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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y45
管理番号 1202098 
審判番号 取消2008-301051 
総通号数 117 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-09-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-08-18 
確定日 2009-08-03 
事件の表示 上記当事者間の登録第4869914号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4869914号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲(1)の構成よりなり、平成16年12月17日に登録出願、第45類「ペットの葬儀の執行,ペット用の納骨堂の提供,ペットの祭壇の貸与」の役務を指定役務として、同17年6月10日に設定登録されたものである。
また、本件審判の請求の登録日は、平成20年9月2日である。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
過去3年以上前から現在に至るまでの間、本件商標権者が本件商標を指定役務について使用している事実は認められない。また、商標登録原簿上使用権者の存在は認められないところであって(甲第2号証)、かつ、使用権者が本件商標を上記役務について使用している事実も認められない。
したがって、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録は取り消されるべきである。

2 被請求人の提出した証拠について
ア 乙第1号証
乙第1号証は、被請求人の現在事項全部証明書であるところ、同号証は、本件審判に関するどのような事実を立証するために提出されたのか不明である。
したがって、同号証を証拠として採用することはできない。

イ 乙第2号証
乙第2号証は、「ペットエンゼル岩手」のパンフレット並びに「ペットエンゼル西大阪」のパンフレット表紙の写し、「ペットエンゼル鹿児島」のパンフレット表紙の写し、「ペットエンゼル南大阪」のパンフレット表紙の写し及び「ペットエンゼル岡山」のパンフレット表紙の写しの表紙と認められるところ、「ペットエンゼル岩手」、「ペットエンゼル西大阪」、「ペットエンゼル鹿児島」、「ペットエンゼル南大阪」及び「ペットエンゼル岡山」のそれぞれの文字は、事業体を表す商号・屋号として示されているものと推定される。
しかし、少なくとも、上記パンフレット及びパンフレット表紙の写しにおける、「ペットエンゼル岩手」、「ペットエンゼル西大阪」、「ペットエンゼル鹿児島」、「ペットエンゼル南大阪」及び「ペットエンゼル岡山」の文字は、「ペットエンゼル」の文字が独立して示されているものではないから、本件商標と社会通念上同一の商標であると認めることはできない。

ウ 乙第3号証
乙第3号証は、平成20年8月1日発行の雑誌であるところ、指摘のページによれば、被請求人が、本件審判請求登録の日前3年以内に、フランチャイズの募集をしていることはわかる。
しかしながら、本件商標は一切示されていないので、同号証は、本件商標を使用している証拠としては採用できない。

エ 乙第4号証
乙第4号証の1は、被請求人のホームページの写しと認められるところ、同号証によって、被請求人が、事業としてペットの葬儀等を行っていることはわかる。
しかしながら、同号証中に使用されている目印らしきものは、好意的に見ても「ペットエンゼルシステム」のみである。
同号証中、本件商標と同じ文字列は、称号として自社の登録商標であることを宣言している印判のみであるが、当該印判は、単に、「ペットエンゼル」が自社の登録商標であることを宣言をしているにすぎないものであるから、商標として使用している証拠としては採用できない。
また、乙第4号証の2は、ホームページ制作費の領収書であるが、何のホームページの領収書か特定できないので、出願人のホームページの制作自体もいつであったのか不明確である。
したがって、同号証は、本件商標を使用している証拠としては採用できない。

オ 乙第5号証
乙第5号証は、被請求人の事業説明書である。
同号証中、被請求人が指摘するページには、フランチャイジーは「FCペットエンゼル会」に自動的に入会すること及び「ペットエンゼル」の名称の登録商標権使用料として会費を徴収していることが示され、また、[FCペットエンゼル会」の15名の会員の名称が示されている。
被請求人は、商標・商号・称号の区別が全くなされていないため、「ペットエンゼル」の文字を何について使用しているかが不明確である。
また、同号証中、「ペットエンゼル」の文字が独立して示されている場合でも、その文字商標が商標として使用されているものなのかどうかさえ不明確である。
したがって、同号証は、本件商標を使用している証拠としては採用できない。

