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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない(当審拒絶理由) X01044042
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない(当審拒絶理由) X01044042
管理番号 1203758 
審判番号 不服2008-25563 
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-10-06 
確定日 2009-08-10 
事件の表示 商願2007-94836拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「バイオマス水素」の文字を標準文字で表してなり、第1類、第4類、第40類及び第42類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成19年9月5日に登録出願されたものであり、その後、指定商品及び指定役務については、原審における同20年3月5日提出の手続補正書により、第1類「化学品,のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。),植物成長調整剤類,肥料,高級脂肪酸,工業用粉類,原料プラスチック」、第4類「固形潤滑剤,靴油,保革油,燃料,工業用油,工業用油脂,ろう」、第40類「放射線の除洗,金属の加工,ゴムの加工,プラスチックの加工,セラミックの加工,木材の加工,映画用フィルムの現像,写真の引き伸ばし,写真の焼付け,写真用フィルムの現像,廃棄物の再生」及び第42類「建築物の設計,測量,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究」に補正されたものである。

第2 当審における拒絶の理由の要点
当審において、請求人に対して、平成21年3月2日付け拒絶理由通知書をもって、以下の旨の拒絶の理由を通知した。
本願商標は、「バイオマス水素」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中前半の「バイオマス」の文字は、「生物体をエネルギー源または工業原料として利用すること。また、その生物体。」等(株式会社岩波書店 広辞苑 第六版)の意味を有する語であり、また、構成中後半の「水素」の文字は、「(hydrogen)非金属元素の一種。元素記号H原子番号1。原子量1.008。無色・無臭の気体。物質中最も軽く、他の元素と化合して多量に存在。これを製するには亜鉛に希硫酸を作用させるか、あるいは水を電気分解する。水素を燃焼させると淡青色の炎をあげ酸素と化合して水を生じる。酸化物の還元に用い、酸素とともに噴出燃焼させて金属板の溶断・溶接に利用。工業的に水性ガスまたは炭化水素ガスから製造し、硬化油をはじめ各種の化学工業で水素添加に用いる。」(前掲書)の意味を有する語である。
そして、下記の事実によれば、本願の指定商品及び指定役務を取り扱う業界においては、バイオマスから生成された水素や、バイオマスから生成された水素を原料とした燃料電池などの商品について各種研究開発等が進められており、これらを「バイオマス水素」と称して使用されていることが認められる。
そうとすれば、本願商標は、「バイオマス水素」の文字を普通に用いられる方法で表示してなるにすぎないものであるから、これをその指定商品中、第1類「化学品」のうち「バイオマスから生成された水素」及び「バイオマスから生成された水素を原料とした商品」、第4類「燃料」のうち「バイオマスから生成された水素を原料とした商品」又は、その指定役務中、第40類「廃棄物の再生」のうち「有機廃棄物等の生物資源(バイオマス)から水素を生成する廃棄物の再生」、第42類「電気に関する試験又は研究」のうち「バイオマスから生成された水素を利用した燃料電池に関する試験又は研究」について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、該商品の品質、役務の質を表示したものと理解するにとどまり、自他商品及び自他役務の識別標識とは認識し得ないものと認められるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、これを前記商品及び役務以外の指定商品及び指定役務について使用するときは、その商品の品質、役務の質について誤認を生ずるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。

