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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない X061119203742
管理番号 1205208 
審判番号 不服2008-26282 
総通号数 119 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-10-14 
確定日 2009-09-24 
事件の表示 商願2007- 91745拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「200年住宅システム」の文字を横書きしてなり、第6類「鉄及び鋼,非鉄金属及びその合金,金属鉱石,建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製建具,金属製金具,金属製建造物組立てセット,金属製貯蔵槽類,金属製の滑車・ばね及びバルブ(機械要素に当たるものを除く)」、第11類「電球類及び照明用器具,ボイラー,ガス湯沸かし器,調理台,流し台,加熱器,乾燥装置,換熱器,蒸煮装置,蒸発装置,蒸留装置,熱交換器,暖冷房装置,便所ユニット,浴室ユニット,太陽熱利用温水器,浄水装置,家庭用電熱用品類,浴槽類,家庭用浄水器,水道蛇口用座金,水道蛇口用ワッシャー,水道用栓,タンク用水位制御弁,パイプライン用栓,汚水浄化槽、家庭用汚水浄化槽,家庭用し尿処理槽,し尿処理槽,洗浄機能付き便座,便器,和式便器用いす」、第19類「建築用又は構築用の非金属鉱物,陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,建造物組立てセット(金属製のものを除く。),セメント及びその製品,木材,石材,建築用ガラス,建具(金属製のものを除く。),鉱物性基礎材料,タール及びピッチ類」、第20類「家具,貯蔵槽類(金属製又は石製のものを除く。)、プラスチック製バルブ(機械要素に当たるものを除く。),カーテン金具,金属代用のプラスチック製締め金具,くぎ・くさび・ナット・ねじくぎ・びょう・ボルト・リベット及びキャスター(金属製のものを除く。),座金及びワッシャー(金属製・ゴム製又はバルカンファイバー製のものを除く。),錠(電気式又は金属製のものを除く。)」、第37類「建設工事,建築設備の運転,火災報知器の修理又は保守,機械式駐車装置の修理又は保守,浄水装置の修理又は保守、照明用器具の修理又は保守、暖冷房装置の修理又は保守,ボイラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,民生用電気機械器具の修理又は保守、家具の修理,ガス湯沸かし器の修理又は保守,加熱器の修理又は保守,錠前の取付け又は修理,洗浄機能付き便座の修理,浴槽類の修理又は保守,畳類の修理,煙突の清掃,建築物の外壁の清掃,窓の清掃,床敷物の清掃,床磨き,し尿処理槽の清掃,浴槽又は浴槽がまの清掃,有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものを除く。)」及び第42類「建築又は都市計画に関する研究,建築物の設計,測量,地質の調査,デザインの考案」を指定商品及び指定役務として、平成19年8月27日に登録出願され、その後、指定商品については、同20年4月23日付け手続補正書により、第6類「建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製建具,金属製金具,金属製建造物組立てセット,金属製貯蔵槽類,金属製の滑車・ばね及びバルブ(機械要素に当たるものを除く)」、第11類「ボイラー,ガス湯沸かし器,調理台,流し台,乾燥装置,暖冷房装置,便所ユニット,浴室ユニット,太陽熱利用温水器,家庭用電熱用品類,浴槽類,水道蛇口用座金,水道蛇口用ワッシャー,水道用栓,タンク用水位制御弁,パイプライン用栓,洗浄機能付き便座,便器」、第19類「建造物組立てセット(金属製のものを除く。),木材,建具(金属製のものを除く。)」、第20類「家具,カーテン金具,くぎ・くさび・ナット・ねじくぎ・びょう・ボルト・リベット及びキャスター(金属製のものを除く。),座金及びワッシャー(金属製・ゴム製又はバルカンファイバー製のものを除く。),錠(電気式又は金属製のものを除く。)」