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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X01044042
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X01044042
管理番号 1201980 
審判番号 不服2008-25560 
総通号数 117 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-10-06 
確定日 2009-07-21 
事件の表示 商願2007-94832拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「バイオオイル」の文字を標準文字で表してなり、第1類、第4類、第40類及び第42類に属する願書記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成19年9月5日に登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、同20年3月5日付け手続補正書により、第1類「化学品,のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。),植物成長調整剤類,肥料,高級脂肪酸,工業用粉類,原料プラスチック」、第4類「固形潤滑剤,靴油,保革油,燃料,工業用油,工業用油脂,ろう」、第40類「放射線の除洗,金属の加工,ゴムの加工,プラスチックの加工,セラミックの加工,木材の加工,映画用フィルムの現像,写真の引き伸ばし,写真の焼付け,写真用フィルムの現像,廃棄物の再生」及び第42類「建築物の設計,測量,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『バイオオイル』の文字を標準文字により表してなるところ、これよりは、『バイオ技術により作られたオイル』の意味合いを容易に認識させるものであるから、これをその指定商品中、上記意味合いに照応する商品に使用するときは、取引者・需要者をして、単に商品の品質(内容)を表示したと理解するにとどまり、自他商品識別標識として機能し得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあり、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ及び拒絶理由
本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、下記の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して証拠調べ通知を送付し、商標法第55条の2第1項で準用する同法第15条の2の規定に基づき、拒絶の理由を通知した。

1.「バイオ」及び「オイル」の語について
(1)「バイオ」の項に、「(ギリシア語で『生命』の意のビオスbiosから)生体・生物体・生物などを意味する接頭語。ビオ。」(株式会社岩波書店発行「広辞苑第六版」)、「『生命の,生物の』の意で複合語をつくる」(株式会社三省堂発行「コンサイスカタカナ語辞典 第3版」)との記載がある。
(2)「オイル」の項に、「○1(○の中に算用数字を配してなる。以下、同様。)油。特に石油。潤滑油。『サラダオイル』○2油絵。油絵具。」(前掲「広辞苑第六版」)、「○1油。○2油絵,または油絵の具。○3石油。○4エンジンの潤滑油。また自動車の油圧計,油圧警告灯。○5きれいに焼けるように肌に塗る油。」(前掲「コンサイスカタカナ語辞典 第3版」)との記載がある。
2.新聞記事情報
(1)「温暖化対策技術新規に10件採択/環境省」の見出しのもと、「中山間地域におけるバイオオイルの利活用ネットワーク構築のための技術開発」との記事。(2008.10.03 建設通信新聞)
(2)「中日本高速会社/最新技術情報を募集/コンクリート非破壊検査手法など8件」の見出しのもと、「植物発生材からのバイオエタノール・バイオオイルの開発=製造の状況(製造能力、問題点など)。高速道路への適用性、普及に向けた課題」との記事。(2008.09.26 日刊建設工業新聞)
(3)「森林資源、無駄なく利用 残材をバイオオイル化、組合が技術実証挑戦=栃木」の見出しのもと、「県森林組合連合会(宇都宮市)が、森林に放置された残材や枝葉を液体化して、バイオオイルとして利用する技術の実証に乗り出す。28日に林野庁からの事業委託が決定し、利用価値の低い残材をエネルギー源や化学製品の原料として用いる新しい技術として、5年以内の実用化を目指す。この取り組みは、木材に電子レンジなどで使われている『マイクロ波』を照射して分解し、液体状のバイオオイルなどに変えて利用する技術の実証を行うものだ。バイオオイルは、『エネルギー源』として石油系の燃料などに混ぜてボイラーで使ったり、製造の過程で一部をガス化して石油に代わる化学製品の原料にも使われる予定だ。」との記事。(2008.09.01 読売新聞東京朝刊)
