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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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取消2007300657 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z01 |
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管理番号 | 1202153 |
審判番号 | 取消2006-66005 |
総通号数 | 117 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2009-09-25 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2006-08-08 |
確定日 | 2009-05-08 |
事件の表示 | 上記当事者間の国際登録第761078号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 国際登録第761078号商標の指定商品中「Chemicals used in industry,science,photography,as well as in agriculture,horticulture and forestry;fire extinguishing compositions;metal tempering and soldering preparations;chemical substances for preserving foodstuffs;tanning substances.」については、その登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件国際登録第761078号商標(以下「本件商標」という。)は、「T-PAR」の文字を表してなり、2000年10月31日にFranceにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して2001年4月30日に国際登録され、第1類「Chemicals used in industry,science,photography,as well as in agriculture,horticulture and forestry;unprocessed artificial resins,unprocessed plastics;fertilizers,fire extinguishing compositions;metal tempering and soldering preparations;chemical substances for preserving foodstuffs;tanning substances;adhesives used in industry.」を指定商品として、平成15年8月1日に設定登録されたものである。 2 請求人の主張の要点 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を以下のように述べている。 (1)請求の理由 本件商標は、その指定商品中「Chemicals used in industry,science,photography,as well as in agriculture,horticulture and forestry;fire extinguishing compositions;metal tempering and soldering preparations;chemical substances for preserving foodstuffs;tanning substances」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである。 (2)答弁に対する弁駁 (ア)被請求人は、本来的に通常の取引市場において商標使用の証拠として用いられる取引書類(見積書、注文書、請求書、伝票書、領収書、インボイスなど)を一切提出することなく、本件商標「T-PAR」についての使用事実を立証するために乙第1号証ないし乙第11号証の11に示す各種証拠を提出している。 