カ 乙第6号証
乙第6号証は、「ペットエンゼル岩手」の営業証明書であるところ、「ペットエンゼル岩手」が屋号として使用されている事実及び「ペットエンゼル岩手」が被請求人に、登録商標「ペットエンゼル」の使用権料を払っている事実を認めることができる。
しかしながら、「ペットエンゼル」の文字が独立して使用している事実は立証されていない。
したがって、同号証は、本件商標を使用している証拠としては採用できない。

キ 乙第7号証
乙第7号証は、「ペットエンゼルシステム」のパンフレット及び代表者の名刺であるところ、同号証中には、「ペットエンゼル」の文字は独立して示されていない。
したがって、同号証は、本件商標を使用している証拠としては採用できない。

ク 乙第8号証の1ないし4及び乙第9号証
乙第8号証の1ないし4及び乙第9号証は、被請求人の施設の写真等であるところ、同号証に示されている文字は「ペットエンゼルシステム」であって、「ペットエンゼル」の文字は独立して使用されていない。
したがって、同号証は、本件商標を使用している証拠としては採用できない。

ケ 乙第10号証の1ないし4
乙第10号証の1ないし4は、2005年10月等種々の年に行われた合同慰霊祭の写真・使用料・謝辞の原稿である。
同号証示されている文字のうち「ペットエンゼルシステム」と「ペットエンゼル」とは、社会通念上同一の商標とは認められないので、本件商標を使用している証拠として採用することはできない。
また、「ペットエンゼル」の文字が独立して示されている写真についても、ここで示されている「ペットエンゼル」の文字は、「ペットエンゼル」という団体の名称として使用されていると推定され、この証拠では標章「ペットエンゼル」を本件指定役務についての使用でないことは明らかである。

コ 乙第11号証
乙第11号証は、ペットの葬儀をしたお礼のはがきの写しであるところ、当該葬儀が「ペットエンゼル」という目印で執行されたことについて、何らの主張・立証もなされていない。
したがって、同号証は、本件商標を使用している証拠としては採用できない。

3 請求人の主張について
ア 乙第1号証ないし乙第11号証を見ると、被請求人は、商標・商号・称号等の区別が全くなされていないため、被請求人の主観的には「ペットエンゼル」の文字列は全て自分の権利であるから「ペットエンゼル」の文字列を印刷物等に印刷すれば、登録商標をその指定役務に使用していると主張しているようである。
さらに、被請求人の提出証拠中には、実際には既に消滅している登録実用新案を、実用新案特許の様に意味の良くわからない用語にして、いかにも権威があるかの如く使用していたり、一方では、事業説明書で「ペットエンゼル」の名称の登録商標権使用料は年10万円としつつ、「ペットエンゼル岩手」の使用料は年6万円となっている(乙第6号証)、「FCペットエンゼル会」と言いながら、名刺には「全国FCエンゼル会チェーン店」(乙第7号証)と書く等不明確で一貫性のない、あるいは齟齬のある記載が随所に散りばめられている。
したがって、乙各号証の証拠については、その信憑性を疑わざるを得ない。
しかし、被請求人の主観的な意図は別として、少なくとも登録商標と使用商標とは社会通念上同一の商標でなくてはならず、また、登録商標は、その指定役務についてその指定役務と他人の提供する役務とを区別するために使用していなければならないはずであるので、この2点について提出された証拠を検討する。