1.「バイオマスから生成された水素」や「バイオマスから生成された水素を原料とした商品」等について研究開発等が進められていることについて
(1)2008年12月26日付け「日本経済新聞 朝刊」の10ページには、「燃料電池、微生物活用にメド??サッポロ、食品廃棄物で水素(技術ウオッチ)」の見出しのもと、「微生物を活用した燃料電池の実用化が見えてきた。サッポロビールは食品廃棄物を微生物に分解させ、燃料電池の燃料となる水素の生産に成功、二〇一〇年にも食品工場に売り込む。鹿島は下水の汚泥に含まれる微生物で直接発電する燃料電池の開発に取り組む。廃棄物の有効利用と二酸化炭素(CO2)を出さない“一石二鳥”のエネルギー源になると期待されている。現在主流の燃料電池は、灯油や天然ガスなど化石燃料から水素を取り出す。新技術は食品廃棄物という生物資源(バイオマス)から水素をつくるため、化石燃料を使わないのが特徴だ。・・・」の記載がある。
(2)2008年12月17日付け「化学工業日報」の12ページには、「エコネン、水素製造技術セミナーを09年1月開催(短信)」の見出しのもと、「◇水素製造技術セミナー エコネンが1月26日、津田ホール(東京・千駄ヶ谷)で新産業創出セミナー『バイオマスを用いた水素製造技術』を開く。今後の水素社会を先取りする技術について、2つのアプローチから解説する。受講料は1名に付き2万5000円(テキスト代を含む)。問い合わせは同社(電話03-5117-2224)まで。プログラムは以下の通り。▽金属触媒を用いたバイオマスからの水素製造技術/筑波大学大学院数理物質科学研究科冨重圭一准教授▽バイオマスからの水素製造技術動向/サッポロビール価値創造フロンティア研究所岡田行夫上級研究員」の記載がある。
(3)2008年12月15日付け「化学工業日報」の10ページには、「長崎総合科学大、バイオマス利活用で電力とメタノール併給」の見出しのもと、「長崎総合科学大学は、バイオマスのガス化発電によって得られる水素とCOを使いメタノールの合成を行う、小型高効率の電力・燃料併給プラントの技術開発にめどを得た。同大学では、九州沖縄農業研究センターと試作したバイオマスガス化発電プラントの実用化を進めており、これにメタノール合成装置を組み合わせた。すでに実証試験を行い、実用純度のメタノールを得ることに成功した。併せて移動式バイオメタノール製造プラント構想も立案しており、実用化されれば、バイオマス利活用でネックとされる設備・搬送コストの削減に貢献が期待される。」の記載がある。
(4)2008年12月3日付け「日刊工業新聞」の32ページには、「東京農工大、低濃度バイオエタノールから水素を高効率発生させる反応器を開発」の見出しのもと、「東京農工大学工学府の亀山秀雄教授らは、低濃度のバイオエタノールから家庭用燃料電池用の水素を高効率で発生させる反応器を開発した。水素と同時生成され反応の邪魔をする二酸化炭素(CO2)を吸着・除去する仕組みで、純度30%エタノールでも反応が進むようにした。自動車燃料に使うバイオエタノールは100%に近い高純度が必要で、精製に多大なエネルギーを消費する。これに対して今回のエネルギー利用効率は自動車燃料の4倍になるため注目されそうだ。・・・」の記載がある。
(5)2008年11月17日付け「FujiSankei Business i.」の9ページには、「【22世紀ビジネス】第1部 地球再生 北海道で“究極のリサイクル”」の見出しのもと、「■CO2出さずにカーボンナノチューブ 家畜の糞尿(ふんにょう)を原料に、先端分野向け新素材として期待される極細の炭素物質『カーボンナノチューブ(CNT)』と次世代エネルギーとされる水素ガスを生産する“究極のリサイクル”が北海道で動き出した。純度の高いCNTの生産に成功。工業向けに出荷が始まっており、次世代エネルギー・素材産業として羽ばたこうとしている。・・・」の記載がある。
(6)2008年11月13日付け「FujiSankei Business i.」の16ページには、「ガソリン高止まりの離島へ切り札 海藻から水素エネルギー」の見出しのもと、「海中を漂う海藻をバイオ資源として活用する動きに注目が集まっている。中でも、海藻をバクテリアが分解し水素を取り出し、環境にやさしい水素電池の燃料として活用する『海藻水素発電』の実現に期待が高まっている。輸送コストがかさむことで、ガソリンなど燃料価格の高止まりに苦悩する離島にとっては、エネルギー問題の打開策につながりそうだ。今年10月、島根県隠岐諸島にある海士(あま)町で開催された海藻資源の活用策を探るシンポジウム。横浜国立大教育人間科学部の谷生重晴教授はコンブやワカメを沖合で養殖し、バイオマス燃料として活用するアイデアを提案した。海藻水素発電はコンブやワカメなどに含まれるマンニトールという糖アルコールの一種を原料として活用する。バクテリアによってマンニトールを発酵させ、水素を取り出す仕組みだ。これによってコンブ1トンからガソリン24リットル分に相当する水素が、水素自動車用燃料として生産できるという。・・・」の記載がある。
