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審決分類 審判 一部無効 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y41
審判 一部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y41
審判 一部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y41
管理番号 1203814 
審判番号 無効2008-890028 
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-10-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-03-25 
確定日 2009-08-31 
事件の表示 上記当事者間の登録第5000856号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5000856号の指定役務中、「娯楽施設の提供」についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5000856号商標(以下「本件商標」という。)は、「さかえ」の文字を標準文字で表してなり、平成18年4月26日に登録出願、第41類「当せん金付証票の発売,技芸・スポーツ又は知識の教授,献体に関する情報の提供,献体の手配,セミナーの企画・運営又は開催,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,運動用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,書画の貸与,写真の撮影,通訳,翻訳,カメラの貸与,光学機械器具の貸与」を指定役務として、同年11月2日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第63号証を提出した。
1 無効事由
本件商標は、その指定役務中「娯楽施設の提供」の登録については、商標法第4条第1項第10号、同第19号又は同第8号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効とすべきものである。
2 無効原因
(1)総論
本件商標は、上記第1のとおりであるが、請求人及び請求人から許諾を受けた者(以下「請求人等」という。)の業務に係る役務(麻雀荘の提供)を表示するものとして需要者の間に広く認識されている「リーチ麻雀さかえ」(別紙標章目録記載の標章、以下「請求人標章」という。)と同一又は類似するものであり、本件商標の指定役務のうち、「娯楽施設の提供」は、請求人標章により表示される請求人等の業務に係る役務(麻雀荘の提供)と同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
また、本件商標は、本件商標権者が請求人から不正な利益を得るために使用することを目的として登録出願し、登録されたものであるから、商標法第4条第1項第19号にも該当する。
さらに、請求人等による「リーチ麻雀さかえ」という麻雀荘の名称は、請求人等による麻雀荘グループを表示する名称で、本件商標は請求人等の著名な略称「さかえ」を含む名称であるから、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(2)請求の利益
商標権者は、後述のとおり、本件商標の商標権を根拠として、請求人標章を使用する請求人等に対し、不当に使用許諾料の支払いを求めているので、請求人には本件商標の登録を無効とする審判を請求することにつき、重大な利害関係を有している。
(3)請求人標章の周知性
ア 請求人が請求人標章を使用するに至る経緯
請求人は、平成13年9月に設立され、麻雀荘の経営等を主たる業務とする株式会社である。
請求人標章「リーチ麻雀さかえ」は、以下のとおり、請求人の親会社である株式会社パシャ(以下「パシャ」という。)の代表取締役である栗原清(以下「栗原」という。)が昭和58年3月項に使用を開始し、平成3年11月に栗原からパシャに承継され、さらに平成16年8月にパシャから請求人に承継されたものである。
(ア)栗原による使用の開始
栗原は、昭和58年3月項、東京都豊島区椎名町において、「リーチ麻雀さかえ」という屋号の麻雀店(以下、「『リーチ麻雀さかえ』店」という。)を開店し、その後、平成元年10月項までに、全国に18店舗の「リーチ麻雀さかえ」店を開店した。
(イ)栗原からパシャヘの承継
栗原は、平成3年11月、それまで個人で行ってきた「リーチ麻雀さかえ」店の経営を会社組織で行うため、パシャを設立し、パシャに「リーチ麻雀さかえ」店の運営事業を承継した。
パシャは、その後、平成13年4月までに、さらに6店舗の「リーチ麻雀さかえ」店を開店するとともに、元従業員がパシャの支援を受けて設立した会社との間でコンサルタント契約(経営指導契約)を締結し、それらの会社(以下「加盟企業」という。)をして、13店舗の「リーチ麻雀さかえ」店を開店させた。
(ウ)パシャから請求人への承継