、第37類「建設工事,建築設備の運転,火災報知器の修理又は保守,機械式駐車装置の修理又は保守,暖冷房装置の修理又は保守,ボイラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,ガス湯沸かし器の修理又は保守,加熱器の修理又は保守,錠前の取付け又は修理,洗浄機能付き便座の修理,浴槽類の修理又は保守」及び第42類「建築又は都市計画に関する研究,建築物の設計,測量,地質の調査,デザインの考案」に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『200年住める住宅』の意を直感させ、住宅の長超寿命化を象徴的に表したとみられる『200年住宅』の文字に、それがシステム(複数の要素が有機的に関係しあい、全体としてまとまった機能を発揮している要素の集合体)化されていることを指す『システム』の文字を結合してなるにすぎないから、これを住宅資材、住宅設備機器などの住宅関連用品や住宅建築工事、住宅設備機器の修理・保守、住宅の設計などの住宅関連サービス等、住宅に関連する商品・役務を多く含む本願の指定商品・指定役務に使用しても、その商品の品質又は役務の質を誇称するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断して本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知
この審判事件について、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当すべきものとする証拠を発見したので、商標法第56条第1項において準用する特許法第150条第5項の規定により、以下の事実が認められるとして、その結果を請求人に通知し、意見を求めた。
1 「200年住宅」及び「システム」の文字について
(1)「200年住宅:政府が目指す『長持ちする住宅』のスローガンとなる言葉。長持ちするための住宅構造を開発し、それに対応する住宅ローンを考案。中古住宅の流通システムを整備することなども含めて考えてゆこうというもの。今後、税制の優遇措置や関連法案の整備を行う方針が示されている。」(「現代用語の基礎知識2008」自由国民社 2008.1.1発行 1164頁)。
「ストック型社会 持続可能社会。・・2008年7月、福田首相も長寿命の『200年住宅』の普及を掲げ、住宅・橋・下水道などを、耐久性を高めより長く使う社会への転換を掲げた。」(現代用語の基礎知識2009 自由国民社 2009.1.1発行 1280頁)。
(2)「システム【system】複数の要素が有機的に関係しあい、全体としてまとまった機能を発揮している要素の集合体。組織。系統。仕組み。」(広辞苑第6版 2008年1月11日 株式会社岩波書店発行 1230頁)
「システム[system] 1)組織、制度 2)体系、系統 3)方式、仕組み」(コンサイスカタカナ語辞典 第3版 2005年10月20日 株式会社三省堂発行 440頁)
「system 1a 体系的[組織的]方法、方式 2a(複雑な要素から構成されながら一つの統一体を作っている)組織、系、組立て、系統 3a (社会・経済・政治などの組織的な)制度、機構(研究社 新英和大辞典 第6版 2002年3月 株式会社研究社発行 2493頁)
(3)「200年住宅ビジョン」と題して、平成19年5月、自由民主党政務調査会により発表されている。(自由民主党本部のウェブページ(http://www.jimin.jp/jimin/seisaku/2007/pdf/seisaku-007b.pdf))。以下要約する。
平成18年6月に、ストック重視、市場重視の新たな住宅施策の基本法制となる「住生活基本法」が制定された。・・この基本理念にのっとり
1)超長期にわたって循環利用できる質の高い住宅ストックを形成すること2)個人の財産としての住宅の価値を維持することはもとより、これを社会全体の資産として承継していくこと を重要な政策課題であると認識し、平成18年6月、住生活基本法の施工後間髪を置かずに「200年住宅ビジョン」の検討に着手して、ストック型社会における豊かな住生活の実現に向けた提言として「200年住宅ビジョン」をとりまとめた。