(7)2008年9月17日付け「静岡新聞 朝刊」の17ページには、「家畜ふん尿をバイオガスに 発電への活用視野-富士宮市・東京農大共同実験」の見出しのもと、「富士宮市と東京農大などが共同で同市の星山浄化センターに設置したバイオガス発生試験プラントで十六日、家畜ふん尿を使ったバイオガス発生の実証実験が始まった。同プラントはバイオマス(生物資源)を発酵させるなどして、メタンガスや水素ガスを発生させる装置。発生したガスを発電に活用するなど、地域に適した資源循環システムの構築を目的に、東京農大などが平成十八年九月から実証実験を行っている。・・・」の記載がある。
(8)2008年9月10日付け「朝日新聞 西部地方版/熊本」の30ページには、「ススキからバイオ燃料 日米の大学、共同研究に着手 /熊本県」の見出しのもと、「日本生まれのススキやその仲間が新たなバイオマスとして注目されている。米イリノイ大学が北海道大学などとエタノール原料としての利用についての共同研究を開始。阿蘇ではガス化発電プラントの実験が進む。トウモロコシなど穀物を使うバイオ燃料の代替になりうるか。(中略)●阿蘇ではガス化発電実験 国内では阿蘇市でススキ利用の取り組みが進む。独立行政法人『新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)』の実験事業に採用され、同市のNPO法人九州バイオマスフォーラムが、昨年度からガス化発電プラントの運転を始めた。阿蘇の草原で、飼料などに使わない未利用地の草を刈り、ガス化炉で無酸素状態で熱して水素などの可燃性ガスを取り出す。これを燃やして発電、隣接する阿蘇市営の温水プールと温泉に電気と熱を供給する。ススキの生産量はヘクタール当たり5?10トン以上などの研究があり、木材などを上回る。フォーラムの中坊真事務局長は、乾燥させやすいことや収集運搬が簡便なこと、栽培コストの安さなども利点に挙げる。『国内には河川敷や道路敷の刈り草など活用できる資源が多くある。地域に合う地産地消のエネルギー利用ができるはず』と話す。」の記載がある。
(9)2008年7月11日付け「産経新聞 大阪朝刊」の9ページには、「学研都市の『RITE』 CO2削減 連携要請急増 先駆的技術に企業注目」の見出しのもと、「地球温暖化対策が急務の中、関西文化学術研究都市の地球環境産業技術研究機構(RITE)への企業からのアプローチが増加している。二酸化炭素(CO2)排出量削減で先駆的な技術開発に取り組んでいるためで、自動車、鉄鋼、化学などの産業が注目。共同研究や工場設備への技術導入などを求めて寄せられる問い合わせや打診は2年前のほぼ5倍に急拡大している。(中略)企業との連携は着実に増加していて、ホンダの研究・開発部門、本田技術研究所とは雑草原料から汎用樹脂であるポリプロピレンを合成する技術や、稲わらなどのバイオマスからバイオエタノールを高効率で生産する技術を研究。シャープとは、バイオマスから水素を高効率で取り出すことに成功していて、燃料電池システムへの応用を目指している。・・・」の記載がある。
(10)2008年3月25日付け「化学工業日報」の11ページには、「日本燃料電池、MCFCを国内で拡販、バイオガス発電提案」の見出しのもと、「丸紅の100%子会社である日本燃料電池は、溶解炭酸塩形燃料電池(MCFC)の国内市場開拓を強化する。バイオマス燃料への注目が高まるなか、有機系廃棄物から発生するガスを発電に利用するシステムが受け入れられて、03年の販売開始以来、国内で8件、海外で35件と順調に納入実績を伸ばしている。(中略)MCFCは、メタンガスをセルスタック内で改質し、生成した水素を電気化学反応により発電する。発電時は窒素酸化物や硫黄酸化物などの大気汚染物質の排出がほとんどなく、発電効率は47%を達成している。また、化石燃料や生ごみのメタン発酵プロセスなど多様な燃料による発電が可能。・・・」の記載がある。
(11)2008年3月20日付け「神戸新聞 朝刊」の11ページには、「タクマ 下水汚泥利用し発電 東京ガスとシステム開発 処理場に拡販へ」の見出しのもと、「タクマ 下水汚泥利用し発電 東京ガスとシステム開発 処理場に拡販へ 環境関連プラントのタクマ(尼崎市)は、下水処理で生じる汚泥を使って電力と熱を発生させ、エネルギーの有効活用を図る『下水汚泥ガス化発電システム』の販売に乗り出した。生物資源(バイオマス)として汚泥を活用できるため、全国の下水処理施設に拡販を目指す。システムは東京ガスと共同開発。汚泥の一部を燃やして水素や一酸化炭素などのガスに変え、このガスを燃やして発電する。さらに発電時の廃熱で蒸気を作り、汚泥を燃やす前の乾燥に使う。化石燃料の使用量を抑えられるため、二酸化炭素の排出削減にも寄与する。・・・」の記載がある。
