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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y16
管理番号 1202140 
審判番号 不服2008-650033 
総通号数 117 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-03-26 
確定日 2009-05-19 
事件の表示 国際登録第737227号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「SAVILE ROW」の欧文字を横書きしてなり、第16類に属する国際登録において指定された商品を指定商品として、2004(平成16年)年6月10日を事後指定の日とするものである。
そして、指定商品については、2004年11月9日付け及び2006年4月14日付けで国際登録簿に記録された限定の通報があった結果、最終的に、第16類「Cardboard,letterhead and security paper,paper for graphic arts,lining paper,padding paper,drawing paper,printing paper,reproduction paper,writing paper,publication paper,copying paper,corrugated paper,paper file,index cards(stationery),typewriter paper,computer paper,newsprint paper,cardboard for graphic arts,paperboard,paper boxes,paper pads,greeting cards,business cards,cardboard boxes,magnetic boards,envelopes,letter openers,stickers,paper bags,book covers,accounting books,address books,holders for checkbooks,booklets,exercise books,appointment books,calendars,almanacs,scrapbooks,posters,filing jackets,hanging files folder,price tickets,printed reproductions and graphic arts reproductions,paper labels,paper file jackets,unmounted photographs,newspaper for general circulation,catalogs in the field of paper articles and art reproductions,floor displays of cardboard for promotional products.」とされたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『SAVILE ROW』の文字よりなるところ、これは、ロンドンにあるファッション街の名称を意味するものであるから、本願商標をその指定商品について使用しても、商品の製造、販売場所であると理解されるものであって、単に、商品の産地、販売地を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、「SAVILE ROW」の文字を書してなるところ、該「SAVILE ROW」の文字は、「新グローバル英和辞典」(株式会社三省堂)によれば、「サヴィルロー。ロンドンの一流紳士服店の多い街路名。『背広』の語源とする説がある。」を意味するものである。
また、広辞苑(第6版)によれば、「背広」は「civil clothesの略訛か。また、ロンドンの洋服商の街サヴィル‐ロー(Savile Row)からとも」と記載されている。
そして、「SAVILE ROW」(サヴィルロー)については、我が国のインターネット情報、新聞情報及び観光ツアー案内情報等においても、英国ロンドンの中心部にあるリージェントストリートとボンドストリートに挟まれた街路名を指す名称として、また、古くから有名な街路名及び街路に沿った地区名(地名)として知られているものであり、現在も、高級な紳士服等のファション地区であることが紹介されていることから、ロンドンの観光スポットとして広く注目されているものといい得るところである。