〔1〕200年住宅の理念
超長期にわたって循環利用できる質の高い住宅(=200年住宅)ストックの形成を目指すべきである。本ビジョンにおいては、住宅のロングライフ化を象徴的に表すものとして「200年」という言葉を用いている。
200年住宅の具体的なイメージ
・構造躯体(スケルトン)と内装・設備(インフィル)が分離され、スケルトンについては耐久性・耐震性、インフィルについては可変性が確保されていること
・維持管理の容易性が確保されていること
・次世代に引き継ぐにふさわしい住宅の質(省エネルギー性能、バリアフリー性能)が確保されていること
・計画的な維持管理(点検、補修、交換等)が行われること
・周辺のまちなみとの調和が考慮されていること 等
200年住宅の実現によるメリット
我が国における「滅失住宅の平均築後年数」は約30年であり、アメリカの約55年、イギリスの約77年と比較して著しく短く、住宅ローンを完済したときには住宅の資産価値がゼロになっており、さらに、住宅を30年ごとに建替えることにより、大量の産業廃棄物を発生させている。しかしながら、耐久性・耐震性に優れた200年住宅は、超長期にわたる安全な暮らしを実現するものであり、世代を超えて循環利用される「社会的資産」として住宅が認識されるようになるものである。その実現のため、超長期にわたる維持管理にも配慮された建設システムの構築を図ることとする。加えて、適切に維持管理していくためのシステム、既存住宅が円滑に流通するためのシステム、200年住宅に対応した金融システムなどを連携させ、社会基盤・まちなみの整備も含め、一体となったシステムとして構築する。
本調査会は、200年住宅の実現・普及に向けて12の政策提言を行い、200年住宅の実現・普及を図るための具体的施策を強力に推進していくこととする。
〔2〕200年住宅の実現・普及に向けた12の政策提言(抜粋)
提言1 超長期住宅ガイドラインの策定(国民、住宅関連事業者、国、地方公共団体等が目指すべき200年住宅のイメージを共有するため)
○「超長期住宅ガイドライン」記載内容のイメージ 1.個人的財産・社会的資産としての住宅 2.長期の維持管理を内在化した整備システム・・・
提言6 既存住宅の取引に関する情報提供の充実
○土地総合情報誌システムによる不動産取引各情報の提供
提言8 200年住宅(スケルトン・インフィル住宅)の建設・取得を支援する住宅ローン等の枠組み整備
提言9 200年住宅の資産価値を活用した新たなローンが提供される仕組みの構築
提言10 200年住宅に係る税負担の軽減
提言11 200年住宅の実現・普及に向けた先導的モデル事業の実施 200年住宅は、我が国の経済社会が経験したことのない新たなシステムであるため、更なる技術開発を進めるとともに、建設、維持管理、流通、金融のそれぞれの局面において先導的なモデル事業を実施し、・・一般的なシステムとして普及を図ることが必要である。
(4)国土交通省の「平成20年度国土交通省税制改正要望 主要項目 結果概要 平成19年12月13日」のウェブページ (http://www.mlit.go.jp/yosan/yosan08/zeisei08g/zeisei08_.html)に、「〔1〕住宅の長寿命化(「200年住宅」)促進税制の創設」として、「持続可能な社会の実現を目指し、良質な住宅を大切に長く使うことによる地球環境への負荷の低減を図るとともに、建替えコストの削減による国民の住宅負担の軽減を図るため、一定の基準に適合する認定を受けた長期耐用住宅(仮称)(「200年住宅」)について、以下の特例措置を講ずる。」との記載がある。
(5)「建築研究所ニュース 平成20年11月14日 200年住宅および住宅・建築物の省CO2化に向けた取組みについて-超長期住宅先導的モデル事業-」とする表題のページには「超長期住宅先導的モデル事業(平成20年度予算額:国費130億円) 超長期住宅の普及・推進のため、先導的な材料・技術・システム等が導入されるなどの超長期住宅にふさわしい提案を有し、超長期住宅の普及啓発に寄与するモデル事業、超長期住宅に関する評価・広報、超長期住宅実現のための技術基盤強化に対して助成を行う。」との記載がある(独立行政法人 建築研究所のウェブページ(http://www.kenken.go.jp/japanese/information/information/press/20081117-6.pdf))。