しかしながら、これら証拠資料は、いずれも本件審判請求に係る商品についての商標としての使用事実を何ら立証するものではなく、商標の使用の客観的、合理的な実質的要件を全く欠いたものであり、その証拠価値において脆弱かつ不備であると言わざるを得ない。 そこで、以下に被請求人の提出する証拠について詳細に検討し使用証拠としては不適である点について詳述する。 (イ)乙第1号証の1ないし乙第2号証の2 乙第1号証は、被請求人TECHNIP社のネット上のホームページ中の「TECHNIP」のカタログであり、乙第1号証の2は、乙第1号証の1の1枚目・2枚目・5枚目の和訳である。 乙第2号証の1は、被請求人の発行するカタログであり、乙第2号証の2は、乙第2号証の1の1枚目・2枚目・5枚目の和訳である。 ここで、被請求人は、これら証拠を提示し「ウェブサイトを通じて2001年より引き続き現在まで被請求人により日本市場に流布されている被請求人テクニップ社の日本に向けられた『T-PARアセチレン』製品及びその他のカタログである(答弁書3頁15行?18行)」及び「カタログ冊子としても日本の顧客に対して被請求人により200年より今日まで継続している旨配布されている(答弁書3頁19行?21行)」旨主張する。 しかしながら、これら証拠のいずれからも日本に向けられたカタログや冊子であることを証明する客観的記載は見受けられないばかりでなく、これら証拠には該カタログ等が「日本において現地商社を通じて顧客に配布されている(答弁書3頁21行・22行)」ことを証明する客観的記載も全く存在しない。 そもそも、乙第1号証の1及び乙第2号証の1の12枚目には被請求人は、「フランス」「イタリア」「ベネルクス」「ドイツ」「マレーシア」「アメリカ合衆国」に関連企業を有するとの記載があるにもかかわらず、「日本」についての記載は一切なく、日本における使用を証明する証拠として極めて証拠価値の低いものと考えるのが極自然である。 また、被請求人は、これらの証拠に「T-PARアセチレン」化学製品の宣伝・紹介がなされており、「T-PAR」を使用しているが如き主張しているが、これら証拠には、その文言は一切存在せず、化学品の処理プロセスとして「T-PAR PROCESS(プロセス)」が紹介されているに過ぎず、決して使用証明に係る商品(工業用・科学用・写真用・農業用・園芸用及び林業用の化学品,未加工人造樹脂,未加工プラスチック,肥料,消火剤,金属の焼戻し剤及びはんだ付け剤,食品保存用化学剤,なめし剤,工業用接着剤)の商標の使用についての証拠価値を裏付ける何物も存在しないと言わざるを得ない。 ましてや、乙第1号証の1及び乙第2号証の1の2枚目以降における本件商標の記載は、前記商品との具体的関連性が極めて希薄な態様での記載であり、前記商品についての商標の使用とは到底言えるものではない。 (ウ)乙第3号証ないし乙第5号証 乙第3号証の1は、被請求人が2005年11月7日から9日に上海で開催したセミナーで配布したプレゼンテーション用の資料であり、乙第3号証の2は、乙第3号証の1の1枚目・2枚目・8枚目の和訳である。 乙第4号証は、被請求人が2005年4月26日から28日にアラブ首長国連邦ドバイで開催したセミナーで配布したプレゼンテーション用の資料であり、乙第5号証は、被請求人が2002年3月10日から14日にアメリカ合衆国ロスアンゼルスにて開催したセミナーで配布したプレゼンテーション用の資料である。 ここで、被請求人は、上記証拠を提示し「特に日本に対し積極的に『T-PARプロセス』及び『T-PARアセチレン』製品を宣伝・紹介している(答弁書10頁14行?16行)」旨主張する。 しかしながら、上記証拠のいずれからも日本の顧客が上記セミナーに参加した事実を証明する客観的記載は見受けられないばかりでなく、日本の顧客が上記セミナーに参加したという事実や証拠で示されたプレゼンテーションの資料により、日本国内において当該請求に係る商品に本件商標を使用している事実を何ら示すものではない。 また、被請求人は、これらの証拠に「T-PAR」が化学製品の商品名であると紹介され、宣伝しているが如き主張するが、上記証拠にからは、前記商品についての商標の使用があるという具体的・客観的記載も全く存在しない。 (エ)乙第6号証及び乙第7号証 乙第6号証は、被請求人のインターネット上のホームページの1部(全部で約1000頁あり、その1部のみ)であり、乙第7号証は、乙第6号証中の「最近のプレゼンテーション」の頁である。 