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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X29 |
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管理番号 | 1203724 |
審判番号 | 不服2008-27925 |
総通号数 | 118 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2009-10-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-10-31 |
確定日 | 2009-08-12 |
事件の表示 | 商願2007-114649拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 本願商標 本願商標は、「牛火鍋」の文字と「ギュウヒナべ」の文字とを上下2段に横書きしてなり、第29類「牛肉,牛肉と加工野菜からなる鍋料理用詰め合わせ材料,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,鍋料理の素,カレー・シチュー又はスープのもと」を指定商品として、平成19年11月12日に登録出願されたものである。その後、指定商品については、原審における同20年7月18日付け提出の手続補正書により、第29類「牛鍋のもと」に補正されたものである。 第2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「『牛火鍋』『ギュウヒナベ』の文字を2段に書してなるところ、構成中の『火鍋』は、『焜炉のついている鍋』を指称することから、これを本願指定商品の『牛肉を使用した商品』に使用したときは、『牛肉を原材料としてなる鍋料理』であることを理解させるにすぎず、単に商品の品質(原材料・用途)を表示したものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 第3 当審における証拠調べ通知 当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、下記の事実を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき請求人に通知し、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。 記 本願商標は、「牛火鍋」の文字と「ギュウヒナべ」の文字とを上下2段に横書きしてなるところ、本願商標を構成する「牛」、「火鍋」の文字に関して行った職権による証拠調べによれば、例えば、以下のように、「具材」と「火鍋」を組み合わせた鍋料理が中華料理のメニューにあり、また、指定商品を取り扱う業界において、「鍋」の文字は、例えば、「キムチ鍋」、「牡蠣鍋」、「蟹鍋」、「鳥(鶏)鍋」等の用例の如く、具材の名称(キムチ、牡蠣、蟹、鳥(鶏))に付して、その具材を使用した鍋料理を表す語として一般に使用されているものである。 そうとすれば、本願商標をその指定商品「牛鍋のもと」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「牛肉を具材とした鍋料理(中国人の食文化において広く知られる鍋料理)のもと」程の意味の商品の品質を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないものであると認められる。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。 1 「牛」及び「火鍋」の各文字について (1)「牛」の意味は、「ウシ目(偶蹄類)ウシ科の一群の哺乳類の総称。牛肉。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版) (2)「火鍋」の意味は、「中国人の食文化において広く知られる鍋料理。中国大陸に限らず、台湾、シンガポールなどの華僑社会でも食され、その他日本やアメリカなど世界の中華街や、火鍋専門店などの中華料理店においても提供されている。現代の中華料理店や火鍋専門店で提供される火鍋は、中央を太極の「陰陽」に見立てて仕切った金属製の丸鍋の中に、白湯(パイタン)と呼ばれる白濁のスープと、唐辛子や山椒など調味料を沢山入れた辛い味付けの紅湯の麻辣(マーラー)スープの2種類を別々に入れて煮立て、好みの食材を好みのスープに入れて煮て食べる形が多く見受けられる。」