(4)「県森林組合連合会/放置された“資源”活用へ/『残材』を液化、製品に/5年後の実用化目指す」の見出しのもと、「奥山林の整備後に現場に放置される林地残材の活用を図ろうと、県森林組合連合会(神山精二(かみやませいじ)会長)は、小型プラントで林地残材をバイオオイル化(液化)するシステムを考案し、十二日までに林野庁と委託事業の協議を始めた。オイル化には木質の全成分の有効利用や輸送コスト削減などの利点があり、五年後の実用化が目標という。同連合会は『林地残材が商品になれば林業は活性化する。将来は全国展開にもつなげたい』としている。」との記事。(2008.08.13 下野新聞朝刊)
(5)「愛媛県/東豫と佐保開発に決定/経営革新第2次支援対象企業」の見出しのもと、「寿開発(松山市)=バイオディーゼル燃料を効率的に生産するバイオオイル精製プラント(特許取得済)を開発する。将来的にはプラントの販売も手がける。」との記事。(2007.08.23 建設通信新聞)
(6)「特集:みんなで守ろう!地球環境 ワールド・バイオマス・シンポ 最先端取り組み紹介」の見出しのもと、「カナダ・ダイナモーティブ社のジェフリー・リン副社長は、バイオマスを無酸素状態で急速加熱し、『バイオオイル』と『チャー』と呼ばれる固形燃料に分離生成する技術を紹介。バイオオイルは暗褐色の液体で、重油などに代わる発電用燃料として使用されているという。リン副社長は『利用されているバイオマス資源はごくわずかで、多くが廃棄されている。その活用が課題で、食用作物と競合することはない』と述べた。」との記事。(2007.03.30 毎日新聞大阪朝刊)
(7)「バイオマスシンポジウム 九州バイオマスフォーラム 熊本市」の見出しのもと、「農林業の廃棄物から燃料を製造するカナダのダイナモーティブ社のジェフリー・リン副社長が『カナダの現状とバイオオイルの可能性について』と題して講演。害虫の被害にあった木などを有効活用できるとして、『バイオオイルは大気中の二酸化炭素量に影響を与えない。効果的に活用することこそ現代の課題』などと話した。」との記事。(2007.03.21 熊本日日新聞)
(8)「イベント大賞 奨励賞に輝く 東栄のチェンソーアート大会」の見出しのもと、「チェーンソーの燃料は植物性バイオオイルを使ったほか、おが粉は無料配布するなど、地域資源を活用したことや、地元のチェーンソーアート愛好者団体が出場選手をホームステイさせるなど、地域が一体となった取り組みが評価された。」との記事。(2007.03.06 中日新聞)
(9)「カナダ大使館、カナダ環境技術情報セミナー開催(短信)」の見出しのもと、「カナダ環境技術情報セミナー 在日カナダ大使館が11月22日午後2時から同大使館地下2階シアターで開催する。カナダの環境技術・サービスに関する最新情報を紹介する。参加企業と紹介する商品は次の通り。ダイナモチブ(バイオマスからバイオオイルの生成・改質、燃料の製造)、グレンドン・バイオフィルターズ(廃水処理技術、浄化装置の開発・販売)など。」との記事。(2004.11.15 化学工業日報)
(10)「深層断面/穀倉地帯の成長産業-カナダ・バイオマス燃料最前線」の見出しのもと、「バイオオイルの商業プラントがダイナモーティブ(バンクーバー)によって建設が始まろうとしている。トウモロコシや森林廃棄物を燃料に高温チャンバーでガス化、チャー(未燃物)は分離し活性炭として副製し再利用、ガスは冷却して液化する工程だ。『すでに170種を超えるバイオマスで実証、まず木とサトウキビのバガスに焦点をあてている』と、天然ガスや軽油より安価な燃料として、すぐにでも使えることを強調する。1トンのバイオマスから2・2バレルのバイオオイルを生産、原油1バレル当たり14ドル程度に対してバイオマスは同6・8ドルの価格だ。」との記事。(2003.11.21 日刊工業新聞)
(11)「[YOU館]オーストリア・ケーブルカー火災から1週間 米で集団訴訟準備」の見出しのもと、「ケーブルカーを建設したドイツの電機大手シーメンスによると、ブレーキの油圧系統には、現場が水質保護区域のため、植物系のバイオオイルと呼ばれる可燃性の油が使われていた。ドイツ経済・技術省傘下の連邦物質調査研究庁(ベルリン)は『バイオオイルにはいくつかの種類がある』と説明。ウィーン工科大のフランク・クーベル教授(原油化学)は『バイオオイルは一般の潤滑油に比べて発火点が低く燃えやすい』と語る。捜査当局は発火原因について、車輪とレールの摩擦やケーブルの摩擦に絞って調べている。」との記事。(2000.11.18 毎日新聞東京夕刊)(12)「環境オイルの開発販売で英2社と合意/コマツ」の見出しのもと、「コマツはすでに、寿命が長く、土壌などを汚染しない性分解性潤滑油『バイオオイル』を先駆的に開発していた。今回の合意により、メジャー二社と共同で開発、生産する体制を整えることでバイオオイルの開発成果を生かす一方、コマツの販売サービス網を使ってコマツ純正オイルとして販売する方向性を固めた。」との記事。(2000.07.10 建設通信新聞)
