• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 042
管理番号 1203852 
審判番号 取消2008-301205 
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-10-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-09-19 
確定日 2009-09-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第4120414号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4120414号商標(以下「本件商標」という。)は、「アートホテルズ」の片仮名文字を表示してなり、平成7年12月21日に登録出願、第42類「宿泊施設の提供,婚礼(結婚披露を含む)のための施設の提供,宴会又は集会のための施設の提供,飲食物の提供」を指定役務として、同10年3月6日に設定登録され、その後、同20年3月18日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
また、本件審判の請求の登録日は、平成20年10月7日である。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定役務中、第42類「宿泊施設の提供,飲食物の提供」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由として、本件商標は、その指定役務中第42類「宿泊施設の提供,飲食物の提供」について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、上記指定役務について取り消されるべきものである旨主張した。

第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証(枝番号を含む。)を提出した。
本件商標の使用の事実
1 商標の使用者
乙第1号証の1及び乙第2号証の「領収書(控)」には、本件の商標権者である「株式会社アートホテルズ」の名称が表示されている。株式会社アートホテルズは、乙第1号証の1及び乙第2号証に示されるように「宿泊施設の提供」及び「飲食物の提供」をするために「アートホテルズ浜松町」(所在地:東京都港区浜松町1-8-5)と「アートホテルズ大森」(所在地:東京都品川区南大井6-19-3)というホテル施設を有し、「株式会社アートホテルズ」の住所は、「アートホテルズ大森」の所在地と同一の「東京都品川区南大井6-19-3」である。
乙第4号証を除く乙各号証には、「アートホテルズ浜松町」もしくは「アートホテルズ大森」、または、「ART HOTELS」もしくは「アートホテルズ」の文字が記載され、これらは、本件の商標権者である「株式会社アートホテルズ」による使用に係るものであることが理解できる。