(フリー百科事典 ウィキペディア(Wikipedia)) 2 「具材」+「火鍋」の文字が、「具材を使った鍋料理。」の意味合いをもって、鍋料理に使用されている事実。 (1)「リゾートダイニング アジアンシーズン 柏店」のウェブサイトにおいて、「アジアン『鶏鍋』」の見出しの下に「鶏タイスキ(タイ) 鶏火鍋(中国) 鶏キムチチゲ(韓国) ぷりぷり鶏肉のアジア鍋を召し上がれ」、「アジアン『牡蠣鍋』」の見出しの下に「牡蠣タイスキ(タイ) 牡蠣火鍋(中国) 牡蠣キムチチゲ(韓国) 『牡蠣』と『アジア』のコラボレーション 最高に『おいしい』です!!」との記載がある。(http://r.gnavi.co.jp/a247702/menu4.htm) (2)「四川火鍋 銀座天丹 秋葉原店」のウェブサイトにおいて、「火鍋セット」の見出しの下に「豚ロース火鍋セット、ラム(子羊)火鍋セット、黒豚火鍋セット、津軽鶏火鍋セット、牛ロース火鍋セット、合鴨火鍋セット、海鮮火鍋セット、猪肉火鍋セット」との記載がある。(http://r.gnavi.co.jp/g057735/menu3.htm) (3)「鶏や梵」のウェブサイトにおいて「上記宴会コースは・・・」の見出しの下に「鍋物:鶏だんごのみぞれ鍋orキャベツと白もつのキムチ火鍋」との記載がある。(http://www.bon-inc.com/cgi-bin/bon/siteup.cgi?category=3&page=0) (4)「鴛鴦火鍋苑」のウェブサイトにおいて、「中国カレー火鍋&伝統の刀削麺」の見出しの下に「火鍋専門鴛鴦火鍋苑では中国で大人気のカレー火鍋をいちはやくリリース。コクのある門外不出のダシに色鮮やかでスパイシーなカレーが溶け合い、新鮮なお肉、海鮮、豆腐、野菜をいれると素晴らしい味わいに。」との記載がある。(http://r.gnavi.co.jp/k319802/menu5.htm) (5)「火鍋・創作料理 四川厨房 SPOON」のウェブサイトにおいて、「カレー火鍋」の見出しの下に「チャイニーズテイストのカレー火鍋は箸がとまらないほどの旨さ!刺激的な味です!!」との記載がある。(http://www.hotpepper.jp/A_20100/strJ000023225.html) (6)「Oriental Restaurant and Bar Chaga Chaga」のウェブサイトにおいて、「柔らかいラムの火鍋の食べ放題が登場!!!アミノ酸、ビタミンたっぷり!!」の見出しの下に「様々な薬膳香辛料やコラーゲンを豊富に含み、美容鍋としても名高い『火鍋』は、【超辛旨火鍋】【中辛旨火鍋】【カレー火鍋】の3種類あり、お好みで選べる!」との記載がある。(http://www.hotpepper.jp/A_20100/strJ000703321.html) (7)「美肌薬膳火鍋 笑龍 恵比寿店」のウェブサイトにおいて、「野菜ソムリエきのこ火鍋(2名様より)」の見出しの下に「美肌・デトックスなど、お肌と身体にやさしい期待される食効を丹念に仕上た薬膳スープです。」との記載がある。(http://r.gnavi.co.jp/g785600/menu3.htm) (8)「週刊デトックス」のウェブサイトにおいて、「主役の火鍋登場」の見出しの下に「いよいよ主役の火鍋登場です。その名も【体にやさしい免疫きのこ火鍋】。鶏、豚骨や野菜などををベースにした白湯スープとその白湯スープをベースに、なつめ、桂皮、月桂樹、八角、人参などの漢方を加えた赤いスープに別れています。」との記載がある。(http://www.detoxpress.com/report/cat86/post_3.php) (9)「陳麻婆火鍋店」のウェブサイトにおいて、「四川火鍋メニューのご案内」の見出しの下に「『野菜火鍋』たっぷり野菜のシンプルな火鍋、『豆腐・湯葉火鍋』豆腐・湯葉・野菜のヘルシーで健康志向な火鍋、『和牛火鍋』和牛・豚バラ・ラムのジューシーな火鍋」、『海鮮火鍋』魚介の旨味が楽しめる贅沢な火鍋」との記載がある。(http://r.gnavi.co.jp/g083538/menu2.htm) (10)「火鍋厨房 銀座 麒麟」のウェブサイトにおいて、「?ランチ火鍋セット?」の見出しの下に「豚肩ロース火鍋セット、軟らかラム肉火鍋セット、旨み牛肩ロース火鍋セット、特選黒豚火鍋セット、上質ラムフィレ肉火鍋セット、特選国産牛リブロース火鍋セット」との記載がある。(http://r.gnavi.co.jp/g987402/menu7.htm) (11)「和食無門(むもん)」のウェブサイトにおいて、「ばんのおこんだて(価格は税込みです)」の見出しの下に「黒豚火鍋・辛(うどんまたは雑炊付)」との記載がある。