してみれば、「SAVILE ROW」(サヴィルロー)は、商業地区、繁華街地区又は観光地として、我が国において一般に知られているものと認められるところであるから、「SAVILE ROW」の文字よりなる本願商標を、その指定商品に使用しても、取引者、需要者は商品の製造場所、販売場所であると理解するにすぎず、単に、商品の産地、販売地を表示したにすぎないものといわざるを得ない。
以上のことは、例えば、以下のインターネットホームページ情報及び新聞記事等により、その一端をうかがい知ることができるところである。
<インターネットホームページ情報>
(1)「BIGLOBEトラベル」(http://travel.biglobe.ne.jp/abroad/spot/LON009s.html)のホームページにおいて、「サヴィル・ロウ」の項目のもと、「サヴィル・ロウの概要 ロンドン市内ウェストエンドの一角にある仕立て屋(テーラー)が軒を連ねるストリート。スーツ発祥の地、ロンドンの著名なテーラーのほとんどがここから発祥したといわれている。また、日本語の『背広』の語源という説があるのは有名な話。正統なブリティッシュスタイルを目指す男性なら、必ず一度は訪れたいエリアだ。」、「ロンドンの観光スポット バッキンガム宮殿|ウェストミンスター宮殿|ウェストミンスター寺院|ロンドン塔|キューガーデン|大英博物館|ルールズ|イー・オールド・チェシャー・チーズ|サヴィル・ロウ|ウェンブレー・スタジアム|」との記載がある。
(2)「Fashion Press」(http://www.fashion-press.net/words/98)のホームページにおいて、「ファッション用語集 サヴィル・ロウ:Savile Row」の項目のもと、「サヴィル・ロウは、ロンドンのストリートの名前で、有名な紳士服の仕立て屋(テーラー)が並ぶ。スーツ発祥の地と呼ばれるロンドンでも有名な仕立て屋はここに集まる。一説には『サヴィル・ロウ』が訛ったものが日本語の『背広』となり、語源であるとも言われている。」、「この用語(サヴィル・ロウ)が使われているブランド/アレキサンダー・マックイーン・・・オズワルド・ボーテング・・・ステラ・マッカートニー・・・ジョー・ケイスリー・ヘイフォード・・・ギーブス&ホークス・・・ティモシー・エベレスト・・・」との記載がある。
(3)「男の『装い』一科事典」(http://www.fiberbit.net/user/eyeland/yofuku/suitjacketgogen.htm)のホームページにおいて、「背広(Sebiro=Jackt & Suit)」の項目のもと、「洋服のメッカ・サビルロー通りの名を取って《地名説》・・・ロンドンの中心地,ウエストエンドと呼ばれている地域、リージェント・ストーリーと,ボンドス・トリートに挟まれた,150メートルあまりの短い裏通りが、サビルロー(Savile Row)です。・・・世界中のVIPが、このサビルローで洋服を誂えています。・・・世界各国の王侯、貴族、首長、歴代米国大統領、有名なハリウッドスター、アラブの石油成金、日本では西園寺公、吉田茂、昭和天皇など錚々たる顔ぶれがお客さんになっています。・・・」との記載がある。
(4)「esmo’s book stack エスモの書棚」(http://esmosbooks.exblog.jp/7794377/)のホームページにおいて、「London cut Savile Row」の項目のもと、「スーツの発祥地でもあり、19世紀?現在まで、200年の伝統と名声を持つロンドンの高級服仕立屋街Savile Row Street(セヴィル ロウ 通り →背広の語源になったという説あり...)軒を連ねる名店とそのセレブな顧客たちのファッションを紹介する本。」との記載がある。
(5)「今月のお薦め本 ?2003年11月?」(http://homepage3.nifty.com/eikoku-tanbou/books5.htm)のホームページにおいて、「【イギリスの職人たち】淺岡 敬史著 東京書籍 1996年発行」の項目のもと、「もうこの本はタイトルを見ただけで内容がわかる・・・イギリスでの様々な職業の「職人」サン達をご紹介しています 先ずはロンドンのサヴィルローから、洋服に始まり、シャツ、靴、コンシェルジュ、宝飾、変わったところでスパイス調合・・・」との記載がある。
(6)「JENS WeBlog」(http://www.we-blog.jp/sky/izuk/20060806.php)のホームページにおいて、「ケンジイ出張ブログ 2006/08/06」の項目のもと、「背広 SAVILE ROW という通りに英国紳士御用達の仕立てスーツ屋がいっぱいあるそうなので見物してきました。」との記載がある。