(13)「話題の人:コマツ開発本部システム開発センタ第3グループ・小西晃子さん」の見出しのもと、「当時は、環境に優しいバイオオイルの開発が進みつつあったころ。建設機械の作動油として、高温・高圧環境下での使用に耐えられるように改良するという課題に黙々と取り組んできた。そのバイオオイルは、環境対策が求められている中で、にわかに注目を浴び、販売量も伸びている。そうした実績が今回、日本機械学会奨励賞(技術)の受賞につながった。」との記事。(1999.05.05 日本工業新聞)
(14)「資環研 植林可能地で作物生産 バイオマスエネルギー IPCC目標の3分の2を供給」の見出しのもと、「バイオマスエネルギーは、農林水産資源や有機性産業廃棄物、汚泥などさまざまな有機性資源から作り出せる。素材によって燃焼発電やガス化発電、バイオオイル化、エタノール化して使用する。具体的にはサトウキビなどの『エネルギー作物』や廃棄物が、使用素材として現実的だ。」との記事。(1998.12.03 日本工業新聞)
(15)「地球環境室から:日本でもバイオオイルの使用を」の見出しのもと、「日本ではどうか。バイオオイルの価格が通常のオイルに比べ五-六倍も高いため、採用の実績はほとんどない。さらにフィルターやオイルそのものの寿命が短いなど、メンテナンスの費用もかかるのが欠点だ。環境先進国のドイツで実用化されているだけに、いずれ日本でもバイオオイルの使用を求める動きが出てきそうだ。後手に回らないために、メーカーが開発を加速させることも重要だが、ユーザーも率先して実用化を試みることが大切だろう。」との記事。(1998.03.31 日本工業新聞)
(16)「三菱重工業・下関造船所、操業80周年で新たな飛躍へ(工場ルポ)」の見出しのもと、「油圧工場は86年の完成。下関造船所では一番新しく省力化も徹底されている。取り扱い製品は建設機械や船舶用の油圧モーター、ポンプなど。グループ内の建機大手、新キャタピラー三菱向けには油圧モーターを月間400‐500台出荷している。WO(ウォーターインオイル)エマルジョンで動く安全性の高いモーターや、菜種油などのバイオオイルを使った環境汚染の少ない油圧機器の開発も進めている。」との記事。(1994.01.11 化学工業日報)
(17)「クボタ、LSDを標準装備??小型ホイールローダーに。」の見出しのもと、「エンジンについては米カリフォルニア州の排気基準値をクリアできるレベルにしており、欧州への輸出に備えて植物性のバイオオイルも使える仕様にした。」との記事。(1994.06.06 日経産業新聞)
3.インターネット情報
(1)「有機廃棄物を原料とする石油代替物『バイオオイル』」の見出しのもと、「ダイナモーティブ社のバイオオイルは、そのままの状態で発電用タービンで使用される軽油の代わりになる。同社は自動車用燃料の生成も目指しているが、それにはもう少し改良が必要だ。バイオオイルは原油の代替物として使えるとはいえ、この2つは化学的にはまったく異なる物質だ。石油は酸素を含まない炭化水素からなるが、バイオオイルは酸素原子を持つ化合物を多量に含んでいる。しかしバイオオイルは、『合成ガス』と呼ばれる一酸化炭素と水素の混合ガスに転換できる。この合成ガスは自動車向けディーゼル燃料などの、より上質な炭化水素燃料に加工可能だ。」との記載。(http://wiredvision.jp/archives/200603/2006032301.html)
(2)「NEDO海外レポート NO.1010, 2007.10.31」の見出しのもと、「国内外から注目される木質系廃棄物のバイオオイル変換技術(カナダ)世界全体の約10%を占めるカナダの森林面積。その豊富な資源を利用したカナダの取り組みに世界から注目が集まっている。バイオエタノールに利用される小麦やトウモロコシなどの穀物原料と違い、廃棄物となりうる製材工場からの廃材をエネルギーに変える再生可能エネルギーとして期待されているからだ。その中でも、木質系廃棄物(バイオマス)をバイオオイルに変換する技術は世界でも有数の取り組みとして注目されている。」との記載。(http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/1010/1010-09.pdf)
