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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X09
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X09
管理番号 1203846 
審判番号 不服2008-29395 
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-11-19 
確定日 2009-08-27 
事件の表示 商願2007-127582拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ワイドコンテンツ」の文字を標準文字で表してなり、第9類「電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電池,電線及びケーブル,配電用又は制御用の機械器具」を指定商品として、平成19年12月27日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『ワイドコンテンツ』の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、指定商品との関係において、その構成中の『ワイド』の文字は幅広いさまの意味に通じ、また、『コンテンツ』の文字は、『テレビやパソコンなど各種機器で扱う、映像、静止画、音声、文字などの情報やデータの総称。映画や音楽、書籍などが代表例。』([日経パソコン用語辞典2008年版]第616頁)の意味に通じる語であり、『ワイドコンテンツ』の文字は、次のとおり、パソコンやテレビ等の電気通信機械器具、電子応用機械器具を取り扱う業界において、インターネットやDVD、表計算などのソフト等の幅広い情報やデータを扱うことのできるワイド画面のテレビやパソコンなどの広告記事に広く用いられている。
(1)「コスミオなら、今後ますます増えていく地デジなどのワイドコンテンツを高画質でフルに楽しむことができます。」(http://dynabook.com/pc/catalog/qosmio/06082avq/av_006.htm)
(2)「BSデジタル放送やDVD/ゲームなど、デジタル/ワイドコンテンツに高画質・高音質対応したテレビがほしい人」(http://www4.plala.or.jp/vic/newproduct/200205/kv-28da55/kv-28da55.htm)
(3)「幅広い画面領域により、DVD観賞や表計算ソフトなどのワイドコンテンツ使用時に、高い使用感を創出します。」(http://www.sotec.co.jp/news/2006/0817-lb19j.html)
(4)「16:10と16:9で解像度に大きな違いはないが、TVやDVD/BDなどのワイドコンテンツは16:9で制作されているため、それらを表示する際に上下に余計な黒帯が表示されず、親和性が高い。」(http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0325/acer.htm)
(5)「16:10のアスペクト比で、DVDなどのワイドコンテンツの鑑賞に最適化したモデル。」(http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0809/buffalo2.htm)
そうすると、本願商標は全体として『幅広い情報やデータ』の意味合いを容易に看取させることから、これをその指定商品中の液晶テレビ、コンピュータ用モニター等について使用するときは、これに接する取引者・需要者は、その商品が『幅広い情報やデータに対応した画面のものであること』を表示したものと認識するに止まり、単に商品の品質(内容;機能)を表したにすぎないものと認める。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「ワイドコンテンツ」の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の「ワイド」の文字は、「幅の広いさま」(株式会社三省堂発行「コンサイスカタカナ語辞典」第3版)を意味する外来語であり、本願に係る指定商品との関係において、該文字は、例えば、横長タイプの液晶を「ワイド液晶」(日経BP社発行「日経パソコン用語事典2009年版」)、画面の縦・横の比率を3:5と横が広くなったものを「ワイドテレビ」(前掲「コンサイスカタカナ語辞典」第3版)と称して使用されているものである。
また、構成中の「コンテンツ」の文字は、「放送やネットワークで提供される動画・音声・テキストなどの情報の内容」(前掲「コンサイスカタカナ語辞典」第3版)、「テレビやパソコンなど各種機器で扱う、映像、静止画、音声、文字などの情報やデータの総称。映画や音楽、書籍などが代表例。」(前掲「日経パソコン用語事典2009年版」)の意味を有する外来語として知られているものである。
そして、原審において認定した事実によれば、「ワイドコンテンツ」の文字は、「16:9(又は10)の画面比率によって制作された動画等の情報・データ」を意味する語として、取引上普通に使用されているものであり、本願に係る指定商品を取り扱う業界においては、16:9(又は10)の画面比率によって制作された動画等の情報・データを高画質でフルに楽しめるノート型パーソナルコンピュータが販売されていること、BSデジタル放送など、16:9(又は10)の画面比率によって制作された動画等の情報・データに高画質・高音質で対応したテレビが販売されていること、幅広い画面領域により、16:9(又は10)の画面比率によって制作された動画等の情報・データに高い使用感を創出する液晶ディスプレイが販売されていることが認められる。
してみると、本願指定商品を取扱う業界においては、「16:9(又は110)の画面比率によって制作された情報・データに対応するテレビジョン受信機、同液晶ディスプレイ等について「ワイドコンテンツ」と称しており、かつ、本願商標に接する取引者・需要者は、上記意味合いを認識、把握するとみるのが相当である。
このことは、当審において行った職権調査において、次の事実が存在することからも、是認することができるものである。
(1)「情報ファイル:ソニーがD4端子搭載の標準型テレビ」の見出しのもと、「WEGAシリーズの『KV-29DX550』を5日発売する。D4端子に加え、ワイドコンテンツを高密度に再現する『高密度ワイドモード(V圧縮)』を搭載、別売りのBSデジタルチューナーを接続することでBSデジタル放送を受信、高画質に再現できる。」との記事(2001.8.2 Fuji Sankei Business i.)。