(7)「趣味の水墨画、陶芸、スモーク、バードカービング、手作り つぼさんの趣味のページ」(http://home.e07.itscom.net/tsubo/t28-4.htm)のホームページにおいて、「(4)フリーでロンドン市内観光。リージェントパーク、サビルロー」の項目のもと、「ツアーの日程 1.成田=>ロンドン=>宿泊 ・・・ 4.フリーでロンドン市内観光。リージェントパーク、サビルロー ・・・ 7.成田 帰国 ・・・(4)フリーでロンドン市内観光。リージェントパーク、サビルロー ・・・ 夜はリージェントストリート、背広の語源となったサヴィルローを散策し、ピカデリーサーカスの紅花で食事。サヴィルローには沢山のオーダーメイドの洋服屋さんがあって、一階がお店で通りから覗ける地下で、縫製している姿が見えるお店がありました。・・・」との記載がある。
(8)「HORNET」(http://www002.upp.so-net.ne.jp/hornet/london2.htm)のホームページにおいて、「Mayfair-Covent Garden-大英博物館」の項目のもと、「この看板に 3 SAVILE ROW と書かれています。この通りにはやっぱりスーツのお店が多いです。」との記載がある。
<新聞記事情報>
(1)1990年9月5日付け流通サービス新聞 7頁には、「ブリティッシュトラッドの複権-3つボタン、狭いVゾーン、ウエストの絞り込み」の見出しのもと、「背広の語源にもなった紳士服発祥の地ロンドンのテーラー街『・・・サヴィル・ロウ』でつくられる伝統的な紳士服に対するあこがれが各国のデザイナーにあるせいだろう。」との記載がある。
(2)1995年12月1日付け中日新聞 夕刊3頁には、「語苦楽帳」の見出しのもと、「・・・その一つは平服を意味する英語のcivil clothesをなまったうえ、後の部分を略したもの。もう一つはロンドンの洋服店街Savile Rowからきたという説。・・・」との記載がある。
(3)2006年5月16日付け日本工業新聞社 FujiSankei Business i.24頁 メディア B解説 には、「【テレビショッピング事始め】(7)語源・起源の知識を提供」の見出しのもと、「背広については語源に諸説ある。第一に、日本に背広が入ってきたとき、背巾がゆったりしていたところから生まれたという説。第二に、イギリスの有名な紳士服店街Savile Row(サヴィルロー)からきたという説。第三に、明治の在日外国人がcivil coat(シビルコート・市民の服)と呼んだところから来たという説。」との記載がある。
(4)2008年4月18日付け神戸新聞 朝刊 29頁には、「中央区 紳士服老舗 伝統的な10点展示 英国の誇りを随所に」の見出しのもと、「ヘンリープールは、仕立屋が多く集まり、英国紳士服の聖地として知られるロンドンの地区『サヴィル・ロウ』でも最古の歴史を誇る。日本人として初めてスーツを着たと言われている、岩倉具視が利用したブランドとしても有名。」との記載がある。
(5)2008年11月13日付け産経新聞 大阪夕刊 7頁には、「【カルロ黒部のカッコイイ男の創り方】(6)ブリティッシュ」の見出しのもと、「■サヴィル・ロウ ロンドンの中心地にあるこの小さな通りには老舗の高級テーラーがずらっと店を構えるクラシック服の聖地である。「背広」の語源になったとも言われている。・・・歴代の英国の将軍や提督たちも軍服をサヴィル・ロウでオーダーしたのだ。」との記載がある。
<辞書、辞典等>
「背広」について、「折り襟になっている、男性の平常着。本来は、上着・チョッキ・ズボンの三つぞろいからなる。シングルとダブルとがある。サックコート。スーツ。◆語源未詳で、『背広』は当て字。フロックコートなどと違って、背幅が広いことからとも、civil clothes(市民服の意)またはSavile Row(ロンドンの洋服屋街の名)からなどともいわれている。」(大辞泉:株式会社小学館)との記載がある。
以上の事実を総合的に勘案すると、本願商標は、英国のロンドンにある広く知られた街路名及び街路に沿った地区名を認識させるものであって、一種の地名を表示するものといわざるを得ない。
そして、地名等は取引において何人も使用を欲するものであり、特定人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
よって、本願商標は、本願の指定商品の産地、販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-12-12 
結審通知日 2008-12-16 
審決日 2009-01-06 
国際登録番号 0737227 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Y16)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 豊田 純一瀧本 佐代子 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 岩崎 良子
井出 英一郎
商標の称呼 サビルロー、サバイブロー 
代理人 齋藤 整 
代理人 寺田 花子 
代理人 青山 葆 

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