2 新聞記事における「200年住宅」「システム」の文字について
(1)「長寿の秘密『のぞき窓』住宅の壁内、結露チェック エス・バイ・エルが開発【大阪】」の見出しのもと、「新しい建築手法は『壁体内換気システム ループ』。壁を2重化して空気の通り道を作り、太陽熱を利用して温度の低い床下から暖かい屋根へと空気を流すことで結露を防ぐ。・・1月から同社の全住宅に採用され、国土交通省が推進する『超長期住宅(200年住宅)』の第1回モデル事業にも選ばれた。」との記載(2009.2.4 朝日新聞大阪朝刊 8頁)。
(2)「震度7に耐える建築、実用化へ 09年度からモデル事業スタート」の見出しのもと、「新構造システムでは、震度7の揺れでも倒壊しないことに加え、外壁と人が居住する内側の建築物を分けて造り、油圧ポンプのような緩衝装置でつなぎ合わせて内部の揺れも緩やかにする。・・官公庁の庁舎や公共施設、オフィスビル、長期にわたって住み続けられる『200年住宅』にも普及を図る計画だ。」との記載(2009.1.11 読売新聞東京朝刊 9頁)。
(3)「役立つ住宅情報:コモンスクエア南大沢・サナレアの丘--積水ハウス」の見出しのもと、「第2期分譲は『200年住宅ビジョン』に基づいて住宅の長寿命化を促進する国土交通省の『超長期住宅先導的モデル事業』にも選ばれている。・・『超長期住宅先導的モデル事業』として、二酸化炭素(CO2)排出量と光熱費の削減が見込める太陽光発電システムや・・・セキュリティーシステムなども充実している。」との記載(2008.11.20 毎日新聞東京朝刊 20頁)。
(4)「200年住宅推進で技術開発を検討/国交省」の見出しのもと、「検討会の主な成果目標は、200年住宅の形成に向けた指針やソリューション技術の提示などで、住宅・街区の設計、管理指針のあり方などについて検討を進める。検討会では、▽形成・管理システム▽診断・改修技術・・・・の研究開発課題に対応するため、必要に応じてワーキンググループを設置し、個別に検討を進める。」との記載(2008.10.16 建設通信新聞)。
(5)「ミサワ・インターナショナル/超長期住宅の提案体制拡充/設計会社らと連携」の見出しのもと、「長期間使用できる、いわゆる200年住宅などを対象に建設費の一部を補助する国土交通省の『超長期住宅先導的モデル事業』にHBITAの建設が採択されたことを踏まえ、地域の不動産会社と設計会社と連携しながら提案体制を整えていく・・。・・住環境の向上を目指し、自然エネルギーの有効利用のほか、音声による住宅コントロールシステムの開発、超音波技術を活用したセキュリティーシステムの開発なども進める方針だ。」との記載(2008.8.29 日刊建設工業新聞 3頁)。
(6)「国交省、『200年住宅』モデル事業で先導的技術を募集」の見出しのもと、「国土交通省は100年超の耐久性を有する超長期住宅『200年住宅』を実現する先導的な材料、技術、システムなどの開発を対象に08年度第2期モデル事業募集を始めた。募集する事業は(1)住宅の新築(2)既存住宅等の改修(3)維持管理・流通等のシステム整備(4)技術の検証(5)情報提供および普及-の5部門。」との記載(2008.8.6 日刊工業新聞 19頁)
(7)「国交省、200年住宅事業の今年度公募案件を40件選定」の見出しのもと、「国土交通省は7日、『超長期住宅モデル事業』いわゆる『200年住宅事業』について、08年度の第1回公募の採択案件を決定したと発表した。・・・部門別では、『住宅の新築(戸建て)』が積水ハウスの『まちなみ分譲モデル・提案住宅モデル』など24件。このほか・・・『維持管理・流通等のシステムの整備』が5件・・・。」との記載(2008.7.8 日刊工業新聞 16頁)。
(8)「総会/新都市ハウジング協会/新会長に白石達大林組社長」の見出しのもと、「08年度の事業計画では、200年住宅の関連施策に対応した調査研究として、これまで蓄積した建築・住宅の長寿命化の技術・地検を活用した取り組みを展開。SI住宅の実態調査や先導的SIシステムの検討などを進める。」との記載(2008.6.23 日刊建設工業新聞 3頁)。
