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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない Y12
管理番号 1203873 
審判番号 不服2008-17842 
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-07-11 
確定日 2009-08-26 
事件の表示 商願2006-110670拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「TOTAL CAR LIFE」の欧文字を標準文字で表してなり、第12類に属する願書記載の商品を指定商品として平成18年11月30日登録出願、その後、指定商品については、同21年3月17日付け手続補正書により、第12類「陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング,動力伝導装置,緩衝器,ばね,制動装置,乗物用盗難警報器,車いす,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『総合的な車生活』程の意味合いを容易に理解させる『TOTAL CAR LIFE』の欧文字を横書きしてなるところ、一家族が一台?家族人数分を所有しているともいわれる車社会の現代において、消費者の多様なニーズに対応しようと、車に関わる企業等においては『TOTAL CAR LIFE』及びその表音を片仮名文字で表記して『トータルカーライフ』と称し、車に関連した商品やサービス(新車の販売、中古車の買い取り・販売、カー用品の販売、車検整備、保険等)を全般にわたって提供していこうとする事業展開がなされている。そうすると、本願商標をその指定商品中、『車に関連した商品』に使用しても、これに接する需要者、取引者をして『総合的な車生活』程の意味合いで、商品の単なる広告・宣伝的な類のキャッチフレーズとして認識、理解させるものであり、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知(要点)
当審において、請求人に対して、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、証拠調べをした結果、下記の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づく通知をし、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。

1 本願商標は、「TOTAL CAR LIFE」の欧文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、「トータルカーライフ」の英語表記と認められることから、「トータルカーライフ」の語に関して証拠調べを行った。この証拠調べによれば、以下の事実が認められる。
2 新聞記事情報
(1)「日産村山工場跡開発/大型商業施設にイオン/日産は大型カーショップ」 の見出しのもと、「また、日産自動車が計画しているカレストは『人とクルマと社会を結ぶ新時代の情報発信基地』をコンセプトに、新車、中古車、カー用品の販売と整備、買取センター『カウゾー』などカーライフに関するすべてを一個所に集中させたトータルカーライフショップ。」との記事。(2004.09.03 建設通信新聞)
(2)「関彰商事、3業態複合店舗を茨城県境町に開設」の見出しのもと、「境店は99年10月にオープンした『ビークル・ビー結城店』に次ぐ第2号店となる。敷地は2137平方メートルで、自動車展示場や整備作業室、洗車機などを設置したほか、給油所はセルフ給油方式を採用した。オープンを記念し、4月6日から3日間、イベントを開催する。『ビークル』はフランス語でクルマ、『ビー』は生活を意味し、関彰ではビークル・ビーの店舗をトータルカーライフ支援ステーションと位置付けている」との記事。(2001.03.29 日刊工業新聞社39頁)
(3)「経営ひと言/松早石油・松本博社長『今度は円安が』」の見出しのもと、「生き残り策は『客のトータルカーライフをサポートする経営体制づくり』と明確。『SSは消費者に直結しているので、生活に必要な物販から多様なサービスを提供する仕組みを構築する』と秘策を胸に早くも勝算ありげ。」との記事。(2001.01.19 日刊工業新聞31頁)
