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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 112 |
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管理番号 | 1203773 |
審判番号 | 取消2008-300334 |
総通号数 | 118 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2009-10-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2008-03-17 |
確定日 | 2009-08-17 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1923037号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第1923037号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第1923037号商標(以下「本件商標」という。)は、「ユーロスター」及び「EUROSTAR」の文字を上下二段に横書きしてなり、昭和59年6月9日に登録出願、第12類「輸送機械器具、その部品および附属品」を指定商品として、昭和61年12月24日に設定登録され、その後、2回に亘り、商標権の存続期間に更新登録がなされ、平成20年7月2日に指定商品を第12類「鉄道車両並びにその部品及び附属品」とする指定商品の書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。 2 請求人の主張 請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。 (1)請求の理由 本件商標の商標権者は、日本国内において、本件商標を継続して3年以上その指定商品について使用していない。また、商標登録原簿上は、本件商標に専用使用権あるいは通常使用権が設定・許諾されている事実も見当たらない(甲第1号証)。 よって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 (2)答弁に対する弁駁 ア 商標法第50条第2項は、同第1項の審判の請求があった場合においては、審判の請求の登録前3年以内に「日本国内において」商標権者等がその請求に係る「指定商品又は指定役務」のいずれかについての「登録商標」の「使用をしていること」を被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない、と規定する。 (ア)上記「登録商標」の使用という要件に関し、乙第1号証ないし乙第3号証では、本件商標を構成する「ユーロスター」、あるいは「Eurostar」「EUROSTAR」の文字が記載されている事実は確認できるが、いずれも本件商標と同様の二段並記の商標ではなく、同一の商標の使用とはいい得ないことは明らかである。 また、仮に乙第1号証ないし乙第3号証記載の商標が法第50条第1項括弧書きに規定する社会通念上同一と認められる商標であるとしても、以下の要件を満たしていない。 (イ)本件商標の指定商品は「鉄道車両並びにその部品及び附属品」である。 請求に係る「指定商品」についての登録商標(社会通念上同一の商標含む)の使用という要件に関し、被請求人は「乙第1号証ないし乙第3号証には、本件商標及び車両が示されている」ので、「日本国内において、本件商標が鉄道車両について使用されているものと解する」と結論付けている。しかし、商標は「業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの」(商標法第2条第1項第1号)であり、被請求人が業として「鉄道車両」等を生産したり譲渡したりすることを証明しなければ、本件商標がその「指定商品」について使用されたことを証明する証拠たり得ない。乙第1号証ないし乙第3号証は、鉄道車両の写真が示されているに過ぎず、例えば「鉄道車両」の譲渡価格(販売金額)等が記載された証拠ではない。したがって、本件商標を「指定商品」に使用しているとはいえない。 (ウ)さらに、商標法第50条においては、「日本国内において」使用されていることが求められているが、被請求人も認めているとおり、「ユーロスター」はロンドンとパリ、ブリュッセル及びリールを結ぶ鉄道であり、日本国内の鉄道ではない。したがって、被請求人が「日本国内において」鉄道車両に本件商標を使用しているとはいえない。 イ 以下、乙第1号証ないし乙第3号証につき、個別に陳述する。 (ア)乙第1号証は、ヨーロッパの鉄道であるユーロスターの紹介や乗車方法の説明等であり、指定商品「鉄道車両」について使用されているとはいい得ない。また、本件審判の請求の登録前3年以内に使用されたものであるかは明らかでない。 (イ)乙第2号証においては、パンフレットの中に「人気列車プラン」として「ユーロスター」の文字が記載されている事実は認められるものの、ここに示されている金額は旅行会社が斡旋・手配する対価としての金額であり、「鉄道車両」の金額ではない。 (ウ)乙第3号証においては、三本波線と星と「eurostar」の文字が書かれた鉄道車両の写真や、「ヨーロッパを代表する高速列車。ユーロスター」の文字は認められるものの、「日本国内において」「鉄道車両」に本件商標を使用しているとは認められないことは乙第2号証と同様である。 3 被請求人の主張 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。 (1)請求に対する答弁 ア 被請求人は、指定商品「鉄道車両」について、日本国内において本件商標を使用している。 イ 被請求人は、本件商標の使用事実を示す証拠として乙第1号証ないし乙第3号証を提出する。 