パシャは、平成15年6月頃、直営店舗の運営事業を、請求人を含む加盟企業に譲渡すると共に、加盟企業の店舗に対するコンサルタント事業を請求人に譲渡した。
以後、請求人は、自ら3店舗の「リーチ麻雀さかえ」店(小倉店、博多店、鹿児島店)を運営し、請求人標章を使用すると共に、加盟企業の「リーチ麻雀さかえ」店に対する経営指導を行い、加盟企業をして請求人標章を使用させている。
イ 請求人標章の使用状況
(ア)店舗数及び売上高
本件商標の登録出願及び登録がなされた平成18年までの3年間の「リーチ麻雀さかえ」店の店舗数及び総売上高は以下のとおりである(店舗数は、その年の末時点を基準とする。)。
平成16年
店舗数:32店舗(直営店:3店舗 加盟企業の店:29店舗)、総売上高:約24億円
平成17年
店舗数:32店舗(直営店:3店舗 加盟企業の店:29店舗)、総売上高:約21億7万円
平成18年
店舗数:32店舗(直営店:3店舗 加盟企業の店:29店舗)、総売上高:約21億円
なお、請求人等による「リーチ麻雀さかえ」グループと同様に全国的にチェーン展開をしている麻雀店グループは他にも存在するが、請求人等による「リーチ麻雀さかえ」グループが最大手であり、2番手の「さん」グループでも20店舗程度であり、3番手の「ウェルカム」グループでは14店舗程度しかない。また、このことは、一般的にも認識されており、インターネット上の電子掲示板サイト「2ちゃんねる」においても「麻雀最大手さかえを語るスレ」というスレッド(電子掲示板サイトにおける特定の話題に関する投稿記事の集まりのこと。)が立てられている(甲第1号証)。
(イ)各店舗における請求人標章の使用状況
請求人及び加盟企業は、各「リーチ麻雀さかえ」店において、請求人標章を表示した看板(突き出し看板、スタンド看板、壁面サイン等)、を人目のつく場所に設置したり、通りに面したガラス窓に請求人標章を表示したり、入りロのドアに請求人標章を表示したりしている(甲第2号証)。
(ウ)請求人による広告・宣伝
請求人は、以下のとおり、雑誌広告、インターネット広告等により「リーチ麻雀さかえ」グループの広告・宣伝を行い、雑誌広告費だけで、年間約2200万円を費やしている。
また、麻雀競技会に協賛するなどして「リーチ麻雀さかえ」グループの知名度の向上に努めている。
(a)雑誌
請求人は、株式会社竹書房が月2回発行している漫画雑誌「近代麻雀」に、ほぼ毎号、「リーチ麻雀さかえ」グループの広告を掲載している(平成16年1月から平成18年3月の27ヶ月間に発行された54号の「近代麻雀」うち47号に掲載されている(甲第3号証ないし甲第49号証))。また、請求人に事業を譲渡するまでは、パシャが、同じく「近代麻雀」に「リーチ麻雀さかえ」グループの広告を掲載していた。
(b)インターネット
請求人は、「リーチ麻雀さかえ」札幌1号店、同2号店、同旭川店、同帯広店、同宇都宮店、同熊本店、同郡山店、同長崎店、同高知店、同富山店、同平塚店、同仙台店、同松戸店、同宮の橋店、同浜松店のホームページを作成し、インターネット上で公開している(甲第50号証ないし甲第61号証)。いずれのホームページにも、「リーチ麻雀さかえ」グループのキャラクターと共に請求人標章が大きく表示されている。
ウ 小括
以上からすれば、本件商標の登録出願時及び登録時において、請求人標章が請求人等の業務に係る麻雀荘の提供という役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたことは明白である。
(4)請求人標章と本件商標の類似性
請求人標章「リーチ麻雀さかえ」のうち「リーチ麻雀」は麻雀に普通に用いられている語で、商品識別力を有しない。商標の要部は「さかえ」である。
請求人標章「リーチ麻雀さかえ」の要部「さかえ」と本件商標「さかえ」は、いずれも「サカエ」という称呼を生ずるものであり、また、いずれも平仮名で「さかえ」と表示するものである。
したがって、請求人標章と本件商標は、少なくとも称呼及び外観において類似する又は同一の商標である。
(5)請求人標章が表示する役務と本件商標の指定役務の類似性
前述のとおり、請求人標章は、請求人等の業務に係る「麻雀荘の提供」という役務を表示するものとして周知であるところ、「麻雀荘の提供」は、本件商標の指定役務中「娯楽施設の提供」と類似群コードを同じくしている。また、実質的にも麻雀荘は娯楽施設の一種であることから、その需要者を共通にしており、仮に娯楽施設の提供にあたって、麻雀荘の提供を表示する商標と同ー又は類似の商標が使用された場合には、出所混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
(6)不正の目的
ア 使用意思の不存在
本件商標権者は、本件商標の指定役務として、「類似商品・役務審査基準」の第41類に掲げられた全ての役務を指定している。しかし、本件商標権者は、飲食店の従業員として勤務する個人にすぎず、本件商標の指定役務の全てを提供する能力も資力を有していないことは明らかである。
また、各指定役務を個別にみても、例えば、当せん金付証票の発売、競馬の企画・運営又は開催、競輪の企画・運営又は開催、競艇の企画・運営又は開催などは、法律によって規制された事業であり、そもそも本件商標権者が提供できる役務ではないし、その他の指定役務についても専門的な知識や経験又は相当な資力を必要とするものであって、本件商標権者が提供できるものとは考え難い。