イ 提出された証拠中、本件商標と「ペットエンゼル岩手」他「ペットエンゼル+地域名」又は「ペットエンゼルシステム」とは、いわゆる社会通念上同一の商標とは認められない。
すなわち、本件商標「ペットエンゼル」と「ペットエンゼル+地域名」からなる標章とは、商標法第50条第1項括弧書きにいう「平仮名、片仮名及びローマ字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標」に該当しない。
まず、本件商標と「ペットエンゼル+地域名」からなる標章とは、称呼・観念共に異なるから、商標法第50条第1項括弧書き前段にいう「平仮名、片仮名及びローマ字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」に該当しないことは明らかである。
また、本件商標と「ペットエンゼル+地域名」からなる標章とは、商標法第50条第1項括弧書き後段にいう「その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標」にも該当しない。
役務商標は商品商標と異なり転々流通するものではないことから、役務商標場合には役務の提供場所も含めて一連の商標を構成することが多く、「ペットエンゼル+地域名」からなる標章は、「その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標」にも該当しない。
さらに、本件商標「ペットエンゼル」と「ペットエンゼルシステム」とは、全体観察して「システム」の語の有無という明確な差異を有している。
したがって、本件商標「ペットエンゼル」と「ペットエンゼルシステム」とは「平仮名、片仮名及びローマ字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標」に該当しない。

ウ 提出された証拠中、本件登録商標と同一の文字列「ペットエンゼル」が独立して示された部分は、ペット葬祭事業説明書(乙第5号証)、営業証明書(乙第6号証)、写真(乙第10号証の1)及びお礼状(乙第10号証の4)であるが、いずれの証拠を見ても、本件商標に係る指定役務について使用しているものとは認められない。
乙第5号証及び乙第6号証については、「ペットエンゼル」の名称の使用料として費用が設定されているにすぎないため、この証拠だけで商標「ペットエンゼル」をその指定役務に使用している証拠することはできない。
乙第10号証の1及び4は、団体名又は場所の名称として「ペットエンゼル」を使用していることは推定可能であるが、本件指定役務について使用しているものとは認められない。

4 結論
以上に述べたとおり、本件商標と被請求人の提出した証拠中の「ペットエンゼル+地域名」からなる標章とは、社会通念上同一の商標とは認められない。
また、被請求人の提出した証拠中の「ペットエンゼル」の文字は、商標として使用されていないか、指定役務について使用しているものとは認められないため、本件審判請求にかかる登録商標をその指定役務「ペットの葬儀の執行、ペット用の納骨堂の提供、ペットの祭壇の貸与」について使用している事実は何ら立証されていないといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第11号証(枝番を含む。)を提出した。
1 被請求人は、平成元年11月1日に、ペット葬祭業を創業し、平成9年5月1日社名を有限会社ペットエンゼルシステムとし、移動火葬車を使って、ペット葬祭業を行って、現在に至っている(乙第1号証)。
そして、本件商標を使用したフランチャイジーを募集し、現在全国で数社(ペットエンゼル岩手・ペットエンゼル南大阪・ペットエンゼル西大阪・ペットエンゼル岡山・ペットエンゼル山口・ペットエンゼル宮崎・ペットエンゼル鹿児島他)が稼動中である(乙第2号証)。

2 フランチャイジー募集について
(1)月刊誌「さぎん情報クラブ リンクス」(平成20年8月1日発行)において、全国に向けてのフランチャイジー募集の宣伝広告をした(乙第3号証)。

(2)被請求人が平成19年12月20日にビットテック社に依頼して制作したホームページ上に「『ペットエンゼル』の称号は当社の登録商標です。」の表示をした (乙第4号証)。

3 被請求人作成の業務資料
(1)フランチャイジー希望者に対する送付資料(乙第5号証)

(2)被請求人は、これらフランチャイジーの営業地域名にすべて「ペットエンゼル」を冠した営業社名を与え、乙第1号証の謄本の中の会社目的3(工業所有権.特許権.著作権等の財産権の保有.及び管理並びに運用)に記載してあるとおり、本件商標の使用権料として年間60,000円の支払いを受けているものである(乙第6号証)。

(3)被請求人の営業内容には、日常のペット火葬、葬儀の他に全国にフランチャイズチェーンを展開し「FCペットエンゼル会」を組織することも含まれる。この組織作りのために本件商標を、各加盟店の所在する地域名に冠して、営業社名とすることは、非常に重要な意味を持つものである。