(12)2008年3月18日付け「日本農業新聞」の39ページには、「間伐材や食品残さ利用 バイオディーゼル、メタノール/埼玉県が来年度、プラント整備」の見出しのもと、「埼玉県は来年度、間伐材や食品残さなどの未利用バイオマス(生物由来資源)からバイオディーゼル燃料と工業原料のバイオメタノールを造るプラントを整備する。バイオ燃料は穀物を使ったエタノールが先行するが、県は食料需要と競合しないことを重視。特殊な触媒を使って液体燃料を合成する全国初の試みとなる。燃料化事業は間伐材や剪定(せんてい)枝、県内の飲料工場から出るコーヒーかすを原料にする。将来は、家畜排せつ物も乾燥させた上で原料として使う方針だ。プラントで原料を粉砕し、1000度の高温で水素と一酸化炭素に分解してガス化。触媒を加え、バイオディーゼルやメタノールにする。・・・」の記載がある。
(13)2008年1月25日付け「化学工業日報」の10ページには、「横浜国大、バクテリアでバイオマス発酵、高速の水素生産技術確立」の見出しのもと、「横浜国立大学は産学連携体制の下、独自に探索したバクテリアを利用した高速水素発生システムを、2010年をめどに実用化させる。生ごみなどのバイオマスをバクテリアで発酵させ、水素を連続生産するもの。高速発酵のため、発酵槽はメタン発酵の数十分の一ですむ。来月から小型実証装置の本格運用をスタートし、セルロース系バイオマスを利用できるバクテリアの探索も引き続き行う。食品工場や自治体などに納入する事業化のスキームを描いており、定置型および自動車用燃料電池向けの水素エネルギーとして活用。酢酸エチルなどの代謝副産物を商品化できる副次的効果も得られる。・・・」の記載がある。
(14)2007年12月16日付け「中国新聞 朝刊」の解説には、「水素社会 到来の予感 中国地方」の見出しのもと、「水素社会 到来の予感 中国地方 次世代のクリーンエネルギーと期待される水素の活用が中国地方で広がってきた。家庭用燃料電池は本年度末までに百台を突破。山口県ではパイプラインで水素を直接、家庭に供給して発電する国内初の事業が始まり、マツダも水素ロータリーエンジン(RE)車を来年、初輸出する。だが、普及への鍵を握る水素の生産方法については、二酸化炭素(CO2)の排出やコストをどう抑えるかなど課題も多い。(編集委員室副室長・宮田俊範)(中略)水素の生産は、石油など化石燃料を改質して水素を取り出すか、水の電気分解が一般的だ。しかし、化石燃料には水素だけでなく炭素も含まれるためCO2が発生。電気分解も、電気を作るため発電所で石炭などを燃やしたのでは環境に悪い。このため中国地方では資源が豊富にあり、再生可能で大気中のCO2濃度に影響しない、木質バイオマスに着目した生産技術の開発が進んでいる。戸田工業(大竹市)は、炭化した木質バイオマスから水素を効率よく発生させる特殊な酸化鉄を開発。昨年四月には東京工大炭素循環エネルギー研究センターと共同で、その酸化鉄を活用して消費地で水素を生産するシステムも構築した。特殊な酸化鉄を混ぜ合わせ、蒸し焼きにして作った木炭から水素を分離する仕組み。消費地で高温にした木炭に水を当てると、発生した水蒸気から従来よりたくさんの水素が取り出せる。同社は『水素は取り扱いに注意が必要だが、木炭なら輸送も気軽にできるメリットがある』としている。産業技術総合研究所中国センター(呉市)と中国電力、広島大は〇四年、木材から高濃度の水素を生産する技術を開発。高温の水蒸気中で木くずと酸化カルシウムを反応させ、水素濃度80%以上のガスを生成する。・・・」の記載がある。
(15)2007年7月31日付け「共同通信」には、「公用車に水素自動車導入 経産省、中央官庁で初」の見出しのもと、「経済産業省は三十一日、水素を燃料とするマツダ製の自動車一台を公用車として八月一日から導入すると発表した。水素自動車は二酸化炭素(C〓(Oの横に小文字の2))の排出がゼロの環境対応車で、中央官庁での導入は初めて。地球温暖化対策を推進する経産省は他省庁にも導入を働き掛ける。今回導入するマツダの『RX-8』は、天然ガスやバイオマスから製造した水素を燃料に活用。排出するのは水蒸気のみで、大気汚染防止にも役立つという。」の記載がある。
