、沖縄に関する情報誌やウェブサイトに本願商標に関する情報が掲載されている事実も認められるものである(第3号証ないし第8号証、第27号証ないし第29号証、第31号証及び第32号証)。
さらに、本願商標の著名性について、「株式会社 沖縄情報ドットネット」、「有限会社 彩企」、「株式会社 沖縄物産公社」、「株式会社東急百貨店」による証明書が提出されている(第20号証及び第21号証、第24号証ないし第25号証の2)。
しかしながら、証拠資料からすると、請求人が、本願商標をその指定役務「沖縄そばの提供」ついて使用し、現在、実際に営業を行っているのは、沖縄県内の2店舗(第30号証)にすぎず、その他の地域に出店を行っている事実はなく、単に、イベントへの出店にすぎない。
そして、そのイベントも、地域や期間が限定されていることから、イベントへの出店の事実をもって、本願商標が、請求人の業務にかかる役務であることを認識させるものとはいえない。
また、本願商標に関する情報も、沖縄に関する情報誌やウェブサイトによるものであって、全国の一般需要者が接する機会が多いとは認定することができない。
さらに、請求人自らが、本願商標について、一般需要者が接する機会が多いと認められるテレビや一般紙等の大衆向けマスメディアにおいて、本願商標に関し、テレビCM等の宣伝・広告を行っている事実を認めることができない。
さらにまた、請求人は、本願商標の著名性を立証するために、複数の「証明書」を提出しているが、かかる証明書は、同業他社によって発行されたものではなく、その各証明書の内容も、ほぼ同一であることから、本願商標の著名性を立証するものとしては、その客観性が認められないものである。
そして、別掲2のとおり、「玉家」の文字は、請求人以外の多数の者が「飲食物の提供」等の業務について、実際に使用している事実があることからすると、本願商標は、判決例にいう「特定人が当該商標をその業務に係る役務の自他識別標識として長期間継続的かつ独占的に使用し、宣伝もしてきたような場合」には、あたらないものと判断するのが相当である。
してみれば、本願商標は、本願商標に接する取引者・需要者をして、請求人の業務に係る役務であることを認識することはできないものである。、
b 出願商標と実際に使用している商標の同一性について
本願商標「玉家」の文字は、筆書体風に書されているものであるが、請求人の提出した証拠資料をみるに、そこで使用されている「玉家」の文字は、本願商標の構成態様とは異なり、通常の書体の「玉家」の使用例が多数であり、本願商標と同一の態様であると認められるものは、請求人のホームページ等、本人が作成したものに限定されている。
してみれば、提出された証拠資料からは、本願商標と実際に使用されている商標が同一であるとは認められないものである。

(3)まとめ
したがって、本願商標は、取引者・需要者において請求人の業務に係る役務であるかを認識することができるものとは認められず、かつ、その使用されている商標と、同一であるとは認められないものであるから、商標法第3条第2項の要件を具備するものとは認められない。

3 結論
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当し、かつ、同条第2項の要件を具備しないものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本願商標



別掲2 「玉家」の文字を店名として使用している例(出願人を除く。)

1 玉家 質屋 東京都港区芝大門2丁目1-1第2境野ビル3階
2 玉家 ラーメン店 東京都台東区浅草橋1丁目16-3
3 玉家 宝石・貴金属店 東京都豊島区南長崎5丁目33-39
4 玉家 うどん・そば店 東京都江戸川区江戸川2丁目18-27
5 玉家 ラーメン店 東京都墨田区横網1-3-20
6 玉家 お好み焼き 東京都江東区東陽3-15-3
7 玉家 天ぷら 東京都港区北青山3-2-10高玉ビル1F
8 玉家 そば店 北海道富良野市北の峰町
9 玉家 うどん・そば店 秋田県秋田市八橋 田五郎2丁目12-1
10 玉家 中華料理 山形県東根市大字蟹沢1538-39
11 玉家 民宿 福島県いわき市平豊間字兎渡路205-2
12 玉家 菓子店 福島県白河市本町46
13 玉家 中華料理 栃木県佐野市高萩町1313-13
14 玉家 割ぽう・料亭 埼玉県さいたま市浦和区常盤3丁目24-7
15 玉家 ラーメン店 埼玉県越谷市下間久里91-12
16 玉家 食堂 横浜市中区本牧三の谷1-14
17 玉家 食堂 千葉県千葉市中央区道場北町317
18 玉家 うどん・そば店 千葉県市川市中山4丁目14-3
19 玉家 うどん・そば店 千葉県船橋市松が丘1丁目49-8
20 玉家 飲食店 千葉県茂原市法目1194-1
21 玉家 料理・仕出し 千葉県佐倉市鏑木町148
22 玉家 うなぎ料理 千葉県東金市東金128-2
23 玉家 飲食店 岐阜県美濃加茂市下米田町今524
24 玉家 飲食店 岐阜県各務原市鵜沼羽場町3丁目147
25 玉家 食堂 岐阜県各務原市鵜沼山崎町3丁目57
26 玉家 食堂 岐阜県海津市平田町三郷1997
27 玉家 すし店 静岡県伊豆市柏久保628-4
28 玉家 旅館 静岡県賀茂郡河津町湯ケ野194
29 玉家 うどん・そば店 愛知県名古屋市中村区
草薙町1丁目78-5
30 玉家 飲食店 愛知県名古屋市瑞穂区堀田通9丁目52
31 玉家 うどん・そば店 愛知県名古屋市熱田区
一番2丁目30-12
32 玉家 飲食店 愛知県津島市唐臼町柳原17
33 玉家 うどん・そば店 愛知県豊田市足助町宮ノ後1
34 玉家 喫茶店 愛知県蒲郡市三谷町鳶欠14
35 玉家 飲食店 愛知県岩倉市本町神明西7-1
36 玉家 すし店 滋賀県東近江市八日市本町10-1
37 玉家 うどん・そば店 京都府京都市東山区高台寺南門通下
河原東入桝屋町362
38 玉家 食堂 京都府京都市伏見区深草稲荷御前町73
39 玉家 割ぽう・料亭 大阪府大阪市浪速区恵美須東1丁目22-1
40 玉家 お好み焼店 大阪府堺市中区新家町538-1
41 玉家 割ぽう・料亭 大阪府堺市北区百舌鳥 赤畑町2丁69
42 玉家 居酒屋 大阪市中央区道頓堀1丁目8-22
43 玉家 個室付浴場 兵庫県神戸市兵庫区西上橘通2丁目7-2
44 玉家 うどん・そば店 兵庫県加古川市加古川町北在家78-1
45 玉家 弁当・仕出し 佐賀県鳥栖市西新町1523
46 玉家 弁当・仕出し 佐賀県三養基郡みやき町大字白壁4185
47 玉家 旅館 佐賀県佐賀市富士町上熊川118
48 玉家 飲食店 大分県大分市佐賀関2232-109

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審理終結日 2009-07-21 
結審通知日 2009-07-23 
審決日 2009-08-20 
出願番号 商願2006-85594(T2006-85594) 
審決分類 T 1 8・ 14- Z (Y43)
T 1 8・ 17- Z (Y43)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土井 敬子原田 信彦 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 小川 きみえ
豊田 純一
商標の称呼 タマヤ 
代理人 佐々木 功 
代理人 川村 恭子 

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