(4)「カーポイント、板金修理の700工場紹介、ネットを活用。」の見出しのもと、「カーポイントは新車や中古車の販売仲介だけでなく、板金・修理など周辺サービスの仲介も手がけることで、利用者の『トータルカーライフ』を支援する体制を目指している。」との記載。(2000.06.21 日経産業新聞24頁)
(5)「共用部の管理だけでなく生活に密着 試行から実用へ、大京が本格参入 /入居者の利便向上へ新事業」の見出しのもと、「具体的にはリフォーム事業部、ライフアップ事業部、保険事業部、ファミリーサービス部で、入居者向けサービス業務を行う。その内容はリフォーム・リフレッシュのほか、インテリア販売、ベビーシッター、トータルカーライフなどの生活密着サービス、旅行・レジャー企画などまで、ファミリーデスクと情報誌を活用しながら双方向できめ細かいサービスを提供する予定だ。」との記事。(1999.08.03 住宅新報18面)
(6)「自動車取り扱い25万台を達成、JA新潟経済連が記念大会」の見出しのもと、「JAの自動車取り扱いは、一九六七年に全農(当時全購連)が『自動車取扱推進運動要綱』を制定したのに呼応、経済連として六八年度から開始した。その後、八一年から買い取り営農車の取り扱いを始め、九〇年には取扱一万台を達成した。九九年三月末の取扱累計が二十五万台を達成したことから、今回記念大会となった。今後、利用者に『信頼と安心のトータルカーライフ』を提供し、多様化するユーザーニーズに対応できる魅力あるJA自動車事業を確立することを基本に、事業拡充を図る。」との記事。(1999.06.26 日本農業新聞ブロック版/信越)
(7)「上燃、2000年ビジョン達成へグループウエア導入」の見出しのもと、「これは“トータルエネルギーとトータルカーライフサービス”の二つの事業を柱に、二〇〇〇年までに達成するマーケティングおよび財務目標の経営戦略をまとめ、同時に知的生産性向上(DIPS)運動を導入した。」との記事。(1997.05.22 日刊工業新聞35頁)
(8)「英雄グループ、装い新たに未来へ飛躍(企画記事)」の見出しのもと、 「〔ユーノスサミット大阪〕90年に設立され、ユーノス車および輸入車の販売を行っている。総販売元であるユーノス・住友商事と共同出資で設立されたが、森石油のトータルカーライフの提案という狙いがある。このため近い将来、数店舗のトータル・カーライフ・サービスショップの開設を計画。事業内容も立体駐車場の管理など幅広い展開を目指している。」との記事。(1993.05.17 化学工業日報6頁)
(9)「茨城県中古自動車販売商工組合、情報化と輸入車販売強化を??初の将来ビジョン策定。」の見出しのもと、「それによると、組合員販売店の進むべき方向として、車、部品、サービスのほか車に関するあらゆる情報を兼ね備えた『トータルカーライフショップ』への脱皮が必要と提言。そのための手段として、新車の取り扱いの事業化、情報ネットワークの構築??の二点をあげている。」 との記事。(1988.06.08 日本経済新聞地方経済面 (北関東)4頁)
(10)「信州ジャスコ??営業活動、加盟社任せ(びじねすトップ)」の見出しのもと、「信州ジャスコの多角化戦略はソフトウエア開発を中心としたOAショップ『ニューメディア』の展開、トータルカーライフを提供する『オートラマライフ信州』の設立などすでに動き始めている。」との記事。(1984.12.12 日本経済新聞地方経済面 (長野)3頁)
(11)「オートラマ系ディーラーにマルエツなど10社参加へ-年内に100社めざす。」の見出しのもと、「マルエツは同社が計画しているカーライフ事業推進策の一環としてオートラマに参入するもので、『将来、車検サービス、カー用品、部品販売部門に本格的に参入するためのノウハウを吸収するとともに、マルエツグループの顧客層を広げる』のがねらい。また東方会館の参入は『従来から展開しているカー用品販売に厚みを持たせ、トータルカーライフ事業に発展させるため』としている。」との記事。(1984.01.18日経産業新聞11頁)
(12)「追いつめられた整備業界??痛撃、スーパー進出、近代化に向け試練の場。」の見出しのもと、「流通大手が整備を万全な体制に仕上げて攻勢を仕掛けてくるのは目にみえている。大店法(大規模小売店舗法)の見直しで店舗の増設が厳しくなり、既存店舗の営業分野拡大で売り上げを伸ばそうともくろむ流通大手としては、自動車販売そのものよりもトータルカーライフを売り物に客層の拡大をめざそうと躍起になっているからだ。」との記事。(1981.12.01 日経産業新聞8頁)
3 インターネット検索情報
