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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y354142
管理番号 1203789 
審判番号 不服2007-14650 
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-05-21 
確定日 2009-08-20 
事件の表示 商願2006- 41607拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「知財監査」の文字を標準文字で表してなり、第9類、第35類、第41類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成18年5月8日に登録出願され、指定商品及び指定役務については、同年11月30日付け手続補正書及び平成19年8月10日付け手続補正書により、第35類「知的財産を活用するための経営の診断・指導・相談・助言,知的財産を戦略的に用いる経営の助言,知的財産の事業に関する情報の提供,知的財産に関する事業管理についての助言,知的財産に関する事業の調査,新商品の販売に関する情報の提供」、第41類「知的財産に関するセミナーの企画・運営又は開催,知的財産に関する教育研修,知的財産に関する研修の企画・運営又は開催,知的財産に関する能力の検定及び認定,知的財産に関するシンポジウムの開催,知的財産に関する財産的価値の評価方法の教授,知的財産権に関する試験の企画・運営・実施,知的財産に関する電子出版物の提供」及び第42類「知的財産の事業化のための仲介又は斡旋,知的財産に関する契約の代理又は媒介,知的財産に関する助言又はコンサルティング,知的財産に関する先行技術文献の調査,新商品の開発に関する情報の提供」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『知的財産』の略語として一般に使用されている『知財』の文字と、『監督し検査すること』を意味する『監査』の文字を連綴し、『知財監査』と書してなるので、全体として『知的財産について監査する』程の意味合いを認識させるにすぎないものであるから、これを本願指定商品・指定役務中上記照応する商品・役務(例えば『知的財産の監査に使用するコンピュータソフトウェア,知的財産を活用するための経営の診断・指導・相談・助言,新商品又は新商品開発に関する情報の提供,知的財産に関する財産的価値の評価方法の教授,知的財産に関する電子出版物の提供,新商品又は新商品開発の情報に関する出版物の提供,知的財産に関する助言又はコンサルティング』など)に使用するときは、これに接する取引者・需要者をして、『知的財産の監査に関連する商品・役務』であることを理解するに止まり、単に商品の品質、用途、内容や役務の質、内容を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品・役務以外の商品・役務に使用するときは、商品の品質・役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨、認定、判断して本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、上記1のとおり、「知財監査」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、その構成中の「知財」は、「発明、ソフトウェア、ノウハウ、ブランドといった無形の財産の総称」(自由国民社発行「現代用語の基礎知識2008」)を意味する「知的財産」の略語として、また、「監査」は、「監督し検査すること。企業などの特定の行為、またはその行為を示す情報が適正か否かを、第三者が検証し報告すること。」(岩波書店発行「広辞苑第6版」)を意味する語として、いずれも広く使用されているものであるから、本願商標よりは、「知的財産を監査する」程の意味合いを容易に認識させるものである。
そして、近年、企業等における戦略的な知財管理の促進、知的財産の有効活用が重要視されてきているところであり、さらに、知的財産に関する監査が行われていることは、原査定において示した以下の(ア)及び(イ)を含め、以下のウェブサイトによっても窺えるところである。
(ア)ピルズベリー・ウィンスロップ・ショー・ピットマン法律事務所のウェブサイトの業務内容のページに「知的財産権の監査ならびに戦略構築」として、「知的財産権に関して経験豊かな企業でも、その知的財産について、独立した監査を行う必要があります。監査の目的は、知的財産からの収入を最大化し、非生産的な紛争を最小化するための戦略を確立することであり、これは『予防法務』といえます。」の記載がある(http://japanese.pillsburylaw.com/lang/practice/practicedesc.asp?region=1537&areaid=000058269444)。
(イ)東京海上日動リスクコンサルティング株式会社のウェブサイトの冊子「TALISMAN『知的財産権監査』」の紹介ページに「本号では、知的財産権監査について、その目的、方法、効果、費用等、米国で行われている一般的基礎的事項を解説します。」等の記載がある(http://www.tokiorisk.co.jp/cgi-bin/risk_info/page.cgi?no=306)