(9)「地産地消の木造住宅を 三河の5業種が協力『甍の家』推進協を設立 林業の活性化図る」の見出しのもと、「【愛知県】地域の建築材を80%以上使用した木造住宅の建設を進めようと、三河地方の住宅関連5業種が協力して、『あいち“甍(いらか)の家”システム推進協議会』を立ち上げた。・・具体的な事業として、木材の産地などを示すトレサビリティーの構築や、住宅性能表示制度に対応した設計基準の研究、政府が打ち出した『200年住宅』に対応した長寿命化した木造住宅のソフト開発などに取り組む。」との記載(2008.6.19 中日新聞 朝刊 19頁)。
(10)「『北海道元旦会』が総会/石岡会長-『元旦ブランド普及』/舩木社長-『200年住宅実現へ』」の見出しのもと、「『200年住宅の構想は簡単に修繕できることがカギ。また、夜間電力を利用した冷暖房システムや断熱もポイントに。技術開発や技術のシステム化を徹底的に追求し、・・・無駄のないシステムを実現させたい』などと語った。」との記載(2008.6.16 鉄鋼新聞 6面)。
(11)「【ビジネス考】新ブランド 中古住宅 循環型社会に貢献」の見出しのもと、「『セキスイハイム』という新築ブランドを展開する積水化学工業は、再生した中古住宅を『再築システムの家』として発売している。・・・政府は福田康夫首相の肝入りで、耐久性が高く数世代にわたって住める『200年住宅』の建設促進に乗り出す。」との記載(2008.2.11 FujiSankeiBusiness i.3頁)。
(12)「200年住宅実現へ展開/住団連の2008年重点方針」の見出しのもと、「住団連は、200年住宅の実現に向けて、既存住宅流通市場の活性化、住宅価値の評価システムの確立、住宅金融のあり方などの諸課題を解決するとともに、住宅が『社会資産』であることを社会に訴えていく。」との記載(2008.2.5 建設通信新聞)。
(13)「『200年住宅“残す”思想へ』SIで数世代の耐久性」の見出しのもと、「『200年住宅』の正式名称が『長期優良住宅』に決まった。・・こうしたニーズに応えられる構造として、国土交通省が推奨しているのがスケルトン(躯体)とインフィル(内装・設備)を分離するSI工法だ。・・・SI工法は、インフィルより長い躯体の寿命を生かすために、インフィル部分の交換を容易にしておくシステムといえる。」との記載(2008.2.5 住宅新報 20面)。

3 インターネットにおける「200年住宅」「システム」の文字について
(1)「住団連 社団法人住宅生産団体連合会 住宅の長寿命化(200年もたせる住宅)を実現するための提言 住宅産業がもつ長寿命化シリーズ 長寿化のための要素技術開発の取り組み 壁内結露、雨漏りによる腐朽の防止対策として『透湿性を持った断熱システム』の研究もなされています。また、中高層・超高層住宅について超高強度コンクリートを使用した高耐震スケルトンシステムが開発されており、その多くはSI対応となっています。また、行政との連携による革新的構造材料を用いた新構造システム建築物の研究開発プロジェクトにおいて200年耐用を目指した超耐震建築システムの技術開発が進められています。
(参考)中高層・超高層住宅関連の長寿命化シーズ 1)長寿命化のための要素技術開発の取り組み〔超高層用SI対応高耐震スケルトンシステム〕○デュアルフレックス超高層住宅システム○長スパン構造システム○デュアルレイヤーコア免震システム○SuperHRCシステム 〔SI対応可変インフィルシステム〕○フレックス設備システム○シミズ内装設備総合化システム 2)ライフサイクルにわたる居住者支援サービスの展開〔維持管理情報システム〕○建物カルテシステム」との記載(社団法人住宅生産団体連合会のウェブページ(http://www.judanren.or.jp/200/02seeds.html))。
(2)「MISAWAinternational 200年住宅 この200年住宅ビジョンに呼応するように、経済産業省では『今後の住宅産業のありかに関する研究会』が中間報告のかたちで、住宅産業の今後の方向性をして『“住み継ぐ”住宅システム』の構築を打ち出しました。」との記載( MISAWAinternational株式会社のウェブページ(http://www.m-int.jp/misawa_blog/archives/2007/08/14/2359.html))。