ここで、被請求人は、上記証拠を提示し「被請求人は、同ウェブサイトで日本や中国を含む東南アジアへの宣伝に力を入れており、被請求人のウェブサイトで本件『T-PARアセチレン』製品の宣伝が日本に向けても強力に行われている(答弁書3頁15行?18行)」旨主張する。 しかしながら、上記証拠のいずれからも、日本国内に向けて本願商標が付された当該請求に係る商品についての宣伝広告がなされているという事実を証明する客観的記載は全く存在しない。 (オ)乙第8号証の1ないし乙第8号証の3 乙第8号証の1ないし乙第8号証の3は、それぞれインターネット検索サイト「YHOO!JAPAN」において「テクニップ」「千代田化工 テクニップ」「三菱商事 テクニップ」で検索した結果である。 ここで、被請求人は、上記証拠を提示し「被請求人は日本においても著名で(答弁書2頁20行)」あり、日本の千代田化工建設や三菱商事、住友化学他の「日本の会社とカタールやシンガポール等で共同事業を幅広く展開している(答弁書2頁24行・25行)」旨主張する。 しかしながら、インターネットによる検索で322件程度検出されたことをもって被請求人の企業が日本で著名であると主張することはともかくとして、これらは何ら本件商標の使用を立証するものではなく、しかも、日本の会社と海外における共同事業をもって、日本における当該請求に係る商品に本件商標を使用している事実を証明できるものではない。 (カ)乙第9号証 乙9号証は、インターネット検索サイト「YHOO!JAPAN」におけるvalspar Composites社の「T-PAR樹脂」の説明の頁である。なお、乙第9号証の1枚目及び2枚目は、5枚目の翻訳と思われる。 ここで、被請求人は、上記証拠を提示し「『T-PAR』プロセスにて製造されたアセチレンは『T-PARアセチレン』と称される(答弁書6頁1行・2行)」旨を主張している。 しかしながら、上記証拠からそのような事実を読み取ることのできる客観的記載は全く存在しない。 そもそも、上記証拠1枚目及び2枚目は、日本語のホームページがない故に、5枚目をインターネット上の翻訳機能を使って簡易に直訳したものと思われ、尚且つ、その和訳も日本語として不適切な和訳がなされており、証拠価値として極めて低いものである。 また、上記証拠記載の説明は、日本において当該請求に係る商品に本件商標を使用しているか否かとは無関係の事実であり、使用事実を立証する証拠として全く不適である。 (キ)乙第10号証ないし乙第11号証の11 乙第10号証ないし乙第11号証の11は、(a)国際登録第761078号商標の書誌情報及び商標(特許庁ホームページ「特許・商標情報サービス」のデータによる)、(b)フランスにおける商標「T-PAR」の登録証明書、(c)大韓民国における商標「T-PAR」の登録証明書、(d)アメリカ合衆国における商標「T-PAR」の登録情報(アメリカ合衆国特許庁ホームページ)、(e)カナダにおける商標「T-PAR」の登録証明書、(f)アラブ首長国連邦における商標「T-PAR」の登録証明書、(g)インドにおける商標「T-PAR」の登録証明書、(h)イランにおける商標「T-PAR」の登録証明書、(i)世界知的所有権機関における商標「T-PAR」の登録証明書、(j)マレーシアにおける商標「T-PAR」の登録証明書、(k)カタールにおける商標「T-PAR」の登録証明書、(l)台湾における商標「T-PAR」の登録証明書である。 被請求人は、上記証拠により本件商標が全世界において単に出願・登録されていることを提示しているにすぎず、日本において当該請求に係る商品に本件商標を使用しているか否とは無関係な事実である。 (ク)以上の通り、被請求人は、本件審判請求に係る商品について本件商標を日本国内で使用している客観的かつ実質的な証拠資料を一切提出していないものである。 (ケ)したがって、被請求人の提出する各証拠資料は、いずれも本件審判において使用立証の証拠としては採用される余地の全くないものであることは明白であり、本件商標を当該請求に係る商品に使用していないことは明らかである。 よって、審判請求人は、請求の趣旨のとおりの審決をいただきたく、ここにお願いする次第である。 