2 使用を示す書類等
(1)乙第1号証の1及び乙第1号証の2
乙第1号証の1は、株式会社アートホテルズが発行した領収証(控)の写しである。右上にNo.として「054342」が付され、右下の担当者の欄には「小林」の署名がある。また、右上の「日付」の欄に記入された「H20年9月9日」の文字から理解されるように、2008年9月9日に「飲食物の提供」に対する代金を領収したときに、株式会社アートホテルズが発行したものである。
乙第1号証の2は、株式会社アートホテルズが発行したRECEIPT(領収書)であり、「テーブルNo.0040」、「TIME 19:03」、「人数 2」、「品名 アイスカフェオレ、サッポロ生」等の記載があることから、飲食物の提供に関するものと認められる。
(2)乙第2号証
乙第2号証は、株式会社アートホテルズが発行した領収証(控)の写しである。右上にNo.として「054228」が付され、右下の「担当者」の欄には「飯田」の署名がある。また、摘要の欄に「御宿泊代として」の文字があるので、宿泊料の支払いに対して発行されたことが理解される。そして、右上の「日付」の欄に記入された「2008年9月14日」の文字から理解されるように、2008年9月14日に「宿泊施設の提供」に対する代金を利用者から領収したときに、株式会社アートホテルズが発行したことがわかる。
(3)乙第3号証
乙第3号証は、宿泊者に対する宿泊料の「御請求書」の写しである。
左上には請求先が記載され、右上には発行者である「株式会社アートホテルズ」の文字がある。本文の右上の「発行日」の欄に「08.6.2」の文字があるので、2008年6月2日に発行されたものと認められる。
また、中央の「日付」の欄に「08.05.30」とあり、その右の「明細」の欄に「・・・様ご宿泊代」の文字があるので、2008年5月30日の宿泊代の支払いに対して発行されたものと認められる。
(4)乙第4号証、乙第5号証及び乙第6号証
乙第4号証は、ある利用者Aに関し、商標権者が所有する管理用コンピュータに保存されている予約記録の写しである。その左上には、本件の指定役務である「宿泊施設の提供」を受けようとする予約者の名前、右上には「予約No.:57994」、「RM:0604」(Room No.0604)の文字が記載されている。次行には、C/IN(チェックイン)の日付「08/09/30」とOUT(チェックアウト)の日付「08/10/01」の文字が記載されている。したがって、利用者Aについて、2008年9月30日にチェックインし、翌日の2008年10月1日にチェックアウト予定の予約がされたことがわかる。予約日は、右上(6行目)の日付の欄に「08/09/24」の文字があることから、2008年9月24日であったと認められる。
乙第5号証は、右上の「REGISTRATION」の文字から理解されるように、2008年9月30日に、上記利用者Aがホテルへのチェックインの際に記入したレジストレーションカード(宿泊登録カード)の写しである。このカードの右上には本件商標「アートホテルズ」と社会通念上同一である商標「ART HOTELS」が付され、その下には「ご到着日08/09/30」の文字が記載されている。また、左上に乙第4号証と同じ「ROOM No.604」の文字が記入され、続いて、上記利用者Aによる名前、住所等の記入がある。その左下方に「ご出発日 08/10/01 泊数1」の文字がある。
乙第6号証は、本件商標権者が実施している宿泊客へのアンケート調査において、上記利用者Aが回答を記載したアンケート用紙である。このアンケート調査では、その設問の内容から、実際に宿泊施設の提供を受けた者を対象としていることは明らかであり、被請求人が宿泊施設の提供の役務を行っていることを直接示している。
利用者Aが自署したアンケート回答では、左上の「宿泊日」の欄には「H20年9月30日」の文字が記入され、「お部屋番号」の欄には「604」の文字がある。
以上のように、乙第3号証から乙第5号証には、利用者Aの予約記録、チェックイン記録、及び宿泊アンケート回答が示されており、これらに基づけば、利用者Aが、2008年9月30日から翌10月1日の間、実際に本件商標権者(被請求人)から宿泊施設の提供のサービスを受けたことは明らかである。
(5)乙第7号証
乙第7号証は、2007年8月から同年9月までの期間の宿泊について、株式会社日本旅行、ANA(全日本空輸株式会社)及びアートホテルズ大森が企画、実施した「夏の大バーゲン」の宣伝用チラシの写しである。このチラシの右下には、利用できる指定ホテルとして「アートホテルズ大森」が紹介され、「アートホテル大森」の建物、部屋の写真等が掲載されている。乙第7号証は、その内容から、本件商標権者等が行った宿泊施設の提供に関する広告であると認められる。
(6)乙第8号証
乙第8号証は、2008年10月1日発行の「じゃらん」(発行日:平成20年10月1日、リクルート発行)に掲載された「お泊りデートに使えるビジホカタログ」と題されたビジネスホテルの紹介記事の写しである。乙第8号証には、ホテルのユーザーのアンケート結果から「部屋」「朝食」「風呂」の各部門の高評価を得たホテルが紹介されているが(「お泊りデートに使えるビジホカタログ」の文字が記載された1頁の右下のホテル選考基準参照)、「朝食」部門では、4頁において「アートホテルズ浜松町」が紹介されている。この記事によれば、少なくとも2008年10月1日において、本件商標権者である株式会社アートホテルズは、「アートホテルズ浜松町」において「宿泊施設の提供」を行っていたことがわかる。
(7)乙第9号証
乙第9号証は、「アートホテルズ大森」が行った「飲食物の提供」に関する宣伝広告用のチラシである。この乙第9号証には、「親子で作ろう簡単クッキング 期間:平成18年5月3日(水)?5月5日(金)」、「子供の日スペシャルランチバイキング 期間:平成18年5月3日?5月5日(金)」と題した企画が掲載され、所定の食事が提供されることが記載されている。したがって、遅くとも平成18年(2006年)5月3日以前にはこの宣伝伝広告用チラシが頒布されたものと推測され、平成18年(2006年)5月3日?同年5月5日には、「アートホテルズ大森」において、このチラシに掲載した食事が提供(飲食物の提供)されたことが理解できる。
(8)乙第10号証
乙第10号証は、加森観光グループが発行した広告宣伝用パンフレットであり、第23頁において「アートホテルズ大森」と「アートホテルズ浜松町」が紹介されている。当該頁には、「客室/220室」「宿泊収容人数/360名」及び「客室/120室」「宿泊収容人数/212名」の記載があり、これらが宿泊施設であることがわかる。