(3)「SXL ニュースリリース エス・バイ・エル 住宅の高耐久化システム技術をわが国で初めて実用化-国土交通省『超長期住宅(200年住宅)先導的モデル事業』にて採択された新技術を導入し、平成21年1月より全棟に採用- エス・バイ・エル株式会社は、当社が開発し住まいの耐久性を強化する標準技術として全棟に搭載している壁体内換気システムの30年に及ぶ実績と調査研究に基づき、住まいの長寿命化を実現する高耐久化システム技術「LOOP」(LongOwnerProgram)を業界に先駆けて開発、平成21年1月より当社の住宅全棟を対象に提供を開始致します。」との記載(エス・バイ・エル株式会社のウェブページ(http://www.sxl.co.jp/corporate/news/20081218.html))。
(4)「DEZAO 200年住宅 完成現場見学会 『超長期住宅先導的モデル事業』認定 重量木骨の家 プログレス 完成現場見学会 設計メモ 国土交通省の定める超長期住宅先導的モデル事業『200年住宅コンソーシアムによる長期住宅建設サポートシステム』に参画している住宅です。」との記載(株式会社デザオ建設のウェブページ(http://www.dezao.com/event/?cat=6))。
(5)「07 維持保全型 新築戸建て 個別提案 『国興ホーム 超長期住宅信州・松本モデル事業』国興【長野県松本市】躯体間通気換気システムと外張り断熱を融合 資金繰り含む維持保全計画で実効性確保」との記載(株式会社国興のウェブページ(http://www.coccohome.jp/news/2008/08/08082.php))。
(6)「200年住宅研究所 環境と住宅 エコ住宅について 太陽光、熱、風を利用するアクティブシステム。 『アクティブシステム』とは特別な設備を用いて太陽などからのエネルギーを利用しようというもので、太陽光発電、風力発電、太陽熱利用の暖房・給湯システムなどがあります。・・・住まいの工夫でエコを実現するパッシブシステム。 冬は日差しを取り入れて暖かく、夏は日差しを遮って涼しくというように住まいに工夫を施すことで快適に暮らし、同時に冷暖房でエネルギーをムダに消費しないようにするのが『パッシブシステム』です。」との記載(株式会社VERITAの運営するウェブページ(http://www.200labo.jp/eco/ecohouse/post-2.php))。
(7)「高耐久屋根システム 200年住宅対応(超長期住宅対応)フリーエアー工法-防災瓦の株式会社鶴弥 フリーエアー工法 『湿気』や『熱気』を速やかに排出する事、瓦以外の部材の耐久性を上げる事により、屋根全体の耐久性を上げる。それがスーパートライ110独自の高耐久屋根システム『フリーエアー工法』です。」との記載(株式会社鶴弥のウェブページ(http://www.try110.com/free-2.htm))。
(8)「国と道による200年住宅モデル事業『北方型住宅ECO』見学会のお知らせ 北方型住宅3つの安心 公的機関認定の技術者による設計・施工の義務づけ 北海道の住まいに必要な基本性能を備える 手間いらずのシステムで家づくりの不安を解消します」との記載(株式会社橋本川島コーポレーションのウェブページ(http://www.hkcorp.jp/img/hkhous/hoppouKB4.pdf))。
(9)「家Style 船橋市の建築・設計 200年住宅の家・スタイル エアパスの家 エアパス工法 エアパス工法5つの効果 機械・設備を使わないので故障がなくメンテナンスフリーです。機械設備に頼らず建物の構造自体が太陽熱を受け入れ、排熱するパッシブクーラーシステムです。」との記載(株式会社家・スタイルのウェブページ(http://www.iestyle.jp/style/airpass/))。