4 請求人のいう「特定の観念を有しない」ということに関して次のように反論する。
その理由として、この「ペットエンゼル」という文言は、亡くなった「ペット」の魂を天界に送り届けて天使(エンゼル)に生まれ変われるように祈る気持の現れであるからである。
全国各地域の被請求人と同様の理念を持つ加盟店が、この商標を使用し、本部の提供するマニュアルどおりのペット葬儀を行うことには、社会的に重要な役目があり、ペット愛好家の供養心を満たすものであって、これほど崇高な特定の観念を有するネーミングは、他にないと信じている。なお、被請求人会社福岡市の本部は、「ペットエンゼルシステム」の社名を使用しているものである(乙第7号証)。

5 被請求人の指定役務
(1)ペット用の納骨堂の提供
被請求人は、550基の霊座を持つ納骨堂を自社内に完備し、これの管理運営を行っている(乙第8号証1ないし4)。

(2)ペットの葬儀の執行
ア 被請求人は、セレモニーのマニュアルを有し、被請求人の斎場において、家族と共にお経をあげて、別れのセレモニーを行っている(乙第9証)。

イ 被請求人の年中行事として毎年秋の合同慰霊祭をお上人を招き近くの葬祭場を借りて開催している(乙第10号証の1ないし4)。

ウ 回忌法要と法事による御供養。ご遺族の要望があれば、四十九日、一周忌、三回忌、七回忌の法要を行っている(乙第11号証1ないし4)。

6 結論
以上述べたように請求人の主張は、まったく不当なものである。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、被請求人の現在事項全部証明書であるところ、同号証によれば、被請求人は、昭和52年4月28日に設立され、平成9年5月1日旧商号「有限会社ツクモゴルフ産業」を「有限会社ペットエンゼルシステム」に変更し、会社の目的を「1.ペットの火葬、葬儀及び霊園事業 2.特殊自動車(焼却装置付)の販売」等とするものである。

(2)乙第5号証について
ア 同号証中、平成元年12月12日付け西日本新聞夕刊記事(写し)には、「最近ペット葬儀事情」の見出しの下に、「その上、こんどは電話一本で火葬炉を積んだ移動葬祭車が家庭を訪問し、ペットの葬儀一切を行う新商売まで登場、寒空の下、慌ただしい師走の町を走り回っている。・・・(中略)・・・『ペットエンゼルシステム』との名前で、ペットの“出前葬祭”をするのは、同市早良区小田部四丁目の入江洋右さん(四七)。そのトラックの後部ドアを開けると、ペットの昇天模様を描いたステンドグラスの祭壇を設けた『セレモニールーム』がある。・・・(中略)・・・火葬炉はその奥にあり、ペットの大きさにもよるが、約30分で焼ける。“お骨”は飼い主に拾ってもらう。同社にも納骨堂を設けている。」と掲載されている。
同じく、平成8年4月9日付け日刊工業新聞記事(写し)には、「ペット葬祭 全国展開ツクモゴルフがFC方式」の見出しの下に、「ツクモゴルフ産業(福岡市早良区、社長入江洋右氏・・・(中略)・・・)は、犬や猫などペット葬祭の全国展開を始めた。同社は九○年から福岡市及び周辺部を対象にペットの葬式、火葬から納骨までの葬祭事業を手がけてきたが、県外からの問い合わせや注文が相次ぐことから、フランチャイズチェーン(FC)方式による全国的な展開に乗り出した。・・・(中略)・・・すでに、千葉、山口、宮崎の各県と北九州市に加盟店がある。」と掲載されている。
同じく、被請求人作成の「移動火葬車によるペットのお葬式 ペット葬祭事業説明書」によれば、「9.ペット葬祭事業への参入 4.御用意頂く事業資金」の項目には、「この訪問火葬セレモニー車(エンゼルカー)の購入費は1600万円と消費税80万円のみです。加盟金・保証金・ロイヤルティフィー等は、一切必要ありません。ただし当社の主催する全国組織『FCペットエンゼル会』に自動的に入会し、各FCジーの社名に使用する『ペットエンゼル』の名称の登録商標権使用料として年会費10万円のみが必要となります。」と記載され、「13 当社全国組織について」の項目には、「当社事業は全国FC方式をとっています 平成17年9月現在において福岡本部を含めて全国で16社のFCジーが事業展開しています。・・・(中略)・・・よって、各社の営業社名の中には必ず『ペットエンゼル』の名称を使っていますが、これは当社の登録商標であります。(第4869914号)正式の会名は『FCペットエンゼル会』で会員各社は下記の通りであります。・・・(中略)・・・FCペットエンゼル会:会員名 1)ペットエンゼルシステム(福岡本部) 2)ペットエンゼル札幌 3)ペットエンゼル岩手 4)ペットエンゼル北大阪 5)ペットエンゼル西大阪 6)ペットエンゼル南大阪 7)ペットエンゼル神戸 8)ペットエンゼル岡山 9)ペットエンゼル広島 10)ペットエンゼル山口 11)ペットエンゼル北九州 12)ペットエンゼルトータルプランナー(福岡県南部) 13)ペットエンゼル宮崎 14)ペットエンゼル鹿児島 15)愛ペットエンゼルサービス(沖縄)」と記載されている。