(1)「地頭石油株式会社」の見出しのもと、「お客様のトータルカーライフをサポートできるSSを目指す 当社では、石油販売、ガス販売、住宅設備工事、自動車点検修理、自動車用品販売等を行っています。」との記載。(http://www.shokokai.or.jp/33/3354210014/index.htm)
(2)株式会社ダイツーのホームページ(以下、HPという。)の社長挨拶において、「弊社もお陰様で昭和36年の設立以来、お客様のご要望に応え、カーライフの安全性と快適さを提供する総合的な自動車関連サービスの創造を、常に時代に先駆け推進してまいりました。現在では、レンタカー事業、オートリース事業、保険事業、自動車販売事業、自動車部品事業など、お客様のトータルカーライフをサポートする多角的な事業展開を実現しております。」との記載。(http://www.daitsu-g.co.jp/corp.html)
(3)「カーエネクス・バリエ名神サービスステーション カーコンビニ倶楽部バリエ車検センター」の見出しのもと、「トータルカーライフサポート 給油はもちろん、車検・整備・ボディリペア・カークリーニング・ドレスアップ、そして車の販売・買取、レンタカーにいたるまで、弊社はお客様のトータルカーライフをサポートいたします。」との記載。(http://www.varie-net.co.jp/ss/support.html)
(4)カレスト幕張のHPの「カレスト幕張ガイド」の見出しのもと、「選べる・見つかる・試せる・遊べる・相談できる」クルマのすべてが集まった、トータルカーライフショップです。」、「東京ドーム約5個分のスペースに、新車、中古車、カー用品約40,000点を集めた圧倒的ボリュームから、お好きなものが選べる。」との記載。(http://www.carest-makuhari.co.jp/GUIDE/index.html)
(5)「産業データベース odate 大館」の「(株)山二大館有浦サービスステーション」の見出しのもと、「主要製造品・取扱商品 ガソリン・軽油・灯油・潤滑油洗車・車検・タイヤ・バッテリー・その他カー用品・カーリース」及び「事業所のPR○お客様のトータルカーライフをサポート致します。」との記載。(http://ww2.city.odate.akita.jp/indust/detail.php?id=2490)
(6)「トライアングル車検の双葉石油株式会社」の見出しのもと、「また、昨今はクルマ社会の中で多様化するお客様のニーズにお答えするべく、車の維持管理面を強化し、県下有数の実績とネットワークを持つ民間車検工場と技術提携を結ぶ事で、車検はもとより一般整備・板金塗装まで確実な技術と信用を獲得いたしました。・・・お客様のトータルカーライフにおける「安全」「安心」「快適」をご提供すべく日々努力し挑戦しつづける所存でございます。」との記載。(http://www.futaba-oil.co.jp/)
(7)「オートプロジェクトクローバー」の見出しのもと、「アリストをはじめ、Kカー、スポーツカー、ミニバン、ワゴン、RV4WD、旧車等それぞれのユーザー、ニーズに合わせて、トータルにカーライフをサポート致します。」との記載。(http://www.apc-clover.com/)
(8)「株式会社旭洋」の見出しのもと、「当社は、昭和シェル石油株式会社の特約店としてガソリン・軽油・灯油をはじめとした生活に欠かせないエネルギーの供給を行っております。安全・快適なカーライフをお過ごし頂く為に、オイル交換、洗車事業、車検整備事業等、トータルカーライフをサポート出来る体制作りに邁進しております。」との記載。(http://www.uyeno-group.co.jp/group/kyokuyo)
(9)「小川モーター株式会社」の見出しのもと、「小川モーターは国内外の新車・中古車の販売、リースから自社工場による車体整備、板金塗装をはじめとするあらゆるクルマの整備、修理、保険代理店業務に至るまで高水準なサービスをご提供。創業62年の実績、確かな技術で皆さまのトータルカーライフをサポートし続けています。」との記載。(http://www.ogawamotor.com/)
(10)「庄田商会」のHP内に、「トータルカーライフ 庄田商会」との記載、及び「庄田商会の概要」の主要営業品目欄に、「自動車整備、部品、板金、塗装、加工サービス及び法定6ヶ月、12ヶ月、24ヶ月点検作業、新車(主として三菱、日産、スズキ)各種車種及び中古車(各メーカー)販売、損害保険(自動車、火災、その他新種)、生命保険代理店業務、その他自動車関連サービスの全ての業務」との記載。(http://www.shouda.jp/及びhttp://www.shouda.jp/page015.html)