(10)「CoatingMedia ONLINE インタビュー 2008年11月20日 長期的メンテシステム構築が鍵 長寿命化へ向けた塗料・塗装の役割 独立行政法人建築研究所 材料研究グループ長 建築生産研究グループ長 本橋健司氏(建築特集2008〈2〉から) 200年住宅というのは、フッ素樹脂塗料や無機系塗料などを改良して50年持つようにすればよいという単純な話ではないのです。もちろん耐候性が優れているに越したことはないですが、それよりも補修システムが構築されること。そして、そこには施主も関わっていけるシステムが必要となってきます。」との記載(合資会社コーティングメディアのウェブページ(http://www.coatingmedia.com/interview/archives/2008/11/200820082.html ))。
(11)「PO HaUSの200年住宅(超長期住宅)キャンペーン開催 ポラスグループの『サステナブルシステム』が、国土交通省の『平成20年度(第2回)超長期住宅先導的モデル事業』として採択されました。」との記載(ポラテック株式会社のウェブページ(http://www.pohaus.com/campaign.html))。
(12)「200年住宅 すみつぐ NEWS 積水ハウス住宅買取再生システムを本格化 積水ハウスが昨年3月にスタートさせたオーナー住宅買取再生システム『エバーループ』が注目を集めています。これは同社が過去に販売した住宅を買い取り、大規模リフォームで再生を行い、独自のユートラスシステム保証を付与して、再び分譲するものです。ユートラスシステムとは新築時の構造躯体と防水の保証期間が終了した後、有償で点検を行い、10年間の再保証を行うというものです。」との記載(株式会社創樹社の運営するウェブページ(http://www.sumitsugu.com/news_20080401-2.htm))。
(13)「ALLAbout住まい 家づくり最新情報 『200年住宅法』と大手リフォーム動向(上) 200年住宅法で『リフォーム時代』幕開けか」の見出しのもと、「『長期優良住宅の普及の促進に関する法律(通称・200年住宅法)』が08年11月28日、参院の全会一致で可決、成立しました。12月5日公布後6カ月以内の09年6月4日までに施行される予定です。」との記載(株式会社オールアバウトの運営するウェブページ(http://allabout.co.jp/gs/housetrend/closeup/CU20090115A/))。

第4 証拠調べ通知に対する請求人の意見
請求人は、上記の証拠調べ通知に対し、要旨以下のように意見を述べている。
(1)証拠調べとして開示された資料は、本願出願後の資料であり、出願後の資料を基に、出願商標が自他商品及び自他役務の識別標識としては認識し得ないとする判断には承服できない。
(2)本件請求人(出願人)は、国の住宅施策を強く支持するために設立さえた財団法人であり公益性を反映している。
(3)本願商標は、これからの住宅を国策に沿って超長期に亘って循環利用できる質の高い住宅ストックを形成することを目的にして使用される商標であり、商品の品質又は役務の質を誇称するにすぎないものではない。
(4)本願商標は、「200年住宅システム」であり、一連に「ニヒャクネンジュウタクシステム」と自然に称呼されるものであって、十分に識別性を有する商標である。

第5 当審の判断
本願商標は、前記第1のとおり、「200年住宅システム」の文字を表してなるところ、前記第3の事実を総合的に勘案すると、「200年住宅」の文字は、自由民主党政務調査会により発表された「200年住宅ビジョン」
を基礎とし、平成21年6月4日に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」(平成20年12月5日公布)で定められた「長期優良住宅」を意味する語として使用されているものであり、また、「システム」の文字は、本願指定商品及び指定役務を取り扱う業界においては「仕組み、方法、系統」などを意味する語として普通に使用されていることが認められるものであるから、「200年住宅システム」の全体の文字よりは、「長期優良住宅の体系的方法」の意味合いを容易に理解されるものといい得るものである。
そして、前記第3の1.(3)及び(5)の「200年住宅ビジョン」提言11や「超長期住宅先導的モデル事業」によれば、「200年住宅」の普及・推進のため、国土交通省は、先導的な材料・技術、システム等を用いた長期優良住宅の先導的モデル事業を、民間事業者に対して提案を公募し、採択事業を決定するなどの取組みを行い、その結果、そのモデル事業に採択された民間事業者は、そのウェブページなどにおいて、「200年住宅」の文字や「システム」の文字を使用して、自社の商品及び役務について宣伝広告活動を行っている実情が窺えるところである。