(3)乙第7号証について
乙第7号証は、請求人の代表取締役の名刺と認められるところ、裏面には、「<全国FCエンゼル会 チェーン店>・ペットエンゼルシステム(福岡本部) ・ペットエンゼル岡山 ・愛ペットエンゼルサービス(沖縄) ・ペットエンゼル神戸 ・ペットエンゼル鹿児島 ・ペットエンゼル南大阪 ・ペットエンゼル宮崎 ・ペットエンゼル西大阪 ・ペットエンゼル トータルプランナー(福岡県南部)・ペットエンゼル北大阪 ・ペットエンゼル北九州 ・ペットエンゼル愛知 ・ペットエンゼル山口 ・ペットエンゼル岩手 ・ペットエンゼル広島 ・ペットエンゼル札幌」と記載されている。

(4)乙第3号証について
乙第3号証は、雑誌「さぎん情報クラブ リンクス」(さぎん情報クラブ「リンクス」、平成20年8月1日発行)であるところ、122ページ「NEEDS CAPSULE 新規事業・FC特集」には、被請求人の広告として、「求む加盟店 55『移動火葬セレモニー車』によるペット葬祭・・・当社は家族の一員であるペットのお葬式に関し、現代生活にマッチした『移動火葬セレモニー車』を開発し、全国にFCジーを募集しています。現在札幌から沖縄まで『全国FCエンゼル会会員』として16社が稼働中です。・・・」と掲載されている。

(5)乙第2号証について
乙第2号証中、「ペットエンゼル岩手」と題するパンフレットの表紙上部及び内側左上部には、別掲(2)の構成よりなる「ペットエンゼル岩手」の文字(以下「使用商標」という。)が書されている。
また、同パンフレットの内側には、移動火葬車の写真が表示されており、同火葬車の向かって右側面と後部側面に、使用商標が表示されている。
また、乙第2号証の右側の写しは、それぞれ、「ペットエンゼル西大阪」のパンフレット表紙の写し、「ペットエンゼル鹿児島」のパンフレット表紙の写し、「ペットエンゼル南大阪」のパンフレット表紙の写し及び「ペットエンゼル岡山」のパンフレット表紙の写しと認められる。

(6)乙第6号証について
乙第6号証は、「有限会社関添重機ペット葬祭事業部 ペットエンゼル岩手」が「平成20年9月18日」に作成した「営業証明書」と題する書面であるところ、「当社(ペットエンゼル岩手)は、平成14年12月24日、被請求人会社とフランチャイズ契約を締結してより今日まで、ペット葬祭業(ペットの葬儀、納骨堂の管理運営)を継続して営業しています。この業務を遂行するにあたり、契約により当社は、登録商標『ペットエンゼル』の使用権料、1年に60,000円を支払っていることを証明致します。」と記載されている。