(3)「特集『木材を溶かす技術と利用』 バイオオイル -バイオマスをエネルギーに変換する-」の見出しのもと、「バイオオイルとは木質材料等の植物資源を,液化技術により油状物質に変えたものです。石油の代替材料として利用することを目指しています。現在アメリカ,カナダを含む17か国の主要研究機関,民間企業がパイロリシス・ネットワークを形成し研究を進め,その成果は,PyNeという雑誌を通じメンバーに報告されています。」との記載。(http://www.fpri.asahikawa.hokkaido.jp/rsdayo/10103020203.pdf)
(4)「バイオ燃料2 導入政策と課題」中の「(4)バランスの取れた利用を」の見出しのもと、「輸送用燃料における石油依存度低下であれば、電気自動車の普及や天然ガス等への燃料転換、またバイオオイル(BTL)やブタノールなどエタノール以外のバイオ燃料の利用法と比較しながら進めていくべきであろう。」との記載。(http://www.npobin.net/hakusho/2007/topix_02.html)
(5)「第18回環境工学総合シンポジウム2008 2008年7月10日?11日 下水汚泥からのバイオオイル製造」との記載。(http://www.wakayama-u.ac.jp/~yoshida/ind_eco/ref12.pdf)
(6)「環境省地球温暖化対策技術開発事業(競争的資金)『高効率熱分解バイオオイル化技術による臨海部都市再生産業地域での脱温暖化イニシアティブ実証事業』(2007?2009)」の見出しのもと、「バイオオイルとは・・バイオマスを酸素のない還元状態で急速熱分解して得られる黒褐色、粘性のある液状物です。輸送用燃料として注目されているバイオエタノール、バイオディーゼルとは異なり、おもに製造部門での燃料利用が期待されています。」との記載。(http://www.wakayama-u.ac.jp/~yoshida/bio_oil_project.pdf)
(7)「アメリカ・カナダのバイオエタノール事情視察団 募集ご案内」の見出しのもと、「ダイナモーティブ エネルギーシステムズ コーポレーション Dynamotive Energy System Corporation 1991年設立 カナダ バンクーバーに本社を置き農・林業からの廃棄物(コーンハスク、バガス、麦藁、樹皮,おがくず等)から化石燃料に替わる再生可能な発熱、発電、輸送用燃料のバイオオイルを製造している。」との記載。(http://www.jie.or.jp/pdf/tour/07071-8_guide.pdf)
(8)「16.新エネルギー開発の現状と展望」の見出しのもと、「さらにまた、近年注目されるようになったのがバイオオイルと呼ばれる新燃料の開発だ。広義のバイオオイルには、メコン川の一部流域などで大量に生息するナマズから油を採って軽油代わりに用いる珍しい事例なども含まれるが、ここでいうバイオオイル技術とはより汎用性の高い実践的な技術のことだ。バイオオイルは、一九八〇年代初頭、米国西オンタリオ大学の研究者らが石油の代替物として開発した。この特殊なオイルは、生育中の各種樹木や植物類は言うにおよばず、石炭や泥炭、植物性の成分を含む泥土、おが屑や木屑、食用作物の茎や樹皮片、農業や林業の廃棄物など、ほぼすべての有機質素材から生成することができる。アイオワ州立大学のバイオ・リニューアブル・プログラム研究室長ロバート・C・ブラウンは、『この技術を汎用化すれば、燃料類ばかりではなく、現在石油から生産されているすべての物質をバイオマスから生成することが可能である』と述べている。」との記載。(http://www.nansei-shuppan.com/sentaku/sippitsu016.html)
(9)「バイオオイル(A)概要 県内森林には年間32,000 トン余りの林地残材があると言われ、森林環境の維持には、残材を森林から運びだすことが求められています。また、河川の維持管理として年2回の草刈りが実施され、大量の刈草が収集されながらも焼却炉などへ持ち込まれて処分されています。これらの草木を材料として『バイオオイル』を生産することが可能となります。『バイオオイル』とは、1?2mm の木質・草本バイオマスを酸素欠乏状態で450℃?500℃の高温で急速に加熱・分解し、固形分を分離した後に冷却することで得ることができる可燃性の液体です。バイオオイルは、発電や加温用の軽油の代替燃料としてそのままの状態で使用することができます(ディーゼル燃料には代替しない)。」との記載。(http://www.pref.saga.lg.jp/web/var/rev0/0014/5198/section5.pdf)