(11)「自動車(新車・中古車)販売から洗車場・自動車ケミカルまでトータルカーライフの提供をご提案するファーストリンクにお気軽にお越し下さい。」との記載。(http://www13.ocn.ne.jp/~link/self/kaigyou.htm)
(12)「つねに前向き、時代にスパークする熱い企業スピリット」の見出しのもと、「企業理念 お客様に信頼され、満足していただける品質向上に努め、トータルカーライフのパートナーとして高度な技術・設備を整え、お客様の安心と安全を提供していきます。」との記載。(http://www.ecopit.co.jp/gaiyou.html)
(13)「有限会社魚津板金 Mobile Yard」の見出しのもと、「お得な新車情報・中古車情報・鈑金塗装・車検・整備・点検・レンタカー 保険・カーコーティング(アークバリア21)などトータルカーライフをご提供いたします。」との記載。(http://uovan.co.jp/)
(14)「前田産業株式会社」の見出しのもと、「情報掲示板 前田産業ではお客様のトータルカーライフのサポートを目指して、より一層の努力をいたしてまいります。給油はもちろんの事、日々の点検、定期車検、鈑金・塗装、自動車保険、自動車買換えのサポートまで、お車に関することでしたらすべて前田産業にお任せ下さい。お客様に快適なカーライフをご提供いたします。」との記載。(http://www.c-able.ne.jp/~s-maeda/)
(15)「サンクについて」の見出しのもと、「トータル・カー・ライフ」とは、お客さまの愛車の売却や購入をはじめ、日々のメンテナンスや車検・修理・保険といった車にまつわるすべての商品・サービスを含みます。」との記載。(http://www.sanc-auto.com/whats_sanc.html)

第4 当審における証拠調べ通知に対する請求人の意見(要旨)
前記第3の「証拠調べ通知」に対して、請求人は、平成21年3月17日付け意見書を提出し、要旨以下のように述べている。
1 証拠調べ通知書における新聞記事情報について
本証拠調べの新聞記事情報では、「TOTAL CAR LIFE」の表音「トータルカーライフ」の語が、「車生活に関連した商品やサービスを総合的に扱っていることを表すものとして使用されている」ということが、一般的に行われており、またそのように広く認識されていることの証拠とはならない。各記事の中で使用されている「トータルカーライフ」の語の意味合いも判然とせず、統一された意味合いで使用されていない。(7)の記事では、「トータルエネルギーとトータルカーライフサービス」と記載され、その意味合いが全く不明である「トータルエネルギー」と並列に「トータルカーライフサービス」の語が記載されていることから、「トータルカーライフ」自体の意味も不明である。(2)の記事中の「トータルカーライフ支援」の記載、(3)の記事中の「客のトータルカーライフをサポートする経営体制」の記載、(4)の記事中の「利用者の『トータルカーライフ』を支援する体制」の記載につき、「客のトータルカーライフを支援する」、「客のトータルカーライフをサポートする」等といった内容であり、拒絶査定で指摘の「車生活に関連した商品やサービスを総合的に扱っている」という内容とは直接的な結びつきはない。(1)の記事中の「トータルカーライフショップ」、(7)の記事中の「トータルカーライフサービス」、(9)の記事中の「トータルカーライフショップ」の各態様は、単に「トータルカーライフ」の表記とは異なり、「トータル」の文字が「ショップ」や「サービス」の文字を修飾し、「トータルショップ」、「トータルサービス」といった意味合いの通り易い態様での使用が含まれている。
2 証拠調べ通知書におけるインターネット検索情報について
「TOTAL CAR LIFE」の語が記載されたサイト中の38%は、本件審判請求人のサイトであり、また「車に関連した商品」に関する業務についてのサイトはほぼ皆無であり、ほぼ全てが自動車そのものの販売、またはサービスステーション(いわゆるガソリンスタンド)や修理等の「車に関連したサービス」に関係する業務に関するサイトである(甲第17号証)。これは「TOTAL CAR LIFE」の表音である「トータルカーライフ」についても同様であり、平成21年3月17日付け手続補足書において提出する甲第36号証は、「トータルカーライフ」の語をインターネット上の検索サイト「グーグル」において検索した上位50件の結果であるが、この中の約30パーセントが本件審判請求人に関係するサイトである。また、「車に関連した商品」を取り扱っているのは日産自動車のカレストのみで、「トータルカーライフ」の語が使用されているのは自動車そのものの販売や「車に関するサービス」の業務に関係するサイトがほとんどである。