そうとすれば、本願商標は、本願指定商品及び指定役務を取り扱う業界において広く知られた「200年住宅」の語と一般的にも親しまれた「システム」の語からなるものであって、それぞれの語が本願指定商品及び指定役務に関連する業界において使用されていることは、前記第3の2及び3のとおりであるから、本願商標をその指定商品及び指定役務ついて使用したときには、これに接する需要者、取引者は、「200年住宅のためのシステム(体系的方法)」すなわち「長期優良住宅のシステム(体系的方法)」に関連する商品又は役務であることを理解するにとどまるというのが相当であって、特定の者によって製造販売された商品又は特定の者によって提供された役務であることを明らかにするという出所表示機能を果たすものとはいい難く、自他商品及び自他役務の識別標識としては認識し得ないというべきであるから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標といわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものと認める。
なお、原査定は、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当する旨認定しているが、同法第3条第1項は、自他商品又は自他役務の識別力についての登録要件に関する条項であって、同法第3条第1項第6号は、同項各号の総括規定と解されるものであり、当審においては、本願商標は、その指定商品及び指定役務について、商標登録の要件を欠く商標に該当するという共通の結論に至るものであるから、同法第3条第1項第6号に該当すると判断した。
また、請求人(出願人)は、前記第4(1)のとおり、証拠調べ通知に対して、証拠調べとして開示された資料は、本願出願後の資料であるから、出願商標が自他商品及び自他役務の識別標識としては認識し得ないとする判断には承服できない旨述べているが、商標法3条1項各号該当性の判断による商標登録の許否が一つの行政処分であることは明らかであるから、その判断の基準時は、行政処分の本来的性格に鑑み、査定又は審決のときと解するのが相当である(平成11年(行ケ)第274号 平成11年12月14日判決言渡)から、請求人の主張は採用できない。
さらに、請求人(出願人)は、国の住宅施策を支持するために設立された財団法人であり、公益性を有している旨主張する。
しかし、国土交通省の長期優良住宅に係る事業について請求人(出願人)が独占的に請け負うことを裏付ける証左の提出がなく、ほかに、本願商標が請求人(出願人)の業務に係る商品及び役務を表示するものとして取引者・需要者に認識されていることを認めるに足りる証左も見いだせない。
したがって、たとえ、請求人(出願人)が国土交通省の指定機関として設立された財団法人であるとしても、上記主張は採用できない。
そして、その他の請求人の意見をもってしても、前記認定を左右するものではないし、これを覆すに足りる的確な証拠も見いだせないから、請求人(出願人)のいずれの主張も採用できない。
以上のことよりすれば、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-07-08 
結審通知日 2009-07-17 
審決日 2009-08-04 
出願番号 商願2007-91745(T2007-91745) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (X061119203742)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 原田 信彦土井 敬子 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 末武 久佳

清川 恵子
商標の称呼 ニヒャクネンジュータクシステム、ニゼロゼロネンジュータクシステム、ニヒャクネンジュータク、ニゼロゼロネンジュータク 
代理人 門間 正一 

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