(10)「平成20年8月28日 林野庁 平成20年度森林資源活用型ニュービジネス 創造対策事業委託先の決定について」の見出しのもと、「4.バイオオイル化による森林資源トータル利用システムの確立 栃木県森林組合連合会〔154,785千円〕【技術としての新しさ】-マイクロ波によるバイオオイル化-電子レンジでも使用されているマイクロ波を木質バイオマスに照射すると、木材成分が分解して低分子化し、液体状のバイオオイルになります。このシステムは、マイクロ波を使ったバイオオイル製造装置で、小型化が可能なため、森林に近い林業現場に設置することができます。また、葉から枝、幹、根まで樹木の全てが原料となるうえ、液化することにより二次加工工場への運搬が容易となります。」との記載。(http://www.rinya.maff.go.jp/seisaku/sesakusyoukai/new_Business/kettei.pdf)
(11)「●特集『木質バイオエタノール』バイオマスからの液体燃料について 利用部 再生利用科 檜山 亮」の見出しのもと、「(1)木材を熱処理して得るバイオオイル バイオマスを熱処理してできる油状物質をバイオオイルといいます。木質バイオマスから作ったものは木質バイオオイルとでも言えるでしょうか。木質バイオオイルの製法には大きく分けて二通りあって,無酸素状態で500℃に急激に温度上昇させる方法と,300℃,10MPa程度の高温高圧の水で処理する方法(水熱処理)です。木質バイオオイルの生成時にはガスと炭状物質も生成されますが,この副生物を燃焼させて熱を回収するとプロセスの熱効率が良くなります。」との記載。(http://www.fpri.asahikawa.hokkaido.jp/dayori/0707/3.htm)
(12)「地球の温暖化を解決できるのか?未来のエネルギー『バイオ燃料』」の見出しのもと、「液体のバイオ燃料には、そのほかにも重油の代替燃料として利用できる『バイオオイル』などがある。」との記載。(http://japan.internet.com/column/webtech/20080801/8.html)
(13)「広島大学研究シーズ」の見出しのもと、「ヤブレツボカビ類は、細胞の半分以上が油脂成分であり、セルロースからバイオオイルを生産し得る能力を有する。一般にバイオエタノールは食料であるデンプンから生産するのに対し、ヤブレツボカビ類のバイオオイルは非食糧であるセルロースを原料とする。」との記載。(http://seeds.hiroshima-u.ac.jp/sangaku_renkei/seeds_db/132.html)
(14)三井物産株式会社のホームページ(以下、「HP」という。)において、「もう一つは小規模ですが、マレーシアのパーム油生産工程で廃棄物として大量に発生するヤシ殻を搾油して燃料として利用することを考えています。我々はこのバイオマス燃料を『バイオオイル』と呼び、現在日本へのマーケティングを進めています。」との記載。(http://www.mitsui.co.jp/csr/shd/0610_1.html)
(15)「(3)物質生産におけるエネルギーコプロダクション」の見出しのもと、「バイオマス利用を目指した含酸素化合物 (モデル化合物:酢酸)のスチームリフォーミング反応ではバイオマスから液状転換されたバイオオイルを原料としたスチームリフォーミング反応による水素製造を試みた。バイオオイル中の含酸素化合物として最も多く含まれる化合物の1つである酢酸をモデル化合物としPt/ZrO2(注:「2」は下付文字。)触媒を用いて反応メカニズムの検討を行った。」との記載。(http://www.jst.go.jp/kisoken/crest/eval/jigo/20060614/5_minimum/minimum_05.pdf)
(16)「植物バイオマスからエタノールを効率的に生成するための技術が開発されている。これは熱化学と触媒技術を統合したシステムでトウモロコシの茎やスイッチグラスなどを急速熱分解で分解してバイオマスをバイオオイルに変換したのちに気化して合成ガスにする。」との記載。(http://www.transtex.jp/gf/show/273)
(17)カナダ大使館のHPにおいて、「カナダは他のどの国よりも多くのバイオマス資源を持っています。カナダの主なエネルギー需要全体の約6パーセントは、主として林産分野でバイオマスの燃焼により満たされています。カナダ企業はセルロース系エタノール、高品質バイオディーゼルやバイオオイルの製造、並びに汚泥分解のための革新的なバイオエネルギー技術の開発、実証、商品化に成功しています。」との記載。(http://www.canadanet.or.jp/enr/renewal.shtml)