(16)2007年3月27日付け「日刊工業新聞」の2ページには、「エネ庁、RPS法の施行令改正-小規模水力発電も『新エネ』に」の見出しのもと、「経済産業省・資源エネルギー庁は26日、電力会社に一定量の新エネルギー利用を義務づける『電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)』の施行令を改正し、小規模な水力発電や、バイオマスから取り出した水素を用いる燃料電池を『新エネルギー』と見なすと発表した。27日に閣議決定し4月1日に施行する。」の記載がある。
(17)2007年1月30日付け「日刊工業新聞」の37ページには、「京都市、バイオマスから水素を作り出すことに国内で初めて成功」の見出しのもと、「【京都】京都市は29日、生ゴミや紙類といったバイオマスから燃料電池の燃料である水素を作り出すことに国内で初めて成功したと発表した。プラントメーカー6社と大阪ガスで構成するバイオガス研究会や京都大学、環境省との共同研究。市では今回の成功を機に、2010年までにバイオマスを活用した燃料電池発電技術の実用化を目指す。実験(写真)では家庭からの生ゴミや紙類などと廃食用油燃料化施設で採集される廃グリセリンをメタン発酵槽で混合し、20日かけて発酵。発生したバイオガスを回収し、水蒸気や酸素と化学反応させる自己熱改質方式で水素に変換した。・・・」の記載がある。
2.「バイオマス水素」の文字が、本願の指定商品及び指定役務を取り扱う業界における取引の実際において使用されている事実について
(1)2007年8月14日付け「日刊工業新聞」の1ページには、「シャープなど、糖から水素の高効率取り出しに成功-独自菌体で実証」の見出しのもと、「シャープと地球環境産業技術研究機構(RITE)は共同で、セルロース系バイオマスから得たミックス糖(グルコース)から、水素を理論収率の50%で高効率に取り出すことに成功した。また、水素の取り出しスピードも容量1リットルのリアクター(反応器)から時間当たり20リットルで高速で行えることを実験設備で確かめた。バイオマスから水素を取り出すのは二酸化炭素(CO2)が発生しない究極の燃料電池システムに欠かせないテーマとされ、将来の実用化への技術的可能性を見いだした。今回、両者は遺伝子組み換えによる独自開発の菌体(大腸菌)を使用した。この菌体の入ったリアクターに糖を投入し、水素を発生させる。糖から水素の取り出し可能値(理論収率)は糖1モル(180グラム)当たり4モル。実験ではこの値の50%までの収率で水素を得ることに成功した。また容量1リットルのリアクターに200グラムの菌体を入れ、糖を投入することで時間20リットルの水素を作ることができた。シャープとRITEはこれまで糖を原料とするギ酸をモデルとして、水素を得る実証をしてきたが、今回初めて糖から水素を高効率で取り出すことを基礎的な段階ながら実証した。米国ではバイオエタノール生産のコストダウンに向け、セルロース系から糖を安価に確保するための開発が進んでいる。また、セルロース系バイオマスの糖から水素を取り出すことはCO2を発生しない燃料電池システム向けとしても将来の実用化が期待される。今後、さらに収率を上げる開発を進める一方、長期連続運転を行い、バイオマス水素の実用化段階を目指す。」の記載がある。
(2)2001年3月9日付け「化学工業日報」の12ページには、「NEDO、19件を助成へ、環境保全技術開発」の見出しのもと、「NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は温室効果ガス排出削減のための革新的な技術開発や技術開発シーズの探索を行う研究者・事業者に対して助成金を公布する『地球環境保全技術開発事業費補助金』の助成事業者・助成研究者十九件を決定した。今回決定した十九件の助成事業者・研究者とその研究開発テーマは次の通り。〔革新的技術開発シーズの探索〕(1)東京農工大学/CO2抑制型高効率火力発電システムのための低付着性・高強度CO2吸収セラミックス粒子の開発(2)長岡技術科学大学/廃棄物埋め立て地内での温室効果ガス放出の分子生物学診断手法とそれに基づくエミッション低減化のための埋め立て地管理技法の開発(3)山梨大学/新型高性能電極を用いた低温作動固体酸化物型燃料電池(4)熊本大学/吸着式デシカント空調プロセスの高度化による夏季電力需要に起因したCO2排出量の削減(5)大阪大学/炭酸ガスの過剰排出抑制を実現する炭酸ガスセンサーに関する技術(6)東京工業大学/自己熱再循環型バイオマス水素リッチガス化によるCO2削減・・・」の記載がある。