また、(1)ないし(3)、(5)ないし(9)、(12)、(14)の各記載につき、「客のトータルカーライフを支援する」、「客のトータルカーライフをサポートする」等といった内容であり、拒絶査定で指摘の「車生活に関連した商品やサービスを総合的に扱っている」といった内容とは直接的な結びつきのない表現である。(15)は、このサイトの本人が「トータルカーライフ」の語について、「『トータルカーライフ』とは、お客様の愛車の売却や購入をはじめ、日々のメンテナンスや車検・修理・保険といった車にまつわるすべての商品・サービスを含みます。」という定義付けを行っており、商標的に使用されているようにも伺え、(10)は、明らかに商標的な使用である。
これらのインターネット検索情報では、「トータルカーライフサポート」、「トータルカーライフショップ」、「トータルにカーライフをサポート」といった使用態様も含まれており、単なる「トータルカーライフ」の表記とは異なり「トータル」の文字が「サポート」や「ショップ」の文字を修飾して、「トータルショップ」、「トータルサービス」といった意味合いの通り易い態様での使用が含まれている。
以上のことから、たとえ新聞記事やインターネットなどにおいて「TOTAL CAR LIFE」の表音である「トータルカーライフ」の文字が使用されているとしても、そのことが本願指定商品への「TOTAL CAR LIFE」の使用に対してまでも、キャッチフレーズとしての使用であるとする根拠とはならず、誰もがその言葉から特定の意味合いを想起することにより成り立つキャッチフレーズとしては理解されることはない。

第5 当審の判断
本願商標は、前記第1のとおり「TOTAL CAR LIFE」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「TOTAL」の欧文字は、「総合的な」(株式会社小学館発行「プログレッシブ英和中事典第2版」)の意味を有する英語であり、「CAR」及び「LIFE」の各欧文字は、それぞれ「車」及び「生活」(株式会社三省堂発行「グランドセンチュリー英和辞典第2版」)の意味を有する平易な英語であることからすれば、本願商標は、全体として、「総合的な車生活」程の意味合いを有するものといえる。
ところで、補正後の本願指定商品との関係について、前記第3の証拠調べ中、2(1)及び(2)、同(4)、同(6)、同(8)ないし(9)、同(11)、同3(1)ないし(5)、同(7)、同(9)ないし同(11)及び同(14)ないし同(15)によれば、本願商標「TOTAL CAR LIFE」の片仮名表記であって、取引社会の通念に照らし同一の意味を有するものとして認識される「トータルカーライフ」の文字は、車に関わる企業や事業において、車の購入から売却、車体整備、車の板金塗装、タイヤ・バッテリー等カー用品、車の部品、洗車、車検、車の修理、レンタカー、車の保険等といった車に関連した商品や役務を総合的に提供する事業を指称するものとして、使用されているといえるものである。
そうすると、本願商標は、その補正後の指定商品中、「陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング,動力伝導装置,緩衝器,ばね,制動装置,乗物用盗難警報器,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),自動車並びにその部品及び附属品,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」に使用するときは、その商品の単なる広告・宣伝的な類のキャッチフレーズとして理解するにとどまり、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものというのが相当であり、自他商品の識別標識としての機能を発揮し得ないものというべきであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものである。