乙第1号証は、日本国内で配布している日本語で書かれた「eurostar/ユーロスター」のパンフレットである。 「eurostar/ユーロスター」は、ロンドンとパリ、ブリュッセル及びリールを結ぶ国際高速鉄道であり、世界的に有名である。 この「eurostar/ユーロスター」のチケットは代理店を通じて日本国内で購入することが可能であり(乙第2号証及び乙第3号証)、また、被請求人のウェブサイトから直接購入することも可能である。 乙第1号証ないし乙第3号証には、本件商標及び車両が示されていることが明らかであるので、日本国内において、本件商標が鉄道車両について使用されているものと解される。 ウ 以上より、被請求人が、指定商品「鉄道車両」について、日本国内において本件商標を使用していること明らかである。 (2)弁駁に対する答弁 ア 被請求人は指定商品「鉄道車両」について、日本国内において本件商標を使用しているので、請求人の主張は正当でない。 イ 乙第1号証ないし乙第3号証にあるように、「eurostar/ユーロスター」は、ロンドンとパリ、ブリュッセル及びリールを結ぶ世界的に有名な国際高速鉄道で、そのチケットは代理店又はインターネットを通じて日本国内で購入することが可能であり、日本国内における宣伝広告活動も行っている。 乙第1号証ないし乙第3号証には、本件商標及び車両が示されていることが明らかであるので、日本国内において、本件商標が鉄道車両について使用されていると考えるのが相当である。 ウ 以上より、被請求人が、指定商品について、日本国内において本件商標を使用していること明らかである。 4 当審の判断 (1)商標法第50条第1項に基づき、商標登録の取消審判が請求された場合には、被請求人は、取消請求に係る指定商品について、審判請求の登録前3年以内(以下「本件要証期間内」という。)における当該登録商標の使用の事実を証明するか、あるいは、不使用の場合には、正当な理由のあることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れないものである(商標法第50条第2項)。 (2)被請求人提出の証拠によれば、以下の事実を認めることができる。 ア パンフレット(乙第1号証)には、表紙の写真の下に「Introducing」の文字、「Eurostar」の文字及び「eurostar」の文字を配した標章が表示されている。 2枚目には、「Contents」の項目として、「知ってる?ユーロスター人気の秘密」ほか「ユーロスター旅のインフォメーション」等6項目が日本語で掲載されている。いずれの項も、ユーロスター呼ばれるヨーロッパにおける国際列車による旅行に関する記事である。 なお、この資料の発行日などを示す記載は見当たらない。 イ パンフレット「PASEO 個人自由旅行 ヨーロッパ ’06.4?9」(乙第2号証)には、「人気列車プラン」の一として、「ユーロスター」の欄があり、列車の写真、区間、所要時間、運賃(円表示)が掲載されている。 ウ 「ヨーロッパ鉄道パス&チケットカタログ 2006」(乙第3号証)の21枚目(21頁)において、「ユーロスター」(欄外には、「EUROSTAR」の表示もある。)とその紹介記事として、「運行区間」、「クラス/サービス」、「料金システム」の各DATAが記載されている。そして、車両内のサービス風景、ファーストクラス及びスタンダードクラスの座席やラウンジの写真とともに、鉄道車両の運行状態の写真が示されている。 また、乙第3号証の32枚目(最終頁)には、「ユーロスター料金表」が掲載され、「ビジネスプレミア」「普通運賃」「子供運賃」等の片道運賃がUS$で示されている。 (3)本件商標は、「ユーロスター」及び「EUROSTAR」の文字からなるものであるところ、前記(2)の「ユーロスター」「EUROSTAR」「Eurostar」「eurostar」は、いずれも、本件商標と社会通念上同一の商標と認めて差し支えないものというべきである。 しかしながら、本件の商標登録の取消請求に係る指定商品は、「鉄道車両並びにその部品及び附属品」であるところ、前記(2)のとおり、各証拠資料にヨーロッパにおける鉄道輸送(役務)に係る記載等はあるけれども、商取引の対象である商品「鉄道車両並びにその部品及び附属品」について本件商標が使用をされたこと、あるいは、その商品「鉄道車両並びにその部品及び附属品」が現に取引に資されたことなどを認め得る事実は示されていない。 (4)してみれば、被請求人提出の証拠によっては、本件要証期間内において本件商標が取消請求に係る指定商品「鉄道車両並びにその部品及び附属品」に、使用されたことを明らかにしたものではないといわざるを得ない。 他に、取消請求に係る指定商品についての本件商標の使用を認め得る証拠はなく、また、本件商標の不使用について正当理由があるとの主張及び立証はない。 (5)以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録の取り消しを免れないものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-03-24 |
結審通知日 | 2009-03-26 |
審決日 | 2009-04-07 |
出願番号 | 商願昭59-60530 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(112)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
渡邉 健司 |
特許庁審判官 |
鈴木 修 井出 英一郎 |
登録日 | 1986-12-24 |
登録番号 | 商標登録第1923037号(T1923037) |
商標の称呼 | ユーロスター、エウロスター、ユアロスター、ヨーロスター |
代理人 | 川口 嘉之 |
代理人 | 中村 仁 |
代理人 | 和久田 純一 |
代理人 | 中村 仁 |
代理人 | 松倉 秀実 |
代理人 | 五味 飛鳥 |
代理人 | 遠山 勉 |
代理人 | 石塚 勝久 |
代理人 | 中村 仁 |