2 上記1で認定した事実によれば、被請求人会社は、遅くとも平成元年12月ころには福岡市において、火葬炉を積んだ移動葬祭車で家庭を訪問しペットの葬儀一切を行う新商売を開始し、遅くとも同8年4月ころには、フランチャイズチェーン(FC)方式によるペット葬祭の全国的な展開に乗り出し、フランチャイジーになるには訪問火葬セレモニー車の購入費及び消費税を支払う外被請求人の主催する全国組織「FCペットエンゼル会」に自動的に入会し各フランチャイジーの社名に使用する「ペットエンゼル」の名称の使用料として年会費を支払うことを条件として加盟店を募集してきており、平成17年9月現在、福岡本部を除き、フランチャイジーの店舗数を少なくとも15店とし、現在に至っていると認められる。
このフランチャイズチェーンの一加盟者である「有限会社関添重機」は、平成14年12月24日被請求人とフランチャイズ契約を締結して以来今日まで、使用商標をカタログ及び移動葬祭車等に表示して「ペットの葬儀の執行、ペット用の納骨堂の提供、ペットの祭壇の貸与」等の役務の提供を継続してきたものと認められる。
使用商標の使用は、フランチャイジーの店舗名称としての使用であると共に、本件審判の請求に係る指定役務中、「ペットの葬儀の執行」の出所を識別する機能も果すので商標の使用でもあると解される。
そして、「ペットエンゼル岩手」以外のフランチャイズチェーン店も同様に役務の提供をしてきたものと推認される。
請求人は、使用商標は本件商標と社会通念上同一の商標とは認められない旨主張する。
しかしながら、本件商標と使用商標構成中の「ペットエンゼル」の文字部分は同一の態様でデザイン化されている。
また、本件商標と使用商標とは、「ペットエンゼル」の文字に「岩手」の文字が付加されている点が異なるが、当該「岩手」の文字部分が通常の態様で表示されていること及び商標使用者の支店又は事務所の所在地を表示ために商標の後ろに地名を付すことが行われているという商取引の実情があることからすれば、当該「岩手」の文字部分は、識別機能の観点からは役務の提供場所を表すものと理解するのが自然である。
さらに、フランチャイザーとフランチャイジーと関係において、フランチャイジーは、特定の地域についてのみフランチャイザーから許諾を受けるのが通常であるから、使用商標中の「岩手」の文字部分は、フランチャイザーから許諾を受けている地域、フランチャイザーの岩手支部又はフランチャイザーの岩手事務所を表示しているものと、取引者、需要者が理解することもあるというべきである。
してみれば、使用商標は、その構成中「ペットエンゼル」の文字部分が、自他役務識別標識としての機能を果たす部分であるから、本件商標と使用商標とは、社会通念上同一の商標と認められるというのが相当である。
また、第6号証(営業証明書)中に「この業務を遂行するにあたり、契約により当社は、登録商標『ペットエンゼル』の使用権料、1年に60,000円を支払っていることを証明致します。」の文言があることよりすれば、被請求人は、有限会社関添重機に対して本件商標をその指定役務に使用することについて承諾を与えていたものと解される。
したがって、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者「有限会社関添重機」により、「ペットの葬儀の執行,ペット用の納骨堂の提供」の役務について使用されていたものと認められる。

3 結論
以上のとおり、使用商標の使用は、商標法第50条第1項に規定する登録商標の使用に該当するものであるから、その登録は、同項の規定により、取り消すべきではない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲


(1)本件商標




(2)使用商標





審理終結日 2009-05-22 
結審通知日 2009-05-29 
審決日 2009-06-22 
出願番号 商願2004-119677(T2004-119677) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y45)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石田 清 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 清川 恵子
田村 正明
登録日 2005-06-10 
登録番号 商標登録第4869914号(T4869914) 
商標の称呼 ペットエンゼル、エンゼル 
代理人 山本 典弘 
代理人 鈴木 正次 
代理人 涌井 謙一 
代理人 鈴木 一永 

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