3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁及び弁駁に対する答弁をし、その理由を以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第12号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)被請求人TECHNIP(テクニップ)社は、フランス国クールブヴォワ F-92400,ZACダントン,フォープール ドゥ ラルシェ,アレ ド ラルシェ,6-8番地に本店を有するフランスを代表する世界有数のエンジニアリング企業で液化天然ガス(LNG)及びエチレン・アセチレンを主とする石油化学品の製造プラントの会社で、フランス(パリ)及びアメリカ合衆国(ニューヨーク)で上場しており、その売上高は2005年には5,376百万ユーロ(約8,060億円)に達している(乙6)。 被請求人は日本においても著名で、「テクニップ」でネット検索すると322件ヒットし(乙8の1)、日本の千代田化工建設(「千代田化工 テクニップ」で検索すると約140件ヒットする(乙8の2))、三菱商事(「三菱商事テクニップ」で検索すると約73件ヒットする(乙8の3))、住友化学他の日本の会社とカタールやシンガポール等で共同事業を幅広く展開している(乙8)。 乙第6号証は、膨大な約1000頁に及ぶ被請求人テクニップ社の日本を含む全世界向けのホームページのごく一部である。被請求人の広範な日本を含む全世界での活動に関する情報が満載されている(乙6)。 (2)本件商標「T-PAR」(乙10)は、被請求人テクニップ社の主要商標の1つであり、「Technip Progressive Acetylene Removal/Recovery」の頭文字をとったものであり(乙5)、被請求人が全世界で開発しているエチレン・アセチレン製造工場のプラント名であり、かつ、そのプラントより製造される良質のアセチレン製品の商品名であり、「T-PARアセチレン」として使用されている(乙1ないし乙5)。 (3)カタログのウェブサイト(乙1)及び冊子(乙2)配布にての「T-PARプロセス」「T-PARアセチレン」化学製品の宣伝・紹介 (ア)被請求人のウェブサイト(乙6)は約1000頁以上に及ぶものであり、被請求人は、同ウェブサイトで日本や中国を含む東南アジアへの宣伝に力を入れており、被請求人のウェブサイトで本件「T-PARアセチレン」製品の宣伝が日本に向けても強力に行われている。 特に、乙第1号証は、ウェブサイトを通じて2001年より引き続き現在まで被請求人により日本市場に流布されている被請求人テクニップ社の日本に向けられた「T-PARアセチレン」製品及びその他のカタログである。 (イ)このカタログは、乙第2号証のようにカタログ冊子としても日本の顧客に対して被請求人により2001年より今日まで継続して配布されている。このカタログ冊子は、東南アジア、特に日本及び台湾において現地商社を通じて顧客に配布されている。日本での配布先は、主として千代田化工建設、三菱商事、住友化学、日揮、東洋エンジニアリング、住友商事、秋田大学を含む全国大学、等広範に及ぶ(乙8)。 (ウ)乙第1号証及び乙第2号証の表紙で明らかなように、社名の「TECHNIP」そのものがフルサービスエチレン製造ラインの商品名であり(乙1の1頁、乙2の1頁)、2枚目には下記のように、「T-PAR」商標につき紹介・宣伝がなされている。 <乙第1号証及び乙第2号証「T-PARプロセス」「T-PARアセチレン」カタログ>(2枚目)「TECHNIP-COFLEXIP」エチレンテクノロジー TECNIP-COFLEXIPは、エチレン製造産業SINGLE-SOURCE PROJECT RESPONSABIILTYを新しいグラスルートエチレンプラント、又は、改良プロジェクトの全工程にわたって、基礎設計段階からプロジェクト実行、スタートアップ及び操作サービスまで、提供する。 技術の基本的な特徴 TECNIP-COFLEXIPは独特の特徴ある技術を採用している。 ・スピロファーネスデザイン及び最適化ソフトウェア ・TECNIP-COFLEXIPクラッキングファーネス技術 ・段階的分離技術 ・T-PARプロセス ・オペレーションサポートサービス:e-OSS ・フランスのATOFINAと共同開発したアンチコーキングサービス ・無人運転コンセプト また、TECNIP-COFLEXIPは既存プラントの能力拡張のため、 ・改良のためのシステマティックなアプローチ ・既存ファーネスの能力及びパフォーマンスの改善 を採用している。 近代的な大規模なグラスルートエチレンプラントの設計及び既存のエチレンクラッカーの改良において証明された既存技術の応用により、プラントの操業者に運転及び保守の容易な安全で信頼できるエチレンプラントを提供しており、その結果事業者に対して大変効率的でコストセービングな生産ユニットを提供している。 