(ウ)日経BP社の運営する「CIPOフォーラム」と題するウェブサイトに掲載の新日本有限責任監査法人の三代まり子氏の「知的財産とXBRL(eXtensible Business Reporting Language)」と題する提言に「ノウハウや技術など会計上の資産の定義に合致しない知的財産の多くは,財務情報として表現することが困難であるため法定監査の対象外です。これまでは、財務情報を中心とする企業価値評価が行われてきましたが,企業の収益の主要な源泉として知的財産の役割が年々増している今日においては,投資家をはじめとするステークホルダーにその価値を理解してもらうために,非財務情報の提供が重要になってきており,非財務情報に対する監査をどのように行うかについても検討が行われると予想されます。非財務情報に対する監査とXBRL化の環境が整備されることによって,信頼性が高まるとともに情報の作成・流通・利用が促進されることが期待できます」と記載されている(http://cipo.jp/shinnihon/column/20081118.html)。
(エ)独立行政法人 工業所有権情報・研修館主催の「国際特許流通セミナー2006」(2006年1月23日?25日開催)では、「知的財産監査の現状」と題するプログラムがあり、その内容について、「ロイヤリティの支払額の決定には、製品の出荷量や売上高を把握する必要がある。ライセンス契約に基づく監査の現状について、海外の例も紹介しながら、1)日本企業が監査を実施しない理由、2)ライセンス契約書に盛り込むべき内容、3)監査にかかる費用、4)どの程度の割合で実施するのが有効であるか、等について議論する。」と紹介されている(http://www.ryutu.inpit.go.jp/seminar_a/2006a.html#C6)
(オ)京都大学で、平成18年度に「産学連携、知的財産管理に関する監査報告」と題して、知的財産管理への組織的取り組み状況、知財管理に係る財務状況等の監査項目について、監査報告がなされている( http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/profile/operation/audit/past/18kanji_rinjikansa6.htm)
(カ)株式会社東芝のウェブサイトの「社会・環境活動 知的財産の保護」のページに「知的財産の保護に関する点検・監査」の見出しの下に「第三者から特許を侵害しているとして訴訟を提起されるリスクがありますが、当社では、このような第三者の知的財産権を侵害するリスクを低減あるいは無くすために、事業展開に当たっては、第三者の特許をはじめとする知的財産権を侵害しないように、関連する知的財産権を事前に調査し、必要な対策をとっています。」と記載されている(http://www.toshiba.co.jp/csr/jp/management/pat_j.htm)。
請求人は、「監査」の対象物は、「指図」、「取り締まり」、「しらべあらためる」性質のものでなければならないところ、「知的財産」は、「財」であり、「価値あるもの」であって、このような対象物ではないから、「監査」の対象となるものではないとして、「知的財産」について「監査を行う」ということはできない、旨主張している。
しかしながら、国有財産について「国有財産監査要領」が定められているように、国、地方自治体等において、公有財産、教育財産に関する監査が行われていることからしても、財産的価値があるものについて、有効活用等を図るためにその監査を行うことはあり得るのであるから、「財」の一種である「知的財産」についても同様であって、さらに前述(ア)ないし(カ)の事実があることからしても、「知的財産」が監査の対象として認識されないということはできない。
また、請求人は、原査定で示された上記(ア)及び(イ)の証拠は、「知財監査」がそれぞれ「知的財産活動の調査・分析・指導」といった内容と「知的財産の会計の監査」といった内容として、使用する者によって、全く異なる用い方がされているものであり、需要者が、本願商標に接したとしてもどのような質・内容を表すものか理解できるものではない、旨主張している。
しかしながら、上記事例は、個別具体的な事例を示しているにすぎず、いずれも知的財産の監査に関する事例というべきであるから、これらの事例からしても、本願商標が、「知的財産を監査する」程の意味合いを認識させることを十分に窺わせるものである。
してみれば、請求人の上記主張はいずれも採用できない。
そして、本件指定役務は、いずれも知的財産若しくは知的財産の監査に関する役務である。
そうとすると、本願商標をその指定役務に使用するときは、「知的財産を監査する」程の意味合いを認識させるにすぎないから、単に役務の質を表示するにすぎないというのが相当である。
したがって、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2009-05-01 
結審通知日 2009-05-29 
審決日 2009-06-11 
出願番号 商願2006-41607(T2006-41607) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Y354142)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 板谷 玲子 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 赤星 直昭
井出 英一郎
商標の称呼 チザイカンサ 

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