さらに、本件商標が登録されてから既に1年以上が経過するも、本件商標権者は、後述のように請求人等に対し過大な請求をするだけで、自ら本件商標を使用して指定役務に係る事業を行おうとすらしていない。
このような事情を考慮すれば、本件商標権者は、登録出願時において本件商標を使用する意思がなかったものと考えざるを得ない。
イ 悪意の出願
前述のように、請求人等による「リーチ麻雀さかえ」グループは、麻雀店業界の中では最大手グループであり、一般的にも相当程度認識されていることからすると、「さかえ」という商標を登録しようとする本件商標権者が、請求人標章を認識していなかったとは考え難い。
なお、商標の登録出願をするに先立ち、商標調査の一環として、同一又は類似の文字列をGoogle等により検索することが一般的に行われているところ、Goog1eで「さかえ」を検索すると、関連検索ワードとして「リーチ麻雀さかえ」と表示され、その表示部分をクリックすると、検索結果として「リーチ麻雀さかえ」店のホームページが多数表示される(甲第62号証)。
このことからも本件商標権者が請求人等による請求人標章の使用を認識していなかったとは考え難い。
ウ 過大な使用許諾料の請求
本請求に先立ち、本件商標権者は、請求人等に対し、月々1店舗あたり3万円、又は一括で1店舗あたり60万円の使用許諾料を請求してきた(甲第63号証)。
本件商標権者が未だ本件商標を使用しておらず、本件商標に何らの信用も化体されていないことからすれば、かかる請求は極めて過大かつ不当なものである。本件商標権者の商標権取得は、請求人の周知商標が登録されていないことを奇貨として、先取り的に登録出願したもので、ライセンス契約を強要して多額の使用料を取得しようとしたものといえる。
エ 小括
以上のように、本件商標は、本件商標権者が請求人から不正な利益を得るために使用することを目的として登録出願し、登録されたものである。
3 まとめ
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第19号、あるいは同第8号に該当し、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきものである

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。との審決を求め、要旨以下のように答弁し、証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
請求人は、麻雀店を営んでいるのではなく、賭博場を開き客に賭博をさせることを営みとしている。
証拠として、請求人がコンサルタント契約をしている会社の社員Aが、検察庁検察官に供述した供述調書を提出する(乙第1号証)。社員Aは、「全て私の責任で・・。」と発言しているが、請求人スリーファイブの指示、指導があったと思われる。スリーファイブを指示、指導しているのは栗原清である。仮に、社員Aの責任で(賭博を)行ったとしても、請求人が管理を怠っていたことの責任が及ぶ。
以上のとおり、請求人は麻雀店を営んでいるのではないから、麻雀店としての先使用権はない。
よって、本件審判請求は認められない。

第4 当審の判断
1 請求の利益について
請求人は、同人が本件商標と類似すると思料する実際に使用している標章を所有しているところ、請求人は被請求人より本件商標を根拠として使用許諾料の支払い(甲第63号証)を求められており、本件商標の登録の存在によって、直接的な影響を受けることがあり得るとみられるから、本件審判の請求について利害関係を有する者というべきである。
なお、請求人が本件審判の請求をする利害関係を有するか否かについては、当事者間に争いがない。
2 請求人標章「リーチ麻雀さかえ」と別掲の標章の周知性について
(1)甲各号証について
ア 甲第2号証は、請求人の店舗である甲府店、池袋店、浜松店、松山店、松戸店外20店舗の写真であるところ、突き出し看板、スタンド看板、壁面サインに請求人標章「リーチ麻雀さかえ」と、別掲のとおり(色彩のみを相違するものを含む。)の「リーチ麻雀」と「さかえ」とを上下二段に横書き(特に、「さかえ」が大きく二段目に表示されている。)した標章とが表示されているのが認められ、これらの表示はその殆どが「さかえ」の文字部分に赤色が施されている。
イ 甲第3号証ないし甲第49号証は、漫画雑誌「近代麻雀」(株式会社竹書房 発行)で、平成16年1月から平成18年3月の27ヶ月間に発行された47号に請求人標章「リーチ麻雀さかえ」と別掲のとおりの標章が掲載されている。
ウ 甲第50号証ないし甲第61号証は、「リーチ麻雀さかえ」札幌1号店、同2号店、同旭川店、同帯広店、同宇都宮店、同熊本店、同郡山店、同長崎店、同高知店、同富山店、同平塚店、同仙台店、同松戸店、同宮の橋店、同浜松店のホームページで、例えば、請求人標章「リーチ麻雀さかえ」と別掲の標章及び別掲の標章の中央部に「北海道」の文字が配された標章(甲第50号証)が店舗の広告、宣伝とともに大きく表示されている。
このことは、甲第3号証の2004年1月1日発行の漫画雑誌「近代麻雀」における広告、宣伝欄中に、「北海道・東北」として札幌1号店、札幌2号店?一番町店、「甲信越・北陸」として長野店?富山店、「九州・沖縄」として博多中州店?那覇松山店、と掲載されていることとも整合するものである。