(2)「VAIOパーソナルコンピューター」の見出しのもと、「ワイドコンテンツの感動をそのままに。新開発の16:9大画面ワイド液晶 ソニー液晶テレビ〈ブラビア〉と同じアスペクト比16:9の16.4型ワイド液晶を搭載。ハイビジョンを、フル画面で視聴可能。また、液晶を従来の15.4型と同じ高さに抑えつつ、ワンランク上の17型に匹敵する広い映像表示領域で、ワイドコンテンツの迫力を余すことなく伝えます。」との記載(http://www.vaio.sony.co.jp/vaio/products/F/feature_2.html)。
(3)パナソニックの業務用プロジェクターの紹介において、「地上波デジタル放送やDVDソフトなどワイドコンテンツの増化、またパソコンのワイド化がますます進むなど、映像をとりまく環境は、ワイドがスタンダードになりつつあります。PT-LW80NTはWXGAサイズ(1,280ドット×800ドット)にリアル対応。ワイドスクリーン使用時にプロジェクター本来の明るさ・解像度を有効に発揮できます。」との記載(http://panasonic.biz/projector/lb80nt/page1.html)。
(4)「バッファロー、1,440×900ドット表示の19型ワイド液晶」の見出しのもと、「株式会社バッファローは、表示解像度が1,440×900ドット(WXGA+)の19型ワイド液晶ディスプレイ「FTD-W924ADSR/SV」を8月中旬より発売する。・・・16:10のアスペクト比で、DVDなどのワイドコンテンツの鑑賞に最適化したモデル。」との記載(http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0809/buffalo2.htm)。
(5)「DELL CONT@CT デルのPCおトク情報を毎週更新」の見出しのもと、「1366×768ドットというのはほぼ16:9というアスペクト比で、いわゆるHDテレビと同じアスペクト比なのである。つまり、ワイドコンテンツ、例えば映画やデジタルテレビなどの視聴において黒帯が出ない"ピッタリ"サイズなのである。」との記載(http://ad.impress.co.jp/tie-up/dellcontact0206/review/090512/)。
(6)「NEC」のウエブサイトにおいて、「1.スタイリッシュノートPC『LaVie L』(12モデル)(1)LL750/TG(4モデル)、LL700/TG(4モデル)LL750/TGでは、16型ワイドフルHD液晶(1920×1080ドット)を新たに採用したことにより、美しく高精細な映像表示を実現。同液晶の画面縦横比は16:9であり、ビスタサイズの映画なども上下に黒帯があらわれることなくフル画面(注1 画面縦横比が16:9のワイドコンテンツの場合。)で表示することが可能。」との記載(http://www.nec.co.jp/press/ja/0904/1401-01.html)。
(7)「東芝」のウエブサイトにおいて、「ノートPCの新たな標準を先取りしてdynabookシリーズを刷新」の見出しのもと、「新商品は、14.1型ワイド液晶を搭載した新シリーズ『dynabook TW』をはじめ、15.4型ワイド液晶を搭載した『dynabook TX』、さらには17型ワイド液晶を搭載した『Qosmio G20』など、全機種にワイド液晶を搭載しています。既に米国では家庭向けノートPC市場における60%以上がワイド液晶搭載モデルで、日本市場でも高価格帯のPCを中心に普及しています。この傾向は、ワイドコンテンツの増加やユーザニーズの高まりなどを背景に一層進み、普及価格帯のPCへ波及すると予測されます。」との記載(http://www.toshiba.co.jp/about/press/2005_12/pr_j1901.htm)。
そうとすれば、「ワイドコンテンツ」の文字からなる本願商標は、これをその指定商品中、「16:9(又は10)の画面比率によって制作された動画等の情報・データに対応する機能を有するテレビジョン受信機、16:9(又は10)の画面比率によって制作された動画等の情報・データに対応する機能を有するビデオディスクプレーヤー、16:9(又は10)の画面比率によって制作された動画等の情報・データに対応する機能を有するビデオディスクレコーダー、16:9(又は10)の画面比率によって制作された動画等の情報・データに対応する機能を有するパーソナルコンピューター、16:9(又は10)の画面比率によって制作された動画等の情報・データに対応する機能を有する液晶ディスプレイ」に使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、単に、商品の品質、機能を表示したものと認識するにとどまるものであって、自他商品識別標識としての機能を果たさないものといわざるを得ない。
また、本願商標は、これを前記商品以外の「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品」に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当なものであって、取り消すことはできない。
ところで、請求人は、「『幅広い情報やデータ』の意味合いで『ワイドコンテンツ』自体の語が掲載されている辞書はなく、本願商標は特定の観念を有しない、商標の自他商品識別力を有する造語と判断すべきである。」旨主張しているが、たとえ、「ワイドコンテンツ」の文字自体が辞書に掲載されていないとしても、該文字は、「16:9(又は10)の画面比率によって制作された動画等の情報・データ」の意味合いを有する語として取引者、需要者に認識され、また、該意味合いを有するものとして「テレビジョン受信機」等に使用されていることは、前記認定のとおりである。
さらに、請求人は、「ワイド」又は「コンテンツ」の文字が結合された登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張しているが、登録出願された商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標の構成態様と指定商品に基づいて、個別具体的に判断されるものであって、他の登録例の存在によって、上記判断が左右されるものではない。
以上のとおり、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-06-25 
結審通知日 2009-06-30 
審決日 2009-07-16 
出願番号 商願2007-127582(T2007-127582) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (X09)
T 1 8・ 13- Z (X09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 斎古森 美和 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 末武 久佳
木村 一弘
商標の称呼 ワイドコンテンツ 
代理人 田畑 昌男 

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