なお、請求人は、審判請求の理由を変更する平成20年9月22日付け手続補正書において、本願商標は、英和辞典に記載がない造語であり、この訳語の意味も漠然として不明瞭であり、これを、その指定商品中「車に関連した商品(車用の商品)」について使用しても、取引者、需要者は漠然とした曖昧な意味を認識するにすぎず、単なる造語として本願出願人の新しい「標識」として認識する旨主張するとともに、前記第3の証拠調べ通知に対して、前記第4のとおり、請求人は意見書を提出し、各新聞記事において使用されている「トータルカーライフ」の語の意味合いが判然とせず、統一された意味合いで使用されていないこと、また、インターネット検索情報においては、「車に関連した商品」に関する業務についてのサイトは皆無で、ほぼ全てが自動車そのものの販売、またはサービスステーションや修理等の「車に関連したサービス」に関するサイトであること、さらに「トータル」の文字が「サポート」や「ショップ」の文字を修飾して、「トータルショップ」、「トータルサービス」といった意味合いの通り易い態様での使用が含まれていることなどから、「トータルカーライフ」の文字が使用されているからといって、そのことから本願に係る指定商品への「TOTAL CAR LIFE」に対してまでも、キャッチフレーズとしての使用とはいえない旨主張する。
しかしながら、本願商標の表音を片仮名表記した「トータルカーライフ」の文字が、多数の者により車に関連した商品や役務を総合的に提供する事業に使用されていることは上記認定のとおりであって、また、前記第3の証拠調べ通知におけるインターネット検索には、「車に関するサービス」に関するウエブサイトに加え、自動車部品事業(証拠調べ通知3(2))、タイヤ・バッテリー・その他カー用品(同3(5))などの車に関連した商品を扱う事業者も含まれているものであり、さらに、「トータル」の文字が、「トータルカーライフサポート」、「トータルカーライフショップ」、「トータルにカーライフをサポート」のように使用されている例があるとしても、これらの使用例から、「トータル」の文字が、直ちに「サポート」や「ショップ」の文字を修飾した使用であると結論づける証左を見いだすことはできない。
さらに、請求人は、本願商標と同態様からなる登録例が存在することからも、本願商標は十分に自他商品の識別力を有するものである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が自他商品の識別力を有するものであるか否かは、指定商品等の取引の実情に基づき、取引者・需要者の認識を基準として、個別具体的に判断されるべきものであるから、請求人の挙げた登録例があるからといって、本願商標が登録されるものであるということにはならず、上記認定のとおり、本願商標は、これをその指定商品中「陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング,動力伝導装置,緩衝器,ばね,制動装置,乗物用盗難警報器,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),自動車並びにその部品及び附属品,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」に使用するときは、取引者、需要者において、商品の単なる広告・宣伝的な類のキャッチフレーズとして理解するにとどまるものであるから、自他商品の識別標識としての機能を発揮し得ないものというべきである。
したがって、請求人の主張はいずれも採用することができない。
以上によれば、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことができない。
よって結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-06-01 
結審通知日 2009-06-05 
審決日 2009-07-02 
出願番号 商願2006-110670(T2006-110670) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (Y12)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 飯田 亜紀 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 木村 一弘
末武 久佳
商標の称呼 トータルカーライフ 
代理人 玉田 修三 

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