(2)請求人の主張によれば、「リーチ麻雀さかえ」店の店舗数及び総売上高は、平成16年が「店舗数:32店舗(直営店:3店舗 加盟企業の店:29店舗)、総売上高:約24億円」であり、平成17年が「店舗数:32店舗(直営店:3店舗 加盟企業の店:29店舗)、総売上高:約21億7万円」であり、平成18年が「店舗数:32店舗(直営店:3店舗 加盟企業の店:29店舗)、総売上高:約21億円」である。
また、請求人標章「リーチ麻雀さかえ」は、株式会社パシャの代表取締役が昭和58年3月頃に使用を開始し、平成3年11月に株式会社パシャの代表取締役から株式会社パシャに承継され、さらに平成16年8月に株式会社パシャから請求人(株式会社スリーファイブ)に承継されたものである。
(2)以上の事実(甲第3号証ないし甲第61号証)及び請求人の主張を総合すると、使用商標は、本件商標の登録出願前はもとより登録後においても、請求人の取り扱いに係る役務「マージャン荘の提供」を表す標章として需要者間に広く認識されていると認められる。
3 商標法第4条第1項第10号について
(1)本件商標と使用商標について
上記のとおり、使用商標は、「マージャン荘の提供」を表す標章として需要者の間に広く認識されていたと認められるものである。
そして、使用商標の具体的構成は、別掲のとおり、上段部にマージャン牌5個をアーチ状に並べそれぞれの中に「リ」「ー」「チ」「麻」「雀」の文字を配し、下段部に赤色で大きく「さかえ」の文字を表示してなるものであって、使用商標の構成中の「さかえ」の文字部分が外観視覚上明らかに取引者、需要者の注意を惹く構成よりなるものといえるものである。
加えて、使用商標は、その構成中の「リーチ麻雀」の文字部分が麻雀ゲームのルール用語と看取される場合も少なくないといえるものである。
以上を総合すると、使用商標は、全体の構成文字「リーチ麻雀さかえ」に相応した「リーチマージャンサカエ」の称呼以外に、外観視覚上、取引者、需要者の注意を惹く「さかえ」の文字部分より、単に「サカエ」の称呼をも生ずるというべきである。
一方、本件商標は、「さかえ」の文字よりなるものであるから、「サカエ」の称呼を生じ、直ちには特定の観念を生じさせない造語というのが相当である。
そうすると、本件商標と使用商標とは、「サカエ」の称呼を共通にし、使用商標の構成中の「さかえ」の文字部分において、外観を同じくするものであるから、観念上比較できない点を考慮しても、両者は類似する商標といわざるを得ない。
また、使用商標が用いられている「マージャン荘の提供」も、本件商標の指定役務中の「娯楽施設の提供」に包含される同一又は類似の役務である。
以上のとおり、本件商標は、他人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標と類似する商標であって、その役務と同一又は類似の役務である「娯楽施設の提供」について使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものというべきである。
4 なお、被請求人は答弁書において、請求人は、麻雀店を営んでいるのではなく、賭博場を開き客に賭博をさせることを営みとしており、不正の目的で商標を使用しているから、本件審判の請求は認められない旨主張しているが、乙1号証の供述調書の写しには、罫紙の下部に検察庁の印刷は確認できるものの、署名、捺印等もないものであって、これを直ちに証拠として採用することはできない。仮に、乙1号証を証拠として採用したとしても、かかる証拠をもって、被請求人の主張を裏付けるものとは認められないから、前記認定を覆すことは出来ない。
5 むすび
したがって、本件商標は、その指定役務中、本件審判請求に係る指定役務である「娯楽施設の提供」について、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものであるから、請求人のその余の主張について検討するまでもなく、同法第46条第1項第1号の規定により、請求に係る上記指定役務についての登録を無効にすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 請求人標章 (色彩の詳細は原本を参照。)




審理終結日 2009-07-02 
結審通知日 2009-07-07 
審決日 2009-07-21 
出願番号 商願2006-38872(T2006-38872) 
審決分類 T 1 12・ 25- Z (Y41)
T 1 12・ 222- Z (Y41)
T 1 12・ 23- Z (Y41)
最終処分 成立  
前審関与審査官 綾 郁奈子 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 岩崎 良子
内山 進
登録日 2006-11-02 
登録番号 商標登録第5000856号(T5000856) 
商標の称呼 サカエ 
代理人 菊谷 公男 
代理人 岡 邦俊 
代理人 牧 レイ子 
代理人 瀧谷 耕二 
代理人 牧 哲郎 

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