3 使用に係る商標
(1)乙第1号証の1及び乙第1号証の2
乙第1号証の1及び乙第1号証の2の右下には、本件商標「アートホテルズ」の称呼「アートホテルズ」を英文字であらわした社会通念上同一と認められる商標「ART HOTELS」が付されている。
(2)乙第2号証
乙第2号証の右上には、本件商標「アートホテルズ」の称呼「アートホテルズ」を英文字であらわした社会通念上同一と認められる商標「ART HOTELS」が付されている。
(3)乙第3号証
乙第3号証の右上には、本件商標「アートホテルズ」と書体のみ異なり、社会通念上同一と認められる商標が付されている。なお、上記の「アートホテルズ」に付加された「大森」や「浜松町」の文字は、単に宿泊施設が存在する周知の地名にすぎないので、商標「アートホテルズ」が使用されているものと認められる。
(4)乙第5号証
乙第5号証の右上には、本件商標「アートホテルズ」の称呼「アートホテルズ」を英文字であらわした社会通念上同一と認められる商標「ART HOTELS」が付されている。
(5)乙第6号証
乙第6号証の表紙の下端には、本件商標「アートホテルズ」の称呼「アートホテルズ」を英文字であらわした社会通念上同一と認められる商標「ART HOTELS」が付されている。
(6)乙第7号証
乙第7号証には、本件商標「アートホテルズ」と書体のみ異なり、社会通念上同一と認められる商標が付されている。
(7)乙第8号証
乙第8号証の4頁の右下には、「アートホテルズ浜松町」の文字があり、本件商標「アートホテルズ」と書体のみ異なり、社会通念上同一と認められる商標が使用されている。
(8)乙第9号証
乙第9号証には、本件商標「アートホテルズ」の称呼「アートホテルズ」を英文字であらわした社会通念上同一と認められる商標「ART HOTELS」、及び本件商標「アートホテルズ」と書体のみ異なり、社会通念上同一と認められる商標が付されている。
(9)乙第10号証
乙第10号証の第23頁には、本件商標「アートホテルズ」の称呼「アートホテルズ」を英文字であらわした社会通念上同一と認められる商標「ART HOTELS」、及び本件商標「アートホテルズ」と書体のみ異なり、社会通念上同一と認められる商標が付されている。
上記のような使用商標と本件商標との関係は、商標法50条1項に規定された「書体にみに変更を加えた同一の文字からなる商標、又は、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」に該当し、使用されているものは、本件商標と社会通念上同一と認められる商標であることは明らかである。

4 使用時期
(1)乙第1号証の1及び乙第1号証の2
乙第1号証の1の発行の日付は「H20年9月9日」と記載され、飲食代の支払いに対して2008年9月9日に発行されたものと認められる。
乙第1号証の2には「日付2008/09/08 TIME 19:03」の記載があることから、2008年9月8日の飲食に関して発行されたものと認められる。
(2)乙第2号証
乙第2号証の1の「日付」の欄には「2008年9月14日」の文字が記載されている。
(3)乙第3号証
乙第3号証の右上の「発行日」の欄には、「08.6.2」の文字があり、発行日が2008年6月2日であることがわかる。
(4)乙第4号証
乙第4号証の右側(6行目)の「日付」欄には「日付:08/09/24」の文字があり、宿泊に関する予約日が2008年9月24日であることがわかる。
(5)乙第5号証
乙第5号証には、右上に「ご到着日」として「08/09/30」の文字が付され、2008年9月30日に宿泊者の利用に供されたことがわかる。
(6)乙第6号証
乙第6号証には、アンケート回答記入欄の左頁の「御宿泊日」の欄に「H20年9月30日」の文字が記入されているので、2008年9月30日をご宿泊者に対して提供され、その者が回答記入したものと認められる。
(7)乙第7号証
乙第7号証の左上には、「2007.8月(右向きの黒塗り三角)9月」の文字が付され、この広告が2007年8から同年9月までの宿泊に関するものであることが示されている。したがって、少なとも本件取消審判の請求登録日(2008年10月3日)以前には頒布されていたことが理解される。
(8)乙第8号証
乙第8号証には、その表紙に「2008年10月号」とあり、裏表紙には「平成20年10月1日発行」の文字がある。したがって、本件取消審判の請求登録日(2008年10月3日)以前に頒布されていたことが理解される。
(9)乙第9号証
乙第9号証には「期間:平成18年5月3日(水)?5月5日(金)」の文字がある。したがって、乙第9号証は、本件審判の請求登録前に頒布されたものと認められる。
(10)乙第10号証の裏表紙右下には、「H1908.50.20」の文字があり、これは平成19年8月に印刷され、頒布されたものと認められる。
上記乙各号証の日付は、いずれも本件取消審判の請求登録日前、3年以内のものである。

