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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない X09
管理番号 1201915 
審判番号 不服2008-26601 
総通号数 117 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-10-16 
確定日 2009-07-15 
事件の表示 商願2007-124712拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲(1)のとおりの構成からなり、第9類「測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器」を指定商品として、平成19年12月17日に登録出願され、その後、指定商品については、同20年7月28日付け手続補正書により、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電線及びケーブル,,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器」に補正されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして、引用した登録商標は、以下の(1)及び(2)のとおりである。
(1)登録第2237474号商標(以下「引用商標1」という。)は、「SPIDER」の欧文字を横書きしてなり、昭和62年3月23日に登録出願、第11類「電子計算機、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成2年6月28日に設定登録され、その後、同12年6月6日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。
(2)登録第4864165号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)のとおり、薄灰色の横長四角形内に色彩を施した「SPIDER」の欧文字を横書きしてなり、平成16年7月23日に登録出願、第12類「乗物用盗難警報機,乗物用盗難防止装置」を指定商品として、同17年5月13日に設定登録され、現に有効に存続するものである。
以下、引用商標1及び2をまとめていうときは、「引用商標」という。

3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標の類否について
本願商標は、別掲(1)のとおり、「IDEC」及び「LED」とこれら各文字と比較して大きく表された「SpidEr」の欧文字を「-」(ハイフン)で連結した「IDEC-LED-SpidEr」の文字と、「IDEC」の「D」の文字の下部分から、「LED」の「L」の文字の下部分を繋ぐような弧状図形及び「LED」の「D」の文字の上部分から、「SpidEr」の「i」の文字の上部分を繋ぐような弧状図形とをそれぞれ配し、さらに、「SpidEr」の「i」の文字の下方へと繋がる線の先に周辺に放射線状の線を配置してなる黒い外縁の中に赤オレンジ色のグラデーションを施した円形図形を組み合わせてなるところ、その構成中の文字部分と図形部分とは、これらが一体となって特定の観念を有するものとは認められないばかりでなく、両者が渾然一体として融合した構成態様からなるものともいえず、他にこれらを一体不可分のものとして把握しなければならない特別の理由も見いだすことができないことから、本願商標は文字部分と図形部分とがそれぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすと判断するのが相当である。
そこで、「IDEC-LED-SpidEr」の文字部分についてみると、たとえ、「IDEC」、「LED」及び「SpidEr」の各文字が、ハイフンで結合された構成からなるとしても、これが一連一体の語句として特定の意味合いをもって、一般に親しまれているということはできず、また、「IDEC」及び「LED」の各欧文字は、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔でまとまりよく表されているのに対し、「SpidEr」の欧文字は、「IDEC」及び「LED」の欧文字に比べて大きく顕著に表されてなるものであるから、本願商標の文字部分は、外観上及び観念上、常に一体不可分のものとして把握しなければならない格別の事情も見いだせないものである。
そして、構成中の「IDEC」の欧文字は、特定の観念を有しない造語であるところ、これは我が国において最も親しまれた外国語である英語の発音において、例えば、「idea」を「アイデア」、「idol」を「アイドル」と「i」の文字を「アイ」と発音する例に倣い、「アイデック」と称呼する場合があるといえ、また、例えば、「ideology」を「イデオロギー」、「idiom」を「イディオム」と「i」の文字を「イ」と発音する例に倣い、「イデック」と称呼する場合もあるといえることから、「IDEC」の欧文字からは、「アイデック」または「イデック」の称呼が生ずるといえる。また、「LED」の文字は,「発光ダイオード(light-emitting diode)」(株式会社コロナ社発行「改訂電子情報通信用語辞典」)の意味を有し、「エルイーディー」と一般に称呼されているものであり、さらに、「SpidEr」の文字は、「E」の文字部分が大文字で表記されているものの、該文字全体としてみれば「spider」の語を表したものと無理なく認識できるものであるから、これより「スパイダー」の称呼及び「くも」の観念を生ずるものといえる。