(18)「コマツの対応 このバイオオイルを、現在稼動している最新の建設機械でも使用することを目的に、コマツは『コマツ純正バイオ作動オイルBO46-G4』を世界に先駆けて開発しました。この製品は、従来のバイオオイルがもつ環境安全性に、建設機械の能力を損なわない機能を加えたもので、次のような特徴を備えています。」との記載。(http://www.komatsu.co.jp/CompanyInfo/ecology/2000/pdf/03.pdf)
(19)文部科学省のHPにおいて、「資源エネルギーの回収・再利用技術開発 社会から出る廃棄物(ゴミ、排水、排ガス等)には有用な資源が大量に含まれているが、希薄であるため回収が難しく都市鉱山として眠っているものがほとんどである。そこで物理・化学・生物学的手法による廃棄物等の分解、有用物質の濃縮、回収、再資源化の取組がなされている。産業・民生廃棄物(有機廃棄物、生ゴミ、下水汚泥、セルロース、製紙スラッジ、廃プラスチック、ゴム廃材、廃発泡スチロール等)、副生物(グリセリン等)、有害物(フロン等)のメカノケミカル分解、水熱反応、超臨界流体、触媒・酵素反応、プラズマ等の手法を用いた炭化、油化、燃料化、ガス化、バイオオイル化、糖化等による資源化」との記載。(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/toushin/08091101/008.htm)
本願商標は、「バイオオイル」の文字を標準文字で表してなるところ、「バイオオイル」及び構成中の「バイオ」、「オイル」の語に関し、当審において職権に基づく証拠調べを行い、その結果を平成21年1月21日付け証拠調べ通知書において通知したところであるが、該証拠調べ通知書に記載した事実によれば、「バイオオイル」の文字は「有機廃棄物等から生成されるオイル」であることを理解させるに止まるものであり、本願商標をその指定商品及び指定役務中、「有機廃棄物等から生成されるオイルを含む燃料,有機廃棄物等から生成されるオイルを含む工業用油」(第4類)、「有機廃棄物等から生成されるオイルを含む廃棄物の再生」(第40類)及び「有機廃棄物等から生成されるオイルを含む公害の防止に関する試験又は研究」(第42類)について使用するときは、単に商品の品質又は役務の質を表示したものと理解させるにすぎないものであり、自他商品及び役務の識別標識としては認識しないというのが相当であるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、前記商品又は役務以外の「燃料,工業用油」(第4類)「廃棄物の再生」(第40類)及び「公害の防止に関する試験又は研究」(第42類)について使用するときは、その商品の品質又は役務の質について誤認を生ずるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。

第4 当審における拒絶理由に対する意見
前記第3の「拒絶理由通知」に対して、請求人からは何らの意見、応答もない。

第5 当審の判断
当審において、請求人に対し前記第3の拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、請求人からは未だに何らの意見、応答もないものである。
そして、本願商標について行った当審の前記第3の拒絶の理由は、妥当であって、本願商標をその指定商品及び指定役務中、第4類「有機廃棄物等から生成されるオイルを含む燃料,有機廃棄物等から生成されるオイルを含む工業用油」、第40類「有機廃棄物等から生成されるオイルを含む廃棄物の再生」及び第42類「有機廃棄物等から生成されるオイルを含む公害の防止に関する試験又は研究」について使用するときは、単に商品の品質又は役務の質を表示したものと理解させるにすぎないものであり、自他商品及び役務の識別標識としては認識しないというのが相当であり、かつ、前記商品又は役務以外の第4類「燃料,工業用油」、第40類「廃棄物の再生」及び第42類「公害の防止に関する試験又は研究」について使用するときは、その商品の品質又は役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-05-22 
結審通知日 2009-05-26 
審決日 2009-06-09 
出願番号 商願2007-94832(T2007-94832) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X01044042)
T 1 8・ 272- Z (X01044042)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小川 敏 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 末武 久佳
木村 一弘
商標の称呼 バイオオイル 
代理人 堀口 浩 

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