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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 X25 審判 一部申立て 登録を維持 X25 |
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管理番号 | 1202183 |
異議申立番号 | 異議2008-900498 |
総通号数 | 117 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2009-09-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2008-12-19 |
確定日 | 2009-08-03 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5167943号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5167943号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5167943号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成20年2月21日に登録出願され、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,サーフィン用ウエットスーツ,ボディボード用ウエットスーツ,ウインドサーフィン用ウエットスーツ,ウェークボード用ウエットスーツ,水上スキー用ウエットスーツ,その他の運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同年9月19日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立ての理由の要旨 (1)引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する国際登録第917928号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、第9類、第18類及び第25類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、2005年9月29日イタリア国においてした商標登録出願に基づき優先権を主張して、2005年11月7日に国際登録、そして、我が国において平成20年3月21日に設定登録されたものである。 (2)商標法第4条第1項第11号の該当性について (ア)外観の類否について 本件商標は、黒色肉太線からなり、縦線を共有し逆向きに配された2つの欧文字「R」を、左斜め約45度に傾斜させた図形からなる。 引用商標は、左右両端部に、黒色肉太線からなる欧文字「RA」、「ER」をそれぞれ配し、中央部には、円輪郭の中に縦線を共有し逆向きに配された2つの欧文字「R」を左斜め約45度に傾斜させた図形を配してなり、引用商標の図形部分は、構成全体から独立して自他商品識別機能を果たし得る。 そして、本件商標と引用商標とは、黒色肉太の縦線を共有し逆向きに配置された2つの「R」を、左斜め45度に配している点を共通にしている。 一方、両者は、外輪郭を有しているか否か、「R」の態様、及び図形を構成している線種、が相違している。 しかし、時と処を異にして隔離的に観察した場合には、取引者・需要者が常に図形の細部まで正確に記憶しているとは言い難く、両者は、逆向きに配された2つの「R」からなる図形を表している点において極めて酷似したものと言えるのであって、その構成の軸を一にするものであり、その点こそが、需要者・取引者の連想及び記憶に強く印象づけられるものであり、共通した印象と言える。 したがって、本件商標と引用商標は外観上相紛れるおそれのある類似の商標である。 (イ)称呼の類否について 本件商標は、左45度に傾斜され、逆さに組み合わせてなる2つの欧文字「R」から構成されているから、「ダブルアール」の称呼が生じる。 これに対し、引用商標は、その図形部分が、2つの半円弧に囲まれ、左45度に傾斜された逆さに組み合わせてなる2つの欧文字「R」から構成されている。よって、甲第2号証からも「ダブルアール」の称呼が生じる。 したがって、両商標からは「ダブルアール」の称呼が生じ得るため、称呼上も類似する商標である。 (ウ)本件商標と引用商標は、その指定商品も同一又は類似のものである。 (3)結語 以上のとおり、本件商標と引用商標は、外観及び称呼において同一又は類似する商標である。また、引用商標の指定商品と本件商標の指定商品は同一又は類似のものである。 したがって、本件商標をその指定商品中、「被服(和服を除く),ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物(靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具を除く),サーフィン用ウェットスーツ,ボディボード用ウェットスーツ,ウインドサーフィン用ウェットスーツ,ウェークボード用ウェットスーツ,水上スキー用ウェットスーツ,その他の運動用特殊衣服,運動用特殊靴」に使用した場合には、引用商標と相紛れるおそれがあり、商標法第4条第1項第11号に該当し、商標登録は認められないものものである。 3 当審の判断 本件商標の商標法第4条第1項第11号の該当性について検討する。 (1)外観について 本件商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、中央部分が十文字に交差する幾何図形よりなる商標との印象を受けるのに対し、引用商標は、別掲2のとおりの構成よりなり、左に「RA」の欧文字を、右に「ER」の欧文字の鏡文字を太く描かれた同じ書体で配し、これらの間に一文字相当分の大きさでやや細線による丸い形状の図形を配してなるものであって、また、中央部の図形が「O」の欧文字を想起させる全体がバランスよく一体的に表された構成であるため、全体としては文字商標としての印象を強く受けるものであるから、両者は、構成全体としての外観においては、顕著な差異を有し、別異の構成よりなるものと認められる。 申立人は、引用商標はその中央部に表された図形が他の構成部分より独立して自他商品の識別力を有するとし、同図形部分と本件商標とは外観において類似する旨主張している。 しかしながら、引用商標は、構成全体をもって一体的に看取されるものであり、また、本件商標の指定商品は、被服等の日常的に使用され、常に高い注意力を持って購入するものではない商品であることなどを併せ考慮すると、引用商標の図形部分が、他の構成部分より独立して自他商品の識別力を有するというほど取引者に強い印象を与え記憶されるとは解されないものである。 仮に、引用商標の図形部分が要部となり得るとしてみた場合、本件商標は輪郭線を有しないのに対して、引用商標の図形部分は、左斜め上と右斜め下に間隔を有する円輪郭とその内部に配された図形部分とからなり、この円輪郭線はその内部図形を表す線よりもわずかながら太い線で表され、全体が一体的に図案化されたものであるから、本件商標と引用商標とは、円輪郭の有無において顕著な差異を有し、また、本件商標は中央部で複数の線が十文字に交差しているのに対し、引用商標は複数の線で表されているのではなく、接触したり交差することがない一本の線で連続する曲線として描かれた構成であり、この点においても構成の軌を一にすると認識されるものではないから、両者は、外観上において明確に区別し得るものである。 そうすると、本件商標と引用商標は、外観上において、両者の全体から受ける印象は全く異なるものといわざるを得ないから、本件商標と引用商標とを時と所を異にして観察した場合にも、両者は相紛れることなく判然と区別し得るものである。 (2)称呼及び観念について 申立人は、本件商標及び引用商標の円輪郭内の図形部分からは、ともに左45度に傾斜して逆さに組み合わせた2つの欧文字「R」で構成されているから、いずれも「ダブルアール」の称呼が生じ、両商標は、称呼上も類似する商標である旨主張している。 しかしながら、本件商標及び引用商標の円輪郭内の図形部分が、左45度に傾斜して逆さに組み合わせた2つの欧文字「R」で構成されていると一般的に認識し得ないばかりでなく、このような組み合わせた図形が「ダブルアール」と一般に称呼されている事実も立証されておらず、しかも引用商標の円輪郭内の図形部分が他の構成部分より独立して自他商品の識別力を有するとは認められないから、両商標よりいずれも「ダブルアール」の称呼が生じ両商標は称呼上類似する商標である、とする申立人の主張は、採用することができない。 そして、本件商標及び引用商標は、いずれも特定の称呼及び観念を生じないものと認められるから、称呼及び観念において比較すべくもない。 そうとすれば、本件商標と引用商標とは、その称呼、外観及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわざるを得ない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)以上のとおり、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 (1)本件商標 (2)引用商標 |
異議決定日 | 2009-07-14 |
出願番号 | 商願2008-12444(T2008-12444) |
審決分類 |
T
1
652・
261-
Y
(X25)
T 1 652・ 262- Y (X25) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 菅沼 結香子、金子 尚人 |
特許庁審判長 |
芦葉 松美 |
特許庁審判官 |
内山 進 岩崎 良子 |
登録日 | 2008-09-19 |
登録番号 | 商標登録第5167943号(T5167943) |
権利者 | 株式会社イナポリ・トレイディング |
商標の称呼 | アアルアアル |
代理人 | 木村 純平 |
代理人 | 特許業務法人原謙三国際特許事務所 |
代理人 | 藤森 裕司 |
代理人 | 飯島 紳行 |