(3)「http://new-energy.jp/blog/archives/2006/01/post_304.html」のWebサイトには、「新エネルギー新聞」の見出しのもと、「2006年01月23日『バイオマス水素の展望』東大・堤助教授」の項において、「・・・ー先生は『バイオマス水素』を研究されてますが。堤 バイオマス水素と普通言われているのは、二つのちょっと違った意味があると思います。一つは光触媒、バイオマス発生菌のようなバイオマスを分解させながら水素を出す菌などを使った水素精製品のような、生物的手法でやるのがひとつ『バイオマス水素』と言われています。一方、私などが言っている『バイオマス水素』は、バイオマスをガス化する、あるいはメタン発酵でもアルコール発酵でもいいのですが、そこから『水素』に転じます。特にガス化というのはCO水素ですから、COと水素ができますから、これは簡単に水素に転換できる。もっとラフに言えば、ガス化というのは水素にすることなのです。そういった意味で、石油、灯油、あるいは天然ガスから水素を作るより、化学的にはバイオマスからガス化、水素にするほうが簡単なのです。この方法だと温度レベルがかなり低く六〇〇度ぐらいでガス化することが出来るのです。燃料電池の場合は、多分バイオガスですね。バイオガスというのは嫌気発酵で、ガスの中の六割ぐらいはメタンなのです。メタンですから、天然ガス、都市ガスと同じでそれを改質して水素にする。そういった意味では都市ガスからとほとんど同じになります。」の記載がある。
(4)「http://www.nims.go.jp/ecomaterial/center/eventinfo/info/tekko060208.html」のWebサイトには、「シンポジウム 『バイオマス水素、廃棄物水素の可能性』(社)日本鉄鋼協会 環境エネルギー工学部会 (社)化学工学会 エネルギー部会」の見出しの記載がある。
(5)「http://www.eco-webnet.com/biomass2007.html」のWebサイトには、「eco-webnet.com」の見出しのもと、「バイオマス総合展2007」の項において、「展示内容」中、「■バイオマスエネルギー関係 メタン発酵設備装置、BPF装置、エタノール化装置、バイオマス水素、炭化・乾燥装置、ペレットストーブ関係 等」の記載がある。
(6)「http://jpo.dreamblog.jp/」のWebサイトには、「株式会社 日本計画機構 JAPAN PLANNING」の見出しのもと、「Think Tank & Global Do Tank」の項において、「バイオマス水素プロジェクト(BLUEプロジェクト)始まりました!BLUEプロジェクトは、バイオマス資源から化学的に水素を抽出するシステムによって、クリーンな方法で水素の安定供給を目指すプロジェクトです。」の記載がある。
(7)「http://www.rite.or.jp/Japanese/labo/biseibutsu/06/abstract/040315.html」のWebサイトには、「講演詳細 『第1回新エネルギーシンポジウム?水素エネルギー集中討議?』」の見出しのもと、「題 目: 水素製造の1方法?バイオマス水素」の記載がある。
(8)「http://ec.nikkeibp.co.jp/item/backno/EC0084.html」のWebサイトには、「日経BP書店」の見出しのもと、「日経エコロジー2006年6月号 2006年6月号 no.084 5月8日発行」の内容紹介として、「テクノロジーを知る」の項において、「新エネルギー [バイオマス水素製造] 化石燃料に依存しない農林業廃棄物で高純度を実現(046p)」の記載がある。

第3 当審の判断
当審において、請求人に対し、上記第2に記載のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨の拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、請求人からは、何らの意見、応答もなかった。
そして、上記第2に記載の拒絶の理由は、妥当なものであるから、本願商標は、その理由により拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2009-06-16 
結審通知日 2009-06-19 
審決日 2009-06-30 
出願番号 商願2007-94836(T2007-94836) 
審決分類 T 1 8・ 13- WZ (X01044042)
T 1 8・ 272- WZ (X01044042)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小川 敏 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 杉本 克治
田村 正明
商標の称呼 バイオマススイソ、バイオマス、スイソ、マススイソ、マス 
代理人 堀口 浩 

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