第4 請求人の弁駁
請求人は、被請求人の答弁に対し弁駁していない。

第5 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証の2は、領収書(控)の写しと認められるところ、左上に「RECEIPT」の文字、右上に「ART HOTEL」の文字、その下には、「アートホテルズ大森」の文字、郵便番号、住所、電話番号が記載され、その下には、「アートホテルズ浜松町」の文字、郵便番号、住所(東京都港区浜松町1-8-5)、電話番号が記載されている。また、日付DATEの欄に「2008/09/08」の文字、人数PSN.の欄に「2」の文字、品名ITEMの欄に「アイスカフェオレ」及び「サッポロ生」の各文字、合計GRAND TOTALの欄に「¥1,300」の文字が記載されている。
(2)乙第3号証は、請求書(控)の写しと認められるところ、右上に「アートホテルズ浜松町」の文字、「株式会社 アートホテルズ」の文字、郵便番号、住所(東京都港区浜松町1-8-5)、電話番号及びファクシミリ番号が記載されている。その下の発行日(Date)の欄に「08. 6. 2」の文字、ご請求額Amountの欄に「¥26,764」の文字が記載されている。また、日付Dateの欄に「08.05.30」、明細Descriptionの欄に「黒い塗りつぶし」及び「様御宿泊代」、金額Amountの欄に「¥13,382」の各文字が2行にわたって記載されている。左下には、「《お振込先》」の文字、「口座名義:株式会社 アートホテルズ」の文字、2つの銀行の浜松町支店の普通預金口座番号及び「領収書につきましては、銀行発行の振込領収書を以って代えさせていただきます。」の文字が記載されている。

2 商標の同一性について
領収書(控)の写し(乙第1号証の2)及び請求書(控)の写し(乙第3号証)に記載されている「アートホテルズ浜松町」の文字中の「浜松町」の文字は、請求に係る指定役務「飲食物の提供,宿泊施設の提供」の提供の場所を表したものにすぎず、自他役務の識別標識としての機能を果たさない文字部分であるから、使用標章「アートホテルズ浜松町」中、自他役務の識別標識としての機能を果たす文字部分は、「アートホテルズ」の文字部分にあるということができる。
そして、この「アートホテルズ」の文字部分は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。

3 まとめ
乙第1号証の2及び乙第3号証によれば、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者が請求に係る指定役務「飲食物の提供,宿泊施設の提供」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたものと認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-04-07 
結審通知日 2009-04-10 
審決日 2009-04-21 
出願番号 商願平7-133347 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (042)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土井 敬子 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 平澤 芳行
杉山 和江
登録日 1998-03-06 
登録番号 商標登録第4120414号(T4120414) 
商標の称呼 アートホテルズ、アート 
代理人 永田 豊 
代理人 藤田 千恵 
代理人 加藤 義明 
代理人 押野 宏 
代理人 加藤 公延 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 山崎 和香子 
代理人 大島 孝文 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