SPYRO、e-OSS及びT-PARはTECNIP-COFLEXIPの登録商標である。 (乙1及び乙2の5枚目において、さらに「T-PAR」商標の宣伝がなされている。) (5枚目) T-PARプロセス エチレン回収及び精製プロセスはエネルギーと投資コストのかさむものである。大規模な気体又は液体供給クラッカーのためTECNIP-COFLEXIPは水素化合又は液体吸収による効率的なアセチレン除去に特化した独特のプロセスセクエンスを開発した。 このプロセスの主な特徴は以下の通りである。 ・ランアウェイ反応及びポイゾニングを回避したアセチレン水素化合の制禦 ・装置の大きさと部品の削減 ・圧縮材のサイズとパワーの減縮 ・プロセス毎のヒートインテグレーションによる優れた制禦安全性 ・極めて競争的な投資コスト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 上記(2)でも述べたとおり、「T-PAR」プロセスにて製造されたアセチレンは「T-PARアセチレン」と称されるのである。(参考:乙9) (4)プレゼンテーションによる日本の顧客への「T-PARプロセス」及び「T-PARアセチレン」化学製品の宣伝・紹介 さらに、特に2001年以来、被請求人テクニップ社は、日本を含む東南アジア、アラブ諸国、アメリカ合衆国など全世界において「T-PARプロセス」及び「T-PARアセチレン」の拡販宣伝に力を入れてきている。その一環として、「T-PAR」の宣伝プレゼンテーションのためのセミナーを、下記のとおり開始し、(エ)は日本において開催し、(ア)、(イ)及び(ウ)には日本よりも多数の顧客を招待した。 (ア)2002年3月10日から14日までアメリカ合衆国ロスアンゼルスにて開催 乙第5号証はその会議で配布されたプレゼンテーション用の資料である。各頁の上部に「The T-PAR Process」(Technip Progressive Acetylene Removal/Recovery)と表示されている。 (イ)2005年4月26日から28日までアラブ首長国連邦ドバイにて開催 乙第4号証は、その会議で配布されたプレゼンテーション用の資料である。 -第2頁 第3パラグラフ 1行目「T-PAR」 4行目「T-PAR」 -第3頁「2 T-PARの発展の目標」 -第4頁5パラグラフ1行目「T-PAR」 -第5頁「T-PARプロセス設計」 -第7頁「表3- T-PAR水素添加原子炉」 1行目「T-PARガス」 下から6行目「T-PAR」 下から4行目「T-PAR」 -第8頁 最終行「プロセスデザインは完成しており、T-PARは今や商品化されようとしている。」 (ウ)2005年11月7日から9日に上海において開催(特に日本よりの参加者が多かった) 乙第3号証は同セミナーにて配布されたプレゼンテーション用の資料である。このプレゼンテーション用の資料には下記のとおり、「T-PARアセチレン」の宣伝紹介がなされている。 <乙第3号証のプレゼンテーション資料> (1枚目) メガクラッカーのためのフロントエンド又はバックエンド:T-PARによる更なる一歩 フランス パリ TECHNIP ロシュ メネ,イヴォン シモン,ジャン-ポール ロジェ デファイニング ザ フューチャー II 2005年11月7日から11月9日 中国 上海 (2枚目) 要 約 エンジニアリング会社にとってこの世紀の最初の10年間に挑戦することは、一層重要になってくる特徴である安全、信頼性及び保守に対する肯定的な回答を出しながら、メガクラッカーを設計建設する能力である。 エチレンプラントにおけるアセチレンの水素化合は常に安全性、操作性及び効率性の面で重要なプロセスであった。フロントエンド及びバックエンドにおける装置が現在用いられている。 Technipはフロントエンド水素化合とバックエンド水素化合双方の利点の統合を提案しており、このTechnipの標準的進歩的子分離(Progressive Separation)技術スキームはT-PAR「Technip Progressive Acetylene Removal」、に帰着した。 T-PARは、独特のコンパクトな設計であり、極めて競争的な投資コストで高度な制御性、安全性、信頼性及び効率性を満たすものである。 装置の設計は主分離装置の小型化及び設計圧力低下をもたらすものであり、圧縮力及び装置の規模を最適化するものである。T-PARは単一ストリングで1.5Mtyエチレンキャパシティーを超えることを可能にするものである。 (省 略) プロセス設計は充分に確定しており、評価を受けうるものであり、T-PARは今や一歩前進して商業化の段階に入っている。 (3枚目から7枚目)(省 略) (8枚目) 結 論 T-PARプロセスはコストエフイシェントなエチレン回収及び精製プロセスを提供するために開発された。 T-PARProcessは低温エチレン回収と触媒によるエチレン除去とを独特なコンパクトな設計で結合したものであり、エネルギー効率の良い信頼性の高い運転をもたらすものである。更に、装置デザインにより主分解装置、即ち、デエタナイザー、デメタナイザー及びC2スプリッターコラム、の小型化と設計圧力の低下をもたらすものである。 オープンループエチレン冷却サイクルは2つの冷却コンプレッサー間の流量を均等にするものである。 特に、 ・フロントエンド及びバックエンド反応システムの両者の長所を結合した効率的なアセテレン水素化合、 ・流線型の低温設計を用いた装置コストの抑制、 ・オープンヒートエチレンノエタンスプリッターの使用、 ・自動安定制御システム及びより多くの制御システムによる運転状件の安定化、 ・全ての構成装置又はシステムは大規模運転で証明されている、 という特徴を有する。 このプロセスは、証明された触媒のコマーシャルアベイラビリティーをチェックするため、触媒システムのテストを受けている。 このプロセス設計は完全であり、T-PARは商業製品化に使用できる。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (エ)乙第7号証は被請求人の膨大なホームページの一部で、「最近のプレゼンテーション」の紹介ページである。 2005年1月日本東京において巡回プレゼンテーション開催(乙7):そこでは資料を、日本語版で配布、及び英語版で配布した。 (オ)2004年12月カタールにてプレゼンテーション開催(乙7) これら宣伝活動の結果、被請求人テクニップ社と千代田化工建設社は2004年12月カタールにて世界最大のプロジェクトを実施することになった(乙8)。このプロジェクトは2010年に完成する。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 以上のとおり、2001年以来、被請求人は特に日本に対し積極的に「T-PARプロセス」及び「T-PARアセチレン」製品を宣伝・紹介してきた。 (5)被請求人テクニップ社は、商標「T-PAR」を1類の化学製品につきフランスにおいて平成12年(2000年)10月31日に登録を受け、日本においては国際商標として平成13年(2001年)4月30日に事後指定され(被請求人の日本を中心とする東南アジアへの「T-PARプロセス」及び「T-PARアセチレン」製品の宣伝・販促活動が始まったのが2001年であった)、日本国では平成14年(2003年)8月1日に登録になった(乙10)。 上記のように、被請求人は平成13年(2001年)以来、今日までいろいろの形で本件商標「T-PAR」を日本市場にて使用している。 (6)なお、被請求人はフランス、日本はもとより全世界において「T-PAR」商標を出願・登録している。 -乙第11号証の1は、フランスにおける登録証明書である。 -乙第11号証の2は、大韓民国における商標「T-PAR」の登録証明書である。 -乙第11号証の3は、アメリカ合衆国における商標「T-PAR」の登録情報(アメリカ合衆国特許庁ホームページのデータによる)である。 -乙第11号証の4は、カナダにおける商標「T-PAR」の登録証明書である。 -乙第11号証の5は、アラブ首長国連邦における商標「T-PAR」の登銅辱正明書である。 -乙第11号証の6は、インドにおける商標「T-PAR」の登録証明書である。 -乙第11号証の7は、イランにおける商標「T-PAR」の登録証明書である。 -乙第11号証の8は、世界知的所有権機関における商標「T-PAR」の登録証明書である。 -乙第11号証の9は、マレーシアにおける商標「T-PAR」の登録証明書である。 -乙第11号証の10は、カタールにおける商標「T-PAR」の登録証明書である。 -乙第11号証の11は、台湾における商標「T-PAR」の登録証明書である。 (7)以上より明らかな如く、被請求人テクニップ社は、平成15年8月8日から平成18年8月7日までの3年間の間に、本件商標「T-PAR」を第1類の化学製品(特にエチレン・アセチレン)の商標として日本市場において宣伝して使用してきたものである。 よって、本件請求は棄却すべきものである。 (8)弁駁に対する答弁 (ア)商標法第50条の趣旨目的 商標法第50条の不使用取消は、商標の権利者が何年も使用せずに権利の上に眠ることを制裁するのが趣旨目的である。 被請求人は、本件登録商標の使用に向けて真剣に製品開発を行ない、その広告を日本においても取引者・需要者に対して行っており、かかる本件のような案件についての本条の適用は、然るべき合理的解釈をもってなされるべきである。 商標法第50条に基づく不使用取消の事案においては、この「使用」には広告が含まれるところ、かかる広告は原則日本における広告でなければならないが、外国においてカタログや新聞広告に出された場合でも、これらのカタログや新聞が日本国内に頒布され日本国内の取引者・需要者の眼に触れる状態におかれているときは、日本国内において広告されているというべきである。 さらに、いわゆる広告そのものでなくても、「商品・製品開発中で、近い将来に『T-PAR』アセチレンとして発売する」ことを告知することも「商標の使用」をみなすべきである。 少なくとも「和訳」のサービスが付されているものや、日本語のウェブサイトからリンクされて日本の取引者・需要者の眼に触れる外国語での広告や告知は、当該商標の使用とみなされるべきである。 本件商標「T-PAR」は、被請求人により全世界で登録され使用されていることが周知の商標であり、被請求人は、日本の取引者・需要者に対して、「T-PARアセチレン」等の開発が進んでおり、近い将来日本においても商品化されることを告知している。かかる事実は、不使用取消の事案においては、商標の使用と認められるべきである。 (イ)上申 請求人は、乙第12号証(請求人のウェブサイトの「製品」のページ)でみる限り、被請求人の商標「TPAR」(商願2005-71124)(本件商標を引用して拒絶理由通知が出されていると解される)を使用した商品を販売していないと思われる。 被請求人は「T-PAR」商標そのものの取得を意図しているものではないと思われるので、被請求人は請求人と交渉に入る所存である。よって、その結果が出るまで、今しばらく本件につき審決をされることを待っていただきたく、上申する。 4 当審の判断 (1)商標法第50条第1項による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、その審判の請求の登録(本件の場合、平成18年8月21日)前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。 (2)そこで、被請求人の提出に係る証拠について検討する。 (ア)乙第1号証の1は、被請求人TECHNIP社のネット上のホームページ中の「TECHNIP」の力タログであり、乙第1号証の2は、その部分的な和訳であるところ、本件商標「T-PAR」の文字の記載は確認できるものの、日本国内において請求に係る商品についての本件商標の使用をしていることの証明に係る記載が何ら存在していない。 (イ)乙第2号証の1は、被請求人の発行するカタログ誌であり、乙第2号証の2は、その部分的な和訳であるところ、上記(ア)と同様に本件の証明に係る記載が何ら存在していない。 (ウ)乙第3号証ないし乙第5号証は、それぞれ被請求人が海外(中国上海・アラブ首長国連邦ドバイ・アメリカ合衆国ロスアンゼルス)において開催したセミナーで配布したプレゼンテーション用の資料であるところ、これらも日本国内において請求に係る商品についての本件商標の使用をしていることの証明に係る記載が何ら存在していない。 (エ)乙第6号証は、被請求人のネット上のホームページの一部であり、乙第7号証は、乙第6号証中の「最近のプレゼンテーション」の頁であるとするものである。そして、被請求人は、「同ウェブサイトで日本や中国を含む東南アジアへの宣伝に力を入れており、被請求人のウェブサイトで本件『T-PARアセチレン』製品の宣伝が日本人に向けても強力に行われている」旨答弁しているが、これらの証拠によっては、日本国内において請求に係る商品についての本件商標の使用をしていることの証明に係る記載が何ら存在していない。 (オ)乙第8号証の1ないし3は、インターネット検索サイト「YAHOO!JAPAN」において、それぞれ「テクニップ」「千代田化工 テクニップ」「三菱商事 テクニップ」で検索した結果のリストと認められるところ、これらは何ら本件商標の使用を立証するものではない。 (カ)乙第9号証は、インターネット検索サイト「YAHOO!JAPAN」におけるValspar Composites社の「T-PAR樹脂」の説明の頁であるとするものであるが、これも日本国内において請求に係る商品についての本件商標の使用をしていることの証明に係る記載が何ら存在していない。 (キ)乙第10号証は、国際登録第761078号商標の書誌情報及び商標のデータであり、これは、本件商標が日本において設定登録されている事実を提示しているにすぎず、また、乙第11号証の1ないし11は、各国における商標「T-PAR」の登録証明書であり、これらは、商標「T-PAR」が11の国において単に出願・登録されていることを提示しているにすぎないものであり、日本国内において請求に係る商品についての本件商標の使用をしているか否かとは無関係な事実である。 (ク)乙第12号証は、請求人のウェブサイトの「製品」のページであり、本件商標の使用を立証するものではない。 (ケ)以上によれば、乙各号証は、日本国内において請求に係る商品についての本件商標の使用をしていることを何ら証明するものではないといわざるを得ない。 (3)被請求人は、「商標法第50条に基づく不使用取消の事案においては、外国においてカタログや新聞広告に出された場合でも、これらのカタログや新聞が日本国内に頒布され日本国内の取引者・需要者の眼に触れる状態におかれているときは、日本国内において広告されているというべきである。日本語のウェブサイトからリンクされて日本の取引者・需要者の眼に触れる外国語での広告や告知は、当該商標の使用とみなされるべきである。本件商標は、被請求人により全世界で登録され使用されていることが周知の商標であり、被請求人は、日本の取引者・需要者に対して、「T-PARアセチレン」等の開発が進んでおり、近い将来日本においても商品化されることを告知している。かかる事実は、不使用取消の事案においては、商標の使用と認められるべきである。」旨主張している。 しかしながら、上記のとおり、商標法第50条第1項による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項に規定された事項を被請求人が証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れないものであるところ、乙各号証は、日本国内において請求に係る商品についての本件商標の使用をしていることを何ら証明するものとは認められないものである。そして、被請求人の主張は、商標法第50条についての独自の見解を述べるのみで、それを裏付ける証拠の提出は全くなく、また、乙各号証を善解しても、日本国内において請求に係る商品についての本件商標の広告による使用をしていたものであると認めることはできない。 また、被請求人は、「請求人と交渉に入る所存であるから、その結果が出るまで、今しばらく本件につき審決をされることを待っていただきたい。」旨上申しているが、その後、相当の期間が経過した現在に至るも、何らの手続きもされていないから、これ以上、本件の審理を猶予すべき理由はないものと認め、審理を進めることとした。 (4)以上のとおり、被請求人の答弁の全趣旨及び乙各号証を総合的に判断しても、被請求人は、本件審判の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、審判請求に係る指定商品のいずれかについて登録商標の使用をしていることを被請求人が証明したということができないものである。 また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていないものである。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により指定商品中「結論掲記の商品」についての登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2008-12-04 |
結審通知日 | 2008-12-09 |
審決日 | 2008-12-24 |
国際登録番号 | 0761078 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(Z01)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
林 二郎 |
特許庁審判官 |
井岡 賢一 酒井 福造 |
商標の称呼 | テイパー、パー |
代理人 | 小椋 崇吉 |
代理人 | 藤森 裕司 |
代理人 | 佐藤 雅巳 |
代理人 | 古木 睦美 |
代理人 | 飯島 紳行 |