(http://www.mumon.kyoto.walkerplus.com/menulist_main.html) (12)「火鍋 ジンギスカン 韓国料理 ジンギス韓」のウェブサイトにおいて、「火鍋」の見出しの下に「【要予約】あんこう火鍋 あんこうを火鍋で食べれるのは当店だけ!!冬季限定メニュー!!」との記載がある。(http://r.gnavi.co.jp/n236300/menu6.htm) (13)「秋田料理 酒呑童子」のウェブサイトにおいて、「秋田郷土料理」の見出しの下に「『きりたんぽ火鍋』酒呑オリジナル(辛さ調整OK)」との記載がある。(http://r.gnavi.co.jp/b043100/menu2.htm) (14)「イチボシ株式会社」のウェブサイトにおいて、「かに火鍋」の見出しの下に「生素材では、かにの味が負けてしまいますが、キムチ、ミソ、豆乳かに鍋等には、ボイルをお薦めいたします。」との記載がある。(http://www.ichiboshi.co.jp/crabs/details/item03.html) 第4 職権証拠調べに対する意見の要点 請求人は、「『火鍋』に関し、指摘のような使用例が散見される。本願商標は、『牛火鍋』の文字のみではなく、上段に漢字で『牛火鍋』、下段に片仮名で『ギュウヒナベ』と配した構成よりなるものである。これらの文字は外観上まとまりがよく、『ギュウヒナベ』の称呼も冗長でなく、澱みなく一気一連に称呼されるものであり、これに接した需要者、取引者はこれを一連不可分の造語として認識すると考えるのが自然であるから、構成全体をもって自他商品の役目を十分果たし得るものである。」旨述べている。 第5 当審の判断 本願商標は、前記第1のとおり、「牛火鍋」の文字と「ギュウヒナべ」の文字とを上下2段に横書きしてなるところ、その構成中の「牛」及び「ギュウ」の文字は、「ウシ目(偶蹄類)ウシ科の一群の哺乳類の総称。牛肉。」の意味を有し、また、「火鍋」及び「ヒナべ」の文字は、「中国人の食文化において広く知られる鍋料理」の意味を有するものである。 そして、前記第3の証拠調べ通知によって示したとおり、「具材名」と「火鍋」の文字を組み合わせた「○○火鍋」の文字が、中国料理の鍋料理を表す語として相当数使用されており、また、指定商品を取り扱う業界において、「鍋」の文字は、例えば、「キムチ鍋」、「牡蠣鍋」、「蟹鍋」、「鳥(鶏)鍋」等の用例の如く、具材の名称(キムチ、牡蠣、蟹、鳥(鶏))に付して、その具材を使用した鍋料理を表す語として一般に使用されているものである。 そうとすれば、本願商標をその指定商品「牛鍋のもと」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「牛肉を具材とした鍋料理(中国人の食文化において広く知られる鍋料理)のもと」であること、すなわち、商品の品質を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないものと判断するのが相当である。 なお、請求人は、上記第4において、本願商標は、漢字『牛火鍋』と片仮名で『ギュウヒナベ』と配した構成からなり、一連不可分の造語として認識されるのが自然であるから、十分に自他商品の識別力を有する旨主張しているが、本願商標における「ギュウヒナべ」の文字は、前記認定のとおりの意味を理解させるにとどまる「牛火鍋」の文字の読みを片仮名で表したものと認識されるにすぎず、本願商標が全体として、これに接する取引者、需要者をして、指定商品の品質を表示したものとして認識させることに変わりはないというのが相当である。 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、これを登録することはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2009-06-04 |
結審通知日 | 2009-06-12 |
審決日 | 2009-06-23 |
出願番号 | 商願2007-114649(T2007-114649) |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(X29)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 吉田 静子 |
特許庁審判長 |
渡邉 健司 |
特許庁審判官 |
平澤 芳行 杉山 和江 |
商標の称呼 | ギュウヒナベ、ギューヒナベ、ヒナベ |
代理人 | 神保 欣正 |