そうすると、本願商標は、その構成文字に相応して、「アイデックエルイーディースパイダー」又は「イデックエルイーディースパイダー」の称呼が生ずるものであるが、該称呼は12音又は11音(促音及び長音を除く)といずれも冗長であるばかりでなく、上記のとおり、本願商標の文字部分は、観念上、不可分一体の親しまれた特定の事物、事象を表すものではなく、かつ、外観上も「IDEC」、「LED」及び「SpidEr」の各文字が分離して看取されるものであるから、むしろ、外観上、他の文字に比較して大きく表された、「SpidEr」の文字に着目して取引に当たることが決して少なくないといわざるをえない。
してみれば、本願商標は、その構成中の「SpidEr」の文字部分も独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすとみるのが相当であるから、該「SpidEr」の文字部分に相応して単に「スパイダー」の称呼及び「くも」の観念をも生ずるものというべきである。
一方、引用商標は、「SPIDER」の欧文字を横書きしてなるものであるから、これより、「スパイダー」の称呼を生じ、かつ、「くも」の観念を生ずるものである。
そして、本願商標の構成中「SpidEr」の欧文字と、引用商標の「SPIDER」の欧文字とは、大文字と小文字の配置の相異や書体こそ異なるものの、その構成文字の綴りを同じくするものであるから、外観上、これに接する取引者、需要者に近似した印象を与えるものといえる。
してみれば、本願商標と引用商標とは、「スパイダー」の称呼及び「くも」の観念を共通にする商標であり、また、外観についても近似した印象を与えるものであるから、全体として相紛れるおそれのある類似する商標というべきであって、かつ、本願商標の指定商品は引用商標の指定商品と類似する商品を含むものである。
したがって、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
(2)請求人の主張について
請求人は、「しょうざん事件」(昭和43年2月27日最高裁第三小法廷判決言渡 昭和39年(行ツ)110号)の判決を挙げ、本願商標の「IDEC-LED-SpidEr」の欧文字部分は、一連に称呼したとしても、指定商品の取引においては、これを分断しなければならないほど冗長ではなく、また、「IDEC」の文字は請求人がハウスマークとして使用する登録商標であり、「アイデック」として周知されていることから、本願商標に接する取引者は、「IDEC」の文字部分を商品識別標識として認識する旨、主張する。
しかしながら、本願商標の「IDEC-LED-SpidEr」の欧文字部分は、前記(1)のとおり、観念において一連一体の熟語を形成するものではなく、また、その称呼も冗長なものであり、むしろ、その構成全体のうち、視覚的に顕著に表された「SpidEr」の文字部分に着目し、これより生ずる「スパイダー」の称呼及び「蜘蛛」の観念をもって、取引にあたる場合もあることは、取引の経験則に照らして自然なことというべきである。
そして、このことは、「簡易、迅速をたっとぶ取引の実際において、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼、観念され、一個の商標から二個以上の称呼、観念の生ずることがあるのは、経験則の教えるところである。しかしてこの場合、一つの称呼、観念が他人の商標の称呼、観念と同一又は類似であるとはいえないとしても、他の称呼、観念が他人の商標のそれと類似するときは、両商標はなお類似するものと解するのが相当である。」(最高裁判所 昭和38年12月5日第一小法廷判決 昭和37年(オ)第953号)と判示されていることからも明らかである。
さらに、請求人が主張する「IDEC」の欧文字について、請求人の提出にかかる平成20年10月16日付け手続補足書によれば、請求人が製品カタログにおいて、「IDEC」の文字を使用していることは認められるものの(甲第2号証)、本願商標の使用開始時期、使用期間、使用地域、本願商標を使用した商品の生産又は販売の数量(生産量、売上高やシェア等)、広告宣伝の回数等を確認することはできないから、「IDEC」が、本願指定商品との関係において、需要者の間に広く認識されていることの証左とは認められないばかりではなく、また、日本有名商標集(AIPPI発行)に「idec」の文字が記載されているとしても(甲第4号証)、該「idec」の文字は本願商標の構成中の「IDEC」の文字と態様が異なるものであり、その記載の事実から、本願商標の構成中の「IDEC」の欧文字が、本願商標の識別機能を有する部分であるということはできない。
よって、請求人の主張は、いずれも採用することはできない。
(3)まとめ
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1) 本願商標

(2) 引用商標2


審理終結日 2009-05-11 
結審通知日 2009-05-15 
審決日 2009-05-26 
出願番号 商願2007-124712(T2007-124712) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (X09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 斎竹之内 正隆 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 木村 一弘
末武 久佳
商標の称呼 イデックエルイイデイスパイダー、イデックレッドスパイダー、イデック、アイデック、スパイダー、レッド、エルイイデイ 
代理人 肥田 正法 

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